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すでに8年目。いまだに脳裏に焼きついているあの青い空の中を貫いてくる機体・・・ 11'09''01/セプテンバー11 2005年 フランス 監督 サミラ・マフマルバフ 、ケン・ローチ、 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、今村昌平ほか 感想 ↓ 9月11日にちなんだ、古今東西の11人の監督による、各編11分ほどのオムニバス映画。 実話をベースにしたものもあり、作り話も。 あの青い空の下で起こった、忘れ難い出来事への悲しみの想いは一貫しているが 背景にあるアメリカ社会に対する、風刺的な問いかけをも感じられるものもあり そこは、創り手がアメリカ人だけではないという事に、いやおうなしに気付く。 それぞれの思いは短い中にも凝縮されていて、改めて911事件が私たちに 後世まで問いかけていることを感じぜずにはいられない。 個人的には、イリャニトウ監督の1本に衝撃を受けた。 音、音、音、とにかく音。たくさんの映像を見せられるより、響きすぎる危機感を感じた。 これほどまでに耳ではなく、心が痛ましく感じるとは・・ ミーラ・ナーイル監督(多分)の真実を元にして創られた1本は、ポロリと~ 涙なくしては観られなかった。母親の問いかけが素晴らしい。 彼女の台詞を聞き逃しなく。 大人による浪費、結局大人が始める戦争を皮肉った、チビッコ捕り物話的な ブルキナファソのエピソードはややコミカルタッチながら、迫ってくるものがあります。 もちろん・・・日本版、締めに相応しいメッセージ性でしたよ。 Nobubu的心を射られた度(5弓満点中)
2009.09.11
脂っこいです。色々な意味で。扱っているものが石油ですから~あたりまえか・・・ 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 2007年 アメリカ 監督 ポール・トーマス・アンダーソン 出演 ダニエル・デイ=ルイスほか あらすじ ↓ 石油ブームに沸く20世紀初頭のカリフォルニア。 鉱山労働者のプレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)は、石油が沸く源泉があるという 情報を耳にする。息子(ディロン・フリーシャー)とともに石油採掘事業に乗り出した プレインビューは、異様なまでの欲望で富と権力を手にしていく・・・・ 感想 ↓ 映画が始まってすぐは、ダニエル氏が過去に見事な演技を披露した「マイ・レフトフット」を 思い起こさせる?かのような雰囲気でしたが・・ ストーリーが地味に続いていく中で、血のつながり・家族の絆とは? その部分を 強く考えさせられます。 ダニエルは、石油を掘り続けていくうちに 人間の心の深いところまで 掘り下げてしまったのでしょうか・・ 彼にとって確かなものは、体の中に流れている血よりも、 人間の身体、五臓六腑にまでまとわりついて身動き出来なくさせてしまうほどの 富の象徴の石油。 しかし、人間は血がなくては生きていけない(家族愛でいうところの絆) 己の血が子孫に受け継がれ、新しい何かを育み続ける、その過程の中では 人間を 赦し愛するという作業も必要になるけれど・・・ ダニエルにとっては、血は罪を清めることだけに必要な液体であり、 絆を生むものではなかったようです。 憎しみの中にいる人間は、相手の憎悪を掘り当てる術をも持っているのか・・ はたまた増幅させてしまう力を持っているのか~ イカれた宗教の教祖(偽善者)もダニエルも所詮、同類に思えました。 ダニエルの彼に対する憎しみは、彼は自分を映す鏡ともといえるからかも知れません。 あなたは、どちらを選びますかね、憎しみの中に身をおくか・・赦しのある世界を見出すか? それが石油と血なのかもしれません。 以下ネタバレ ↓ ダニエルの息子が事故により聴力を失ってしまったのは、ある意味啓示だったのかも しれません。親父の口八丁を聞かずにすむから。 ダニエルが家族をダシにして商売をする連中を嫌ったのは、 本当は絆を渇望していたからかもしれないですね・・・ 弟になりすました男は結局は、弟を殺したのだと私は思いました。 しっかし~ オイリーな内容だわ・・・
2009.03.01
