「子供のあなたに何をさせようって言うんですか?」
「藤吉郎」は「桃太郎」の言葉に口を挟みました。
「鬼の一族と人間とが共存できる方法を探ってくれって言う事なんですけどね・・・・・子供だった私には荷が重い話なんです。・・・・・具体的には海賊や山賊に襲われたとき、人間に守ってもらいたいって言うことを・・・私から話してほしいということだったらしいんですけど・・・・当時の人間は人相だけを見て鬼の一族は恐ろしい物の怪だと思っていましたからね・・・・そんなに簡単にはいかないんですよ。」
「でしょうねえ・・・わしなんかは、絵本の鬼の姿を見ただけで恐ろしいと思いますからね。」
「私がもし、人間の代表に会うことができたとしても・・・・鬼は弱いものですから海賊たちから守ってやってください・・・そう言っても誰も信じないと思うんですよ。」
「そうでしょうねえ・・・・それでどうしたんですか?」
「そのまま本当に鬼が弱いと思われても・・・・言葉がしゃべれるだけ人間に便利に使われるような気がするし・・・・私はしばらく考えたんです。」
「そっか・・・・人間の奴隷にされかねないもんな」
「そこで、桃太郎の伝説を作ろう・・・そう思い立ったんです。」
「桃太郎の伝説?」
「そう・・・皆さんが絵本なんかで覚えている鬼退治の話ですよ」
「村を襲ったりしている鬼ヶ島の鬼を、桃太郎が犬・猿・雉のお供と一緒にやっつけるっていう話ですか?」
「そうなんです・・・・鬼ヶ島の鬼をやっつけるのはあくまでもスーパースターの桃太郎で・・・桃太郎だからこそ鬼ヶ言う事を聞く・・・というイメージを人間に植え付けたんです。」
「するとどうなるんですか?」
「鬼ヶ島は桃太郎のものになったというイメージと、鬼たちが桃太郎の家来になったというイメージがつくんです。・・・そうすると、強い桃太郎がいるならという事で、今までのように海賊たちが鬼ヶ島をおいそれと襲えなくなるんですよ。・・・桃太郎の報復が恐くってね・・・・それと、鬼たちがもし暴れても、桃太郎がついているなら大丈夫と・・・・普通の人間たちは思うはずなんです。」
「そんなにうまくいくんですか?」
「それが思った以上に効果がありましてね・・・・・強い鬼を桃太郎が押さえつけている・・・っていう噂がどっと広がったんですよ」
「それからどうしたんですか?」
「お供の三匹のうち誰か一人は鬼ヶ島に必ず残るようにして・・・鬼ヶ島を守り・・・私は金の鉱脈から金を運び出して・・・こちらにか工場を作りました。・・・・金に付加価値をつけ・・・それを人間に売るようにして・・・鬼たちが喰っていけるように教育したんです。」
「それで秘書課長さんたちのご先祖様を一緒に連れてきたんですね?」
「はじめは鬼一族の手に職をつけるために”金細工”をさせていたんですが・・・・そのうち桃太郎伝説とあいまって人気が出てきましてね・・・・私独りでは宣伝や営業に手が回らなくなりました。」
「それで、鬼の一族に宣伝や営業をやらせてみたんですね?」
「根がまじめな一族ですからね・・・・そのうちそれがうまく回り始めまして・・・会社はどんどん成長していったんです。」
「そりゃ良かった」
「商売熱心にやってくれましたからどんどん会社が大きくなってきたんですが・・・中にはついていけなくなるものも出てきました。・・・何しろ海千山千の人間相手ですから・・・厳しい商売についていけないものも出てきたんです。」
「そりゃあ大変ですねえ・・・」
「強くなった鬼たちは角が落ちてしまいますから、すぐにわかります・・・角が落ちない鬼たち・・・これが問題でしてね・・・・つまり優しすぎて商売の厳しさについていけないんですよ」
「アア・・・それでレジャー産業進出したわけですね」
「そうなんです・・・商売に向かないものたちを鬼ヶ島に戻しまして、レジャー産業のほうに向かわせたんです。・・・タレントとしてね。」
「金鉱石を掘る係りも必要ですしね・・・・」
「そうなんですよ・・・仕事はいくらでもあるんです。」
「それで観光会社も作り、客を鬼ヶ島に送り込んで・・・桃太郎体験とか金鉱掘りとか体験させたり・・・・そんなツアーを作ったんですね。」
「そこまでやったからには、今度は鉄道会社でした。」
「それがこの桃太郎電鉄ですか」
「そうなんですよ・・・・・鬼一族は、さっきも言ったようにまじめな人々です。・・営業や宣伝は向かなくても、鉄道の保線作業・・・それに改札の係りなどをやらせると、一生懸命やってくれます。」
「なるほど」
「ですからどの部門も順風満帆でした・・・・ところが・・・」
おっと・・・・つづく
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