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二高須遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール右中島左リンデン三草野捕中谷投田中 試合回顧 第2ステージ初勝利を挙げ、何とか土俵際で踏みとどまることが出来た。今日の勝因は田中の好投に尽きる。 今日は立ち上がりから最大の武器であるスライダーが普段以上に冴え、抜群のキレを見せていた。そんな中、2回先頭の高橋に初球の不用意な真っ直ぐをライトスタンドへ運ばれてしまったが、結果的にこれがより田中の投球に緊張感と安定感をもたらしたような気がしている。 本題から話はズレるが、今日の試合を観て初めて田中将大が多くの人から愛される理由が解った。何を今更? とファンの方には笑われるかもしれない。闘志むき出しの投球など今日に始まったことではないのだから。 それでも今日の彼からは特別なオーラを感じた。8回のピンチを脱出し、彼の雄叫びを見た後、全身に鳥肌が立っていることに気が付いた。弱冠二十歳の若武者はあまりにも格好良く、あまりにも眩しかった。 本題を本来の配球に戻そう。序盤戦を見て、ファイターズ打線は森本、稲葉、小谷野を除けば全体的に真っ直ぐを狙ってきているような印象を受けた。よってしばらくは変化球を中心にした組み立てをした方が安全だと考えていたが、中谷は田中の真っ直ぐを信頼しているようだった。 今日は第1戦とは異なり、森本に対する攻め方もしっかりとしていたし、第2戦までと違い、スライダーを狙ってきていた感がある小谷野に対して真っ直ぐも有効に使えていたと思う。今日は全体的に良いリードだったと感じた。 そんな中、1球だけ、決して間違いだとは言わないが、考えさせられた配球があった。それは8回、この試合最大のピンチを迎えた1死2,3塁での森本に対する配球だ。 点差は2点。理想は三振か内野ゴロだが、犠牲フライならOKという場面だ。まず、2,3塁なのだから外角の真っ直ぐに軽く合わせられてのヒットは避けなければならない為、この選択肢が消える。続いて外のスライダーとカーブ。これも第2ステージを通じて変化球にタイミングが合っている為投げられない。もう1つ森本の積極性を利用したボールになるフォークがあるが、森本を歩かせれば勝ち越しのランナーが出て満塁となる上に次は稲葉。ストライク先行の投球をしたいのでこれも消える。そうなると初球の入り方として残った選択肢は内角高めの真っ直ぐ或いはシュートで詰まらせるかファールを打たせるということになる。 実際中谷はその通りの選択をし、内角高めでバックネットへのファールを打たせる。考えさせられたのはその次だ。本来森本は内角を苦手としており、初球から内角高めの厳しいボールに手を出してはこない。が、この場面では思い切り振ってきた。ということは森本がバッテリーの狙いを読み、内角の速いボールに狙いを定めてきている可能性が高くなる。 一方中谷からすれば、犠牲フライ(1点)ならOKであるし、例え狙ってこようとも苦手の内角を田中の球威で突けばまず打てないと判断出来る。だから、間違いではない。 ただ、森本が普段とは違う反応を見せたことによって、狙いが内の速いボールであると感じられたのならば、外のカーブで見逃しストライクを奪うという選択肢もあったのではないか、ということ。勿論これが正解だというわけではない。あくまでも可能性の話だ。例え速球を待っていようとも、ずっと変化球に合っている打者なのだから、巧く合わせてくる可能性もある。 配球は難しい。もしもそこでカーブを投げていたらどうなったかなど、誰にも分からない。ただ、たとえ結果論であろうとも考え、反省しなければ決して配球は上手くならない、と監督は言う。 だからこそこのブログを書いてきた。負けた試合、打たれた場面の配球について考え、意見を述べてきた。誠に残念ではあるが、明日は私用により試合を最初から最後まで観る事は出来ない。もしかしたら、これが最後の試合回顧のエントリーになるかもしれない。 それでも、イーグルスの勝利を願っている。 いつも読んでくれている皆さん、何とか一手間お願いします。CSでの更新を希望される方は応援クリックお願いします⇒
2009年10月23日
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二高須遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール三草野左リンデン右中村真捕藤井投岩隈 試合回顧 エースで落とすことの出来ない試合を落とし、いよいよ後が無くなった。負けたことは残念だが、前日に比べればショックも少ない。 今日の采配には何の文句も無いし、どちらに転んでもおかしくないゲームだったと思っている。勝敗を分けたのはチャンスでの4番の働きと藤井の1球のミスだったように感じている。 相手の4番高橋が満塁のチャンスで詰まりながらも貴重な一本を放ったのに対し、山崎武はチャンスの第1第2打席共に狙い球をミスショットしてしまった。昨日の敗戦の影響を受け、力が入りすぎてしまったのかもしれない。チームリーダーとしての強い責任感が悪い方向へと作用してしまったのだろう。 前日は監督の采配についてのみの記述となってしまったので、今日は本来の配球中心に書いていこうと思う。 率直に書くと、今日の配球は抜群に素晴らしかったとも言えないし、目も当てられないほど酷かったわけでもない。いくつかミスだと思えるものが散見したが、その中でたった1球だけ、どうしても看過出来ないものがある。 それは4回裏の小谷野に対する配球だ。まずスコアは1-0である。そして状況は2死三塁。ここでの小谷野の狙いはとにかく三塁走者をホームに返すこと。つまり、長打はいらないということだ。 続いて彼の特徴について。小谷野はいかにもパワーがありそうな体躯の持ち主で、実際に長打力もある打者だが、基本的にはセンターから右方向への逆らわない打撃をする。そして積極性の強い打者で、初球から狙ってくる傾向がある。加えて前日のゲームから真っ直ぐ狙いの兆候が見えていた。 これらを総合して考えると、1点を追いかける展開で2死三塁となれば、「長打はいらない」という考えの下、持ち味であるセンター中心の打撃をしてくることが濃厚だ。但し、真っ直ぐ狙いの兆候がある為、球種を絞って「ストライクの真っ直ぐは全部振る」という可能性も除外出来ない。 そうなるとここでの小谷野の選択肢は2つ考えられる。「内角を捨ててセンターから右狙い」か「追い込まれるまで真っ直ぐ一本」だ。そしてこの両方に該当するのが外角の真っ直ぐである。 初球。外角のやや高めに浮いたスライダーが決まりカウント1-0となる。この見逃しによって、小谷野の狙いが真っ直ぐである可能性がより高まる。 長打がいらない。センター中心が多い。外の甘いスライダーを見逃した。この3つの情報からこの打席で少なくとも追い込むまでは絶対に投げてはいけないボールが発生する。それが「外角の真っ直ぐ」だ。 しかし、続く2球目、藤井が要求したのはその「外角の真っ直ぐ」だった。小谷野は待ってましたとばかりに右打ち。貴重な先制点を挙げた直後、あっさりと同点に追いつかれてしまった。 正直、この時は頭を抱えてしまった。「何故?」。それだけが頭を駆け巡っていた。上記の情報に加えて、配球を考える上で欠かせない「カウントの性質」というものがある。 カウント1-0の基本は次のようになる。 ・2-0と親戚のカウントと考えず、打者は追い込まれていないから、思い切りは持っている。 ・サインプレー、内角球の見せ球、さぐり球、ピッチドアウトのチャンス。 ・次の球との関連を考え、有効に使え。 ・1度勝負球で勝負をかける状況もある。 この場面は「打者が思い切りを持っていて」、「見せ球・さぐり球などボール球を使える」上に、一打同点という「勝負球で勝負」をかけてもおかしくない状況だったのだ。 ここで選択すべきは真っ直ぐ狙いの小谷野の打ち気を利用して空振りを奪う「ボールになるフォーク」か「見せ球となる内角へのボール球のシュート」だったのではないだろうか。これはあまりにも初歩的というか、レベルの低いミスだと正直思う。 小谷野の次打席を同じくピンチで迎えたが、藤井は初球から2球続けてフォークを使って空振りを誘い、その後は内角の真っ直ぐ(シュート)で攻めていた。結果歩かせてしまったが、藤井自身、小谷野のタイムリーは自分の配球ミスであることをしっかりと自覚していたのだろう。 ただ、改めて書いておきたいが、全て悪かったわけではない。特に森本に対する攻め方は昨日の中谷とは180度違う、しっかりとしたものだった。 昨季の森本の攻略法は単純明快で、選球眼の悪さ(ボールになる変化球)と内角の弱さ(真っ直ぐ・シュート)を徹底的に突けば(使えば)簡単に抑えられる打者だったのだ。そしてその攻略法によって森本の成績は昨季、一気に下降した。 それを受けて、森本の打撃スタイルが今季(正確には昨季後半)に入り、変貌を遂げた。それまでは初球から真ん中から外の真っ直ぐをセンター中心に狙っていた彼が、一転カーブやスライダーといったカウント球の変化球を狙うようになったのだ。これでやられたのが前日の中谷だ。しかし、今日の藤井は外角の真っ直ぐや内角のシュートをうまく使い、「NEW森本」を大いに苦しめていた。第1打席こそ詰めを誤ったが、それ以降は素晴らしい攻めをしていたと思う。 後が無くなり、藤井に次の出番がやってくるかどうかは分からない。ただ可能性を信じ、次の出番に備えて万全の準備をしてらいたいと思う。 明日、敗れれば野村克也最後のゲームとなる。もう田中将大に全てを賭けるしかない。 いつも読んでくれている皆さん、何とか一手間お願いします。CSでの更新を希望される方は応援クリックお願いします⇒
2009年10月22日
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二高須遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール右中島三草野左リンデン捕中谷投永井 試合回顧 呆れてモノも言えない最低最悪のサヨナラ負け。今日は完全に監督の采配ミスで落としたゲームだ。 まずケチの付け始めは永井を降板させたことだ。8回に連打を浴び、確かにピンチは招いた。ただ、永井の失投による被安打は稲葉に対するものだけであり、森本は中谷の配球ミス、高橋は打った方を誉めるべき内容だった。 観ていたファンの方は誰でも分かっただろうが、藤原、小山、有銘と代わった投手が皆緊張で自分を見失っていた。初めてのCS、第1ステージで登板機会が無かったことを考えれば無理もないことだ。 ただ、それは登板前から予期できたはずなのだ。四球病と揶揄されるほど、制球の定まらない、失礼を承知で書けば「ノミの心臓」と言われても仕方の無いリリーフ陣に託したこと自体が大きな間違いだった。 もしも永井が立ち上がりから本来の投球が出来ず、いつ大量点を失ってもおかしくないという出来であるならば、交代は正しい判断だろう。しかし、今日の永井は素晴らしかったのだ。原点能力の高さ、カーブのキレなどはペナントレース中でも滅多に見れないほど安定していた。確かに球数は120を超えていたが、今季の永井は140を超える球数での完投もあったのだ。 監督は「先発を交代させる時は、後を受ける投手がそれ以上の力量を持っていること」という考えを持っていたはずである。なのに何故交代させたのか。百歩譲って球数を考慮して交代させたとしよう。それでもあの継投はおかしくはないだろうか。 藤原がスレッジにタイムリーを許し、一発が出れば同点という場面で打者は小谷野。ここでベンチは小山を送り出す。小谷野はこの試合結果が出ていなかったが、パンチ力のある打者で、当然長打を警戒しなければならない。そうなれば右対右なのだから必然的に配球は外角中心になる。但し、投手は小山である。小山で外角中心ということは即ち真っ直ぐ主体を意味する。これは変化球ではボール先行になる可能性が高まることと、高めに浮いたスライダーをスタンドまで運ばれるリスクを考えれば当然の策だ。結果的に力で抑えたわけだが、相手からすれば非常に狙い球が絞り易い状況だったと言えるギャンブルだ。 そしてもう一つ理解出来ないのは川岸の起用法だ。イーグルスリリーフ陣の中で唯一強気の強心臓と言える彼を何故あのタイミングで出し、またあっさりと引っ込めたのか。 藤原が降板した後、マウンドに上がるのは当然川岸だと考えていた筆者には頭の中一杯に「?」が浮かんだ。投手としての力量云々の前に、まず初のCSで、ピンチの場面で自分の投球が出来る可能性の大きい投手と言えば彼しか見当たらない。にも関わらず結局川岸は打者1人、たったの2球でマウンドを福盛に譲った。もし仮に、9回裏を同点止まりで凌いでいたとしたら、残った投手は長谷部、青山といったプレッシャーに押しつぶされそうな選手しか残っていなかったことも含めて考えれば、9回は川岸続投で行くべきだったのではないか。 試合が終わった後、しかもサヨナラ負けを喫した後に書いても説得力が無いのは承知だが、これは結果論で言っているわけではなく、試合中から、永井を交代させた時からずっと考えていたことだ。 今日の采配・投手起用は選手の状態、中でもメンタルコンディションを無視した劣悪なものだったとしか言い様が無い。本来ならば中谷の配球について書こうと思っていたが、もはやそんな気力もない。 明日敗れれば、早くも王手をかけられてしまう。「タラレバ」を言っても仕方がないが、今日勝っていれば勢いに乗り、岩隈・田中の両エースで一気に王手をかけられた可能性も充分に考えられただけに、返す返すも残念でならない。 この敗戦は日本シリーズを目指す中で、この上なく大きな一敗になるかもしれない。CSでの更新を希望される方は応援クリックお願いします⇒
2009年10月21日
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二高須遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール三草野左中村真捕中谷右聖澤投田中 試合回顧 第1戦に続く連勝で、見事札幌への切符を手に入れた。これでまたイーグルスの戦いが観られる。野村克也の野球を観る事が出来る。 先発田中は、シーズン序盤を思い出させるような快投を見せてくれた。真っ直ぐが走り、代名詞のスライダーもキレ、制球も安定してしっかりとコースに投げ分けていた。 シーズン終盤にやや崩れていた印象があったが、やはりそこは選ばれし「神の子」。この大事な一戦で本来の投球をしっかりと披露した。その中で今日目に付いたのが、左打者に対する外角の沈むボールだ。おそらく球速が140キロ後半であったことを考えると球種はツーシームだと思うが、このボールで空振りを奪うシーンが何度も見られた。 左打者に対し、外角球を使う場合、バッテリーとして嫌なのは軽くバットに当てられて三遊間或いはレフト前へと落とされるヒットを許すこと。特に俊足の打者の場合にその傾向は強くなり、どうしても内角への真っ直ぐやスライダーに頼る部分が多くなり、配球が単調になりやすい。 今日の田中ほどの球威や制球力があれば、それでも抑えられる確率は高いが、やはりやや甘く入ったボールを狙い打ちされるリスクを考えれば、外角を有効に攻められるボールがあることは大きなプラスであるし、配球の幅を広げてくれる。今日見せてくれたこのボールはダルビッシュにも劣らない素晴らしいものだったように思う。 続いてその田中をリードした中谷についてだが、今日も存分に彼らしさを見せてくれたと思う。 カウントの性質を重視する彼らしく、変化球を有効に使ってカウントを稼ぎながらも、技巧派永井と違い、真っ直ぐで押せる田中の力もしっかりと発揮させていた。 これは田中の調子の良さに因る所も当然大きいのだが、永井ならばスライダーでいくであろうところで真っ直ぐを使い、球威で押し込んでしっかりとカウントを整えていた。こういった辺りに中谷の「本格派と技巧派」による組み立て方の違い、柔軟性を感じることが出来たし、監督に「皆同じような配球をする」と言われてしまう嶋との違いを感じさせた。また昨日の藤井との違いを言えば、追い込んでからの内角の使い方がある。 2-0や2-1といったカウントで藤井は外角のスライダーやフォークでボール球を振らせようという非常にオーソドックスな配球に終始していたのに対し、中谷は小久保やオーティズに対し、1球内角にシュートを見せていた。小久保に対してはこれが真ん中に甘く入ってしまい、ヒットを許してはしまったが、配球のパターン化を阻止し、打者に「内角もある」という意識付けをさせる上では有効なものだったように思う。 右対右の場合、追い込まれれば打者は無意識に内角の真っ直ぐと肩口からのスライダーをマークする、というのが監督の持論の1つとしてあるが、あくまでも捕手とは「裏かき稼業」だ。 対田中でカウントが2-0、2-1となれば打者は田中の大きな武器の1つであるフォークを意識しないわけにはいかなくなるし、このカウントのセオリーとして当然外の(ボール気味の)真っ直ぐやスライダーも頭にあるはず。外のボールと落ちるボールに意識が偏っている判断した場合にはこういった打者の裏をかく内角球も時には必要だと考える。昨日の藤井とは逆に中谷とは配球について解りあえる、とまたも勝手に感じてしまった次第だ。 監督は「捕手は日本シリーズを経験すると一回り大きくなる」ということを口にするが、これは即ち短期決戦においての捕手の重要性と1球の重さを示唆しているのだと思う。 今日の試合で特にそれを感じたのは相手捕手田上に対してだ。試合を決める3ランホームランを放った山崎武。彼が打ったのはカウント1-1からの高めの真っ直ぐだった。 彼はカウント0-1からの2球目、外角のスライダーに全くタイミングが合わずに空振りしていた。観ていてこのスイングから感じたのは「真っ直ぐ狙いの可能性が大きい。次は同じ外のボール気味のスライダー(振ってくれればもうけもの)で様子見だな」ということだった。しかし、田上の要求は山崎が狙っていた真っ直ぐ。勿論ホームランとなったのはホールトンの制球ミスが原因だが、そもそも1球前にスライダーに全くタイミングがあっていない打者に真っ直ぐを要求すること自体が間違いだったのではないだろうか。前日の記事でも書いたが田上は打撃は素晴らしいが、捕手としてはまだまだ経験不足。そしてホークスがことごとくプレーオフで敗退する原因はこの捕手の人材難に因るところがやはり大きいのではないかということだ。 あのホームランが無ければ試合は最後まで僅差のまま終盤を迎え、どちらに転んでもおかしくない展開になっていたのではないだろうか。今日の試合は両チームの捕手の力量の差がそのまま勝敗として現れた1戦であったように思う。 <<<<< >>>>> 監督の最後の挨拶。もしかしたら最後になってしまうかもしれないKスタのファンとの触れ合いの場。声を詰まらせながらも、何とか言葉を紡ぎ、ファンへの感謝と日本シリーズへの決意を表した。そして、その後選手・コーチと共にスタジアムを一周。万感の思いを抱きながら、別れを惜しむように観客の声援に手を挙げて応える姿に思わず目頭が熱くなった。「嗚呼、この人野球が好きなんだ」。そんな分かりきった当たり前の事を再度確認した。ただただ願うのは、1試合でも多く、彼がイーグルスの指揮を執ること。1秒でも長くユニフォームに袖を通していること。 日本一に、なりたい。CSでの更新を希望される方は応援クリックお願いします⇒
2009年10月17日
