私が一人暮らしになったこと・・・皆さんに大変ご心配おかけしてます。
カミさんは他の男のもとに行ったんです。・・・札幌の次男坊のアパートへ・・・
ご存知のように、次男坊は大学の夏休み・・・「期間が短いから」と言って、「お盆」にも「田名部祭り」にも帰ってきませんでした。
しかも・・・カミさんがいうには「あいつ、ご飯もまともに食べてないから痩せちゃって・・・」と、要らぬ心配をかけているのです。
だから札幌の息子のもとへ・・・
私もご飯食べなくて痩せたら、心配してくれるかな?
あ、だめか・・・私がご飯を食べないわけがない・・・って思ってるもんな。
それに、血のつながりがあるのは次男坊の方・・・心配なわけだ。
長男?・・・長男はとっくに私の実家で一人暮らし。
昨日も「一緒にご飯食べようよ。」って言ったら、「友達と飲む約束がある。」って・・・
やっぱりさみしいです。
「魔法の木」その61
ザウラブダグ城の中央広場に到着すると、例の妖怪と老人はテーブルの上に固定されたまま寝ていました。
サキの言う通り、水滴は顔の寸前で消滅していて濡れてもいません。
それを見たノブは少し安心して、翌朝まで透明になった「緑」を「魔法の木」の根元によこたえ、「魔法の木」に「緑」の記憶が戻るよう願いました。
このまま「願い続け」、明日「緑」が魔法使いとして復活できれば、そのままこの城を攻撃して姫を助けるつもりでした。
他のみんなは、それぞれの割り当てられた現場に様子を見に行きました。
モルトスは地下の牢獄に様子を見に行き、そこに「蟻の女王」、「蜂の女王」・・・そして「ホッキョクグマ」が投獄されているのを確認してきました。
さすがに「カブトムシの王子」が逃げ出したあとですから、警備は厳重を極めていました。
そして「カラバ公爵の森」から連れてきた虫たちは、女王様たち以外の仲間の虫を探すため、城内のあちこちを探し回ります。
お城の外であれだけ探したのに見つからないということは、奴隷のようにされている虫たちの住居も、きっとこのザウラブダグ城の中にあるに違いありません。
そしてとうとう、その虫たちの「奴隷小屋」も見つけ出すことができたのです。
もうひとつ朗報がありました。
実は、城の外に逃げ切れないと悟った「カブトムシの王子」もここにいたのです。
「カブトムシの王子」はきっと外に逃げ出したと思っている妖怪たちは、この奴隷小屋の中まで探さなかったのです。
ピンクはお姫様が閉じ込められているお城の最上階の塔の様子を見に行きます。
ここも警備が厳重になっていました。
しかし、ピンクはノブがやったように空中を飛び、窓の鉄格子の隙間から塔の中に入りました。
姿を消したままだと疲労が蓄積しますが、塔の中なら、今のこの真っ暗になった深夜、誰に見られることもないから、比較的楽に見張れます。
どちらにしても行動を起こすのは明日の朝です。
疲労の蓄積は避けなければなりません。
塔の中で姿を現したまま、明日の日の出を迎えるつもりです。
もちろん塔の中は夜で、人形しかいませんから「明かり」ひとつ点いていませんので、窓際に身を潜めれば階段下の警備室からは気付かれずに見張る事ができます。
「でも、緑の記憶は戻るのかしら・・・・・」
ピンクは気が気ではありませんでした。
「緑ってだあれ?」
突然、誰かの声が「ピンク」の頭の中の飛び込んできました。
「だれ?」
「ピンク」は緊張しました。
「あなたはこの部屋がどんな部屋なのか知ってて来たんでしょ?」
「ここは、人形になったお姫様が幽閉されている塔の中よ・・・・だから、誰もいないはずなの・・・・でもあなたの声がする・・・・・・」
「誰もいない・・・・・そう誰もいないわ・・・・だから私も何百年ぶりに話しかけてみたんだけど・・・・」
「ほんとに、あなた誰なの?」
「ピンク」はそう訊ねながらも辺りを油断なく見回しました。
そして、片袖机の上に、「お姫様の人形」を発見したのです。
「あなたなの?・・・あなたがその・・・・お姫様の人形なの?」
「ピンク」はその人形に向かって話しかけたのです。
「そうよ・・・わたしはザウラブダグに誘拐されるとき人形にされたの・・・」
「あなた・・・お話しができるの?」
「今までは誰とも話さなかったわ・・・だってみんなザウラブダグの手下なんだもの・・・でもあなたはなんとなく違う気がする・・・だから話しかけてみたんだけど・・・・」
これはすぐにでも「ノブ」に報告しなければならないことだけど、いまは「緑」の記憶を取り戻すために一生懸命お祈りをしているはず・・・・・報告は朝まで待つことにして、「ピンク」は「お姫様」と話しを続けたのです。
つづく
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