この物語はフィクションです。
こう言っとかないと、PTAのお母さんたちは信じちゃいますからね。
「あなたのPTA会長はまじめです」・・・信じてくださいってば!
さて、S木さんと喫茶店で打ち合わせをした後、通用口から改めて入り、係長に交代の挨拶。
ベタランっぽいマネキンが、明日から「ボーッ」っとした新人に交代ですからね・・・係長さん、面白くなさそうな顔をしましたが、「売り上げは確保してくれよ・・・3万円は欲しいなあ!」
3万円って・・・・S木さん、人に「お笑いするな」って言っておきながら、かなり「お笑い」してたようです。
昨日も、恵さんから質問がありましたけど、「飛行機代は自分もち?」・・・・ハイ、飛行機代、宿泊費、その他、全部個人負担です。
だから地方にサーキットにでると、お笑いしなくちゃ暮らしていけません。
後で、お話しすることになりますが・・・・・売り上げ0円なんてことだってあるんですから、怖いですよ。
係長からは「期待できないな」って顔で見られましたが、とりあえず今日中にS木さんのテクニックを盗まなきゃ・・・そんな思いで、無給ですけど仕事を手伝いましてねえ。
マア、ジュース屋さんの奥さんのようにはいきませんが、「サクラ」を経験しましてねえ、「さくらを使うと売り上げ倍増」っていう、ジュース屋さんの言葉を思い出しましたねえ。
S木さんが、「ちょっとやってみな!」と言われて、さっき見ていた口上をソックリやったつもりだったんですけどねえ・・・「おいおい、お客さんの顔を見すぎだなあ」なんて言われましてねえ・・・
この商売は、半径一メートル以内にお客様が近づくまで、お客様の顔を見ないでひきつけるだけひきつけておく・・・それが鉄則なんだそうで・・・・で、できたら、2~3人のお客様ができたら「落とさず」に、その2~3人のお客様を、「招き猫」代わりに放さずにおけたら最高!
具体的な例を出していただいて、ちょっとは上手くなったかな・・・なんて思ってましたら、「おいおい、お前の売り方、じゅうたん掃除機だな!」
あらぬ方向から聞き覚えのない声がしましてねえ
「ああ、紹介しとくよ、今回店内には家庭用品に3人のマネキンがいてね、こっちが、じゅうたん掃除機のK沢さんだ」ってS木さんから紹介されました。
もう一人の人は、向うの玄関のそばで「スプーン」を売ってましたね。
「よろしくな」って握手をされましたが・・・・K沢さん、牛乳瓶の底のようなレンズのまん丸型のメガネをして、「お前ドッカで見たなあ?」って言うんですよ
「ああ、ナイトは元歌手だそうだ、お前だってバンドマン崩れだから、どっかであったんだろ?」
S木さんは、社長から情報を入手していたようです。
その晩、S木さん、K沢さん、そしてわたしの3人で飯を食いに行きました。
スプーン屋さんは、「タンカ売」はしない人で、我々と一線を隔しているような人だったんで、一緒に飲むなんてことはなかったですねえ。
狸小路の美味しい居酒屋さんで何か焼き魚でイッパイやった記憶があります。
そのとき、ふと頭をよぎりました。
「あの~~、S木さん、私まだホテルに連絡してないんですけど・・・・」
「ああ、大丈夫だ・・・・お前は俺の部屋にそのまま泊まるっていってある」
「ええ!ジャア、今日はS木さんと相部屋ですか?」
「ああ、そうだった!お前と交代で帰るつもりだったから、そういえば部屋がないんだ!」
あわてて、ホテルに電話しましたが、泊まるのは相部屋でいいとして、貸布団頼んでないって言われましてねえ・・・・そしたらS木さん・・・「俺が急に帰るのが悪いんだから、お前をいいホテルに今日一日泊めてやるよ」
その場で、電話してもらったんですけど・・・・・他になじみのホテルがあるらしく、「ああ、タクシーで送ってやるよ」と言われ連れてこられたのが、まるでディズニーランドの「シンデレラ城」のようなホテルでしたねえ。
「S木さん、ここってもしかしてラブホじゃないですか?」
「いいじゃないか!、今札幌は観光シーズンで普通のホテルなんかとれねぇんだから」
「ああ、支払いはいらねえから・・・・・オレの連れだッて言えばわかるから」
よっぽどS木さん、このホテルをご利用なさってるんでしょうね・・・・・・・
その夜は、今はないかもしれませんが、まん丸ベッドでぐるぐる回転する奴で一晩中廻りながら寝ましたよ。
お風呂も、ガラス張りのお風呂で、風呂に入りながら、自分の脱いだ洋服をベッドの上に眺められますから、泥棒が入ってきてもすぐ気づく・・・って、ひとり、くだらないことを考えながら寝ましたねえ。
翌朝、ひとりラブホテルから出て行く自分を、周りの人はなんて思うんだろう?なんてことを考えながら出勤!