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二高須遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール左中島三草野右宮出捕藤井投岩隈 試合回顧 ついに始まったクライマックスシリーズ。我らがイーグルスが見事な攻撃で初戦をモノにした。 まずその攻撃を振り返ってみようと思う。やはり何より大きかったのが相手エース杉内を序盤に攻略したことだが、これはイーグルスの右打者達が狙いをしっかり絞って打席に立っていたことが大きく関連していたように感じられた。 その狙いとは当然「内角を思い切り引っ張る」というものだ。杉内の右打者への基本的な攻め方は胸元への速球と膝元へのスライダー、そして内角を意識させた後の外角低めへのチェンジアップになる。チェンジアップを一種の決め球と考えれば、やはり使用されるのは2ストライクと追い込んでからが多くなる。そう考えていくと、まず狙うべきはファースト、セカンドストライクの内角の真っ直ぐ、次いでスライダーということになる。 これを最も巧く体現してくれたのが、見事に先頭打者ホームランでチームに流れを呼び込んでくれた高須だ。 短期決戦の大事な初戦。ムードが重要となるこの戦いにおいて、双方のチームの上位打線が考えることは「相手の出鼻を挫きたい」というものだと思う。よって高須は初球から狙ってくるだろうと個人的に考えていた。その狙いは上述した通りである。しかし、相手の初球は外角の真っ直ぐ(ストライク)であった。だが、これを高須が見逃したことによって、彼が次の内角球を狙っていると確信することが出来た。 そう考えていた刹那、高須のバットが一閃――。打球は満員のイーグルスファンが待つレフトスタンドへと突き刺さった。正に最高のスタートとなったわけだが、彼の凄さはこれでは終わらない。 迎えた第2打席。今度は初球の膝元へのスライダーを振りぬき、見事な2ベースで出塁を果たす。これもまた相手の配球を完全に読みきった「狙い撃ち」だった。第一打席で胸元への真っ直ぐをホームランしたのだから、当然相手の捕手は要求しにくくなる。そうなれば、狙うはもう1つの生命線である膝元へのスライダーとなるわけだ。 これが一流の捕手の場合、この狙いを逆手に取り、もう一度内角の真っ直ぐ、或いは決め球である外角のチェンジアップを初球に持ってくるわけだが、まだ正捕手としての経験が足りない田上にはそこまでの洞察力は無かったということだろう。 集大成と言えるこのCSにおいて、野村野球の一番の体現者の一人である高須がこのような働きをしてくれたことが本当に嬉しい。結果的に快勝したので、あのタイムリーエラーはご愛嬌、ということにしておこうと思う。 さて続いて今日のバッテリーについて。正直に言って、岩隈の出来は決して良いものでは無かった。序盤から真っ直ぐこそ走っていたものの、ボールが全体的に中に寄っている傾向があり、左打者の泣き所である膝元のスライダーや真っ直ぐもほとんど決まらなかった。 結果だけを見れば被安打6、自責点2の完投勝利ではあるが、内容自体は決して手放しで喜べるものでは無かった。ただ、そういった中でもしっかりと試合を作り、勝利を呼び込むことが出来たのは岩隈の自力の高さと投手としての「格」、そして何よりホームのイーグスファンの大歓声によるところが大きかったのではないだろうか。 続いて故障から復帰し、久しぶりに岩隈とバッテリーを組んだ藤井の配球について。 これは非常に評価が難しいというのが本音だ。序盤3回までは岩隈の調子(制球はイマイチだが、真っ直ぐは走っている)に合わせた、真っ直ぐ主体の良いリードであったと思うが、とにかく気になったのが右打者に対するシュートの少なさだった。試合中に相手コーチの談話としてもこれは入っていたが、正直あれだけ真っ直ぐが走っている状況で何故シュートを使わないのか首を捻らざるを得なかった。 真っ直ぐが全く走っていない上に制球も悪いのであれば、内角のシュートが甘く入っての長打を警戒するというのは理解出来るのだが、相手の意識が外のボール(真っ直ぐ、スライダー)に偏った状況、或いは追い込んでフォークを意識している状況においてもシュートをほとんど使わなかったのだ。 序盤のうちはそのリードに対し「中盤以降やピンチの場面の時の為にシュートは温存しているのだろう」と考えていたが、結局最後まで積極的に使うことは無かった。すぐに思い出せるのも、高須がエラーした田上への1球と、7回に吉川から併殺を奪った場面くらいだ。 勿論結果的に4回以外のイニングを0に抑えているわけであるし、逆に左打者の外角低めへのシュートが使えると分かったのだから、悪いリードであったとは思わない。ただ、観ていて「ここでシュートを使えばサードゴロ」と感じたところで他の球種を選択し、カウントを悪くしたり、ファールで粘られる場面がいくつも見受けられた。ワンバウンドのフォークをしっかり捕球するなど、藤井だからこそ安心出来る部分も当然あるわけだが、こと配球においては彼とは解りあえない、と勝手に感じてしまったのもまた事実であった。 ただ、何にせよ勝利は勝利である。短期決戦において重要なモノは結果以外に無い。明日はシーズン15勝を挙げた田中がマウンドに上がる。連勝で一気に第2ステージへと駆け上がってもらいたい。 ここ1週間、更新していないにも関わらず多くのアクセスを頂きました。ありがとうございます。CSでの更新を希望される方は応援クリックお願いします⇒
2009年10月16日
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ついに念願のクライマックスシリーズ進出を決めました。チームの皆さん、そして全国のイーグルスファンの皆さん、本当におめでとうございます!! 野村監督を招聘した以上、近い将来に必ずこの日が来ると信じて応援を続けてきました。本当に嬉しい気持ちで一杯です。 ただ、選手の方々も言っていましたが、あくまでもこれは通過点に過ぎません。まだリーグ優勝の可能性も残っていますし、CSでの戦いに勝って日本シリーズに進んだ時にこそ、本当の喜びを爆発させるべく、今日はちょっと控えめに喜んでおきたいと思います。野村監督の胴上げを観たときにこそ歓喜の涙を流したいと思います。 さてかなり久しぶりの更新となってしまいましたが、改めて今日の試合について。打線が見事だったのは言うまでもないわけですが、ここのところずっと良い意味で気になっているのが、渡辺直の打撃。出塁に徹する、という役割を果たしながら、徐々に引っ張ってのヒットが増えてきています。これまでは四死球か右方向への単打しかほとんど無かった中で、彼が広角にヒットを打てるようになったのはかなりの好材料と言えるでしょう。 それから中谷の配球について気になったのは、初球の入り方。とにかくスライダーが多い。これは青山を永井同様に技巧派として扱っている、或いは青山の真っ直ぐの制球がかなり信頼性に欠ける、ということになると思います。 もちろんスライダーで入ること自体は決して間違いではないと思いますが、ただ細川のような捕手や配球を読んで打つタイプの打者と対峙する際、中谷のリードは非常にリスキーです。 今日の細川への被弾が象徴するように、「入り球は変化球」と狙いを絞られれば、今後中谷は非常に苦労することになることが予想されます。これまでも何度か彼の配球の特徴である変化球の多さ、カウントの性質への忠実さを取り上げてきましたが、ここがやはり彼の長所であり、短所です。 教科書通りの配球をきちんとできるけれど、あまりにも忠実すぎ、また応用力に欠ける。これは嶋とは逆の傾向と言えます。なので以前「嶋と中谷を足して2で割らなければ素晴らしい捕手になる」と書いたわけです。 この配球のパターン化をいかに乗り越えていけるか。観察力、洞察力を身に付けていけるかが、中谷の、ひいてはイーグルスのCSでの成績に関わってくるでしょう。 と、簡単に振り返ってみましたが、難しい話はここで終わりにして、とりあえず祝杯を挙げたいと思います。 では全国のイーグルスファンの皆様、(llllll´▽)/□☆□\(^_^ )カンパーイ! CS進出記念&優勝祈願の応援クリックお願いします!⇒
2009年10月03日
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左リンデン遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール三草野右中村真捕嶋二小坂投藤原 試合回顧 緊迫のロースコアゲームを制し、4位とのゲーム差を2.5に広げることに成功した。 ルーキー藤原の好投、伏兵渡辺直人の一発など触れるべきポイントはいくつもあると思うが、今日のゲームにはどうしても看過出来ない嶋の配球があった。 それは唯一の失点となった早坂のホームランに対する配球だ。初球に内角の真っ直ぐを要求してそれを振り切られ、プロ入り初ホームランを献上してしまった。 まずイニングは終盤7回で点差は1点だ。当然一発を警戒しなければならない状況と言える。 長打力が無く、俊足の打者故、外角球を軽く当てられてのヒットを防ぎたいというのは理解出来る。ましてや左対右だ。内角を使いたくなるのは当然かもしれない。しかし、ホームランがまず無いという打者にそれを打たれる場合というのは、内角のボールを腰の回転だけで持っていかれるのがほとんどであり、それは人災と呼ぶべきミスだ。 この配球ミスを語る上で重要なのが、早坂の第1、第2打席での反応、打球方向だ。 まず第一打席。初球の外角の真っ直ぐを見逃し、2球目の内角のカーブを引っ張って左方向への2ベース。 そして第2打席。全球真っ直ぐを要求し、フルカウントから外角の真っ直ぐを引っ張ってサードゴロとなっている。 後のホームランの布石として、二打席共に早坂が引っ張りに来ているということがある。特に第2打席は追い込まれているにも関わらず、真っ直ぐを引っ張って打球がサードに飛んでいるのだ。 普通A型の打者であれば、追い込まれれば真っ直ぐを待ちながら、同時に変化球へも対応しようとしてくる。つまり変化球でタイミングを外されての三振を避けようとすれば、どうしても真っ直ぐに対して遅れ気味になり、打球はセンターから逆方向へと飛んでいくケースが増えるのだ。それでもサードに打球が飛ぶということは(藤原の真っ直ぐにロッテ打線が遅れていたことも踏まえて考えると)、早坂が真っ直ぐに狙いを絞っている、引っ張りに対する意識が強い、ということになる。 そして迎えた第3打席だ。前2打席の反応を踏まえてまず嶋が考えるべきは「真っ直ぐを狙ってくるのではないか」ということ。そして引っ張りの意識が強いのだから「真ん中から内寄りのボールを待っているのではないか」ということも同時に考えなければならなかったのではないだろうか。 しかも初球の入り方の基本として、「前の打席での結果球(打った、打ち取られた球種)は狙われ易い」というのが監督の教えとしてあるはず。 結論を言えば、早坂に対し、初球に内角の真っ直ぐを要求するというのは冒険以外の何物でも無かったということになる。 勝ったからいいようなものの、もしもあのまま延長に入りサヨナラ負けを喫していれば、嶋は悔やんでも悔やみきれなかったはずだ。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年08月28日
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左リンデン遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール三草野右中村真捕嶋二小坂投永井 試合回顧 前日の永井に続き、田中-福盛の完封リレーで当面のライバルであるライオンズ3連戦の勝ち越しを決めた。 勝因はやはり田中の好投、そして山崎武の値千金の3ランになる。今日の田中は今季最多となる12奪三振を挙げるなど、低めを丁寧に付く投球が目に付いた。が、真っ直ぐの力という点だけを取れば、開幕当初に比べれば少し落ちるような印象があった。ただ、そういった状態であっても8回を0点に抑えることが出来るのは彼の持つ1つ1つの球種のレベルの高さによるものだろう。 今季は昨年までと違い、真っ直ぐが非常に良くなったものの、ライオンズ打線からすればやはりスライダーの印象が強いのだろう。このスライダーが打者からすれば邪魔になる。カウント球にせよ決め球にせよ、常にスライダーが頭の中にある為に、的を絞りきれない。そしてスライダーの影に隠れがちではあるが、田中はフォークの質も非常に高い。これはキャンプ地を訪問した古田敦也氏も絶賛していた。 向上した真っ直ぐに一級品のスライダーとフォーク。レベルの高い球種を豊富に持っていることによって、相手の狙いを絞らせず、またその日の状態に沿った投球が可能になっている。今日の勝利でルーキーイヤーを越える12勝目を手に入れたが、中身の差は歴然だ。「神の子」と呼ばれた幸運な勝利ではなく、自らの力で奪い取った自己最多となる勝利。田中のレベルは飛躍的に上がっている。 続いて山崎武のホームランについて。失投を逃さずに打ったことについては見事の一語に尽きる。捕手の細川はこれ以上の失点を許されない場面で、D型である山崎を迎え、まず初球はボール球の真っ直ぐから入り、打者の反応(狙い球)を見ようという意図があったように感じられた。しかしベイリスの投球がシュート回転し、真ん中高めの危険ゾーンへと吸い込まれていった為にホームランという最悪の結果を招いてしまったように思う。 そして最後に小坂誠について触れたい。8回表無死1,2塁の場面で渡辺直は一塁方向へとバントを転がした。3塁に走者を進めたい場面では本来サードに打球を捕らせるのが理想的だが、右打者にとっては非常に難しい技術となる。この場面で渡辺直の頭にあったのは「小坂さんなら一塁方向に転がしてもセーフになる」という信頼感だろう。仮に2塁走者がリンデンだったならば、「しっかり三塁線に転がさないと」という大きなプレッシャーが掛かっていたはずだ。 それから9回裏の守備も見事だった。中島の打球が福盛の横を抜けた瞬間、テレビで観ていたほとんどの人がヒットだと思っただろう。しかし、その打球を小坂は見事に捕球し、アウトにしてみせた。 おそらく小坂は嶋のサイン(配球)を見て、「転がってくるとしたら二遊間寄り」と判断し、ポジションを修正していたのではないかと思う。抜群の打球反応も相まって、「これぞ名手小坂」という守備を見せてくれた。 打撃は確かに物足りないが、守備・走塁における判断の速さと確かさ、そして技術の高さは若い選手にとって格好の手本となるはず。いぶし銀の活躍をこれからも沢山見せてもらいたい。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年08月27日
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左リンデン遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール右宮出三草野捕中谷二内村投永井 試合回顧 前日の悔しいサヨナラ負けを吹き飛ばす完勝で、再び3位に返り咲いたイーグルス。 今日の主役は西武打線を2安打完封した永井‐中谷のバッテリーだろう。永井は終始球威、制球共に安定感があり、危なげの無い投球を披露してくれた。 この完封劇の大きな要因の一つに捕手中谷の「らしい」リードがあったように思う。以前に彼の配球の特徴について「カウントの性質を重視したリード」という表現を使ったが、今日はそれが功を奏した格好となった。 改めて書くと、中谷の配球の特徴は、打者が甘い真っ直ぐを狙ってくる公算の高い0-0、0-1、0-2、1-2といったカウントでの変化球の使用率の高さにある。1-3の場合や右対左の場合は打者のタイプや状況に応じて真っ直ぐを使うことも多いが、基本的に慎重な組み立てを見せるのが捕手中谷だ。 今日は特に中島に対して細心の注意を払い、カーブやフォークを多投させてボール球で空振りを奪っていた。他の打者にも終盤のリードが広がり、四球で走者を溜めたくない場面であっても0-1や1-2といったストライクの欲しいカウントでボール球の変化球を使い、打者の打ち気を利用したカウントの稼ぎ方をみせていた。 結果的にそのボール球に相手が手を出したきた以上、中谷の洞察力が優れていたということになるが、相手の心理を見誤れば、カウントを崩すことになりかねない諸刃の剣とも言える配球であることは確かだ。しかし、逆に言えば打者の心理をしっかりと見抜き、ボール球を降らせることが出来ればこれほど心強い配球も無い。 こと今日の完封に関して言えば、永井の出来の良さと中谷のカウントの性質を重視した慎重なリードが、積極性が強く、近頃得点力不足に悩み、気持ちがはやっているライオンズ打線と見事に噛み合った結果と言えるだろう。 前日に後藤、片岡に対し、やや慎重さを欠いた嶋も今日の中谷の配球から学ぶところがあったのではないだろうか。 <<追記>> 【記者:永井投手、中谷捕手のコンビに関しては? 野村:永井の「恋人」が決まった。永井も中谷を指名したらしい。何を根拠にそう言ったのか分からないけど、微妙なところで投げやすいのではないか。配球は嶋と違う。永井は技巧派だから。 嶋は田中も岩隈も組ませてるのに、なかなか経験を吸収してくれない。】 【中谷がどのように永井を引っ張っていくかに注目して観戦していたが、やはり嶋とは異なる配球をするように感じた。 嶋が永井とバッテリーを組む場合、立ち上がりは真っ直ぐの比率が高く、球威や制球が良好と見ると、本格派をリードするように真っ直ぐ中心の配球となることが少なくない。また左打者に対して内角を真っ直ぐで執拗に攻めるのも特長の1つと言えるだろう。】 これは今日の試合後の野村監督のコメントと7月11日にUPした当ブログの記事だ。 正直書くのを躊躇していたのだが、永井が中谷を指名したという事実が判明したので、書いてみようと思う。 監督のコメントからも分かるように、中谷と嶋では永井に対する配球の組み立て方が違う。永井の真っ直ぐを信頼し、「本格派」のようにリードするのが嶋で、変化球を多用し「技巧派」として組み立てるのが中谷だ。 嶋が永井をリードする際、序盤に失点することが非常に多い。そしてそれが結果的に試合の行方を決め、敗戦してしまうことは少なくないが、その大きな原因がこの「本格派のようなリード」にあると考えている。 嶋にしろ中谷にしろ、永井とバッテリーを組む際に見受けられるのが、「2巡目以降の為のフォークの温存」という戦略だ。 これは長いイニングを投げ抜く為に、序盤は持ちうる球種を全ては見せず、中盤から温存していた球種(フォーク)を織り交ぜることによって打者心理を揺さぶるという狙いからくるものであり、捕手がよく使用する作戦の1つだ。 しかし、これが嶋の場合、大きな落とし穴になっている。彼の立ち上がりの配球は真っ直ぐが主体になることが多い。そしてその真っ直ぐと対(ペア)になるのがフォークだが、この「真っ直ぐ主体+フォーク温存」が相手打者の格好の餌食となっている。 永井が常にコーナーに球威抜群の真っ直ぐを投じることが出来るのであれば問題はないが、当然ながら毎回絶好調というわけにはいかない。結果初球の甘く入った真っ直ぐや、打者有利のカウントで正直に真っ直ぐでカウントを取りに行って痛打を浴びて失点を許す、というケースが増えてしまうのだ。 一方の中谷は同じようにフォークを温存しても、永井を技巧派としてリードする為、初球や打者有利のカウントで安易に真っ直ぐでカウントを稼ぎにはいかない。緩いボールで打者の打ち気を外し、そのスピードに目を慣れさせた後に、速いボール(真っ直ぐ)で緩急を彩る。多少甘く入っても、緩いボールを意識させておけば、ヒットになる確率は当然下がってくる。 大胆と慎重。これが両者の違いだ。きつい言い方になるが、前日の岩隈も嶋の配球次第では完封勝利が可能だったと思っている。後藤にタイムリーを許した場面、片岡にホームランを打たれた場面共に、初球の入り方には慎重に慎重を期す必要があり、何故ストライクから入ったのか理解に苦しんだ。前者は走者を2人背負った同点、逆転のピンチであり、後者は第一打席から初球を積極的に狙ってきていた。 マスクを被っているのが慎重な中谷ならば、ボールから入り、打者の反応を探ったのではないか、という思いが頭をもたげた。無論これは想像の域を出ないものであり、嶋には嶋の良いところがある。 この二人を足して2で割らなければ、非常にレベルの高い捕手、谷繁や細川のような捕手が出来上がるのではないかと、夢想してしまう。 嶋がもう少し慎重になり、カウントの性質を重視すれば。中谷がもう少し打者の反応や投手の調子を見て大胆になれれば。二人とも決して悪い捕手だとは思わないだけに、後1つ2つのステップアップを願わずにはいられない。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年08月26日
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左リンデン遊渡辺直中鉄平指山崎武三草野一セギノール右中村真捕嶋二小坂投長谷部 試合回顧 何とも心臓に悪い試合ではあったが、4点差をひっくり返し、見事に4カード連続の勝ち越しを決めた。 今回取り上げたいのはなんと言っても、6回に飛び出した鉄平の勝ち越し3ランだ。 同点に追いつき、尚1死2,3塁という場面でカウントは0-2。 走者がいない場面であれば、このカウントのセオリーは真っ直ぐ待ちである。しかし、状況は一打勝ち越しの場面であり、打席に立つのは目下首位打者を快走中の鉄平(後ろにはホームラン量産中の山崎)。となれば来るボールは「カウント球の変化球」に限られる。 近代野球において、カウント0-2の配球のセオリーはスライダー(又はそれに類する変化球)だ。打者が例えば内村のような打たれてもほぼ単打というタイプの選手の場合は「歩かせるならばシングルヒット」となり、真っ直ぐを使う確率が高くなるが、長打力を備えた打者の場合は、余程真っ直ぐに自信のある投手で無い限りスライダーが使われる。 細かく言えば、変化球の制球が全く定まらないような状態であれば、狙われているのを承知で真っ直ぐを使うこともあるが、そういった不安定な状態で無い限り、まず怖くて真っ直ぐでカウントを取りにはいけない。一打勝ち越しといった重要な場面では尚更その傾向は強くなる。 そういったことをしっかりと頭の中で整理出来ていたであろう鉄平は0-2から内寄りの甘いスライダーをものの見事に捉え、貴重な勝ち越しホームランを放った。 的確な状況判断と、狙ったボールをしっかりと捉える技術。リーディングヒッターの座に相応しい、本当に見事な鉄平のバッティングだった。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年08月23日
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左リンデン遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール右宮出三中村紀二草野捕藤井投岩隈 【そんな中、中谷は苦心のリードを続けていた。まず、岩隈本来の投球とはノビのある真っ直ぐとフォークのペア、そしてスライダー・シュートの横の変化のペアで打者を幻惑するというものだ。 しかし、今日は真っ直ぐが走らない上に全く構えたところに来ないという状態。そうなると、フォークの効果も当然薄れてしまう。ノビがあり、低めにしっかりと決まる真っ直ぐを意識させてこそ、フォークは活きる。逆もまたしかりだ。つまり、真っ直ぐが良くないことによって、普段二つあるペアが今日は1つになってしまったということだ。】 これは岩隈の前回登板時に書いた記事の内容だが、図らずも今日それを立証してくれるような投球を彼は見せてくれた。 今日の岩隈は今季これまで見たことのない素晴らしい真っ直ぐのノビがあった。観戦していたイーグルスファンの方も、これほど真っ直ぐで空振りを奪う彼を見たのは久しぶりではないだろうか。 真っ直ぐに振り遅れる為にライオンズの打者はそれに意識を高めざるをえなくなり、それによって始動が早まり、誘い球のフォークにバットが止まらない、甘いスライダーも捉えきれない、といった印象だった。 受ける捕手が藤井に戻ったことも結果的に幸いした。今日のような本来の投球が出来れば、最も岩隈の良さを知っている彼が適任であったと言えるだろうし、前回中谷とサインが合わず、投げ辛さを見せていた点も解消された(とはいえ中谷の配球が悪かったとは思わないが)。 肘の不安を抱えながらの投球は続くが、やはり大黒柱である岩隈で勝てないことには上位進出は見込めない。己の体と相談しながら、球数を制限し、ローテを守ってくれるのが現状では最良の策であるように思う。 (6安打で5得点。やはりホームランは大事) <<追記>> 試合後岩隈談話 「久しぶりにいい真っすぐも行っていました。真っすぐ主体の自分のピッチングができましたんで、このピッチングを続けて、何とか取り返したいと思ってます」次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年07月28日
