ジャングル・ナイト・クルーズ

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ナイトサファリ

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｢今週の金曜日…うちの支店長が参ります｡｣

あるﾒｰｶｰの営業ﾏﾝが午前中にやってきて､私にそう告げた｡

それがどうした？

｢俺､その日から出張なんだよ｡｣

私は金曜日から｢台湾旅行｣なのだから､会うことができない｡

遊びに行く…とは言いにくいから､｢出張｣と言ったのだが､同業者同士のお付き合いなのだから､半分以上仕事なのだ｡

それでも､この営業ﾏﾝはくいさがる｡

｢うちの支店長がせっかくいらっしゃるんで､社長…何とかなりませんか？｣

この営業ﾏﾝはおかしい｡

今回の私は､商社の社長として対応している｡

私は､このﾒｰｶｰから商品を仕入れている､いわば｢お客様｣のはずである｡

しかし､この営業ﾏﾝにとっては､｢うちの商品をﾅｲﾄに売ってやってる｡｣という感覚らしい｡

言葉づかいは丁寧なのだが…｢うちの商品を卸してやってるのに､なんで仙台からわざわざいらっしゃる支店長様に､お前ごときが会わないのだ？｣…そう言ってる様に聞こえる｡

この営業ﾏﾝは､去年初めてうちの担当者になったのだが､まだ入社2年目の新人で…どうやら｢客より上司が偉い｡｣という考えのようだ｡

たしかに大手上場企業のﾒｰｶｰだから､地方の零細商社のひとつやふたつ…取引しなくても良いと思っているのかもしれないが…

私は支店長の用事が何かを知っている｡

毎年の事なのだ｡

｢年始の挨拶｣だけなのだ｡

この営業ﾏﾝは､その事をわかっているはずなのに…

｢俺はいないけど…常務はいるから良いだろ？｣

｢はあ…｣

不服そうな顔をした｡
｢急ぐ用事でなければ､来月12日に仙台に行くから､12日か13日に支店に行くよ｡｣

｢どちらの何時ですか？…支店長の予定に入れておきますんで…｣

最後の最後まで腹のたつことを…

16日のｱﾎﾟｲﾝﾄﾒﾝﾄを13日に取りにきた営業ﾏﾝと､1ヶ月先のｱﾎﾟｲﾝﾄﾒﾝﾄを取る私…

大手のｴｺﾞを感じる｡

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