謎多き苦い人生・・翻弄される家族はたまったもんではありませんね・・・ 「グッド・シェパード」 2006年 アメリカ 監督 ロバート・デ・ニーロ 出演 マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリーほか あらすじ ↓ CIAの誕生をめぐり、1人の男が運命に翻弄(ほんろう)されていく様を描いた壮大な人間ドラマ。 1961年4月17日、キューバのカストロ政権転覆を狙った上陸作戦がCIA内部の情報漏れに より失敗し、CIAは窮地に立たされるが・・ 感想 ↓ マット・デイモンが老け下手な事を除けば 深みがあり、ずっしりとしたなかなかの良作だと思います。 同じCIAの諜報員に扮したボーンシリーズとは全く違った捉え方のCIAものです。 しかし 共通しているのは~孤独でしょうか・・究極な孤独。 巻き込まれた家族の絆のひずみを感じ、アンジーの疲れきった老け上手ぶりを気の毒に感じ・・・ 愛情と責任を天秤にかければ・・必ずしもフラットにならないということを痛感します。 仕事に生きる男の悲しくも哀れな姿、そういう男性と一緒に生きる女の苦悩が ただただ痛いです。 女性としては責任よりも永遠の恋人でいたいかな~ この映画をみると強くそんなことを感じます。 個人的には好きです。こういう作風。デニーロらしい渋い映画なのではないでしょうか~
2009.02.16
本日も映画館へ行ってきました 週2回も映画館で愛する映画を見られるのは、本当に幸せ! ちなみに私は2回ですが、マシューは今週3回も映画館に足を運びました。 「チェ 39歳 別れの手紙」 2008年 フランス/スペイン 公開中 監督 スティーヴン・ソダーバーグ 出演 ベニチオ・デル・トロほか あらすじ ↓ 革命の英雄、チェ・ゲバラを描いた歴史ドラマ2部作の後編で キューバ革命後もなお世界の革命を指導することに 闘志を燃やすチェ・ゲバラの死までを衝撃的に描く。 感想 ↓ 「チェ28歳の革命」を見たので、やはり続きも見ないとねぇ~ という事で本日マシューと共に鑑賞。 愛する家族を残し、深くシビアな森へと突き進むゲバラ。 彼をそこまでさせたものは、一体何だったのだろう? 病んだ人や怪我をした子どもたちを治療する姿を見ていたら・・・ 若き日、ハンセン氏病で病んでいる人たちを目の当たりにし 思い悩みありったけの心を込めた治療を施す、若き日のゲバラの姿を 思い起こさせました。「モーターサイクル・ダイアリーズ」を参照してね。 彼はやはり 根本的には 革命家というより キュア(治療)を施す 医師でありヒーラーだったのでしょう。 ただ治療するだけではなく、東洋医学で言う所の元を断つ 病気の原因になるものを排除したい・・ 病んだ国の病巣を退治したかったのだろうな。 そんなことを強く感じました。 個人的には、パート1よりゲバラの人となりを強く感じられ 淡々と黙々と 仕事をこなしていく姿に 胸が熱くなりました。 しかしながら・・願わくば これほどまでの大志を持つ チェには 国境なき医師団 のような仕事に従事して いつまでも長生きしてもらいたかったな・・・・ タンタンモクモク(淡々で黙々)なので、DVD化されたら併せて鑑賞でも充分かも。 Nobubuの映画カウンター2009 1/1より今日まで36本
2009.02.14
生憎の雨、まぁ どっちみちヒッキー気味の私なので犬の散歩が億劫です。 雨だとどうしてもね~映画ですね、やっぱり。 「ニュースの天才」 2003年 アメリカ 監督 ビリー・レイ 脚本 ビリー・レイ「フライト・プラン」 出演 ヘイデン・クリステンセン、クロエ・セヴィニー、ピーター・サースガードほか あらすじ ↓ アメリカで実際に起きた、権威ある“THE NEW REPUBLIC”誌の記者による捏造事件を描いている。 THE NEW REPUBLIC誌編集部で最年少のスティーブン(ヘイデン・クリステンセン)は 次々と特ダネを発表。だがある日編集長のチャック(ピーター・サースガード)は彼の 書いた記事に疑問を感じ始める・・・・ 感想 ↓ 「フライト・プラン」で途中寝たもので、この脚本家は気になってはいたのに、ヘイデン君が 好きなのにもかかわらず・・抜け穴のごとく見忘れていた作品。 先日レビューした「アメリカを売った男」の監督も脚本もビリー・レイ氏なので これは、見なきゃいかんぞ~ 的に見てみました。 