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左リンデン遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール二草野右宮出三中村紀捕中谷投長谷部 試合回顧 5点のビハインドを追いつきながらも、後1歩及ばず敗れた何とも悔しいゲームとなった。 やはり分岐点となったのは、同点に追いつき、尚1死満塁のチャンスを生かすことが出来なかった6回表の攻撃。 渡辺直人の初球打ち投手併殺打に日本中のイーグルスファンが溜め息をついただろう。しかし、彼の決断は決して責めることの出来ない理に適ったものだった。 まず状況は同点で1死満塁である。投手が摂津に代わってから相手捕手田上は中村真、リンデンに対し、変化球から入っている。摂津が150キロのスピードボールを持っているにも関わらず、変化球から入ってくるというのは、ランナーが溜まった場面で不用意に真っ直ぐでカウントを取りに行き、痛打されるのを恐れるという捕手として当然の心理だ。 そこに渡辺直の特長を合わせて考えてみよう。初球の真っ直ぐの決め打ちがある、右打ちが巧い、内角が弱い、選球眼が良い。これが彼の特長だ。 そうすると捕手の初球の入り方は自ずと限られる。まず満塁であり、加えて選球眼が良く、長打はまず無い打者なのだから、ストライク先行の組み立てをしたい(長打よりも押し出しによる勝ち越し点が怖い)。 そして初球の真っ直ぐの右打ちがあるのだから、外の真っ直ぐは無い。となると後は苦手である内角の真っ直ぐか外のスライダーという選択肢になるが、内角を要求してぶつけてしまったり、甘く入って外野の頭を越され、大量失点をするリスクを考えれば、渡辺直に対する入り球は導き出される。 「カウントを取りにくる外寄りの甘いスライダー」。これを読みきり、彼は勝負を掛けて思い切って狙ったのだ。 結果は確かに最悪の併殺打だった。だが、イーグルスファンには結果よりも考える野球をしっかりと実践しようとしたプロセスを理解してほしい。お世辞にも好調とは言えない状態である為、打球が外野に抜けていくことは無かったが、彼の成長を感じることが出来たことが何よりの収穫だ。 昨年のライオンズ戦。同じような大事な場面で直人は初球の甘いスライダーを見逃して凡退に倒れた。試合後に野村監督は「自分がキャッチャーだったら、初球に真っ直ぐ要求するか? 考えれば分かるだろ。まだまだ読みが下手」という旨のコメントを出していた。 渡辺直人は同じ轍を踏まなかったのだ。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年07月22日
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左リンデン遊渡辺直中鉄平指山崎武二草野一セギノール三中村紀右宮出捕中谷投永井 試合回顧 最終回に田中を投入し、見事1点差を守りきったイーグルス。今日は勝ち投手となった永井、そしてセーブを挙げた田中について触れたい。 まず先発の永井について。今シーズン序盤に「カウントを稼げる変化球、スライダーを習得したことが大きい」という旨の記事をUPしたが、今日はそれに加えて右打者の内角を攻めるシュートが非常に目に着いた。 昨年までの永井は真っ直ぐとフォークのペア、そしてカーブを使った緩急で打者を打ち取っていた。しかし、今年は違う。スライダーを習得したことによってカウントが整え易くなり、更にキャンプから取り組んできたというシュートが使えるようになったことで横の変化のペアを手に入れた。つまりこれで2ペア目が出来たのだ。そして元々の武器である大きなカーブ。これは初球に最も見逃しストライクが取り易い球種だ。 真っ直ぐ、スライダー、シュート、カーブ、フォーク。2ペア+見逃しストライクが取れる球種という武器を手に入れた永井は、これから大きなステップアップを遂げるのではないかと大きな期待を抱かせてくれる。 カウント別に考えても(右打者の場合)、0-0ならば制球力を活かした外一杯の真っ直ぐやタイミングを外したカーブでストライクが奪える。0-1、0-2という真っ直ぐで不用意にカウントを稼げないカウントではスライダー。1-0からは空振りを誘うフォークや打者の壁を崩す内角へのボール球のシュート。1-1は打者の打ち気を利用したゴロゾーンへのスライダーや内角へのシュート。2-0、2-1ならばボールになるフォーク、といった風にそれぞれのカウントに適した球種が今の永井には揃っている。 これだけ条件が揃えば後は捕手の仕事である。豊富な球種(2ペア+カーブ)を利用し、いかに打者心理を揺さぶれるか。今日の中谷は走者が溜まった場面、一発が出れば試合がひっくり返るという状況で内角を使っていたが、これは永井にシュートが加わったからこそ生まれる選択肢だ。 今日の勝利で永井の今季の勝ち星は7となったが、真っ直ぐのキレと制球力を維持できれば念願の二桁勝利を達成出来るはずだ。オールスター後の彼に益々期待したい。 続いてセーブを挙げた田中について。一言で言えば「モノが違う」という印象だった。普段先発として登板する際には、当然ながら長いイニングを投げることを考慮し、力をセーブして投げている。だが、今日のように1イニング限定であれば最初から全力投球が可能となる。MAX155キロの真っ直ぐに140キロを超える切れ味抜群の高速スライダー。全く打たれる気のしない、見ていて惚れ惚れする内容であった。仮に彼が本職のクローザーになれば、チーム全体が「リードして9回に入れば勝てる」という意識の下に戦うことが出来るはず。それほど「クローザー田中」の投球は圧巻だった。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年07月20日
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左リンデン遊渡辺直中鉄平指山崎武二草野一セギノール三中村紀右中村真捕中谷投岩隈 試合回顧 両チーム合計29安打の乱打戦をサヨナラで制し、貴重な勝利を手に入れた。 投手陣は6投手で被安打13、四死球9と課題だらけだが、今日は目を瞑ることにしよう。 今回取り上げたいのは2点。まずは中谷の岩隈に対する配球だ。今日の岩隈は今シーズンのこれまで同様、本調子には程遠い内容であった。とりわけ真っ直ぐの制球に苦しみ、それによって投球の幅が非常に狭くなっていた。 そんな中、中谷は苦心のリードを続けていた。まず、岩隈本来の投球とはノビのある真っ直ぐとフォークのペア、そしてスライダー・シュートの横の変化のペアで打者を幻惑するというものだ。 しかし、今日は真っ直ぐが走らない上に全く構えたところに来ないという状態。そうなると、フォークの効果も当然薄れてしまう。ノビがあり、低めにしっかりと決まる真っ直ぐを意識させてこそ、フォークは活きる。逆もまたしかりだ。つまり、真っ直ぐが良くないことによって、普段二つあるペアが今日は1つになってしまったということだ。 中谷はそれをしっかり理解した上で、普段(藤井とのバッテリー)よりもシュートの割合を増やし、悪いながらも何とか投球を組み立てようと試みていた。良い時の配球を引きずり、フォークに頼った組み立てをしてしまっては、自分が藤井に代わってマスクを被った意味が無い、ということを彼はしっかりと自覚していたのではないかと思う。はっきり言って今日の岩隈の出来では誰がマスクを被ろうと失点は免れない。そんな中で中谷が見せたシュート(横の変化)中心の配球は完璧ではないにしろ、その日の状態に見合ったものであったと思う。今後どうなっていくかは定かではないが、出来ることならば、次回も中谷と組ませてもらいたい。 続いて2点目はセギノールのバッティングについて。今日試合を見ていて感じたのは「打席での立ち位置」の変化だった。これまでよりも幾分ベースから離れた位置に立っているように見受けられた。錯覚でなければ、これは英断だと思う。 これまでの彼は苦手である内角を厳しく攻められ、ボールになる変化球で打ち取られることが非常に多かった。だが、立ち位置を変えたことによって、これまで打ちに行かざるをえなかった胸元の速球が、「見逃せばボール」になった。こうなれば内角攻めの呪縛から開放され、長いリーチを活かした低めや外角球打ちが体現出来るようになるのではないだろうか。内角高めが弱点であることに変わりはないが、少なくともボール半分から1個分は余裕が出来たはず。優勝を争う為にはセギノールの爆発は欠かせないだけに、今後の復調に大きく期待したいと思う。 (打ったリンデンは立派だが、最後は相手の捕手に助けられた)次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年07月19日
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二草野遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール三中村紀左リンデン右宮出捕中谷投永井 試合回顧 打線が効果的に得点を重ね、前日の悔しいサヨナラ負けの借りを返した。 先発永井は立ち上がりに2点を失ったものの、その後は立ち直り、終わってみれば8回2失点の好投で6勝目を手に入れた。 前回登板を見逃していたため、中谷がどのように永井を引っ張っていくかに注目して観戦していたが、やはり嶋とは異なる配球をするように感じた。 嶋が永井とバッテリーを組む場合、立ち上がりは真っ直ぐの比率が高く、球威や制球が良好と見ると、本格派をリードするように真っ直ぐ中心の配球となることが少なくない。また左打者に対して内角を真っ直ぐで執拗に攻めるのも特長の1つと言えるだろう。 今日の立ち上がり、永井は真っ直ぐが走っており、制球も安定しているように見受けられた。先頭の本多、続く川崎をしっかりと打ち取ると続いては3番オーティズ。カウント1-1からの3球目、高めに浮いたスライダーをレフトスタンドに運ばれたわけだが、この配球に「なるほど」という感想を持った。 この「なるほど」は決して「見事」や「素晴らしい」という意味合いでは無い。単純に嶋とは配球に対する基本的な姿勢が違うのだろう、ということだ。 これはあくまでも個人的な意見、主観だが、嶋ならば外の真っ直ぐを要求して右方向へのファールになったのではないか、と考えた。というのも先頭打者に対してから永井の真っ直ぐは走っていたし、オーティズが初球のやや甘い真っ直ぐを見逃していたからだ。 しかし、中谷はスライダーを選択した。これは彼が配球を組み立てる上でカウントの性質、ボールカウントと打者心理というものを最も重視しているからではないか、と思うのだ。 投手の調子、打者の反応を考えれば、真っ直ぐ。カウントによる打者心理を優先するならばスライダー、というわけだ。カウント1-1の基本的な考え方は「打者が100%打ち気。打ち気を利用して凡打ゾーンの変化球、チェンジアップが有効」というものになる。それで中谷は打者の打ち気を利用して外角のスライダーで凡打を狙いに行き、永井の投じたボールが要求よりも高く甘く入った為にホームランになったのではないかと考えられるのだ。 もちろんこれは分かりやすい只の一例である。何も中谷がカウント1-1で常にゴロゾーンに変化球を要求しているわけではない。ただ、ここ数試合彼の配球を見ていて、総じてこういった傾向、カウントの性質を重視した配球が見られたということだ。どちらかと言えば投手のその日の良いボールを活かそうという印象がある嶋との違いがそこにある。無論、どちらが正しいということはない。投手優先、打者優先、状況優先と配球には様々なパターンがあり、それをいかに適切なタイミングで行えるかが重要なのだ。だからこそ配球は難しい。 だからこそ配球は、楽しい。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年07月11日
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二草野遊渡辺直中鉄平指山崎武一セギノール左リンデン三中村紀右平石捕嶋投田中 試合回顧 【野村監督は「労多くして功なし」とがっくり。初球の甘い変化球を見逃した末に打ち取られた中村紀に、「古い野球をしている。フォークが来る前に打てというのが今の考え方なのに」と苦言を呈した。】 引用元sanspo 一体いつまで「昔の名前」でのプレーを続けるのだろうか。センターから右に高々と舞い上がった打球がフェンスの前で失速し、グラブへと収まる。そんな光景を開幕から何度見てきたのだろう。 今日のサードゴロも「考える野球」が出来ていないことが顕著に現れていた。上述した監督のコメント通り、狙うべきは追い込まれる前のスライダーだった。 まず状況は11回表1死3塁だ。相手バッテリー(投手馬原)からすれば3塁走者聖澤の脚を考えれば外野フライも許されない場面。右方向への大きなアタリもある中村紀に対し、狙うは三振かフォークを引っ掛けさせての内野ゴロとなる。そうなると初球の選択肢は限られる。まず外角の真っ直ぐは考えられない。「追い込まれるまで真っ直ぐ狙い」である可能性を考えれば、右方向への外野フライを避ける為にこれはありえない。そうなると残りの選択肢は歩かせることも視野に入れ、振ってくれればもうけもの、というボールになるフォークか、勝負することを前提としたカウントを稼ぐ外角へのスライダーという2種類になる。もう1つあるとすればその後への布石となる内角へのボール球の真っ直ぐだが、少し甘く入れば外野まで運ばれる危険性があるため可能性は極めて低い。 そう考えていくと、低め一杯のボールを捨て、カウントを稼ぎにくるスライダーに狙いを絞るのが賢明だ。結果的にそのボールが来なかったにせよ、追い込まれれば馬原の150キロを超える真っ直ぐを追いかけながらフォークもマークしなければならなくなる。そうなれば十中八九真っ直ぐを振り遅れのファールにし、フォークで打ち取られるのが関の山だ。ならば追い込まれる前に球種を絞り「勝負をかける」べきだったのではないか。 2日前のマリーンズ戦でもこんな場面があった。0-0無死2塁の場面で打席には中村紀。カウント0-1から内角の甘い真っ直ぐを見逃し、結局凡打に倒れて得点を奪えずに終わった。 先制点を取る絶好の場面。無死2塁であれば当然右方向への打球(進塁打)を打ちたいところだ。だが、相手からすれば、まずそれを防ぎたい。そうなると当然進塁打を防ぐために内角のボールが来る可能性が高くなる。しかもカウントは打者有利の0-1で相手は真っ直ぐでストライクを奪いたいところだ。 つまり、狙い打ち(内角の真っ直ぐ)するならここしかない、という状況なのだ。にもかかわらずあっさりと見逃してしまった。「チームバッティングに徹し、内角を捨てていた」という解釈も出来るが、彼に求められている一番の仕事は長打であり、打点を挙げることのはずだ。加えて、「無死2塁で右狙い」はセオリーではあるが、それが絶対ではないということ。時にはあえてセオリーの逆を取ることで相手の裏をかくことも出来るのだ。これが出来るのがイーグルスでは高須洋介であり、球界全体でこういった駆け引きのスペシャリストと言えるのがドラゴンズの井端弘和である(スワローズ宮本慎也もその一人)。 何も中村紀に彼らのような技巧派、アベレージヒッターになれと言っているのではない。しかし、年齢による衰えを隠せない以上、過去の栄光にすがり付くような取り組みではチームの足を引っ張るばかりだ。何故山崎武司が39歳にして二冠王に輝くことが出来たのか考えてみてほしい。肉体的な衰えを考える力によって埋めるというお手本がすぐ隣にいるのだ。「古い野球」を続けていては、いつまで経っても野村野球を体得することは出来ない。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年07月10日
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二草野遊小坂中鉄平指山崎武一憲史左リンデン三中村紀右平石捕中谷投川井 試合回顧 長い長いトンネルをようやく抜け出すことが出来た。人材難の投手陣の中でお世辞にも主力とは言えない選手達が相手の追撃を振り切ってくれた。 立ち上がりの川井は原点の制球が良く、これならば試合を作ってくれそうだ、という印象を抱かせた。6回途中にピンチを招いて降板したものの、責任投球回である5回をきっちりと投げ抜いてくれたのは、非常に大きかったように思う。 2番手福盛は昨日の復帰初登板こそいきなりの押し出し四球でファンの不興を買ったが、今日はナックルカーブでしっかりとカウントを稼ぎ、得意のフォークでまずまず仕事を果たしていた。真っ直ぐのスピードは相変わらず物足りないが、この2つの変化球をしっかりとコントロール出来れば、今後もリリーフ陣の一角として役目を果たしてくれるのではないかと思う。本人もヒーローインタビューで言っていたが、結果を残すことでしかファンとの溝は埋まらない。彼の禊ぎはまだ始まったばかりだ。 それからここ数試合先発マスクが続いている中谷について。まだ数試合しか見ていないので断言は出来ないが、印象としてはさすがに10年以上プロの世界に身を置き、阪神時代に野村監督の下でプレーをしていた(一軍での出場をほとんど無かったようだが)だけあって、カウントの性質をしっかりと把握していると感じることが出来た。 ここ2試合の配球傾向としては、0-0、0-1、0-2、1-2といったストライクの欲しいカウント、言い換えれば打者が甘い真っ直ぐを待っているカウントでの変化球の使用率が非常に高いことが挙げられる。もちろんこれは本格派とは言えない藤原や川井と組んだから、という理由もあるが、カウントの稼ぎ方が非常に慎重な印象があった。これはスタメンを争う嶋よりもどちらかと言えばライオンズの細川亨に似た傾向だ。今後、田中や永井とバッテリーを組む試合を観戦すればこの印象は変わるかもしれないが、今のところ彼に対し「このキャッチャーでは厳しい」というようなネガティブな印象は抱いていない。だが、スタメンに定着し、相手に配球傾向を研究されてからが本当の勝負となる。願わくばこちらの期待を上回り、信頼感のある捕手として投手陣を牽引してもらいたい。 試合終了後、久々の勝利に沸きあがるベンチの中で、一人厳しい表情をしていた嶋は何を思ったか。このままでは終われない。終わって良いはずが、ない。次回更新を希望される方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年07月09日
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何故こうも失点が続くのか。ストライクが入らないのか。負の連鎖と一言で片付けることも出来るが、それでは解決にならない。 ヒーローインタビューでロッテの田中雅は「後ろに井口さんがいるので自分を追い込まずに打席に入れた」と話した。イーグルスの投手陣にこのような信頼感があるだろうか? 頼れる存在がいるだろうか? 答えはNOだ。 例えばドラゴンズなら2点差で8回のマウンドに上がる投手は「後ろに岩瀬がいるから1点は平気」という気楽さがある。タイガーズにおいては藤川がその存在にあたる。イーグルスにはそういった投手が存在しない。誰もが知らず知らずの間に自らを追い込み、自分を見失い、投球のバランスを崩す。バランスの崩れたフォームから繰り出されるボールはホームベースの上を横切ることなく、捕手のミットへと吸い込まれる。繰り返されるボールのジャッジ。繰り返すことすら出来なくなる投手へのボヤキ。 「ストッパーがいない」。一体このコメントが何度耳目に触れたのだろう。分かりきっているウィークポイント。それでも動かない、否、動いたとしても適材を見つけられないフロント。ドミンゴをクビにし、新たにやってきた助っ人はクビにされた彼よりも、新助っ人獲得に動かざるを得ない程度の信頼感しか与えられていないグウィンよりも遥か下で彷徨い、ファームのマウンドに登り続ける。 エースが戻って来ようとも、川岸が戻って来ようとも、問題が完全に解決されることはない。それは誰もが暗黙に理解していること。 それでも補強に動かないのであれば、フロントに本気で優勝する気など無いということ。資金が無いのであれば仕方が無い。だが、単純に勝つ気が無いのであれば、今後何年応援を続けようともイーグルスが優勝することはないだろう。プレーオフ進出からの日本シリーズ出場で御の字。これがフロントや親会社の本音なのではないか。 12球団中6球団にチャンスのあるチャンピオンに大きな価値や名誉があるとは思わない。ペナントを制し、セのチャンピオンを倒してこそ本当の日本一だ。 それを目指す気が本当にあるのか。それとも単なる親会社の宣伝の道具なのか。 もしくは優勝を願っている自分が間違いなのか。「イーグルスは存在するだけで良い」。そう考えるのが正しいスタンスなのか。今季終了後に大幅な選手の入れ替えがあるのだろうか? そんなことを考えてしまう8つ目の黒星だった。
2009年07月08日
