さて、「定期演奏会」の「夢」・・・・・書いたのはその当時の状況説明でしたから、「夢」の部分はありませんでした。・・・・・これからぼちぼち「夢」を見ます。
それは演奏会の前に行われる、ゲネ・プロ、総練習のスタートでした。
緞帳の前に部員が並び、立ち位置チェックをしてから「オープニング曲」が始まり、前奏の途中から緞帳が上がります。
オープニングですから、私もバスのパートに立ち、出だしの合図をピアノ伴奏者に出しますと前奏が始まりまして、緞帳が上がりました。
オープニング曲が終わる時、私がちょっと前に出て、部員に曲を止める合図をするんですが、ちょっとばたつくんですよね。
そしたら、客席から声がかかりました。
「ナイト、指揮者が止めないでなにしてるんだ!」
まだ本番前ですから1500人収容の客席には、誰もいないはずなんですけど、その時、客席の中心に、「怖いOB会」の先輩たちが、大勢、コッチを睨んでるんですよね・・・・・
今年卒業した、浅利さんや後藤さん・・・そのほかの先輩たち・・・・そしてそれ以前に卒業した顔も知らないような先輩たちが・・・・大勢睨んでました。
「すんません、やり直しします」
緞帳を下げ、もう一度やり直し・・・・・・
スタートはいいんですが、終わりになると、うまく納まらないんです。
「ナイト君の指揮が、真横だから、よくみえない!」
部員の女の子から苦情が来ました。
「ナイト、お前もっと舞台の前のほうに来て指揮しろ!」
3回目・・・・・今度は、うまく納まった・・・・・つもりで客席の先輩たちを見たら・・・・・まだ怒ってるんですよね。
「お前の足音が会場いっぱい響いてるんだよ!」
「ナイト君、応援団の歩き方やめて!・・・だから足音が聞こえるのよ」
応援団の歩き方って言われても・・・・・ふつうに歩いてるつもりだったんですけど・・・
もう一度やってみましたが、やはり足音が入るそうで・・・・・
その時、「伝説の大先輩」、白崎先輩が浅利先輩に耳打ちしてるのが見えました。
「白崎先輩がお前に、舞台から降りて客席から指揮しろと、おっしゃっておられる!」
伝説の大先輩ですから、他の先輩たちの口調も敬語になっておられました。
もちろん、わたしが逆らうわけには行きません・・・舞台から降りましたら、今度はピアノが見えませんから、伴奏者に合図ができません。
「どうしましょうか?」
佐藤先輩が、「チェ」と舌打ちしたのが聞こえました。
それでようやくオープニングの曲が終わりました・・・・・ところが・・・・・
「白崎先輩は、お前が客席に立って指揮をしているのは目障りだから、いい方法があるからそうせいとおっしゃっておられる」
先輩たちは立ち上がって、部長の山本先輩を呼びました。
「おい!」・・・・部長は男子部員を全員集合させ緞帳の裏に「足場」をこしらえ、私にそこから指揮しろというのです。
曲が始まれば、緞帳といっしょに私は上へとあがります。
曲の終わりは、部員が視線だけ上にして、私の合図で終わるという風に決まりました。
曲が終わると、私は天井の通路を伝わって、下へ降りるということなんですけど、「それだと時間がかかるなあ・・・」という声が先輩たちから出て、困った部長が・・・・・・・
「ナイトにパラシュートをつけさせ、降りてもらいますから・・・・ナイト、わかったな!」
私のオープニングの格好は、「物凄い物」になりました。
白いブレザーで蝶ネクタイ・・・・・パラシュートをつけたまんま緞帳の裏に固定され、曲が終わるとパラシュートで飛び降りる。
先輩の命令ですから断るわけにもいかず・・・・そうしました。
「降りた後どうやって舞台から下がればいいんだろう?」
そんなことも考えましたが、とにかくやらなければ、前に進まないのです。
パラシュートで降りるとき、何でか、顔が客席のほうを向きました。
私は何気なく、客席に手をふって着地しましたら・・・・・・白崎先輩がなにやら、また耳打ち!