淡々としているのに、役者陣の力量とテーマの重要性に引っ張られて最後まで 夢中になってしまいました。 ヨレヨレになっていく天才を演じたヘイデン君の放つオーラは強力。 他への繊細な気遣い、自分のことをいたわってくれているかのような気持ちに させてしまうほどの天才の発する魅力は、いくつかのシーンで感じることが出来ます。 以前、なにかの特番で見ましたが、確かこの主人公は実際もイケメンだったような 記憶があります。 多くの同僚が彼の嘘を土壇場まで気づかなかったのは、天才のもつ天性の社交性と記事と同じく 他をひきつける魅力だったのかもしれません。 ピーター・サースガードの渋い演技に驚かされました。 天才記者に振り回された編集者たち、 最悪の最悪になるまで、なぜ、気づけなかったの? なんのために何重ものチェック係がいるのか? 天才だけを責められない、雑誌社の体制の悪さをも感じ、考えさせられました。 被害を受けるのは読者、感化されてしまうのも読者、情報操作が取り沙汰されている現代 真のジャーナリズムということを考えずにはいられません。 地味ですが、考えるところ色々ありな、役者は良しな、時間もちょうど良しな なかなかの力作です。 個人的には、ヘイデン君の底力を感じました。 オススメです。今ならGyaoで放送してますよ。
2008.12.09
ここ、数日間は良作映画に当たっている感じです。鼻が利いたのかも?ですね。 本日見た映画も、なかなか面白かったです。 タイトル、ちょっとふざけちゃいましたが、本当に困難ばかりの弁護士を トラボルタが好演していました。 「シビル・アクション」 1999年 アメリカ 監督 スティーヴン・ザイリアン 出演 ジョン・トラヴォルタ、ロバート・デュヴァルほか あらすじ ↓ 敏腕弁護士のジャンは、ある家族から持ち込まれた訴訟依頼を金にならないという 理由で一度は断るのだったが・・・ 執念の弁護士を演じるトラヴォルタの迫力に加え被告側弁護人を演じる ロバート・デュヴァルの老獪な名人芸も見逃せない一作。 感想 ↓ 民事裁判であり陪審員制度なので、中盤にやや判り難い部分がありました。 やはりこういう訴訟に慣れていない日本人なので、えっなんで?っていうのが 本音です。 映画では、裁判大国アメリカではお金がなければ結局 裁判を起こすどころか、勝訴を手に入れるということも非常に困難だ というところをはっきりと描き、そんなリスクを払って行った裁判でも結局は・・・ のような(ネタバレになるので書きませんが)皮肉めいた描き方もしています。 ロバート・デュバルの映画の中で描かれている人柄に、ムカツキを覚え 財産を全て捨て すっからかんになってしまった トラヴォルタご一行さんの 不運に悲しくなりながらも・・ 最初から最後まで飽きることなく引き付けられる内容と熟練した役者の演技は まさに・・お上手!!という感じです。 以下チョビットネタバレ ↓ 反転表示 突き進み過ぎてお金以外の大切なものまでをも失ってしまう・・ 主人公の姿勢には、少しだけ反感も覚えましたが、 主人公をあそこまでに追い立てたものは、 真に美しい水=真実だったように思えました。 物語の中で何度となく登場する水・・比喩的な使い方がお見事です。 個人的には映画の中では、この映画が描かれている時点では(現在ってこと) 一番辛いのは、汚染をしているのを判りながら、近所の被害者を持つ親を心から気の毒に 思いながらも、6人の子どもを養育するために仲間の冷たい視線を浴びながらも、 工場で働かなければならなかったあの男性では? 実話だということ・・工場でこういう想いで働いていた方たちの その後のお仕事や生活費は大丈夫だったのでしょうかね? 亡くなってしまた子どもたちは気の毒ですが、生きている子どもたちが心身ともに 安心して暮らしていける土地になるように本来の意味での浄化をしてもらいたい・・・ と心から思えました。 個人的には、ロバートさん演じるあの狸弁護士に、ギャフンと言わせるところまで 描いて欲しかったですが・・・そこのところは残念です。 役者陣が素晴らしく、頭を使いながらも最後まで引き付けられます。 まだ、ご覧になっていない方がいたら、是非どうぞ・・ 汚染米や汚染牛乳など問題になっている昨今、人事ではありませんよ・・
2008.10.05
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