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一リック遊小坂左草野指山崎武中鉄平三中村紀右中村真捕嶋二内村投田中 試合回顧 1つ年下のホープとの投げ合い。だが、試合前から田中将大の勝利を確信していた。格が違う。ましてやファン注目の由規との投げ合いで田中が燃えないはずがなく、彼が負けるはずがない。これは予感というよりも確信と呼べるものだった。WBCのイチローではないが、田中は「持っている」選手だからだ。 田中は初回こそボールが抜け気味で真ん中寄りに集まっていたが、3回あたりから本来の制球を取り戻していった。嶋もスライダー主体に切り替え、初球から有効にカウントを稼ぐリードを見せていた。 期待通りの投手戦となったこの一戦。勝敗を分けたのは、両先発の投手としての完成度の違いだった。 常時150キロ前後の直球を投げ、力で押し続ける由規と変化球で巧みに打者の打ち気を外し、フォークで三振を奪う田中。それぞれが迎えた6、7回のピンチに両者の現時点での力量の差が明確に表れていた。 先にピンチを迎えたのは由規。1死満塁で中村真を迎え、スライダー2つであっさりと追い込む。だが、続く3球目高めの真っ直ぐをレフトへと運ばれ決勝点となる犠牲フライを許す。 由規はあれだけの真っ直ぐを持っていながら7イニングを投げて奪三振が2しかない。つまり(制球に不安があることを含め)追い込んでから空振りを奪うボールが無いのだ。よって結局は自慢の真っ直ぐに頼ることになる。だが、いくら真っ直ぐが速かろうともプロのレギュラークラスの打者にそれだけでは三振は奪えない。もしも彼に田中の様な落差と精度のフォークがあれば中村真は簡単に三振していただろう。 一方の田中は1点をプレゼントされた直後先頭の青木に二塁打を許すものの、後続を三者三振に打ち取る。デントナへは高めのつり球だったが、続くガイエル。宮本には得意のフォークで見事に三振を奪った。 田中と由規の差。真っ直ぐだけでなくスライダーで確実にカウントを稼ぐ。追い込んでからフォークで空振りを奪える。完投を見据え力の入れ所、抜き所をわきまえている。ここ一番での勝負度胸がある。これが田中将大にあり、今日の由規には無かった部分だ。 しかし、あれだけ制球が不安定であり、真っ直ぐへの依存度が高い状況下で7回1失点でまとめる辺りに由規の潜在能力と末恐ろしさを感じたのも事実。彼に制球力が身に付き、カウントの稼げる変化球、空振りの奪える変化球が備わった際にはきっと球界を代表する投手となることだろう。それくらい素晴らしい将来性を感じる投手だった。 だが、今日に限って言えばプロとしての一日の長、投手としての完成度に明らかな差があった。スコア以上の力の差、格の違いを田中は1つ下の後輩に見せ付けたのだ。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年05月20日
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一リック捕嶋左草野指山崎武三中村紀右中島中宮出二塩川二内村投永井 試合回顧 勝てる試合を落とした。本当にもったいない内容のゲームだった。 先発永井は4回までに2点を失ったものの、その後は立ち直りホークス打線を見事に抑え付けていた。勝たせてあげたかった。それが率直な感想だ。 今日の敗因は好機を逃してしまった打線と嶋の配球にあったと思う。打線は二度の満塁のチャンスを逸し、勝ち越しのチャンスを逃してしまったわけだが、その中でも7回2死の内村の打撃内容には正直落胆した。 満塁でカウントは1-2。そして4球目の高めのボール球を打ちにいき、あえなくレフトフライに打ち取られてしまった。ここで何故打ちにいったのか。甘い真っ直ぐならば理解出来る。だが、高めのボール球の真っ直ぐを非力な内村が打ちにいったところで好結果が得られる可能性は少なかったはずだ。もし見逃せていればカウントは1-3となり、四球を選べば押し出しで勝ち越しとなったのだ。彼の特長・持ち味は俊足と小柄な体型によるストライクゾーンの狭さだ。それを考えればポップフライになりやすい高めのボール球は最も手を出してはいけないものだったのではないか。本人としては永井が頑張っているし、何とかしてやろうという気持ちを持っていたのだろうが、その気持ちがこの場面では裏目に出てしまったとしか言い様が無い。やはりこういった辺りに若い彼の経験不足を感じずにはいられなかった。 そして嶋の配球。先制点となった小久保のレフト前タイムリーは永井の失投ではあったが、これは防ぐことが出来た失点であったように思う。 初回2死2塁の場面。カウント0-1から真っ直ぐでカウントを取りに行き、シュート回転したボールが甘く入ってタイムリーを許したわけだが、小久保の真っ直ぐに強く、真っ直ぐや内角への意識が強いという特長を考慮すれば、スライダーで行くべきだったのではないだろうか。 これが走者のいない場面であれば、配球のパターン化を阻止する意味で真っ直ぐでいく(単打ならOK)というのは一つの正しい選択だと思うが、2死2塁、ワンヒットで1点という状況と0-1というストライクの欲しいカウント、打者が真っ直ぐを待っている公算が高いカウントで真っ直ぐを使うというのはリスクが高かったのではないか。 そして延長10回、マウント上には2番手小山。先頭の柴原に対する配球は見事だったが、次の城所への配球がいただけなかった。 城所は打率が1割を切っている打者で、マウント上には真っ直ぐで押す本格派の小山。状況は1死走者無し。ここで防がなければいけないのはまさかの一発と右中間を割るヒット(三塁打)であった。 不調で打力の無い打者のあの場面での対小山に対する心理として最も考えられるのは「追い込まれるまでは真っ直ぐ一本」だろう。嶋としては城所と小山の力関係でいけば、真っ直ぐで押せる、と考えたのだろうが、避けなければいけない一発や三塁打を打たれる危険性があるとすれば甘く入った真っ直ぐだけだったはずだ。1死なのだから、変化球を軽く当てられてのヒットは致し方が無いし、致命傷にはならない。そう考えていけば、あの真っ直ぐは残念ながら結果的に致命的なミスと言えるものだろう。 本当にもったいなかった。アギーラに対する配球や5回の森本・川崎に対する0-2からの真っ直ぐ攻めなどは状況と永井の調子に合わせた素晴らしいものだっただけに、初回と最終回(10回)の1球のミスがなんとも悔やまれる痛恨の一敗だ。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年05月15日
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遊渡辺直二小坂左草野指山崎武三中村紀一セギノール右中村真捕嶋中聖澤投田中 試合回顧 中13日での先発登板。田中に今季これまでのような投球は見られなかった。しかし、そんな状態の中でも7回3点に抑え、試合を作ることが出来たのは彼の地力の高さの証明だ。 今日は立ち上がりから真っ直ぐが高めに浮き、球威もあまりなかった。率直に書けば、昨年の悪い時の田中に戻ってしまったかのような内容であった。ただそれでも試合を作れたのは彼の球種の豊富さと投手としての「格」だろう。 岩隈もそうだが、今季の田中は「顔」で相手を萎縮させる。「そうそうは打てない」「大量点は望めない」という風に試合開始時から相手に重圧を与えている。それによって相手本来の打撃をさせず、悪いながらも崩れずに投球を続けられた。この勝利で次回には本来の彼の投球を取り戻してくれることを願いたい。 攻撃面で目に付いたのはやはり中々お目にかかれない二者連続のスクイズによる得点だろう。イーグルスのスピードスター二人が鮮やかに決めてくれた。 特に聖澤は相手のエラーに乗じて一気に三塁を陥れるなど、自慢の脚力を存分に発揮していた。彼には「パの赤星憲広」と呼ばれるような選手になってほしいと願っているだけに、今日の活躍は非常に嬉しいものだった。 そして非常に残念なのが渡辺直の怪我。これはチームにとってあまりにも大きな痛手だ。守備に関しては球界最高峰の遊撃手である小坂によってその穴を埋めることは出来るが、攻撃面で彼の代わりが勤まる選手は存在しない。 リーグ4位、そしてチームナンバー1の出塁率を誇るリードオフマンである彼が今季これまで果たしてきた役割は非常に大きい。とにかく塁に出ることに集中し、追い込まれてからも高い選球眼やカットの技術で多くの四球を選んできた。過小評価されがちだが、彼の投手に球数を投げさせる技術、仕事ぶりはもっと高く評価されるべきだ。 しかし、起きてしまったことはどうにもならない以上、後は出来るだけ早く復帰してくれることを願うのみだ。この怪我によって内村、塩川はチャンスを得ることになる。渡辺以上の働きは難しいだろうが、少しでも近づくべく、出塁に執着してほしい。イーグルスの攻撃のリズム、繋ぎの意識は渡辺直人の出塁によってより発揮されてきたのだから。 <<追記>> 渡辺直人の怪我は診断の結果全治1週間とのこと。重傷じゃなくて本当に良かった・・・。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年05月13日
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遊渡辺直右中村真左草野指山崎武三中村紀一セギノール二高須中鉄平捕嶋投長谷部 試合回顧 チーム、そして先発長谷部が連勝を飾り、田中の離脱によって3連敗も覚悟していたライオンズ戦の勝ち越しに成功した。 今日の長谷部は本人のコメント通り、決して絶好調と言えるような内容(7回6安打6四死球)では無かった。ただそんな状態の中でも、右打者に対して内角を厳しく攻められたのがこの好投の要因の一つだろう。 最も大きな要因は嶋の配球にあったと思う。初回の失点は彼の責任も大きかったが、2回以降は栗山の二本目のヒットを除けば、個人的にはほぼ文句の無いものだった。 その栗山に打たれた2本のヒットはいずれも追い込んでから変化球を狙われたものだった。栗山の追い込まれてからの第1、第3打席での対応は極端に真っ直ぐに遅れており(逆方向へのファール)、「真っ直ぐをカットしながらの変化球狙い」であるように感じられたが、しつこく真っ直ぐをファールにされて球数がかさむことを嫌ったのか望み通り変化球を要求してヒットを許した(第4打席は逆に明らかな真っ直ぐ狙いを変化球で交わしたが)。 1回の攻防が終わった後、嶋は監督から講義を受けていたが、おそらくこの栗山への配球と、積極性の強い先頭片岡に対して不用意に初球から外の真っ直ぐでカウントを取りにいったこと(使うなら内角)に対して注意をされていたのではないかと推測する。 だが、このお灸が効いたのか、2回以降、特に4番中村に対して良いリードをしていたように思う。 第1打席で中村は前述した栗山とは正反対に、追い込まれているにも関わらず外角の真っ直ぐを引っ張りショートゴロになる。加えて2球目のチェンジアップ、3球目のスライダー(ボール)には手を出してこなかった。この段階で「今日の中村は昨日に続いて真っ直ぐ狙いか」という風に嶋は感じたのではないだろうか。 第2打席はぶつけてしまったが、第3打席もスライダーを入り球(見逃しストライク)、決め球(空振り)とうまく使い、ストライクゾーンの真っ直ぐは中村の弱点である内角高めのみを使用(ファール)して計算通り打ち取ることに成功していた。 ここでは分かりやすい例を紹介したが、今日は全体的に嶋の洞察力によってライオンズ打線を抑えていた印象があった。勝利投手となった長谷部には悪いが、今日は嶋と相手捕手の銀仁朗に勝たせてもらった試合だろう。2試合連続で先発としての勝利とはなったが、決して慢心することなく次回の登板に臨んでほしい。また、チームとして対ライオンズ戦という観点では、正捕手細川が離脱している間に叩いておきたいところだ。細川ならば絶好調草野に対しカウント2-1から外からのスライダーなど要求するはずはない。 それから最後に高須の怪我の容態が非常に心配だ。チーム1勝負強く、バントの巧い彼が長期間抜けることとなればかなりの痛手となる。小坂や内村は守備・走塁の面では高須を上回るが、打撃面で大きく見劣りするだけに、彼の穴を埋めるのは容易ではないだろう。「必殺仕事人」の一日でも早い復帰を心から願っている。 一手間お願いします・・・「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年05月06日
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遊渡辺直二高須右草野指山崎武三中村紀一セギノール左リック中鉄平捕嶋投井坂 試合回顧 ルーキー井坂がプロ入り初先発で見事勝利を収め、王者ライオンズ相手の連敗を阻止した。 井坂は立ち上がりから小気味良いテンポでコーナーにボールを集め、6回3失点で勝利投手となった。彼を初めて見た印象としてはテンポ、制球、カウントの稼げる変化球を含めた球種の豊富さが長所で、球威の無さ、意識付けに欠ける点が短所といった感じだった。 この短所が彼の今後を左右しそうだ。タイプとしては細長い体躯から投げ下ろすスタイルで岩隈に似たモノがあるが、様々な点でまだエースには遠く及ばない。 まず岩隈ほど真っ直ぐに球威が無く、球持ちも良くない。あまりにもボールが素直だ。続いてシュート。一応投げていたように思うが、変化量、キレに乏しい。そして球威が無く、絶対的な変化球も無い(岩隈にはフォークがある)為に、比較的A型※で処しやすく、追い込んでも簡単には打ち取れない(2-0、2-1からの四球がいくつかあった)。また少し甘く入れば途端に良い当たりを飛ばされる。 これらは6回117球という球数と中村に打たれたホームランや2ベースなどを思い出してもらえれば分かるだろう。 ただ、上記のような課題はあるものの、初登板で勝利を飾った好投は充分に賞賛に値する。今後もローテーションの谷間や長谷部の出来次第で先発としての出番は与えられるだろう。その際には相手に今日の内容を研究されることは必至なのでこれからの登板こそが彼の試金石となるはずだ。 バッテリーを組んだ嶋も3点こそ与えたものの、初先発のルーキーを引っ張る好リードだったと思う。失点に繋がった中村の2安打は共に井坂の失投であり、ホームランを打たれた球も要求はボールだった。 一方の片岡に打たれたタイムリー2ベースは中村紀の欠点が浮き彫りになった場面だった。彼はハンドリング、スローイングは一級品だが、脚力が無く、守備範囲が狭い。イーグルスの前に所属していたドラゴンズの落合監督曰く「動いてる範囲は森野(将彦)の半分」とのこと。守備範囲の広いサードであれば、アウトや内野安打止まりで済んだ可能性もあった(とは言えフェルナンデスに比べたら充分な守備能力の持ち主だが)。 攻撃面では待望のセギノールの一発も飛び出すなど、好調を維持。その中で目に付いたのは、二度あった1,3塁の場面での一塁走者の二盗だ。 これは前日のダブルスチールの影響が非常に強く出ていた。平たく言えば、3塁走者の本塁生還を恐れて捕手が2塁に送球出来なかったということだ。これこそが1,3塁での重盗、奇襲の効果であり、野村野球の醍醐味の1つと言えるだろう。 今季はここまで監督の目指す攻撃が充分に体現出来ている(特に渡辺直、高須)。今後もこの調子で得点を重ね、少しでも投手陣を楽にしてもらいたいと思う。 ※直球に重点を置きながら変化球に対応する 最近クリックが少なくモチベーション低下中です…。ご協力お願いします。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年05月05日
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遊渡辺直二高須左草野指山崎武三中村紀一リック右中島中鉄平捕嶋投永井 試合回顧 今季最多となる12得点でカード初戦を制し、見事3連勝を飾った。 先発永井は絶好調とはいかないものの、立ち上がりから真っ直ぐに球威があり、バファローズ打線はローズを筆頭に真っ直ぐに差し込まれる打者が目立っていた。 5回に入り、真っ直ぐを狙われ始めると、嶋がそこから変化球の割合を増やしてうまく打者を交わしていったのも2失点完投の要因であった(特に後藤は露骨な真っ直ぐ狙いだった)。 しかし一番の勝因はやはり、今季最高の爆発を見せた打撃陣だろう。その中でも反撃の口火を切る同点タイムリーを放った高須の一打には彼らしい戦略が見えた。 3回。1死1、3塁で打席には高須。まず、攻撃をする上で理想的とされるのがこの1,3塁という状況だ。内野手が牽制球に備える為ヒットゾーンが広がるのがその理由で、広がっている1.2塁間を狙い、再び1,3塁という状況を作り出すことで連打のチャンスを拡大させるというのが攻撃する側から見て最も望まれる形となる。 ただ逆に言えば守る側からすればこれをやられるのが一番堪える。そんな状況で右打ちが巧い高須が打席に入れば、相手捕手は当然右方向へのヒットを阻止しようと考える。(左対右ということもあり)そうなると当然導き出されるのは内角攻めだ。 こういったことを踏まえ、高須は初球の内角の真っ直ぐを振りぬき、左方向へ見事なタイムリー2ベースを放つ。普段右方向への打球が目立つ彼だが、ここ一番で相手捕手の心理を見抜き、「C型」※としての本領を発揮した。 続いてタイムリーを放った他の打者達も見事だった(鉄平の追い込まれてからの逆らわない打撃も◎)が、まず同点に持ち込み、相手バッテリーに大きなダメージを与えた高須の仕事ぶりは「必殺仕事人」の名に恥じない素晴らしいものだった。 ※(右か左か打球方向を決めて打つ)「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年05月01日
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遊渡辺直二高須左草野指山崎武三中村紀中鉄平一セギノール右中村真捕嶋投長谷部 試合回顧 期待の2年目左腕長谷部康平が先発として初勝利を挙げたが、内容的にはどちらに転んでもおかしくないゲームだった。 初回、2回の先頭打者に真っ直ぐで簡単にカウントを取りにいったところを痛打されるなど、まだまだ随所に甘さが残る投球だったのは否めない。 そんな中目を引いたのは4回の小谷野に対する投球だった。初球に大きなスローカーブ、2球目に100キロ台のチェンジアップで簡単に追い込んだのだが、こういった緩いボールの使い方こそが彼が先発として生き残っていく為に必要なものなのではないだろうか。 プロ入りする際の長谷部評は「150キロ近い真っ直ぐと三種類のチェンジアップを投げ分けるアマ球界屈指の左腕」といったものだったが、実際にプロの世界に入ってからはそういった片鱗が全く見られなかった。昨年は膝の故障の影響があった為、真っ直ぐが走らないという理由はあったが、期待したチェンジアップの投げわけとそれによる打者への意識付けというものが全く出来ていなかった印象がある。 今季も良い時は真っ直ぐが走っている時で、それが良くない時にチェンジアップでカバーするといったところまでは行き着いていない。 野村監督は昨年のオープン戦の時期に「長谷部にはチェンジアップという意識付けが出来る球種があるから捕手は腕の見せ所だな」と語っていたが、公式戦での長谷部はそれが出来ておらず制球も安定感に欠ける為、どうしても投球が苦しくなる。今日の試合後の「長谷部はどこが良いんだ?」というコメントにもそれは表れているのではないだろうか。 今日は味方の攻守に渡る援護があった為何とか勝ち星を拾うことができたが、チェンジアップによる意識付けが出来ない限り、今後も安心して見ていられる内容は望めないと考えている。 せっかく勝ったのだから、こういった不安や不満ばかりを書きたくはないのだが、彼には岩隈、田中に次ぐローテの柱になってほしいし、そうなれる資質があると思うからこそ注文を付けたい。 それからバッテリーを組んだ嶋。5回に金子誠に許したタイムリーは彼のミスによるものだったと思う。 金子は初球、内寄りのやや甘い真っ直ぐを見逃し、2球目のボール球のチェンジアップに手を出してきた。ここで金子が変化球を狙っていると感じられたが、嶋はカウント2-1からスライダーを選択し、これをレフト前へと運ばれる。見逃せばボールという低いボールを見事に捉えられたことも踏まえて考えれば、これは狙われたと言っていいのではないかと思う。 たかが1球かもしれないが、力の足りない投手をリードする際にはその1球が命取りとなり、敗戦に繋がってしまうもの。バッテリーには「勝って兜の緒を締めよ」という気持ちで次の試合に臨んでほしい。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月30日
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遊渡辺直二高須三中村紀一セギノール指山崎武左草野右中島中鉄平捕嶋投田中 試合回顧 抜群の安定感で田中将大が開幕から4試合連続の完投勝利を収め、見事野村監督に通産1500勝をプレゼントした。 特に今日は立ち上がりから抜群の原点能力を見せ、文字通りファイターズ打線を力で捻じ伏せた内容だった。 真っ直ぐでストライクを先行させることによって追い込んでからの攻めに余裕を持つことが出来たのが今日の好投の要因であるように思う。 真っ直ぐ主体でカウント2-0、2-1となれば、打者は今日の田中の出来から言って、非常に対応が難しくなったはずだ。落ちるボールで誘ってくるのではないか、と変化球に意識を高めれば真っ直ぐに対応できず、真っ直ぐに遅れないように、と考えれば、誘い球のフォークやスライダーにバットが止まらない。つまり真っ直ぐによる意識付けによって全ての球種が活きてくるのだ。 点差が2点になった7回は余裕が油断になってしまった感はあったが、1点なら良い、四球でランナーを溜めてはいけない、という意識の下でフルカウントから打たれたホームランなので、大きな問題とは言えないだろう。 これで防御率は0.50。開幕から36イニングを一人で投げきり、4月の月間MVPは確定的だ。 「ガラスのエース」を追いかける二十歳の鉄腕。イーグルスのエース交代はカウントダウンに入ったのかもしれない。 ※毎度毎度のナイスピッチングで書くことが無くなってきたのが嬉しい悲鳴。但し、安打多くして得点少なしは解消されず・・・。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月29日
