今日は「クリスマス・イブ」・・・・だと思うでしょ?
私の場合は違うんですよ。
毎年お話ししてますけど・・・・今日はうちのお寺の「地蔵講」の日なんです。
「笠地蔵」っていう民話がありますけど・・・・それが12月24日のお話しってことですよ。
お正月を一週間後にひかえ・・・みんなが無事にお正月を迎えられるようにっていうありがたい仏教の教えなんですけど・・・・うちのお寺は「恐山」も持ってまして・・・・恐山のご本尊様が「お地蔵様」ですから、毎年12月24日にその「回向の会」が開かれるんです。
私も、午前11時からの会に参加して参拝してきます。
南無釈迦無二仏、南無釈迦無二仏・・・・・・・・・
《歌手になるつもりが・・・(64)》
「ラブホテル」のような「旅籠」のような・・・・・そんな「美佐子」の実家に、連れ込まれた私・・・・・
もちろん「美佐子」の仲間の「りっちゃん」や「八重ちゃん」と一緒だからなんの問題もないのだが、彼女の「ピンクで統一された部屋」に通されて、なんとなく目のやり場に困ったが・・・・彼女たちが、3人とも「〇越学園」の高校生と聞いて・・・今度は穴のあくほど3人の女の子を見てしまった。
私はてっきり・・・・年齢もさることながら、彼女たちは「プータロー」だと思っていたのだった。
しかし「〇越学園」といえば、芸能人が通う学校として有名・・・・彼女たちのケバい化粧や服装も・・・・そう思えば納得できるような気がした。
「昨日君たちは・・金曜日なのに大学祭に来てたけど・・・・学校は?」
「固いこというなよ・・・って言いたいところだけど、昨日はうちも文化祭の準備で関係者以外はお休み・・・・アッチら、帰宅部だもん・・・なんもしなくていいんだよ。」
意外とまじめな女子高生だ。
「でも・・・〇越学園といえば・・・・芸能人がたくさんいるんだろ?・・・それが何で?」
「T崎さん」達の「オッカケ」なんかしているのか不思議だった。
「そりゃ確かに芸能人はたくさんいるけど・・・・普段はあいつらも普通の高校生なんだよ。・・・・ただ周りの大人たちがあいつらのキャラを作り上げてるだけでさ・・・・・」
「作られたキャラがなきゃ・・・あいつらもアッチらとなんも変わんねぇし・・・・」
「アイドルの〇〇っていう子は・・・・男の子と口もきいた事がないような顔してるけど・・・あれでなかなか・・・・・」
「ほら…△▲なんて・・・・派手なアクションでファンの子を騒がせてるけど・・・あいつだって普段はおとなしい男の子だよ。」
3人はかわるがわる私に学園内の芸能人の話しを教えてくれた。
「だから・・・・アッチら、同じ学校の芸能人には興味がないのさ。」
最後に「美佐子」がまとめにこう話した。
「だったら・・・・T崎さんたちだって・・・・作られた偶像だって思うだろ?・・・それなのに、なんであの人たちのファンになったんだよ?」
「そりゃ・・・アッチらに普段の生活を見せないからじゃないか。」
彼女たち3人が3人とも・・・・私の目をしっかり見据えてそう答えた。
「ところで・・・・ナイト君・・・・あんたは・・・・T崎のグループに入るんだろ?」
「いや・・・・そんな話しは何も・・・・・聞いてもいないし・・・・」
私は嘘をつくのが下手だと思った。
「アッチらに嘘つかなくてもいいよ・・・・もうばれてるんだから・・・」
「この前コンサートで・・・T崎が新しいメンバーを入れるって言ってたから・・・アッチらその新しいメンバーを探しに大学祭に行ったって話したっしょ?」
「あのメンバーの中で誰かな?って思ったんだけど・・・・・3人が3人ともあんただって思ったんだから間違いないよ。」
「そりゃ確かに・・・あんたには芸能人としてのオーラはないよ?・・・・でもそれだってこれからさ。」
「これからいろいろ教えられてオーラが身について来るんだよ。」
「でも、芸能人って・・・みんな可愛いとかカッコいいとか・・・・」
「そんなもん・・・・ちょこっと整形すりゃすむ話だよ。」
「それに・・・フォークソングのグループなんて・・・・みんなそこらのアンチャンって感じで良いんだよ。」
彼女たちに私をおだてる気持ちなんてさらさらない。
少しだけ落ち込んできた。
それを察知したのか・・・・
「でもあんた・・・・声だけは素晴らしいよ。」
「ああ・・・その声だけで・・・・魅せられちゃいそうだった。」
「これがアッチら3人の意見さ。・・・・だから新しいメンバーがあんただってわかったし・・・・」
「いや、ほんとに俺じゃないんだってば・・・・」
「隠さなくたっていいよ。」
「アッチらがあんたのファンの第1号だよ。」
こんなやり取りが続いたあと・・・・・・「美佐子」が・・・・・
「だからね・・・変なキャラにされる前に・・・・アッチらがあんたのキャラを作ってやるよ。」
え?キャラを作る?
「そうだよ・・・・プロダクションから変なキャラをつけられる前に・・・ファンのアッチらがあんたのキャラを作ろうって言うんだよ。」
私はプロでもないし、「T崎先輩」のグループにも入っていないうちから・・・・とんでもない性格に変えられようとしていたのだ。
「これからスターになろうっていう男に女の影は要らないよ?」
「まさか彼女がいるなんて言わないよね?」
「いるなら今のうちに別れちゃいな?」
「キリン先輩」の顔が浮かんだ。
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