お店の近くの喫茶店で「モーニングサービス」って奴を食べましたがこのボリウムが凄かったですねえ
通用口から入ったらK沢さんもちょうど入店した時刻が一緒でした。
それぞれ、しゃべりながら売るわけですから、このお店の場合、場所的にはちょっと離れてるんですけど、知らないとこで独りぼっちにされるよりは心強かったですねえ。
さて、ここでひとりの女の子が登場するんですが、・・・・・女の子といっても、私よりは年上なんですけどねえ・・・・私の持ち場の直ぐ前が、「旅行会社のカウンター」になってまして、そこの社員さんなんですけど、旅行会社のカウンターって、あまりお客が来ないじゃないですか・・・・・
暇をもてあましてますから、わたしが仕事してると、しょっちゅうじゃましに来るんですよ。
昨日、喫茶店に行った時も、この女の子に店番頼んだんでね、私も、休憩のときなんかこの女の子に見てて貰おうと思って、朝の挨拶も、お世辞使いながら、けっこう愛想よくしましたよ。
それが悪かったんですかねえ・・・・・しょっちゅう、私の持ち場に遊びにくるんですよ。
「ねえねえ、東京のどこに住んでんの?」・・・「アパートは府中だよ」
「アパートは府中だけど・・・・住んでるのは違うとこ」なんて言えませんからね
「ああ、3億円事件の!」それくらいの知識だったようです。
「東京行ったら案内してくれる?お兄さんのアパートに泊めてもらって!」
「なんていうふしだらなお嬢さんだ!!、で、何泊すんの?」
あ、これはお互い冗談で言ってるんですからね・・・・ほんとに・・・・・
でも、このとき、私には妄想が働きましたねえ。
S木さんが店番を頼んだときの口調といい、夕べ泊まったシンデレラ城がS木さんが顔馴染みだったことといい・・・・もしかしたらこのお嬢さん、S木さんの「現地妻」・・・・・・・
ここから一歩間違うと「エロ」小説になっちまいそうなんで続けませんけど・・・・いろいろ考えすぎちゃいました。
お昼過ぎまで順調にいって、午後飯食いに行こうとして店番を頼んだら、「あら偶然ね!わたしもお昼なのよ、一緒に食べに行かない?美味しいとこあるのよ」・・・・
女性からそうお誘いされたら、相手がたとえ80歳であろうとも、お付き合いする私ですから、他の店員さんにお願いして、一緒に食事に出かけました。
ランチにしてはけっこうなお値段でしたが、マア美味しく頂きまして、いざ出ようとしたとき・・・・彼女さっさと出て行ってしまったんですよね。
「おいおい、代金は俺が払うの?」・・・出て行っちゃったものはしょうがない・・・支払いを済ませ外に出ると、「ご馳走様でした」なんていうんですよね。
「しょうがねえなあ、ジャア今日は閉店後、お姉ちゃんをご馳走してもらおうか」
あ、これも冗談ですよ・・・・・誤解しないでくださいよ!
「アハハハハ・・・、いいわよ」・・・・・この時さっきの妄想が・・・・・
(やっぱり、S木さん、やっちゃったな!)・・・・確信しました。
あ。だんだん、エロ小説化してる!・・・・ドッカでレールを戻さなきゃ
ってことで、また明日にしますか?
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