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一昨日のホークス戦、イーグルスはエース岩隈が7回無失点の好投を見せるものの、救援陣が炎上し、貴重な星を落としてしまった。 これによって野村監督が試合後「エースがあれでは困る」「すぐにマウンドを降りたがる」と岩隈を非難した、という報道が出た。 この報道に対し、イーグルスファンから様々な意見が出ているようだが、全体的には岩隈を擁護する人が多数を占めている印象がある。 私の意見はというと、正直なところどちらが正しいとも間違っているとも思っていない。まず岩隈自身が降りたくてマウンドを降りているわけではない、というのがある。出来ることならば最後までマウンドに立っていたいはずだ。しかし、肘や肩に不安のある自分が無理して続投すれば、その日は勝てるかもしれないが、それが原因で故障すればチームは早々に優勝争いから脱落し、チームやファンなど自分に関わる全ての人に迷惑が掛かる、という気持ちがあるからこそ降板を申し入れたはずなのだ。 こういった彼の気持ちはイーグルスファンなら皆理解の出来るものだと思う。ただでさえ投手が足りない台所事情なのに、エースである自分が抜けてしまったら、そう考えるのは極めて自然なことだ。だからこそ岩隈を擁護する人が多いのだと思う。 しかしそれと同時に、監督を非難する意見や反論も見かける。その中には「監督は理想が高すぎる」「今は先発・完投の時代ではない」といった理解できるものだけではなく、「野村は今年で最後だから勝つことだけで岩隈の将来を考えていない」というような中傷ともとれるものもある。 はっきり言ってそんなことはありえない。岩隈が故障して一番困るのは(当人を除けば)野村監督自身だからだ。では何故監督が岩隈に苦言を呈するのか。 監督には「エースは鑑であってほしい」という願望がある。他の投手に対して「岩隈を見習え」というだけでチームが正しい方向へと進む、そんな希望があるのだと思う。「中心なき組織は機能しない」という監督の哲学から名実共にエースと呼べる存在になってほしいと強く願っているのだ。 イーグルスファンご承知のように監督は期待の大きい選手、給料の高い選手にほど厳しい。しかしただそれだけの理由で岩隈に苦言を呈しているのではないのではないか。岩隈の持つ能力・人間性を考えれば、将来監督やコーチとして球界に残ることが出来ると思っているからこそ、誰よりも彼を評価しているからこそ厳しい発言をしているのだと思うのだ。 「信は万物の基を成す」と言って憚らない監督がわざわざエースとの信頼関係を壊すとは到底考えられない。 監督は自著の中で他球団のエースだった人間が、その後監督になったものの、選手として好き勝手にやっていたために人望が無く、監督として成功出来なかった例を述べている。 岩隈が将来監督(あるいは投手コーチ)になり、投手に「もう1イニングいってくれ」と言った時に「自分は現役の時すぐに交代したくせに」という風に思われてほしくない、という親心があるからこそ、岩隈の将来を案じているからこそ自ら降板を申し出て欲しくないのだと思う。 一部スポーツ紙では岩隈が「今日の負けは岩隈にあり、そう書いておいてください。どうせそう言われるでしょう」といった半ば投げやりとも取れるような記事が掲載されていたようだが、どうか岩隈には理解してほしい。 こんな一ファンが書くブログなど彼自身が見るわけはないと分かってはいるが、「絆」を大切にしようとする彼にこういったことで監督との関係を悪くしてほしくない。 それからイーグルスファンの方々にも岩隈・野村監督の両者をどうか責めないでほしい。両者の発言・行動はチームの為、あるいは選手の将来の為という気持ちから出たものであり、決して悪意はない。 ただ1つだけ監督にお願いしたいのは、メディアに対し「岩隈病」などというシニカルな表現は今後謹んで欲しいということだ。いくら期待の裏返しとはいえ、ものには言い方というものがある。勢いで口走ってしまったのだとは思うが、選手は監督の発言には敏感に反応するはずなので、記者に対するリップサービスもほどほどにしてもらいたい。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月27日
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遊渡辺直二高須左リック一セギノール三中村紀指山崎武右中島中鉄平捕嶋投ラズナー 試合回顧 前日に勝てる試合を取りこぼしただけに、勝てば非常に大きなゲームだったが、見事な完封リレーで貴重な貴重な1勝を手に入れた。 持ち前の制球力を発揮したラズナー、抜群の球威を見せた小山、値千金の先制弾を放った山崎武の活躍も大きかったが、個人的な今日のMVPは文句無く嶋基宏だ。 前回登板まではベテラン藤井が女房役を務めていたが、バファローズ戦の惨状を見て監督は嶋を抜擢。これが見事に功を奏した。 これまでのラズナーは武器になりうるカーブを有効に使えず、また左打者に対しての攻め方が内角のカットボールに偏っていた為、どうしても攻め方が単調になっていた。 しかし、今日バッテリーを組んだ嶋は初回に左打者に対して投球のほとんどを外角に集め、ホークス打線の裏をかいた。これは前回のラズナーの投球を見て、彼の球威ではホームラン打者を筆頭に左打者に対して内角一辺倒の攻めでは抑えきれない、という考えと普段ホークス戦では内角を使う割合が極めて高いので、相手がそれを狙ってくるだろうという読みがあったのではないかと思う。 これが見事にハマった。打力の無い高谷や金子に対しては1巡目から内角を使っていたが、それ以外の左打者に対してはラズナーの制球力を活かし、外一杯のボールでカウントを稼いで投球を楽にしていた。これによってホークスの左打者達に「いつも内角ばかりだが、今日は外角主体か?」という疑惑を持たせることが出来たのではないだろうか。 そして2巡目以降はその迷いを利用するように内外を使い分け、終始狙いを絞らせることなく配球を組み立てていた。また内角を使う際にボール覚悟の厳しい高めのカットボールを利用し、仮に内角一本に絞ってきても打たせないという工夫が見られた。 右打者に対してはカーブを使うなど外角主体で長打を防ぎ、カウントによって内角のボール球の真っ直ぐを見せるなどの配慮が見られ、終始安定した配球を見せてくれた(特に田上に対する配球は秀逸だった)。ラズナーは結局6回被安打4だったが、小久保に打たれたライト前ヒットが唯一の嶋のミスで、それ以外はほぼ完璧と言える素晴らしいリードだったと思う。 先日嶋はインタビューで岩隈など他の投手の時にも任せてもらえるようになりたい、という旨のコメントをしていたが、今日の好リードによって次回のラズナー登板の際の先発マスクの座を確定させたと言えるだろう。 将来の為に嶋を使って欲しい。そういう声もファンからは聞こえてくるが、ポジションは自分の力(結果)で掴むものだということを嶋自身はしっかりと自覚していることだろう。 「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月26日
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遊渡辺直二内村右中島一セギノール指山崎武三中村紀左リック中鉄平捕嶋投永井 試合回顧 好投手和田を前に序盤から完全に沈黙していた打線が終盤に息を吹き返し、貴重な勝利を手に入れた。 先発永井は序盤やや真っ直ぐがシュート回転している傾向があり2点を失ったものの、その後は要所を抑えて見事今季2勝目を挙げた。 初勝利の時にも取り上げたがやはり今日も目を引いたのはスライダーだ。昨年までならば左打者に対してカウントを稼ぐ方法が内角の真っ直ぐとカーブに限られていたが、スライダーという球種が加わったことによって投球、配球の選択肢が広がっている。これが無ければ長打力のある打者に対しては余程遅いボールが頭に無いという根拠が無いかぎりカーブという球種は要求しにくく、よって真っ直ぐの比重が高くなり、それを狙われる危険性が増すが、スライダーがあることで見逃しやファールでカウントを稼ぎやすくなっている印象があった。基本的に制球の良い永井だけにこの「カウントの稼げる変化球」の習得によって得られる効果は非常に大きく、これまでよりも一回り大きな投手になっていってくれるのではないかと思っている。 打線では山崎武司の2試合連続のホームランが飛び出したが、沈黙ムードを払拭する意味合いを含め非常に価値のある1発だった。 開幕から不振が続いていた山崎だが、この2試合連続のアーチは言わば必然の結果であったと思う。 彼は球種を絞って狙い打つD型の打者だが、昨日の小野、今日の和田共に狙い球をはっきりと絞ることが出来る投手であったというのがその理由だ。 まず小野は基本的にシュートピッチャーであり、縦ではなく横の変化で勝負する投手。そして山崎の弱点が内角高めにある以上、相手の攻め方が容易に想像出来る。小野ならば外に真っ直ぐ、スライダーを見せておいて内のシュートという組み合わせ(あるいはその逆)だ。 そして和田。鋭い真っ直ぐを投げる上に左対右であり弱点がそこにあるのだから当然内角攻めが多くなる。加えてカウントはバッティングカウントである1-3。こうなれば内寄りの甘い真っ直ぐの狙い撃ちである。この2本のホームランは山崎がD型であるが故に生まれたものであり、彼の特性を活かした結果であると言えるだろう(逆に言えば相手捕手の配球ミス)。 不振に陥った時の山崎は読みが合っていてもミスショットでチャンスを棒に振ってしまうのだが、この連続アーチで量産モードに入ってくれることを期待したい。それからイーグルスファンの方々には彼の見逃し三振を決して責めないでもらいたいと思う。今日の第一打席もそうだが、D型打者である以上、読みが外れての三振というのは仕方が無いことであり、只の結果に過ぎない。むしろ三振を恐れて全ての球種を追いかけていくようになれば途端に彼の強みや相手から見た嫌らしさを失ってしまうだろう。 相手の配球を読んで「勝負している」からこそのホームランであり三振。明日からもスタイルを貫く山崎のバットに期待しよう。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月24日
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右聖澤二高須中鉄平一セギノール三中村紀左草野指山崎武遊内村捕嶋投田中 試合回顧 スライド登板もなんのその。先発田中が3試合連続の完投、そして早くも今季2度目の完封勝利で無傷の3連勝を飾った。 今日もまた立ち上がりから真っ直ぐに球威があり、初回は9球連続の真っ直ぐで三者凡退に抑えるなど、「本格派」への変貌ぶりを見せ付けた。 昨季までは真っ直ぐを見せながら変化球で打ち取るというスタイルだったが、今季はまず真っ直ぐありきの組み立てが可能になっている。 そして真っ直ぐの向上と同時にシュートも威力が増している為、右打者への内角攻めに不安を感じさせなくなったのも大きい。これだけ真っ直ぐに球威があれば右対右の場面で相手打者が「外の真っ直ぐを右方向へ」という意識で合わせにくることが考えられるが、これがかえって配球を易しくしているような印象があった。 つまり相手の狙いを外し、外へはスライダー内へは速いボール(シュート)という組み合わせによって打者心理を揺さぶることが出来るのだ。これは2ストライクと追い込んだ場面でより顕著になる。カウント2-1などから外にボール気味のスライダーやフォークを投げて空振りを誘うのは常套手段だが、それ故に相手にカットされる場面も少なくない。しかし、外の誘い球に意識を奪われた後に150キロのシュートを放られれば大体は空振りか内野ゴロになる。良くてもファールだ。更にこの二つ(誘い球の変化球とシュート)をカットされて粘られれば今度は原点がある。内の速い球の後は外の変化球ではないか、という心理の死角を突くのだが、今季の田中の球威があれば空振りを奪える可能性が充分にあり、悪くても振り遅れや力負けの外野フライに打ち取ることが出来るはずだ。これは今日の井口との対戦を思い出してもらえば分かるだろう。 今日の田中を見て印象に残ったことがもう一つ。その投球フォームだ。力感充分と形容するよりも些か力が入り過ぎている感があった昨年までの2年間。しかし今季はゆったりと振りかぶり、リリースする瞬間に力を爆発させているような印象があり、脳裏に松坂大輔の姿が浮かんだ。WBCで共に戦った「平成の怪物」から「北の怪物」はその技術を吸収して帰ってきたのかもしれない。田中自身はWBCで得たものについて「試合に入り込みすぎてもいけないということとマウンドでは自分が一番だと思わなければいけないことを学んだ」と語っていたが、そういった内なるものとは別に大きな収穫を得たのではないだろうか。 これで防御率は0.33。昨季の沢村賞獲得とWBC優勝によって燃え尽き症候群が心配される岩隈にも大きな刺激となるはず。「イーグルスの次期エース」はもうすぐ後ろに来ている。2枚看板が互いを高め合い、限界を限界で無くす「MIX UP」が繰り広げられることを期待してやまない。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月22日
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遊渡辺直二高須中鉄平一セギノール三中村紀指山崎武左リック右中島捕嶋投永井 試合回顧 勝てる試合を落とした。それがイーグルスファンの総意ではないだろうか。 個人的には残念ながらこの敗戦は継投を誤った監督の采配ミスによるものだと思う。 6回。2死からバーナムジュニア、今江に連打を許し1,3塁。後には早川、福浦という左打者が並んでいるため、ここで当然有銘あるいは佐竹の投入だと思われた。だが、監督の判断はグウィンの続投。「なぜ?」という思いが消えなかった。当然得点を許す悪い予感もしていた。 先発永井が危険球により早々に降板したことによって、後ろの投手のやりくりが難しかったのは理解出来る。だが、逆転に成功し、流れを完全にこちらのものにするには絶対に無失点で終わらなければならなかったはずだ。無論左対左なら絶対に抑えれるということはないが、最善の選択だとは思えない。 加えて明日は移動日の為ゲームが無い。多少リリーフ陣に無理をさせられる(有銘などに長めに放らせる)ことが可能だったのではないだろうか。 結果的にこの1点が、その後のマリーンズ打線、中でも里崎の打席での打者心理に影響を及ぼしてしまったと感じた。 7回裏。一発が出れば同点という場面で里崎を迎える。もしもこの時の点差が(ホームランでも追いつけない)3点であったなら里崎は繋ぐことに徹し、外のボールを右方向へという意識で打席に入ったはず。しかし2点差だったことにより「一発で同点」という選択肢が彼の中に生まれてしまった。 この場面での嶋の配球も決して責めることの出来ないものだと思う。カウント1-1から明らかなストライクのカーブをボールと判定され1-2。くどいようだが、これが3点差ならば、里崎が右狙いでくる公算が高い為、インコースに真っ直ぐ(シュート)を投げるという選択肢も生まれたのだ。だが、2点差の為ストライクの欲しいカウントで真っ直ぐでカウントを取りに行くという選択肢が消されてしまった。 これには直前のストライク同然のカーブをあっさり見逃されたということも関連しているように思う。これで嶋は(カウントからいっても)真っ直ぐの一本釣りを里崎が狙っているのではないかと疑心暗鬼になる。そこで選択したのがフォーク。真っ直ぐを狙っていると思われる里崎の打ち気を交わして空振りで追い込む、という計算だ。しかしこれがど真ん中に入り痛恨の被弾。里崎はここで真っ直ぐでカウントを取りにはいけないという嶋の心理を見透かしていたのだろう。 それでも嶋を責める気にはなれない。試合の状況、打席での里崎の反応を考えれば、スライダー、カーブを見逃させるかフォークで空振りを誘うしか選択肢が無かったと思えるからだ。 これは最後に井口にサヨナラホームランを許した藤井にも同じことが言える。打たれたのは外寄りの甘いスライダーだが、状況は1死満塁で外野フライでもサヨナラの為、選択肢が限られてしまった。 外の真っ直ぐに合わされたら犠牲フライ、フォークをワイルドビッチにしたら3塁走者生還、内角の真っ直ぐをぶつけたら押し出し、甘く入っても犠牲フライか長打。こうなったら外のスライダーか小山の球威を信じて真っ直ぐで空振りを奪いにいくしかない。 一つの継投の遅れで点差が詰まり、捕手の配球の選択肢を狭めた。これが今日の敗因だと思う。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月16日
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遊内村二高須中鉄平一中村紀三草野指セギノール左リック右礒部捕嶋投田中 試合回顧 連続完封とはならなかったものの、先発田中が見事な完投勝利を収め、苦手マリーンズを相手に初勝利を挙げた。 今日も完封した前回同様、立ち上がりから真っ直ぐにキレがあり、安心して観ることが出来た。3回が終了した時点で「今日の田中なら2点あれば勝てる」という印象を持ったが結果はその通りとなった。 今日の田中-嶋のバッテリーには満点とはいかないが、95点をあげても良いのではないだろうか。 田中のミスは8回の2つの四球と福浦に打たれた2安打のみ。福浦に打たれた1本目はカウント2-0から嶋が外角のボールになるシュートで(あわよくば)3球三振を狙ったところでボール2つ分ほど甘く入ってしまった。 2本目のヒットも嶋はおそらくボール気味の真っ直ぐを投げさせ、1-1あるいは2-0とし、その後にマリーンズ打線が全く合っていないフォークを活かそうと考えていたのだと思うがこれも真ん中低めに甘く入り、2試合連続完封を逃してしまった。 もちろん3安打1失点での完投勝利は上出来であり、立派の一語に尽きる。ただ欲張りなファン心理として、今日の出来ならば2試合連続完封も可能だったと思ってしまうのである。 一方リードした嶋も今日は素晴らしい内容だったと思う。唯一の配球ミスが5回のサブローに許した二塁打だ。サブローの前を打つ大松が初球、3球目のスライダーに手を出し、2球目の真っ直ぐに反応を見せなかったことから、好調の田中に対しロッテ打線がスライダーに狙い球を絞ってきていると察知しなければならなかった。だが、その後は不用意にスライダーでカウントを取りにいくこともなく、真っ直ぐ、フォークを交えて配球に迷彩を施し、スライダーを狙っても打てないような工夫が見られた。 ただ今日の嶋が好リードをすることが出来たのは他ならぬ田中の成長によるものだと思う。まず第一に真っ直ぐが良くなったこと。昨年までの嶋であれば左打者に対して執拗な内角攻めで、甘いボールを長打される危険があったが、田中の真っ直ぐが良くなったことで、左打者に対する攻め方の選択肢が広がったように感じることが出来た。 普通、右対左の場合、外角に真っ直ぐを投げるのは、軽く合わされてレフト前、(高く甘く入れば)外野の頭を越される、というリスクが生じる為、捕手は中々要求しにくい。だが、今年の田中の球威があれば内角を強く意識させておけばファールになる公算が高い為、左打者に対して内角だけを頼りにする必要が無くなったのだと思う。 それから2つ目はスライダーの投げ分けだ。昨年まではスライダーが縦に大きな変化をしていたが、今日はそれに加えてやや小さめの横の変化、つまりカットボールのような軌道のボールが見られた。 豊富な球種を持ちながらも、変化が縦に偏るという欠点があったこれまでの田中。だが、このスライダー(カットボール)と真っ直ぐの向上と共に威力を増したシュートがあれば、よりストライクゾーンを広く使うことが出来る上に、相手打者は容易に狙い球を絞ることが出来なくなるだろう。 ルーキーイヤーが終わり、新人王を獲得した直後、このブログでは田中将大に3つの進化を求めた。クイックモーションの改善、真っ直ぐの向上、横の変化球の習得。その3つを彼は見事手に入れつつある。 止まらない成長。次の登板が待ちきれない。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月14日
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遊渡辺直二高須中鉄平一中村紀指山崎武三草野左リック右礒部捕藤井投ラズナー 試合回顧 拙攻続きの打線に終盤ようやく繋がりが生まれ、連敗を止める大きな1勝を手にした。 先発ラズナーは来日初登板の前回同様、初回からスライダー系を外角に丁寧に集め、終わってみれば3安打1失点の完投勝利を収めた。 前回と比べてどこが良かった、ということは無いが、ライオンズ打線が終始カットボールに合わなかったことで、リズム良くアウトを積み上げることに成功した。 引き続きバッテリーを組んだ藤井も、配球傾向は前回と特に変わりは無かった。おそらくライオンズ打線がカット、スライダーに苦労していたので「打たれるまではカットボールで行こう」と考えていたのではないかと思う。それが捉えられだしたらカーブの割合を徐々に増やして的を絞らせないように、という作戦だったのではないだろうか。 個人的には中島の見逃し三振などを見るともう少しカーブを使っても良いのではないか、と考えていたが、スライダー系中心で抑えられているのだから、わざわざカーブを見せてやることはない、という考えだったのだと思う。これは藤井の好判断だった。 しかし、課題が無いわけではない。8回、この日初めてランナーを背負い、セットポジションになった途端に投球が高くなった。前回も走者を出すまでは快調な投球を見せていたものの、そこから崩れだしたように、やはりセットからの投球に課題を感じさせた。だが、そこさえ改善されれば。制球力は素晴らしいものがあるので、今後もしっかりと試合を作ってくれるのではないかと思う。 打線は今日も満塁のチャンスを逸するなど、不穏な空気が漂っていたが、当たりが止まっていたリック、セギノールに待望のタイムリーが生まれ、ようやく悪い流れを払拭した。 おそらく今日のイーグルスファンの話題の中心はお立ち台に立った3人とリックだと思うが、私はあえて鉄平を取り上げたい。 というのも鉄平が昨季までとは違い、明らかな進化を見せているからだ。昨季までの鉄平は長打力こそあったものの、内も外も皆引っ張ってしまっていたために、内野ゴロが多く、打率が伸びなかった。また真ん中から外寄りの高めも同様の傾向があったためにポップフライも非常に多く、ヒットに出来るコースがかなり限定される打者という印象があったのだ。 本人はその理由を「逆方向を狙うとヘッドが下がってしまう」と語っていたが、今日を含め、今季は逆方向への逆らわないバッティング、ショートの頭上を越え、レフト前に落とす打撃が出来ている。 このように広角にヒットを打てるようになれば、相手バッテリーは非常に攻め方が難しくなる。外に投げればレフト前、真ん中から内寄りが甘く入れば長打、となれば、「ここに投げておけば安心」というゾーンが無くなってくるからだ。 今後もこの打撃を維持することが出来れば、年間を通しての3割は現実的な目標となり、チームの中心打者として大きな活躍を見せてくれるのではないだろうか。 野村監督との間に育ちつつある信頼。それを今季、確固たるものにする。 さあ「まさお」で再び連勝だ!「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月12日
