「書留で~す。・・・印鑑お願いします。」
玄関から気だるい声が響いてきた。
もちろん「書留」というからには郵便局の人に違いない。
「ハイ!・・・ちょっと待ってください。」
ハンコなどあまり使ったことのない内藤は・・・・それを探すのに手間取ったが・・・ようやく引き出しの2段目に入っているのを見つけて玄関に出た。
「すみませんね・・・・家内がいないものですから・・・どこにハンコがあるか判らなくて・・・」
わざわざ言い訳をしながら玄関に出てみたが・・・・郵便局の人はそんなことに興味も無く・・・・汗をふきふき印鑑を押して「はい・・・どうぞ」
さっさと出て行ってしまった。
手渡されたのは小さな封筒・・・・その中に何やら固いものが入っているようだ。
内藤はその封筒を開けてみた。
「鍵」
どうやらどこかの家の鍵のようだった。
手紙も入っていたので読んでみる。
「おめでとうございます。
今回ご応募いただきありがとうございます。
抽選の結果、このたびの一週間別荘を無料で使用できる権利、あなたがご当選となりました。
8月14日から21日までどうぞご自由にお使いください。
内藤には思いあたる節もなかったが・・・・きっとかみさんが応募したのだろう。
その文章の下には詳しいことが書いてあったが、使用した後の鍵の返却方法とか・・・けっこう細かく書いてあった。
内藤はその文章を読みながら・・・居間に戻ってまたソファーに寝転がった。
「でも、おかしな手紙だな?・・・送り主の名前も書いてない。」
そこでふと思い出した。
「あれ?・・・・この貸出期間は・・・ちょうどかみさんと子供・・・実家に帰省してるときじゃないか?」
かみさんは内藤にも「一緒に来い」と言っていたが・・・・かみさんの実家の両親に嫌われていると思い込んでいる内藤は、「仕事がある」と断った。
断ってその期間・・・・のんびり家で過ごすことにしよう・・・そう考えていたのである。
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