「結婚しない鉄道員」(43)では、水木茂先生がお亡くなりになるという驚くべきことが起こりましたが、ホントにこの章には「目玉のオヤジ」が登場することになっていたんです。
「目玉のオヤジ」の出身地ですが、「ゲゲゲの鬼太郎」の何巻目かに・・・「目玉のオヤジは恐山で生まれた」というようなことが描かれてたんですよね。
そこで・・・この物語を書き始めたような部分もあって・・・・ま、続きを読んでください。
「結婚しない鉄道員」(仮題44)
本堂の玄関わきに、目玉に手足を付けたようなものが動き回っている。・・・・
読者の皆さんなら・・・「ははあ・・・目玉のオヤジだな?」って思うかもしれないが、残念ながら竹夫は遠い未来からやってきた未来人だった。
これが「目玉のオヤジ」という妖怪だという事も全く知らない。
「な、なんなんですかあれは!!!」
「なんなんですかって?・・・目玉のオヤジでしょうが。」
花子に言われた。
このとき・・・竹夫は、この半島に住む人たちが特殊な人たちではないかと思った。
妖怪が不思議なものだという感覚がない・・・・そんな気がした。
先日のスナックYOUでの歓迎会のとき・・・・駅員の一人が完全に酔っぱらって眠り込んだとき・・・
「こんなとこで寝だら風邪ひぐど・・・死んでまうど」
皆で起こしにかかったのだが、もうグダグダで起こすのもままならない。
その時ママさんがこんな話をした。
「いいんだいいんだ・・・死んでもお山さ行ぐだげだして飲みてぇと思ったら帰ってくればいいして。・・・」
この半島の住人は、「死ねばお山さ行く」ものだと、真剣に思っている節があった。
自分が死ぬことは確かに怖い・・・・しかし、死んでもこの近くの恐山に霊魂は行くだけ・・・そう思っているようだ。
したがって、少々の不思議な出来事は受け入れるようなところがあるような気がする。
この長丸花子にしたって・・・・目玉が単独で動き回ることを、そんなに不思議には思っていないような・・・・・
そう思われていることを感じたのか?・・・花子は言い訳をしだした。
「いや、あたしだって目玉のオヤジは初めて見たさ。・・・こんな不思議な生き物がいるなんて信じてないけどね・・・」
ここで花子の言葉は途切れたが・・・・竹夫にはその続きが聞こえるようだった。
「だけど実際に目の前に出てきたんだし、ここにはいてもおかしくないからね。」
確実にそう言っているようだった。
「あ、南森さんがごちゃごちゃ言ってる間に消えちゃったじゃない。」
竹夫は何も言っていなかったが・・・・目玉のオヤジはいつの間にか消えていた。
竹夫たちはその目玉のオヤジを探しながら、本堂の中も探ってみた。
本堂といっても、ご本尊様のお地蔵様は「地蔵堂」の方に祭られていて、ここは普通のお寺のような感じだったが、中にはたくさんのガラスケースに入った「花嫁人形」が飾られていた。
なんでも太平洋戦争の時に出征した兵士の中で、独身のまま戦死された方に花嫁を・・・・という事でまつられているらしい。
「この花嫁人形の中には、時々髪の毛が伸びる人形もあるんだってね?」
「そうそう・・・はっこ、ほら、あの人形も・・・・髪の毛が伸びてるとは言わないけど・・・髪型が乱れてない?」
「あ、ホントだ。」
いつも冷静なKさんや、花子さんたちでも、こんな話が好きなんだなあ・・・竹夫はそう思った。
髪の毛が乱れているのは、移動するときにどこかにぶつかって髪型が少し崩れただけ・・・そう考えるのが普通だと思うが・・・・
「そういえば・・・ここに昔おいてあった和尚さんが座る朱色の椅子・・・・毎年、足が伸びてガタガタするんだって。・・・毎年直して切るんだけど、翌年にはまたガタガタになってる・・・・脚が伸びてるのかな?」
脚が伸びるという事は・・・漆塗りの朱色も一緒に伸びてるってことだぞ?
あり得ない話でもこの女性たちは、信じているような節があった。
「Kさん、花子さん・・・・さきに進みませんか?」
女性たちは何かぶつぶつ言っていたが・・・・さきに進む。
境内にはあちこち、風車がお供えしてある。
「おさなくして亡くなった子供たちの霊を慰めるためにお供えするんだよ。」
今度はKさんがボソッと話した。
地蔵堂に着いた。
たくさんのお地蔵様がまつられていると聞いたが、外からはご本尊のお地蔵様しか見えないらしい。
地蔵堂から左手に回ると・・・・「地獄めぐり」があった。
「さあ・・・ここからよ。」
どうやら敵の基地らしきものはこの先のどこかにあるらしい。
竹夫は改めて緊張してきた。
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