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遊渡辺直二高須中鉄平一セギノール三中村紀指山崎武左リック右宮出捕嶋投長谷部 試合回顧 今日の試合結果、内容が残念ながら現在のイーグルスの状態だろう。チャンスを作り、良いところまではいくが、後1歩が足りない。 今季ここまで5勝2敗で来ていたが、相手投手の不調に助けられた試合も多く、内容的には4勝3敗、3勝4敗でもおかしくないものだった。 先発長谷部は結果的に自責点5ではあったが、今季初登板に比べれば腕も振れていたし、真っ直ぐもキレていた。勝ち星が付いても良い内容だったと思う。バッテリーを組む嶋も長谷部の真っ直ぐが良かったので右打者に対して内角の真っ直ぐを多様することが出来たのではないだろうか。 惜しまれるのはやはり初回の拙攻。セギノールは完全に蟻地獄にはまってしまっているようだ。ここ数試合ボール球や厳しい内角攻めで結果が出なかったことで、打席で完全に迷ってしまっている。 特に5回、1死1,3塁で迎えた第3打席ではそれが顕著に現れていた。ショートゴロを打った直後、「しまった」というように顔を歪め、中々1塁へと走り出さなかった。このゴロは当たりが弱く、全力疾走をしていればかなり際どいタイミングになったはずだが、それを怠った為にあっさりとライオンズに併殺を許してしまった。しっかりと全力疾走をしていたとしても、アウトだったかもしれない。だが、際どいタイミングになれば、相手のセカンドが併殺を焦り、送球を乱す可能性もある。そうなれば5回の時点で試合を振り出しに戻すことが出来たのだ。 誰にだって不調はある。ヒットが出ない時もあれば、名手がエラーをすることも。だが、そういう時こそ今自分に出来る精一杯のプレーを見せて欲しい。ベストを尽くしてダメだったのならばファンも「切り替えて次頑張れ!」と応援することが出来るが、怠慢プレーを見せられればその選手に対する怒りが湧いてきてしまう。打てなかったことよりも、必死に走らなかったことが残念でならない。 連敗となったものの、明日以降へ向けての明るい材料もあった。今季初のトップバッターに起用された渡辺直人の活躍だ。フォア・ザ・チームの精神で献身的にプレーする彼だが、打席で制限が付き、犠牲心が求められる2番はやはり適任ではないのかもしれない。高須のように安定してバントを決めることが出来ないことと初球の決め打ちや盗塁という彼の良さが半減してしまうのがその理由だ。 加えてリックの不調である。そもそも早打ちで四球が少なく、脚がない彼に1番は不適正なのだが、絶好調ならば常にヒットが期待出来る為にトップで使っていたのだろう。だが今の状態ではチームの機能性を下げるだけであり、7番への降格は至極当然の帰結と言えるだろう。 小坂の守備にも大きな魅力があるが、明日も是非1番渡辺直・2番高須のコンビでいってほしいと思う。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月11日
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左リック遊小坂中鉄平一セギノール三中村紀指山崎武二高須右横川捕藤井投岩隈 試合回顧 完敗。その一言が最も適切な表現であると思えるようなゲームだった。 先発岩隈は開幕戦同様、制球力、安定感に欠け、終始自分の投球が出来ずに終わってしまった。特に5回は力みが感じられ、本来の柔らかくしなやかな投球フォームからはかけ離れていたように見えた。WBCで日本よりも硬いマウンド、滑りやすいボールを使用していた弊害が表れているのだろうか。今後に不安を残す内容であった。 マスクを被った藤井は3回、先頭のボカチカに初球のフォークをクリーンヒットされたことで西武打線がフォークを狙いにきていると感じたのだろう。その後はフォークをほとんど使わずに配球を組み立てていた。これは良い判断だったと思う。しかし、いかんせん今日の岩隈は真っ直ぐの制球を著しく欠いていた為、西武打線を抑えきるには至らなかった。 内容が完敗だったこともあるが、今日は終始西武の正捕手である細川に感心しながら観戦していた。 彼の優れたところは、肩の強さはもちろんだが、カウントの性質、ボールカウントと打者心理というものを完全に掌握していることと、打者に対する洞察力の高さだ。 0-0、0-1、0-2、1-3といった打者が甘い真っ直ぐを狙っているカウントで、不用意に真っ直ぐでカウントを取りにいくということが皆無だった。特に初球の入り方が実に慎重で、ほとんどがスライダー、カーブ、シュートだった。 早打ちのリックにはカーブ、スライダー、打力の無い小坂には内角の真っ直ぐ、内角の弱い山崎、右打ちのうまい高須にはシュートといった具合に入り球を使い分け、投手有利のカウントを作り出すのが実に巧かった。もちろんこれは涌井の球種の豊富さ、制球の良さがあればこそなのだが、そういった彼の良さを細川は存分に引き出していたように思う。 西武側から見て唯一のピンチだった3回2死満塁の場面でも、セギノールの弱点である選球眼の悪さを利用した巧みな配球を見せていた。 まず初球は低めのボールになるフォーク。ローボールヒッターであり、満塁のチャンスで意気込んでいたであろうセギノールの心理を読んだように空振りを誘う。 2球目。これも高めの真っ直ぐの見極めが出来ないというセギノールの欠点を突き、カウント2-0. 3,4球目は同様のボールで誘うものの見逃され2-2. そして5球目。初球の空振り、3,4球目の見逃し方から、フォークと高めの真っ直ぐに完全に意識を奪われたセギノールの心理を読みきり、外角の真っ直ぐで空振り三振。データと洞察力を活かした見事な配球であった。 巨星古田敦也がユニフォームを脱ぎ、球界を代表する捕手である谷繁元信に年齢的な衰えが見え始めている今、球界最高の捕手はこの細川亨ではないかと考えている。昨シーズンに対戦した際も良い捕手だと感心し、そういったことを記事にしてきたが、今日の試合を見てよりその思いは強くなった。 「優勝チームに名捕手あり」。昨シーズンの日本一には細川亨の多大な貢献があったのだと改めて感じさせられる敗戦であった。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月10日
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左リック遊渡辺直中鉄平一セギノール三中村紀指山崎武二高須右牧田捕嶋投永井 試合回顧 息詰まる1点差ゲームをものにし、しっかりと連敗を免れた一戦。連敗せずに岩隈へバトンタッチ出来るかどうかが重要だっただけに今日の勝利は非常に大きな1勝だ。 先発永井は立ち上がりいきなり初球を本多に強打され3塁打を許すと続く川崎にも同様の甘い真ん中の真っ直ぐをセンターへと運ばれ、犠牲フライであっさりと先制点を許してしまった。 この2球は明らかに永井の失投ではあるが、嶋には本多に対しての初球の入り方に気をつけてほしかった。今季嶋が先発マスクを被った試合では初回の先頭打者に対しての入り球が真っ直ぐばかりだったのがその理由だ。そういった辺りを狙われるのではないかと心配していたのだが、それが的中してしまった。 野村監督は初回に外角低めの真っ直ぐを必ず放らせて、その日の投手の原点能力を見極めるように捕手に指示をしているが、少し安直すぎたのではないか、というのが率直な感想だ。 だが、その後は永井の真っ直ぐの制球が安定したこともあり、思い通りの配球が出来たのではないかと思う。 今日の永井に関心した点はスライダーでしっかりとカウントを稼ぐことが出来ていたところだ。ルーキーイヤーは球種が真っ直ぐ、カーブ、フォークの三種類で、配球が単調になりやすかったが、今日の永井はスライダーでカウントを整えることが出来たことで、真っ直ぐやフォークの効果が増していたような印象があった。田中将大の影に隠れがちではあるが、彼にも着実に進歩の跡が見られる。今後も持ち前の制球力を武器に、ローテーション投手としてチームに貢献してもらいたい。 攻撃面では不振が続いていた山崎武に待望の今季第1号が生まれた。このホームランは「さすが山崎」という読みが発揮されていたように思う。 カウント1-2からの4球目、外角低めの落ちるボールに完全に泳がされてフォールを放ち、これでカウント2-2と追い込まれる。だが、形を崩されたことによって、相手捕手がタイミングが合っていないと見て同様のボールを続けてくる、と読みきり、ボールになる誘い球をしっかりと見逃してフルカウントに持ち込む。 1死走者無しでフルカウント。四球で歩かせたくない。開幕から山崎は真っ直ぐに振りまけている。低めの誘い球をしっかりと見逃された。こういったことを踏まえ、単打ならOKという考えのもと、相手バッテリーが外角の真っ直ぐで勝負してくることを読み、見事にセンターへとホームランを放った。 山崎に当たりが戻れば、相手チームに与えるプレッシャーは現在よりもずっと大きくなる。暖かくなるに連れ、主砲のバットも満開となることを期待したいと思う。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月09日
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左リック遊小坂中鉄平一セギノール三中村紀指山崎武二高須右横川捕嶋投田中 試合回顧 二十歳の若武者の過ごす一年とはこれほどまでに濃密なものか。昨シーズンの苦悩。世界を舞台とした経験。名伯楽の教示。観ているこちらが田中将大の成長についていくことが出来ない。 昨年のシーズン序盤とは180度異なる快投だった。ストレートの制球が定まらず、スライダーを置きにいくような投球を見せていた昨年。しかし今日は序盤から素晴らしいストレートのノビ、抜群のスライダーのキレを見せてくれた。 正直に述べるが、序盤の投球を見て、中盤以降に不安を感じていた。というのもあまりにも真っ直ぐが素晴らしく、球速も150キロを超える頻度が多かった為、とばしすぎではないか、と考えていたのだ。 だが、それは杞憂に終わった。9回124球。終始抜群のボール放り、本拠地開幕戦で素晴らしい完封劇を見せてくれた。 やはりこの好投の要因と言えるのは課題であった真っ直ぐの向上だ。真っ直ぐが良かったことでファールでカウントを稼ぐことが出来、更に打者に対する意識付けに成功した。これはこの上なく大きなことだ。ご覧になっていた方は分かるだろうが、今日のソフトバンク打線は真っ直ぐに遅れまいとしていた為にスライダー、カーブを見逃す確率が非常に高かった。 ただでさえ田中のスライダーは曲がりが大きく捉えにくいのだから、真っ直ぐを意識させることが出来れば鬼に金棒である。後はいかにこの好状態を維持出来るかだ。今日はたまたま良かった、ということでなければ、故障がないかぎり二桁勝利は鉄板だろう。いや安定感を手に入れることさえ出来れば、岩隈やダルビッシュとタイトルを争うことも夢ではない。重箱の隅をつつくようにあえて課題を挙げるならば、左打者に対して外角の真っ直ぐをもう少し低めに集めることだ。それさえ出来ればほぼ完璧である。 そしてその田中をリードした嶋。こちらも本多の第2第3打席に許したヒット以外はほぼ文句のない配球だったと思う。その中でも秀逸だったのが初回の松中に対する配球だ。 抜群の選球眼を持つ松中に対しカウント1-1からボール球のフォークで空振りを奪い、次も同じボールを要求して見逃されカウントは2-2。この時点で追い込まれた松中が1-1から手を出してしまったボールになるフォークに意識を奪われていたことが感じられた。そこで嶋は1球スライダーでファールを打たせると、最後は内角低めの真っ直ぐでフォークを意識した松中から見事に見逃し三振を奪う。これは素晴らしい配球だった。今後もバッテリーを組む田中に負けないような成長を是非見せてほしい。 今日はとにかく安心して観戦することが出来た素晴らしいゲームだった。 破竹の開幕4連勝!! おかげでランキングも上昇中です^^「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月07日
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二高須遊渡辺直中鉄平一セギノール三中村紀指山崎武左礒部右横川捕藤井投ラズナー 試合回顧 5時間に渡る熱戦を制し、望外の開幕3連勝を飾った一戦だが、手放しに喜ぶことが出来ない内容となってしまった。 先発は来日初登板期待の新助っ人ラズナーだったが、今後に向けて大きな不安材料を残した。 立ち上がりは高低の制球こそアバウトだったものの、内外にしっかり投げ分け、上々の投球を見せていた。だが(球筋に目が慣れた)二巡目となった4回、ファイターズ打線に一気に攻略を許した。 この原因は何か。それは07シーズンまでの青山浩二と全く同じ理由だと考えられる。端的に述べると、空振りを奪えるボールが無いこととストライクゾーンを広く使うことが出来ないということだ。 もっと詳しく説明すると、ラズナーが今日投げていた球種はストレート、カットボール、カーブ、チェンジアップの4種類だったが、打者に意識付けの出来るボールとペアとなる球種の組み合わせが無いのだ。 ラズナーは投球の大半が真っ直ぐかカットボールであり、右打者に対する攻めは外角にその二種類のボールを投げ込むこと。つまり彼には対となる内角を攻めるボールが無い。もしも彼がシュートあるいはツーシームを操る投手であれば、今日のような結果にはならなかったはずなのだ。 以前にも書いたが、投球の組み立てはペアとなる球種があってこそ幅が広がるもの。スライダー・カットボールにはシュートやツーシーム。速い真っ直ぐには意識していないと対応出来ない落ちるボールのフォーク・チェンジアップという風に。 ラズナーはシュート系のボールが無い為横の変化のペアが無い。それによって相手の右打者は外の真っ直ぐ系を右方向へという明確な意図を持っての打撃が可能となる。左打者の場合も同様だ。バッテリー側からすると右対左ではどうしても内角の真っ直ぐ・カットボールが必要になるため、それを狙い打つことが出来る。しかし(右打者の場合)シュート(ツーシーム)があれば、外のボールを意識した打者を詰まらせることが出来る。 野村監督曰く打者は詰まらされると自身が負けたという印象を強く抱く為、次の打席から潜在的・顕在的に内角を意識してしまう。監督はこれを「詰まりの恥辱」と呼び、これを生かした配球を捕手に指示する。ペアとなる球種があることによってお互いの効果が倍増するからだ。 ラズナーは一応チェンジアップを投げていたようだが、変化量、キレ共に乏しく真っ直ぐを待ちながらでも充分対応可能な程度のものでしかなかった。150キロを超えるような真っ直ぐがあれば別だが、これではいくらコントロールが良くても投球は苦しくなる。しかしそうと分かっていてもすぐに球種を増やせるわけではないので、今後は彼の良質なカーブをいかに捕手が生かして配球を組み立てられるかにかかってくるのではないかと思う。 それから今日の気になった配球について。4回の小谷野に対する藤井の組み立てには首を捻った。 2点リードで1死満塁。小谷野の長打力を考えればセオリーは外角主体の組み立てだ。しかし藤井は初球・2球目共に内角の真っ直ぐを要求して2-0と追い込むと外に1球外し、4球目にまたも内角の真っ直ぐを要求して同点タイムリーを浴びた。 外角主体がセオリーと書いたが、初球の内角には納得がいく。それは小谷野が第一打席で外の真っ直ぐを狙い撃ちしてきたことを考慮し、満塁での外角攻めはセオリー通り過ぎてかえって狙われる危険性があったからだ。 だがその後の内角攻めには疑問が残る。小谷野は内角が弱いというデータがあったのかもしれないが、初球・2球目共に内角の真っ直ぐに手を出してきた以上小谷野が内角を意識していること、バッテリー心理を読んで外角にヤマを張る、ということはしていないのが分かったはずだ。 先に述べたようにラズナーの持つ球種ではリードが難しいのは分かるが、もう少し工夫のしようがあったのではないだろうか。無傷の3連勝を飾ったものの、バッテリーには課題と反省材料の残る一戦であった。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月05日
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左リック遊渡辺直中鉄平一セギノール三中村紀指山崎武二高須右宮出捕嶋投長谷部 試合回顧 1回森本・中安打、3回金子誠・左本塁打、稲葉・左安打、5回ヒメネス・右本塁打。 これは今日の試合で嶋が「狙い撃ち」された、配球次第で防ぐことが出来たと感じられた被安打の一覧だ。 その中でも特に快勝ムードが漂う中、3回裏1死から金子誠に打たれたソロ本塁打がこの試合を難しくした要因であるように思う。金子が打ったのはど真ん中の真っ直ぐ。完全に長谷部の失投だ。だが、ここで真っ直ぐを要求した嶋にこそ最大の責任があるのではないか。 狙い球を絞る「ヤマ張り」の金子は初球外角の真っ直ぐを強振し、真後ろへのファールを放つ。この時点で金子が真っ直ぐを狙っていること、またその真っ直ぐにタイミングが合っていることが分かる。にもかかわらず嶋は続けて真っ直ぐを要求し、それが真ん中に入り反撃の狼煙を上げさせた。 なぜ真っ直ぐを要求したのか理解に苦しむ。長谷部のボールが来ていたので狙われても打てないと思ったのか、2順目以降の為にチェンジアップをとっておきたかったのか。いずれにせよ5点というリードが余裕ではなく油断を生んでしまったということだろう。 このホームランからしばらくの間、嶋に対する失望と怒りで頭が一杯になった。「全く成長していない」。正直そう思わずにはいられなかった。初回の森本に許したヒットもカウントを考えれば防げるものであったことも相まって、暗澹たる気分で嶋を見つめていた。 金子や稲葉のようなD型(球種を絞って狙い打つ)タイプの打者との対戦こそ、捕手の洞察力が問われると考えているだけに、この嶋の「敗北」はあまりにもショックだったのだ。 加えてヒメネスに打たれたホームランの談話は「カットボールを狙っていた」というものだった。「狙い打たれたら100%捕手の責任」。この野村監督の言葉がすぐに脳裏を過ぎった。 「もう藤井に交代させるべきだ」「しばらくスタメンから外した方がいい」。そんな風にさえ考えていた。しかし、そこから嶋は本来の観察力・洞察力を徐々に発揮しはじめた。 最終回。2死から同点のランナーを許し、打者はスレッジ。一発が出ればサヨナラとなる為、長打力のあるスレッジに対しては当然外角中心の配球になると思われた。 初球、2球目と外に要求しカウント1-1となる。だが打席のスレッジは外角攻めを完全に読んだように思い切り良く踏み込んでくる。ここで嶋はおそらく3球目に内角のボール球を見せ、内を意識させた後に外角で打ち取る、というシナリオを用意していたのだと思う。 しかし、続く4球目。外寄りの変化球をスレッジが左方向へ思い切り叩き、あわやサヨナラホームランという大飛球(ファール)を飛ばす。ここで場内は完全にサヨナラ勝ちのムードになっていた。 嶋はおそらく(同点のランナーが得点圏に進むとはいえ)最悪歩かせても良いと考えていただろう。続く5球目を外に外しフルカウントとなる。 ここでタイムを取るとマウントの川岸の元へと駆け寄った。二人がどんな会話をしていたかは分からない。ただ推測するに「スレッジは完全に外のボール(シンカー)を狙っているから内角でいこう。ただ決して甘くならないように。最悪歩かせても、次の高橋なら抑えられる」という趣旨のことを伝えたかったのではないだろうか。 結果的に最後は内角のスライダー(カットボール?)でファールフライに打ち取るのだが、これは実に見事だった。いくら相手が外のボールを狙っていると感じていても、一発が出ればサヨナラという場面で長打力のある打者に内角を要求するのは勇気がいる。しかし、嶋は自らの洞察力を信じ、見事に決断した。しかも最悪歩かせるという保険をきちんと掛けた上でだ。 打者金子に対して要求した真っ直ぐで試合の流れを手放し、スレッジに対して要求した内角のスライダーで勝利を掴む。「1球の重さ」。これを改めて認識したであろう嶋の成長を心から願っている。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月04日
