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明日からすべての会社が「正月休み」に入ります。

いつもの年なら、商社部門も「集金業務」がありますから、31日まで出勤するんですが、今年の12月3日は土曜日ですから、それもありません。

でも、年明けの仕事始めは「1月4日」から・・・皆さん、来年もよろしく。


「13.トンネル越冬隊」

佐々木副所長からの電話が終わると、テレビを見ていた第2トンネルの桜田さんが「ワア、すげぇ!」と叫びました。


「テレビのニュースで、青森の積雪の話ししてるんですよ・・・見てください」


テレビでは、大きなタイヤショベルが、国道4号線の除雪をしている映像でしたが、まだ暗いうちからの撮影で、国道脇にはかなりの雪が積み上げられていました。


「おいおい、この前ふもとへ降りたときには、なんもなかったのになあ・・・」


私は椅子に腰掛けながらその映像を見入ってしまいました。


国道脇には人間の背丈の以上はありましたから2メートルくらい積み上げられていたのでしょうか・・・・


一日の降雪量としては異常な高さです。


「青森の雪ってすごいですねえ・・・」


今年初めて青森に赴任してきたという桜田さんは驚いた様子でしたが、


「イヤ、一日でこんなに降ることなんかないよ・・・それに、ふもとでこれだけ積もってるのに、なんでここがこんなに少ないんだ?」


私も桜田さんも、頭を捻るばかりでした。


優秀な大学を卒業したであろう桜田さんは、その頭脳をフル回転させ、論理的な説明をしようと心がけているようでしたが、なかなか回答が出てきませんでした。


「ここは、ちょっとした谷あいになってますからねえ・・・それで雪が積もらなかっただけかもしれませんねえ」


確かに谷あいだったとしても、今積もっている雪の量を見て20センチもありません。


しかも、天候は春を思わせるような晴天です。


「ここからふもとまで30分の距離だけどなあ・・・・局地的に降ったとしても、量が違いすぎるよなあ」


「うちの現場でも心配して電話が入ってるかもしれません・・・私帰りますから」


桜田さんは「ごちそう様」と言って自分の現場に帰ろうとしました。


「アア、また来てくださいよ・・・今度はうまい雑煮でも用意してますから」


「アア、また来ます・・・連絡してくださいね・・・・じゃあ」


桜田さんは、人なつっこそうな笑顔を残し、玄関を出て行きました。


それは一瞬のためらいでした。


ちょうどお昼だなあ・・・昼飯も一緒に食わないかなあ・・・・


そう思った私は、すぐに桜田さんを追いかけました。


しかし、彼はもうかなり向こうまで歩いていて・・・・声をかけたのですが聞こえないようでした。


「ずいぶん足が速いなあ・・」


そう思って事務所に戻りドアを閉めてから、私はあることに気づきました。


ここから、隣の第2トンネルの事務所までは雪の無い道路でも、車で20分はかかります。


ましてや、いまは20センチの積雪があり、歩いたら何時間かかるかわかりません。


信じられないことですが、私はすぐにジープに飛び乗り彼の後を追いかけていました。


この怖がりの私が・・・・得体の知れないもののあとを追いかけている・・・・


不思議なことがあまりにも多すぎて、感覚が麻痺してきていたのでしょうか?


「もしかしたら、あのカーブを曲がったところで車が動かなくなり、そこから歩いてきたのかもしれない・・・」


そんな風に思いたい自分がいました。


そのカーブを曲がれば、狭い道路をすれ違うために拡幅された場所があります。


その地点に着くと、・・・・・・


ありました・・・・車をまわし、第2トンネルまで帰った車の轍が残されていたのです。


ほっとした瞬間・・・私は体中の力が抜けていく感覚に襲われました。


何分そこに留まっていたでしょうか・・・・


ようやくの思いで車を回し、私は現場事務所への帰路につきました。


まもなく事務所に到着しようかと思ったとき、私はまた凍りつくような思いをしたのです。


事務所がそこに見えてきたときのことですが、ふと台所の当たりに目をやると、 あの「犬」がこちらをにらんで立っていました。


さっき朝食を作っていて失敗した、真っ黒になった「ベーコンエッグ」を食べているようでした。


こちらを警戒しながら、ベーコンエッグを食べるさまは、普通の犬や、狸、狐と変わりありません。


それにトンネルの中で見たときは、体格も大きく威風堂々としているように見えたのですが、この昼の明かりの中で見ると、本当は小さく、おどおどとした様子でした。


「トンネルの中では、逃げ場がないから警戒のために虚勢を張って威風堂々に見えたんだろうな・・・きっと俺が怖がってたからだ・・・」


姿が見えなくなったときも、私が一瞬視線を外した瞬間でしたから、その時にどこかに隠れたのでしょう。


なんとなくそう思えてきた私は、車をおり、食堂に行って冷蔵庫から「ウィンナーソーセージ」を3本取り出し、まだ目玉焼きの残骸を食べていた犬に、窓を少しだけ開け、放り投げてやりました。


「俺、この犬を餌付けしてやろうかな・・・・・」


そんなことを考えていたのです。






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Last updated  2016.12.29 23:00:04
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