「またやり直しかよう・・・・!」
そしたら浅利先輩が
「今のお前の演出、白崎先輩には誠にご満足のようであらせられる。そのままの演出でするようにとのお達しだ!ついては着地したあとも、ニコやかに手をふって舞台下手に下がるように!パラシュートを手にもってだぞ!!!」
オープニングは終わりました。
次の曲は、ロシア民謡曲集・・・・3曲目に私のソロの歌が入ってました。
もともとは私もその場で歌ってるんですが、先輩方の「ご指示」で一曲目、二曲目は舞台に出るな・・・って言われましてねえ・・・・
3曲目・・・・いよいよソロで歌いますから舞台袖から、歩いて登場し、舞台上手の前のほうに立ちました。
その時、また「神の声」です。
「歩いて戻ったんだから、今度は違う方法で登場した方がいいなあ!」
ちょうどその時、私は靴紐がほどけていて、カタヒザをついて直してたんですよ。
「それだ、ナイト!」
神様から直接「お言葉」を賜りました。
舞台中央に「セリ」があって、それに乗って舞台の奈落から登場!!!
その時、カタヒザをついて両手を床につけ下を向いてあがってきて・・・・ピンスポットが当たったら、両手を広げて立ち上がり「ソロ」の位置まで移動しろと、おっしゃるのです。
そう、一時代を築いた、かの「三波春夫」大先生のように・・・・・・・3度ほど練習させられ、これもクリアーしました。
休憩を挟んで第二部は「副指揮者」、つまり私が指揮をすることになってました。
「ミュージカルメドレー」・・・・「ウエストサイド物語」の「トゥ・ナイト」「アメリカ」、「サウンド・オブ・ミュージック」からは、「エーデルワイス」と「全ての山に登れ」に「ドレミの歌」・・・「南太平洋」からは「バリ・ハイ」、最後は「ショウ・ボート」から「オールマン・リバー」・・・・本番では長すぎたんでこの中から抜粋しましたが、さすがに「夢」ですねえ・・・全部演奏しました。
このとき服装は、フリーにしてましたから、私は指揮者ですが、ジーンズにスニーカー、上は青と白のストライブのボタンダウンを着ていました。
このとき既に、「神様」は直接私に「ご指示」くださるようになってまして・・・・・
「ナイト!今までせっかく入場が面白いものになってるから、ここでもふつうに出てくるな!」とおっしゃられるんですよねえ。
「マア、そんなに面白くなくていいから、そうだな、ウエスト・サイドから入るから・・・・・クールの指をパッチンパッチン鳴らして来るとこを入れよう!」
そんな曲は練習してないというと、伴奏だけでいいから・・・・とおっしゃられて・・・・・
私一人では格好がつかないから・・・・二年生全員でやるようにというお達し!
「お前がよけいなことをするからだぞ!」
同級生の苦情を聞かせられながら、「スマン」と謝りながら、6人でやりましたよ。
そのあと、まるでダンスなんかやったことのない部員一同が、ミュージカルの振り付けをされ、その場で踊りも覚えさせられましたねえ。全ての曲に・・・・・・
最後に第3部・・・・・今度はまた白いブレザーに戻り、合唱組曲「蔵王」ですが、これは「正指揮者」の佐藤先輩の曲ですから、私は自分の分が終わってほっとしてました。
最後の曲が終わり、アンコールの前に緞帳がしまりました。
そこで、最後の「神の声」!!!!
「ナイトはどこにいった?、最後は歌舞伎でやる宙乗り?・・・アレやって終わろう!」
いやおうなく、部員や、先輩にロープをつけさせられ、宙乗り!!
「助けてくれ~~~~!!!!」で、目が覚めました。
そしてその日、本当の総練習・・・・・・
オープニングの曲が始まり、緞帳が上がると・・・・・・・・・
そこには「怖いOB会」の白崎先輩、浅利先輩・・・・・そのほかたくさんの先輩の姿が・・・・
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