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左リック二小坂中鉄平一セギノール三中村紀指山崎武右礒部捕藤井遊渡辺直投岩隈 試合回顧 喉から手が出るほど欲しかった勝利を手にいれた。内容はともかく、今日は何よりも勝つことが重要だった。 先発はエース岩隈。日本中が期待したであろう白熱の投手戦による0行進とはいかなかった。今日は昨シーズンやWBCで見せた低めを丁寧に付く本来の投球からは程遠い立ち上がりだった。序盤はいつ失点してもおかしくないほど制球を乱していて、そして案の定3回にファイターズに1点を許す。 だが4回以降は徐々に本来の投球を取り戻し、最後となった6イニングス目にはいつもの岩隈に戻っていた。もちろん欲を言えば完投してほしかった。59球という弾数は降板するにはあまりにも早かったし、尻上がりに投球が良くなってきていただけに尚更そう感じた。しかし、シーズンは長く、ここで疲労を溜め込むことは長いスパンで見ればチームに不利益をもたらすだけ。万全とは到底言えないコンディションで最低限の仕事はしっかりと果たしてくれた。 初回に鉄平のタイムリーとセギノールの第1号ホームランで3点を先制したチームは岩隈の後をリリーフ陣がしっかりと0封し、見事に「守り勝った」。 試合を観戦して感じたことはやはりサードがフェルナンデスから中村紀に変わったことによって大きな安心感がもたらされたということ。しかし、逆にレフトリックはやはり今季も大きな穴になるということだった。3回田中に許した2ベースは牧田ならばただのレフトフライだったろうし、その後に1点を失うことも無かったはずだ。リードを持って終盤を迎えた為、7回裏からは牧田が投入されたが、今季はずっとこういった采配が取られることになるだろう。場合によっては礒部に代えて宮出を投入し、より強力や外野手トリオを結成することも考えられる。 そして投手陣は細かい継投で少ない点差を守りきる。これが2009年のイーグルス「守り勝つ野球」の基盤となるだろう。 今日の守備陣、ディフェンス面で目に付いたのは藤井の有銘に対する配球だ。2イニングほぼ完璧と言っていい内容だったと思う。特に左打者に対する洞察が鋭く、見事に内外を使い分けていた。 その中でも特に気に入ったのが田中賢介に対する攻め方だ。初球は有銘の生命線である外角へのスライダー。これでストライクを奪いカウント1-0とする。昨季も書いたが、まず前提として相手の左打者は有銘と対戦する際には外のスライダーを意識して打席に入ってくる。だが、変則フォームから繰り出される彼のスライダーはシーズン初対戦ではまず捉えるのが難しい。そこでしっかりとストライクを先行させたことでその後の配球が実に楽になる。 2球目は内角のボール球のシュート。「カウント1-0」に関する野村監督の基本的な教えは次のようになる。 ・2-0と親戚のカウントと考えず、打者は追い込まれていないから、思い切りは持っている。 ・サインプレー、内角球の見せ球、さぐり球、ピッチドアウトのチャンス。 ・次の球との関連を考え、有効に使え。 ・1度勝負球で勝負をかける状況もある ここで藤井は「次の球との関連」を考慮し「内角の見せ球」を要求した。そして打者田中が打ち気を見せなかったことと「1球内に放って意識させて外のスライダーで来るだろう」という風に田中の心理を読み、もう一つ内角にシュートを要求したのだと推察される。 内角を意識させられた田中は続く4球目のスライダーに手が出ず2-2。追い込まれたことによって田中はおそらく(ストライクゾーンを広げながら)ストライクからボールになる外角のスライダーへのマーク度を高めたはず。それを見越したように藤井はもう一度内角にシュートを要求する。これをファールとされ、次も同じボールで見逃され2-3。 ここまで内角を意識させておけば有銘のスライダーは当てるがやっととなる。最後はフルカウントから外のスライダーで三ゴロ。藤井の勝利だった。 藤井はその他稲葉に対しても(1安打は許したものの)良い配球を見せていた。明日の先発は長谷部だが、スタメンマスクは引き続き彼のものになるだろう。今日のような洞察力を発揮してくれれば長谷部に対しても良いリードが出来るはず。開幕連勝に期待しよう。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2009年04月03日
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またまた久しぶりの更新です。今回はシーズン開幕も迫ってきたところですので、今季のイーグルスの戦力分析をやっていこうかと思います。 と、まずその前に若干時期がずれてしまいましたが、一場のトレードについて言及したいと思います。 結論から言うとこのトレードは極めて妥当で有益なものであった、と考えています。イーグルスファンにとって非常に思い入れの強い選手であることは百も承知ですが、いい加減タイムリミットです。もちろん心のどこかで「佐藤投手コーチの下で1シーズン試してみてからでも良かったのではないか」という気持ちが無かったと言えば嘘になりますが、キャンプでの彼の取り組みや内容を見て決定が下されたのでしょうから致し方ありません。 加えてトレードの相手が宮出外野手であったということもこのトレードが成功であったと考える理由です。前回(といっても昨年ですが…)取り上げたように、今季のイーグルスの目指す野球は守備に重点を置いたもの(だと思われる)。そう考えると投手出身で肩の強い宮出選手の獲得は外野守備に難のあるイーグルスにとって的を得たものであり、且つ長打力のある右の代打を欠いているチーム事情に即した一挙両得の補強であったと考えます(高須はチャンスに強いが長打力が無い。牧田は守備は良いが打撃にはあまり期待できない。大広はまだ時間が掛かりそう)。 一場投手個人のことを考えても、環境を変え、背水の陣で新たなスタートを切るべき時期に差し掛かっているのではないでしょうか。 さて改めて今季の戦力について。専門家の順位予想はあまり芳しくないようですが、個人的にはあまり悲観していません。野手陣に関して言えば過去に例の無い選手層の厚さがあると思うからです。 まず内野。小坂の加入と内村の台頭により二遊間の競争が激化。中村紀の加入によって穴が無くなり、草野の尻にも火が付く。塩川もしかり。 続いて外野。リック、鉄平は当確として、残り1枠を巡っての激しいレギュラー争いが勃発。長打力のある横川、昨季ハイアベレージを残した中島、新加入の宮出、復活を期す礒部、守備に定評のある牧田、スピードのある中村真・聖澤・・・。 このように内外野共に激しいポジション争いが繰り広げられ、少しでも油断したら自分の居場所を失うという緊張感の中、各選手が高いモチベーションでシーズンを戦えるというのはこれまでには無かったことであり、故障者が出てもそれに代わる選手がいるということは心強いと同時に、選手個々の体調管理にも少なくない影響を及ぼすものだと思います。 が、しかし、野手陣と比べ投手に不安があるのは確か。岩隈、田中の両エースは心配ないと思っていますが(むしろ田中は佐藤コーチの指導とWBCでの刺激を経て更なる進化を見せてくれると大きな期待を抱いている)、やはり4,5番手の先発を安心して任せられる投手がいないというのが実情でしょう。 ラズナーはクイックの問題さえ解消出来れば計算できますが、朝井は安定感という意味ではまだまだ心許ない。永井、長谷部も現段階では全幅の信頼を置けるとはとても言えない。 そこで、今季のイーグスの鍵を握ると思っている投手を一人紹介したい。それは青山浩二。名伯楽佐藤義則コーチに「二桁勝てなければおかしい」と言わしめる素材の良さを持つこの選手を今季のキーマンに挙げたいと思っています。当ブログでも前々から精神的に一皮剥ければ二桁勝てる投手と言ってきましたが、佐藤コーチのコメントを聞いてその思いはより強くなりました。「未完の大器」青山が覚醒し先発ローテーションの一角として活躍してくれれば先発投手の駒不足という不安を一掃してくれると信じています。 続いてリリーフ陣。ここが最大の難点ですが、青山が先発として活躍してくれれば、永井、長谷部といった選手を中継ぎで使えるはずですし、チルダース、グウィンのどちらかがしっかり役割を全うしてくれれば(川岸もいることですし)小山に頼らなくともやりくりは出来るのではないかと思っています。 そして最後に捕手。今季の注目点は色々とあります。まず岩隈の女房役を今季も藤井に固定するのかどうか。WBCを観ても分かる通り、岩隈ほどの投手であれば誰と組んでもそれなりの投球が出来る。そう考えれば一線級の投手のピッチングというものを若い捕手に経験させ、それ以下の投手が抑える為には何が必要かということを考えさせる良い機会にもなるはずなので、この判断を監督、バッテリーコーチ、岩隈自身がどう下すか。 続いて昨季伸び悩んだ嶋が成長を見せることが出来るかどうか。野村監督のラストシーズンとなる今季に信頼を掴めるかどうかは監督が代わった後の彼の野球人生にも大きな影響を及ぼすはずで、そういった意味では今季は今後を占う極めて重要なシーズンとなるはずです。 伊志嶺は打撃・肩が良く監督も「後は配球術だけ」と言っているので、そこをどのように克服するかが見所になると思いますし、藤井・嶋とは異なるタイプの配球をする井野にもチャンスはあるはず。 いずれにせよ、試合、投手によってころころ捕手が変わるようでは常勝軍団には到底なれないと思いますので、絶対的正捕手の誕生を心から願っています。 今年こそプレーオフ!!応援クリックお願いします⇒
2009年03月30日
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先日UPした記事の中で、優勝に必要なのは「フェルナンデスよりも『守れる選手』ではなくフェルナンデスよりも『打てる選手』である」という趣旨の意見を述べた。 しかし、今一度冷静に今オフのチームの補強を鑑みると、来季のチーム作りのコンセプトが浮かび上がってきた。 それは「守り勝つ野球」である。フェルナンデスの代わりに「守れる日本人」と考えられている中村紀を獲得したのは、内野守備の強化と共に、投手陣整備の為に外国人枠を投手側に2つ割り振ることが一つの大きな目的であったのではないだろうか。 これまでのイーグルスは、野手・投手共に「打ち勝つ野球」「守り勝つ野球」に特化出来るほどの選手が揃っていなかった。そういったチーム事情の中で、バランスを考えた選手起用・補強をし、そこに野村監督の「知力」を注入する形で戦ってきた。 だが、岩隈の復活と田中・片山・長谷部といった次代を担う若手の発掘に成功したことにより、より明確なビジョンを持ってのチーム作りが可能な時期に入ってきたのだ。佐藤義則投手コーチの就任によってそれはより現実的なものになるのではないだろうか。 そもそもイーグルスは打ち勝つ野球を標榜する適性の無い球団である。日本のプロ野球界でその適正があるのはジャイアンツ(強いて挙げればライオンズも)だけではないだろうか。 ジャイアンツはホームランが出やすく狭い東京ドームを本拠地としている。それ故に外野守備を重視せず長距離打者を並べることが可能となる。ホームランが出にくい球場を本拠地にするのであれば、外野手の守備力が低いことは大きな欠陥となるが、そうでなければ自軍の自慢の長打力を存分に生かすことが出来る(とは言っても現在のジャイアンツはレフトのラミレスを除けば、二岡がショートから去ったこともあり投手陣も含めディフェンス面に大きな穴はないが)。 更にもう1つ重要な要素として、資金力がある。打ち勝つ野球に必要な長距離打者の年俸は例外なく高い。だが、ジャイアンツには多数のホームランバッターに相応の給与を与える資金的な余裕がある。これはイーグルスには真似の出来ない(真似をする気がないと言った方が適切か)ことだ。 要約すると球場が広く、資金力のないイーグルスにはディフェンスを重視した野球が相応しいということだ。しかし、現実を見ると「コンセプトと人材の乖離」という問題がある(それ故に先日長距離砲の獲得を提案した)。イーグルスの大きな欠点として外野守備のレベルの低さがあるが、これは守り勝つ野球を目指す上で無視出来ない要素だ。リックの緩慢な動き、弱肩は言うまでもなく、中島・横川などもお世辞にも守備が良いとは言えない。中村真・聖澤は俊足ではあるが、相手に脅威を与えるような強肩の持ち主ではないし、打撃面を含め総合力で考えてもレギュラーを掴めるかどうかは微妙な位置にいる。 現在守り勝つ野球を実践している代表的な例としてファイターズがあるが、彼らは広い札幌ドームを本拠地にしており、資金力もない。しかし、投手陣には大黒柱ダルビッシュがおり、外野には森本・稲葉といった守備範囲が広く強肩の選手がいる。更に二遊間は名手金子誠とゴールデングラブ賞を受賞した田中賢介だ。 ここであえて希望的観測を書けば、イーグルスにもファイターズのような野球は可能なはずだ。新助っ人2人の活躍と佐藤コーチの手腕によって投手陣の底上げがなされ、中村紀の加入と内村の台頭によって内野の守備力もアップ。更に中村真・聖澤のどちらかが打撃面で成長を見せ、センターのポジションを獲得すれば完璧とは言えないものの、充分に守り勝つ野球は実践できる。少なくとも正しい方向へとチーム作りは進んでいくはずだ。 何より来季は投手陣が過去に例のない激戦区になる。役割が当確しているのは先発の岩隈・ラズナー・田中、抑えのチルダースくらいで、残りのローテーション枠、中継ぎは大混戦だ。 簡単に有力候補の名前を挙げると 【先発ローテーション候補】 朝井 片山 長谷部 一場 永井 青山 【中継ぎ 右】 川岸 小山 永井 青山 【中継ぎ 左】 有銘 渡邉恒 佐竹 長谷部 このようにローテーション争いが熾烈な上に、そこから漏れた選手がそのまま中継ぎ枠を巡って争うこととなる。更に言えばここにはルーキーの名前は載せていない。 正に群雄割拠の定位置争いで、投手陣のレベルは間違いなく上がるはず。中村紀の獲得が2人の助っ人投手の獲得・起用に繋がり、それが呼び水となって投手陣の競争意識に火を付ける。「守り勝つ野球」への布石は確実に打たれた格好だ。 面白かった方・参考になったという方はポチっと協力お願いします⇒
2008年12月04日
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中村紀洋の入団と共にホセ・フェルナンデスの退団が正式に決定した。ファンや球団関係者から異口同音に「待望の守れる長距離砲の獲得」という言葉が聞こえてくる。 だが私はこの補強成功論に異を唱えたい。まず翻って今シーズンの敗因とフェルナンデスが解雇された理由を考えてみよう。 フェルナンデスは今季チーム最多の17失策(エラー)を犯した。しかし、それがイーグルスが優勝(プレーオフ)を逃した主因だろうか? 私には彼の守乱によって落としたゲームよりも「安打多くして得点少なし」で落としたゲーム、つまり塁上の走者を本塁に帰す長打力不足によって落としたケースの方が多かったように感じられる。 確かにゴールデングラブ賞受賞者が一人もいないことからも分かるように、イーグルスの守備は磐石とは言えない。だが、それ(守備の強化)が野手陣の中で優勝に必要な最も重視すべき補強ポイントであるようには思えない。やはり必要なのは30本100打点を挙げられる長距離砲だろう。 選手名出塁率長打率OPS得点圏打率失策フェルナンデス.368.475.843.32717中村紀.340.460.800.3639 数字をご覧頂ければ分かるように、セ・パの違いこそあれ、OPSではフェルナンデスが中村を大きく上回っている。得点圏打率・失策数では中村に分があるが、イーグルスの敗因である打撃面でフェルナンデスよりも明らかに上であるとはとても言えない。 もちろん中村の良さもある。右方向への長打やバントなどフェルナンデスには求めにくい長所があるのは事実。しかし「フェルナンデスの抜けた穴を埋めて余りある」だとか「得点力不足であるイーグルスの救世主」と呼べるほど圧倒的な差があるわけではない。 守備面についても異論がある。確かに中村の方が守備に確実性があり、グラブ捌き、ハンドリングも上だ。今季を含め複数回のゴールデングラブ賞受賞がそれを物語っている。だが、「ゴールデングラブ賞常連の守備の名手」という先入観を取り除き、冷静に考えてみるとどうだろうか。 彼が中日を退団した理由を振り返ってみよう。サードのレギュラーで起用されることを望んだ中村に対し、落合監督は「あの動きではサードは無理」と言ってファーストへのコンバートと共に若手との競争を示唆したと伝えられている。もし彼が本当に「守れる三塁手」であれば、このような事態にはならなかったはずだ。詳細に書けば、中村は確かに高い守備の技術を持っているが、明らかに脚力が不足している、つまり守備範囲が加齢と故障によってより狭くなっているということ。フェルナンデスのような凡ミスは確かに少ないだろうが、ヒット性の打球を俊敏な動きでアウトにする、ということはフェルナンデス同様期待してはいけないのだ。 さて、ここまで読んで頂いた方に一つ注意を喚起しておきたい。私は何も中村紀の入団を歓迎していないわけではないし、フェルナンデスの退団に悲嘆しているわけでもない。ただ、イーグルスが優勝する為に必要且つ適切な人材は彼らではないと思っているだけで、両者共に水準以上の能力を持った優れた選手であることは間違いない。 フェルナンデスは長打を期待された助っ人であったが、打率こそ3割に乗せていたものの期待されたほどの長打を放つことは出来なかった。だからこそ彼の代わりは彼以上の長打力を持った助っ人であるべきではないかと思うのだ(自球団を含め、国内にそういった選手がおり、その選手を獲得・起用出来るのであれば、それに越したことはないが)。 中村の古巣である中日の落合監督は著書「野球人」の中で、外国人について次のように述べている。【外国人選手のことを「助っ人」と呼ぶ。私は、この呼び名が外国人に求められているものを表していると思う。日本人にはないもの、できないことをやってチームを助けるのが外国人なのだ。それは長打力と勝負強さだ。だから40本塁打100打点を挙げられる日本人選手を3人持っているチームなら、外国人は必要ない。 ~中略~ 選手を育てる場合は欠点に目をつぶっても長所を伸ばすことが大切だと思っているが、外国人についても同じだ。40本近くの本塁打と100以上の打点を挙げてくれれば、打率は2割5分で十分。 ~中略~ その代わり、契約の時に「何も言わないから数字を残してくれ。こちらが期待する数字を残せなかったら、1年でクビにするから」とはっきり言っておく。助っ人なんだからこれでいいのだ】 私はこの考えに賛同するし、イーグルスに足りないのはこういった外国人(例を挙げるならタフィ・ローズや昨年までのタイロン・ウッズ)であると思っている。シーズン後半に入りセギノールを獲得したことによって1つは埋まったが、本気で優勝を狙うのであればやはりもう一人欲しいのだ(外国人枠のルール上リックを使えなくなるかもしれないが)。 もしももう一人こういった選手を獲得しながら結果を残せなかった場合は、野村監督ファンの私であっても、余程故障者が続出しないかぎり監督を擁護することは出来ない。 しかし、現状の戦力のまま戦った場合、本当にプレーオフに進出出来るのだろうか? という不安を拭いきれないのである。 面白かった方・参考になったという方はポチっと協力お願いします⇒
2008年12月02日
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今回は昨シーズン終了後にも取り上げた「マネーボール式打者評価」を行い、今シーズンの野手陣の打撃での貢献度を検証してみたいと思います。規定打席到達者選手名出塁率長打率OPSフェルナンデス.368.475.843山崎武.372.471.843リック.365.477.842鉄平.345.403.748高須.338.371.701渡辺直.354.283.637 中日からFA宣言をした中村紀の獲得が決定し、退団が決定的なフェルナンデスですが、守備の拙さはさておき、打撃面では山崎武と並びチームの最高の働きをしていたことが分かります。逆に山崎武は昨シーズンに比べ大きく数字を落としたにも関わらずトップタイということで、いかに昨年の働きが素晴らしかったかが改めて分かります。 両大砲からほんのわずかだけ劣ったリックはそれでも見事に首位打者を獲得。OPSでフェルナンデスに劣る理由はやはり長打力による相手バッテリーの警戒心の差、そしてリック自身が早打ちであるが故の四球の少なさでしょう。 数字だけを見ればフェルナンデスとリックのどちらが退団してもおかしくないように感じますが、内外野(一、三塁と左翼)を守れるユーティリティー性がある分(フェルナンデスも終盤外野に挑戦してはいたが)やはりリックの方が使い勝手が良く、チーム事情に合わせてポジションをずらして起用出来る点が彼の良さです。 序盤戦で大活躍したものの、中盤以降失速した感がある渡辺直はそれでも高須、鉄平を上回る出塁率を残しています。しかし、いかんせん彼の安打での出塁はほとんどが単打であるため、どうしても長打率が伸びません。出塁し、本塁に帰ってくることこそが彼の役割ではありますが、内角球をうまく捌ける技術とパワーを身に付け、二塁打、三塁打を増やすことが出来ればより大きな貢献でチームを助けることが出来るはずで、ここが來シーズンへ向けての一つの課題となるはずです。それが身に付けば熾烈な二遊間のポジション争いに勝利することができるのではないでしょうか。 続いて規定打席未到達者選手名出塁率長打率OPSセギノール.408.6621.070中島.397.466.863中村.346.396.742草野.321.345.666内村.327.322.649藤井.329.300.629横川.285.336.621嶋.288.296.584 後半戦に入り加入したセギノールは出塁率、長打率共に出色の数字を残しています。来シーズン年間通してこの活躍が出来ればリーグMVPも夢ではないでしょう。 それから対左投手要員として起用されることが多かった中島ですが、規定打席には到達していないものの、数字では両主砲を上回っています。ただそれでも彼がレギュラーを掴みきれないのはセールスポイントが欠如しているからに他ならないでしょう。 クリーンアップを任せられる長打力や塁を掻き回せる脚力があるわけでもなく、バントや右打ちが抜群にうまいわけでもなく、肩も強くない。プロの一軍で活躍する選手というのは何かしらの長所を持った「一芸に秀でた」人たちです。彼がレギュラーの座を掴みとるには「日本人版リック」とでもいうような安定したアベレージヒッターになるしかありません。 来季レギュラー定着を狙う中村、内村の若手二人は中々の数字を残しています。 中村はOPSでも鉄平に遜色ない数字を残していますし、中島共々オープン戦から結果を出せば鉄平をレギュラーから追いやる可能性も出てくるでしょう。 一方内村は数字の面では同ポジションの高須に劣っていますが、脚力(盗塁を含めた走塁、守備範囲)という点で高須を上回っているので、来季も大いに二遊間の争いを盛り上げてくれるでしょう。 というわけで簡単に08シーズンの打撃成績を振り返ってみましたが、全体的に言えるのはレギュラー陣と準レギュラー陣の力が拮抗してきたということ。イキのいい若手に加え、小坂、中村紀という実績十分のベテランも加わる来シーズンは今までにない高いレベルでのレギュラー争いが繰り広げられるはずです。 お互いに切磋琢磨し、チーム全体の底上げが出来れば、自ずとプレーオフが見えてくると思います。特にレギュラーの当落線上にいる高須、内村、渡辺直、中島、中村真といった選手や聖澤、大広のような飛躍が期待される若手に注目しながら、来季の開幕を楽しみに待ちたいと思います。 参考になったという方はポチっと協力お願いします!⇒
