星とカワセミ好きのブログ

2018.05.19
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カテゴリ: 美術 / Art
2018年5月18日、日本テレビの金曜ロードショーで、高畑勲監督の「かぐや姫の物語」(2013年スタジオジブリ)が放送されました。
筆で描いたような線で絵が描かれています。かぐや姫は美しく、表情がとても豊かで見入りました。

高畑勲さんの「十二世紀のアニメーション -国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの/高畑勲/徳間書店」という本があり、12世紀に日本で作られた有名な4つの絵巻物に関し、高畑さんのアニメ作家としての視点から詳細に絵の説明がなされています。これを読むと、描かれた絵の何がすごいのかが理解でき、とても勉強になります。

「かぐや姫の物語」の最後で、月から迎えが雲のようなものに乗ってやってきます。これは「十二世紀のアニメーション」p59に紹介されている「阿弥陀二十五菩薩来迎図/京都・知恩院蔵」によく似ているなと感じました。

4つの絵巻物は次の通りです。
1)「信貴山縁起絵巻」。ある金持ちの家にいつも鉢が飛んでくるので、お布施を鉢に入れるとどこかに戻っていく。ある日お布施をせず鉢を倉に入れておくと、鉢が転がり出て、鉢の上に倉を乗せ、空を飛んでいった。金持ちが追いかけると、命連という僧の家に着いた。金持ちの願いにより倉の中の米俵は戻すことにした。鉢の上に米俵を載せると鉢が浮かび、他の米俵も引き連れて、空を飛んで戻っていった。この他に、命連が醍醐天皇の病気を遠隔で直したり、仏の導きにより姉と再会する話がある。

2)「伴大納言絵詞」。清和天皇の時代、放火により応天門が焼けた。伴大納言が大臣の源信(みなもとのまこと)が放火したと噂を流したので源信は捕まりそうになった。そこで源信は直接天皇に無実を訴え、許しを得ることができた。ある役人は伴大納言の放火を見たのに黙っていたが、その役人の子供が伴大納言の部下に怪我をさせられた事をきっかけに、朝廷側に犯人は伴大納言だと言った。伴大納言は大臣の地位を狙っていたが、流罪となった。

3)「彦火々見尊絵巻」。(12世紀の絵巻物は原本が残っておらず、江戸時代の模本のみ)ある兄弟がおり、弟が兄の釣り針を借りて魚釣りをすると、魚が針を食って逃げた。兄はあの釣り針をすぐに返せと弟を責めた。弟は途方に暮れ、道で出会った翁に相談すると、竜宮城に連れて行かれた。竜王は喉の痛い男を探し出し、医者が喉の釣り針を取った。竜王は弟を気に入り、娘を妻とさせた。弟は兄に釣り針を返したいと言い、地上に戻ることにした。竜王は自由に潮の満ち引きができる玉を弟に渡した。兄は釣針を受け取るも弟を許さないため、弟は満ち引きの玉を使い、兄を懲らしめた。そして竜宮城へ戻った。竜王の娘は産屋で弟の子供を産んだ。

4)「鳥獣人物戯画」。甲乙丙丁の4種に巻物が分かれ、擬人化された動物達の絵や、人間像を描いたものがある。

2018年3月に東京国立博物館平成館で、「仁和寺と室生派のみほとけ展」を見ましたが、3)の「彦火々見尊絵巻」(福井県小浜市明通寺蔵)が展示されており、じっくり見ました。

2015年に同じく平成館で、「鳥獣戯画展」を見ました。何時間も待った挙句、絵巻物の前では立ち止まらずに進んでくださいと言われ、オリジナルの絵をほとんど見ることができずがっかりしました。しかし、隣の国立博物館本館に行くと江戸時代の模本が展示されていたので、模本の鳥獣戯画をゆっくり見ることができました。



↑「かぐや姫の物語」の紹介。金曜ロードシネマクラブ画面より。





↑ 「十二世紀のアニメーション -国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの/高畑勲/徳間書店(1999年)」


↑ 「十二世紀のアニメーション」p9.目次。
1)信貴山縁起絵巻、2)伴大納言絵詞、3)彦火々見尊絵巻、4)鳥獣人物戯画




↑「十二世紀のアニメーション」p59。「阿弥陀二十五菩薩来迎図/京都・知恩院蔵」。


↑「阿弥陀二十五菩薩来迎図」拡大。雲に乗って阿弥陀と菩薩たちが空から降りてくる。





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最終更新日  2018.05.20 05:53:29
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