猫の箱

猫好きのお婆ちゃまが、田舎の実家のお向かいに住んでいました。頭が真っ白で腰が少々曲がった、品の良さそうなお婆ちゃま。

猫好きの所には、何故か次から次へと猫が集まるものですよね。お婆ちゃまの家では、多い時には１０匹ほどの猫がいました。

お婆ちゃまが家の前でお掃除を始めると、猫ちゃん達もお散歩タイム。足下をウロウロ、まるでお掃除を手伝っているかの様で、それはそれは微笑ましい光景でした。

それがこの秋に突然の訃報・・・・。猫ちゃん達はどうしたと思います？

ただ、今まで見た事のなかった猫が一匹だけ、ずっとずーっと門の前にいました。生前、お婆ちゃまから、片目の無い猫は、家から一歩も出した事がないと聞いていました。そうか！その子だ！

ご飯も水も貰えずじゃ、可哀想すぎる・・・。「おいで～おいで～ご飯だよ～」と高い声で呼んで餌を出してやったら、道路を渡ってこちらへやってきました。数日間、縁側で餌をやりました。そうこうするうちに、１匹２匹と違う猫を連れてやって来る様になりました。

母が片目の雌に”マチコ”と名付けました。何故かって？お婆ちゃまの事を待ち続けているから”マチコ”。恐がりで近寄らない雄には”ハルキ”と名付けました。

有名なラジオドラマ「君の名は」で、”マチコ”と”ハルキ”って名前があったでしょ～。”マチコ巻き”の”マチコ”です。（これを知らない方は、若いって証拠。）ところが、父が間違えて、”マチコ”の事を”ナオミ～”って呼ぶんです。その後その猫は、”ミサオ”って名前だった事が判明・・・。結局、”ミサオ・マチコ・ナオミ”って名前にしました。

一応、通称マチコちゃん。

甘える事を知っている猫は得です。３ヶ月経った今では、すっかり実家の家猫になりました。元飼い猫が野良になるのは大変な事でしょう。どの猫ちゃんにも、せめて暖かい寝床とご飯だけは用意して上げたい所です。

恐がり”ハルキ”もやっと、縁側に作ったアンカ入りの寝床に寝る様になりました。他の猫ちゃんはどうしているんでしょうねぇ・・・・・心配です。