神様より偉いのか?
CFEの総帥って何者?
ちょっと無理があるのかな・・・
「結婚しない鉄道員」(105)
富士の樹海の入り口に立つ尽くす竹夫・・・
しかしいつまで待っても来るはずの「CFE総帥」はやってこなかった。
そのうち道路を通りすぎる車からは、実に怪しすぎる竹夫を交番に届け出る者が出て来たようである。
ミニパトに乗った警察官が近づいてきて「何してんの?」・・・声をかけて来たのである。
そりゃそうだ・・・富士の樹海といえば自殺の名所・・・
こんなところに一人で立っていれば、自殺願望があると思われてもしょうがない。
「イ、いや・・・ちょっと待ち合わせを・・・」するような場所ではないのだが、答えようもなく、汗がじっとりとにじんできた。
このままでは交番に連れて行かれそうだった。
その時である。
うっそうと生い茂る樹海の木々の間から、麦わら帽子に野良着・・・口の周りには泥棒ひげ・・・まるであのお菓子のキャラクター「カー〇おじさん」にそっくりな中年男性が現れたのである。
すると今まで厳しい顔で竹夫を問い詰めていた警察官が、一瞬の間に顔をやわらげてそのカー〇おじさんに挨拶をした。
「あ、総帥さん・・・こんにちは。」
総帥さん?
この人が、竹夫の待っていた「総帥」?
鈴木社長は、総帥が中南米出身だと言っていたが・・・その中年男性は色白で普通の・・・そう、普通の日本人のように見えた。
「いやあ、お巡りさん・・・今日はいい天気だねえ・・・」
その男性はそう言うとそこに腰かけた。
腰かけた。?
そう、腰掛ける姿をすると・・・いつのまにか木の切り株がそこに出現したのである。
そんな物は元々そこにあったのだろうか?
いや・・・竹夫はずっとここに立っていたのだが、木の切り株なんてどこにもなかった。
それにこの樹海に・・・木の伐採など許されているのだろうか?
「総帥さん、この男は知り合いかね?」
警察官がそう尋ねると、おじさんはどこから取り出したのか・・・そしていつの間に火をつけたのか、キセルたばこをくゆらせながら、コクンと頷いたのである。
「ああ、それならいいんだ。変な男が樹海の入り口でウロウロしていて怪しいっていう通報があったんでね。・・・総帥さんの知り合いならいいんだ。」
警察官はそう言うと、さっさとミニパトに乗り込み・・・帰って行ったのである。
樹海の中から突然現れた中年の・・・何とも普通の男を怪しみもせず、警察官は帰った。
竹夫は不思議な光景を見た気がした。
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