2008年11月30日
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ご無沙汰しております。かなり久々の更新です。本来ならばもっと早いタイミングで08シーズンの総括をしたいと考えていたのですが、すっかりタイミングを失ってしまったので、簡単なまとめと来期へ向けての戦力補強について書いていきたいと思います。 まず08シーズンの敗因について簡単に。…とその前に07シーズン終了後に当ブログで提案した補強の要点を振り返ります。 ・先発左腕 ・リリーフエース ・左の長距離砲 この3点です。敗因は第一に投手陣の整備がなされていなかったということ。岩隈一人で15を超える貯金を作りながら、チーム全体では二桁の借金を作ってしまった。これには田中の伸び悩み(二年目のジンクス)、守護神の不在、長谷部の誤算など色々と原因はありますが、こと守護神の不在についてはシーズンが始まる前から予見できたことであり、これはある種フロントの怠慢であると言えるかもしれません。 懸念されていた先発を任せられる左腕はドラフトで獲得した長谷部と期待の若手である片山の台頭によって埋められるのではないか、という希望的な観測を立てていましたが、結果的にどちらも一人立ち出来るレベルには到達できずにシーズンを終えました。 守護神に関してはシーズン中盤から終盤にかけた時期にグウィンを獲得しましたが、遅きに失した感は否めません。本気でプレーオフを狙うのであれば、開幕前に補強すべきポイントであったのは言うまでもありません。 ただ新シーズンに向けた展望としては、実績抜群の佐藤義則投手コーチを迎えることが出来た上、ヤンキースで先発を務めていた投手が獲得濃厚であることなど、明るい材料は揃っています。佐藤コーチの手腕によって、田中、一場、長谷部、青山など潜在能力の高い投手が覚醒すれば、かなりレベルの高い投手陣を形成できる可能性もありますので、大いに期待したいと思っています。 続いて打撃陣に関して。これは単純に長打力不足が敗因の大部分を占めているのではないかと思います。12球団のナンバー1のチーム打率を誇りながら、シーズンの総得点はリーグ4位。ホームランが出難い球場をホームグラウンドにしているとはいえ、首位西武の半分にも満たないホームラン数ではやはり厳しいと言わざるをえません。 そういった意味ではシーズン途中とはいえセギノールの獲得は非常に大きかったと言えます。スイッチヒッターである彼を獲得したことによって、主力に右打者が多い打線にバランスが増し、同時に長打力が加わりました(前述した左の長距離砲という懸案事項のクリア)。更にプラスアルファとして同じ助っ人であるフェルナンデスの尻に火がつき、互いに高いモチベーションでゲームに望むことが出来たという点も「セギノール効果」の一つであったと思います。ただこれもグウィン同様遅きに失したと言えます。07シーズンで二冠王となった山崎武は当然マークがきつくなる上、年齢的なものを考えても同じような数字を残すのが困難なのは明白であり、両大砲が右打者である以上左の長距離砲の獲得は急務だったはずです。 新シーズンへ向けてはフェルナンデスの退団が濃厚となり、FAで中村紀を獲得する見通しとなっていますが、彼は故障を抱えていますし、年齢的にも下り坂の選手で、広いKスタで30本を越えるようなホームランを期待出来る選手ではないのではないか、という懸念を抱いています。守備に関しては間違いなくフェルナンデスよりも上ですが、大枚を叩いて獲得する選手ではない、という気もしています。それならば(守備に不安があるとはいえ)リックをサードに回し、レフトに左の長距離砲となる新助っ人を迎えた方がバランス的にもコストパフォーマンス的にも良いのではないかと考えています。 いずれにしても獲得するべきはフェルナンデス以上の長打力を持った選手であり、更に贅沢を言うならば、グウィンよりもレベルがワンランク上の新クローザーと報道されているヤンキースの先発投手も是非手に入れてほしいものです。 というわけで来シーズン「優勝の為の」補強ポイントをまとめますと、 ・岩隈に次ぐローテの柱となれる投手 ・フェルナンデスを超える長距離砲 ・絶対的リリーフエース この3点となります。後はとにかく現有戦力の底上げですね。マー君はもちろんのこと若い投手陣、そして熾烈な争いによってレベルアップが期待される二遊間、更に将来の大砲候補の育成など優勝のためには「現状維持」ではいられません。特に捕手陣の成長がシーズンの行方を大きく左右することになるでしょう。いや捕手の成長こそが何よりも大きな補強となるはずです。 来季は正真正銘野村監督のラストシーズンとなるでしょう。何がなんでも、いやどんな手を使ってでも優勝してもらいたいものです。 (頼むぞ嶋!) 久々ポチっとお願いします!⇒
2008年11月24日
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北京五輪野球日本代表がメダルを獲得することなく終戦を迎えたわけですが、色々ところで厳しい意見が出ているようです。 ただ、私個人の感想を書くと「想定の範囲内」としか言えないですね。もちろん金メダルを取ってほしい気持ちが無かったわけではありませんが、こうなることは充分に考えられたわけで、それに対して怒りを抱いたりはしません。 そもそも盲目的に日本の金メダルを信じていた人というのは一体どれくらいいたのでしょうか? 普段から野球を観ていて、野球の本質を分かっている人ならば、メダルを獲得出来ないということも充分に予期できたはずだと思うんですね。 野球は「失敗のスポーツ」であり、不確定要素の非常に多い競技。10回打席に立って2回しか安打が打てなければプロとしてやっていくのは難しいですが、3回打てれば「一流」と呼ばれます。 ペナントレースで言えば、優勝するチームでも4割くらいは負けるわけです。つまり力が拮抗していれば、常に勝負はどちらに転ぶか分からないのが野球なわけです。 それに大前提として「普段の実力を発揮すれば金メダルが取れる」という考えを持っていたから腹が立つと思うんですね。 もしもサッカーの日本代表がW杯本戦で予選リーグを突破し、決勝トーナメントに進出したら「よくやった」になるはず。それは「日本はサッカー後身国で世界的に見ればまだこんなもの」という「弱者の認識」が国民にあるから。 でも野球ではそうはならない。それはもちろん現実に日本が世界最高レベルの実力があるからなのですが、しかしだからといって、図抜けて日本が強いわけではないのです。そして力が拮抗していればどちらが勝ってもおかしくないのが野球なわけです。 無論他の競技だってそうなわけですが、野球は特にそういった色が濃いわけです。サッカーでは年間無敗でリーグ優勝するチームも存在しますが、野球ではありえません。勝率だけを見ても野球ほど優勝チームの勝率が低い競技というのは珍しいわけです。 まぁ何が言いたいのかというと、強いのも、金を取りたいと思っていたのも日本だけじゃないし、野球は例え弱者であっても強者に立ち向かえる競技であって、勝敗を分けるのは常に小さな部分であるということ。 小事が大事を生む。普段このブログを訪問してくれるイーグルスファン、野村監督ファンならば分かってくれると思っています。 ただ、そうはいっても星野監督の采配に疑問を感じていないわけではないです。負けた以上責任は彼にあると思っています。しかし、それでも選手達は必死に頑張っていたと思うし、彼らを責める気持ちはありません。心からお疲れ様と言いたいです。 最後に。 監督の持つ胆力の差が勝敗を分けた。これが私の感想です。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒
2008年08月24日
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楽|001 000 100 2ロ|100 600 10X 8楽|H:6 E:0ロ|H:12 E:0【勝利投手】小林宏 3勝 9敗 0S【敗戦投手】長谷部 0勝 3敗 0S◆バッテリー楽:長谷部、永井、佐竹 - 伊志嶺ロ:小林宏、川崎、伊藤 - 里崎 中鉄平遊塩川三草野一フェルナンデス左礒部指山崎武右中島捕伊志嶺二西村 試合回顧 今日は途中までの観戦だが、ルーキー伊志嶺が初の先発マスクを被ったので簡単な感想を。 一言で言えば「まだまだ以前」。初回の福浦のタイムリーは初球、外角低めのボール球のスライダーに手を出しかけていたにも関わらず、2球目に同じボールでストライクを取りにいき、痛打された。マウンドに長谷部が上がっているのだから、当然左打者である福浦は外に逃げるスライダーとチェンジアップに意識があったはずだが、素直にそのボールを要求してしまった。初球の反応から、打者の狙いを外したボール(内角の真っ直ぐなど)を使うことを期待したが、残念ながらそうはならなかった。 そして4回、竹原に打たれた走者一掃のタイムリー。チェンジアップにまったくタイミングがあっていない打者に真っ直ぐを要求した結果が右中間を割る2ベースだ。 このボールは内角に要求したボールが逆球になった結果なので、伊志嶺だけを責めるのは酷だが、1-1というカウントから言っても(追い込まれるまで真っ直ぐを待っている可能性が高い為)もう一つチェンジアップでカウントを取りにいっても良かったと感じた。そして2-1になった後に1球内角に(ボール球の)速い球を見せ、そしてチェンジアップで仕留めるという配球が結果的には良かったのではないかと思う。 それから先発の長谷部について。昨年日本代表の壮行試合で見た時はもっと打ちにくい、タイミングの取りにくいフォームだった気がするのだが、今日などはまったくそういった印象が無かった。タイプ的にはソフトバンクの和田のような腕の使い方だと思っていたが、その面影がなくなり、打者から見てタイミングの取りやすい投手になってしまっているような印象があった。 そうなれば当然球速は140キロ前後なのだから、甘いボールは痛打される。これからオールスター明けの再開までにフォームを取り戻すことが急務になるだろう。 そして最後に久々の明るい話題。イーグルスが元日本ハムのセギノールとグウィンという投手を獲得したことが発表された。これで懸案事項であり、補強ポイントだった左の長距離砲(セギノールは両打ち)とリリーフエースという点が改善される可能性が生まれた。彼らの活躍に大いに期待したいと思う。「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒ マリーンズファンの長谷部-伊志嶺に対する印象は?⇒Ranking
2008年07月29日
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ソ|000 300 002 5楽|000 102 010 4ソ|H:6 E:0楽|H:8 E:1【勝利投手】大隣 8勝 7敗 0S【敗戦投手】有銘 1勝 2敗 1S◆バッテリーソ:ホールトン、高橋秀、三瀬、大隣 - 高谷楽:田中、有銘、川岸 - 嶋 遊渡辺直右鉄平二高須一フェルナンデス左リック指山崎武三草野中中村捕嶋 試合回顧 【有銘の野選も大きなミスだけど、相手はバントをやってくるというのに(カウントを)0-2にして・・・シフトでやつけるというのがない。何故、カーブ、カーブと続けるの?一球なら分かる。カーブもあるよと十分思わせることができる。バントの上手い人はカーブの方がやりやすいんですよ。バントが難しいのはインコースの速いボール。ランナーが1塁のいるのだからインコースへの速いボールがセオリーです。ピッチャーゴロになる可能性だってあるんだから。セオリー、常識を知らない。同じパターン。逆転劇も同じですよ。ワンパターンの野球】 この試合後の野村監督のコメントが象徴するように、今日は嶋で負けたゲームだった。このコメント部分の配球もそうだが、その後に打たれた川崎の勝ち越しタイムリーも4回の長谷川に打たれた走者一掃のタイムリー3ベースも嶋の配球ミスだと感じた。 長谷川に対しては追い込んでからスライダーを続けるものの、ことごとくカットされ、しびれを切らしたように要求した内角の真っ直ぐを振り抜かれた。 あれだけスライダーをカットされれば真っ直にいきたくなるのは分かるが、打者が「打とうとしてファールになっている」のか「最初からカットするためにスイングしているのか」という見極めが出来なかったというところだろうか。 長谷川の「前の打席で(内角の)ストレートで打ち取られたのでそれを狙っていた」というコメントからも分かるように、前の打席での結果球(打った球、打ち取られた球)というのは狙われやすいもの。そのことにスライダーをカットされている段階で気付くことが出来なかった嶋の負けだ。 交流戦でも阪神の赤星に同じように「変化球をカットしながら真っ直ぐ狙い」でやられていたが、それを思い出した場面だった。 そして勝ち越し点を奪われた9回の川崎のタイムリー。有銘の投球も甘かったが、こちらも初球のスライダーを狙われた格好だった。 まず前提として、有銘と対戦する左打者は外に逃げるスライダーを意識して打席に入っているはず。更にこの場面は同点で2死3塁という状況だった。次に選球眼が悪く、穴の多い松田が控えているのだから、無理に勝負をする必要はなかったのではないだろうか。 よって川崎に対する攻めは「歩かせてもいいから甘くならないように」という意識の元に組み立てるべきだったと思う。内角に1球速いボールを見せるにしろ、外のスライダーで入るにしろボール球から入るのが正しい選択だったのではないだろうか。 監督は以前コメントで「信頼出来るキャッチャーがいない」と漏らしていたが、今日のような配球を続けていれば、一向に嶋が正捕手に近づくことは出来ないだろう。危機感を持ってプレーしていることが感じられないわけではないが、いかんせん結果が伴っていない。 厳しい言い方になるが、昨年に比べて明らかに成長曲線が緩まっている。オープン戦の時期に監督が嶋に対し「言い訳しとったな。進歩が止まった」と言っていたが、今のところそれは的中してしまっている。 もちろん「止まった」ということはないと思うが、期待通りの、期待を上回る成長を見せられていないのは事実だ。 だが、それでも首脳陣やファンが期待を抱いていることに変わりはない。イーグルスの浮沈は嶋次第。頑張れ嶋基宏。 ※テンポの良い返球で田中を気持ちよく投げさせていたところは◎ このブログは読者の方の応援によって継続されています。 「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒ ホークスファンの田中-嶋に対する印象は?⇒Ranking
2008年07月19日
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楽|000 100 000 1日|100 020 00X 3楽|H:4 E:1日|H:8 E:0【勝利投手】ダルビッシュ 11勝 3敗 0S【敗戦投手】ドミンゴ 2勝 5敗 0S◆バッテリー楽:ドミンゴ、木谷、渡邉恒、朝井 - 藤井、嶋日:ダルビッシュ - 鶴岡 遊渡辺直中中村二高須一フェルナンデス左リック右鉄平指山崎武三草野捕藤井 試合回顧 自分がイーグルスファンであることを忘れてしまう。そんなダルビッシュの投球だった。 序盤から150キロを超える真っ直ぐでグイグイ押し、同様の鋭い腕の振りでスライダー・カーブを投じて打者のタイミングを外す。カットボールでカウントを稼ぐ。ファイターズバッテリーの意のままにイーグルス打線は打ち取られた。 最も感嘆したのは6回の中村が3ベースで出塁した後の投球だ。ピンチを迎えたダルビッシュは明らかにギアを一段階上へと上げ、ミートがうまく、真っ直ぐを狙っている高須に真っ直ぐで3球三振を奪う。これが「本格派」の、そして日本のエースの投球だと言わんばかりの素晴らしいボールだった。 彼の素晴らしさはただ単に球が速いというだけではない。力の入れ所、抜き所をわきまえたペース配分と計算された組み立て。必要に応じて捕手のサインに首を振り、真っ直ぐで相手を捻じ伏せ、自らの力を誇示する。 イーグルスのエース岩隈も素晴らしい投手ではあるが、ダルビッシュと比べるとやはり一枚劣る。いや、もはや彼に比肩する存在は今の日本球界には存在しない。 ファンとして、岩隈に最多勝を獲得してもらいたい気持ちは当然あるが、ダルビッシュにタイトルを奪われても何の文句もない。彼はタイトルを獲るにふさわしい投手だ。 同じくイーグルスファンとして田中の活躍にも期待しているが、現段階ではダルビッシュと比べると大きな力の差があることを痛切に感じた。 田中も決して悪い投手ではないが、ダルビッシュの前では凡庸な投手のような印象さえ受けてしまう。 2年後、3年後。田中は現在のダルビッシュのような投手になれるだろうか……。そうなって欲しい、なれる可能性がある、と今まで思ってきたが、その考えは誤りだったかもしれない。 2人を比べれば田中が変化球投手であることは明らかだ。真っ直ぐに差がありすぎる。これからは西武・涌井のような投手を目指せば良い。 ダルビッシュの背中はどんどん遠ざかっていく。そうあらゆる投手が感じているのではないかと思うほど、圧倒的な今日の投球だった。 このブログは読者の方の応援によって継続されています。 「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒ ファイターズファンのイーグルスに対する印象は?⇒Ranking
2008年07月17日
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ロ|000 000 403 7楽|010 000 100 2ロ|H:12 E:1楽|H:7 E:2【勝利投手】 渡辺俊 (7勝 4敗 0S)【敗戦投手】 岩隈 (12勝 3敗 0S)【セーブ投手】 シコースキー (2勝 1敗 1S)◆バッテリーM 渡辺俊、川崎、シコースキー - 里崎E 岩隈、有銘、小山、永井 - 藤井、嶋 中中村ニ高須左憲史一フェルナンデス指山崎武三リック中鉄平捕藤井遊渡辺直 試合回顧 連敗ストップをエースに託した一戦を落とし、最悪のカード3連敗を喫した。 今日の岩隈は絶好調とはいかないものの、走者を出す度にシュートでうまく詰まらせ、併殺でピンチを脱出していた。良くないなりにきっちり抑えるあたりはさすがエースだと感じられた。 しかし7回に突如崩れ、結局自責点4でマウンドを降りた。 ただ、オーティズに打たれた同点タイムリーは仕方ないとしても、無死満塁で西岡に打たれた勝ち越しタイムリーは藤井の配球次第で防ぐことが出来たのではないだろうか。 終盤7回で同点(しかもロースコア)無死満塁となれば当然三振を奪う為の投球・配球になる。しかし、それは打席の西岡も当然分かっていることだ。 初球、2球目共に内角に要求したボールが外れカウント0-2。バッティングカウントとなった3球目、藤井は膝元へのスライダーを要求し、ファールを打たせる。 0-2となった時点で、打者の心理を考えると「同点の無死満塁で0-2から真っ直ぐでカウントは取りに来ない」か(この回2つの四死球があったことを踏まえ)「押し出しを恐れて真っ直ぐでカウントを取りにくるのではないか」という2つになるのではないかと思う。 結果的に西岡の心理は前者だった。ならば0-2から膝元の難しいボールに手を出してきた時点で西岡の狙いが三振(空振り)を奪う為のボール、つまり内角球と低めの落ちるボール(フォーク)であったことに気が付かなければならなかったのではないだろうか。 しかし実際には藤井が三振を取りにいくセオリー通りに内角のフォークを選択し、それをライト前へと運ばれた(続くサブローも初球の内角)。あたりは決してよくなかったし、打った西岡が立派だったと言えばそれまでだが、0-2から難しいスライダーに手を出してきたことから何かを感じなければならなかったのではないか。 今季藤井が(同点・接戦の場面で)セオリー通りの配球で失敗したことを書いたのは何度目だろう……。酷な言い方ではあるが、嶋や井野が藤井の出場機会を奪うような成長を見せなければ、これから先も優勝することは出来ないだろう、と感じてしまった。もちろん今季もファンとして諦めたわけではないが、あまり多くを望まず、我慢を重ねなければならないことを自覚させられた敗戦であった。 <><><><><><> 最後に永井が出てきたので9連戦の先発は長谷部⇒片山⇒ドミンゴ⇒青山⇒田中⇒岩隈⇒永井⇒長谷部⇒片山になるのではないだろうか。 <追記>永井抹消で朝井登録となったので月曜は朝井が先発になることが濃厚。 書くのもしんどい泥沼の5連敗。5位転落で最下位と1ゲーム差。 このブログは読者の方の応援によって継続されています。 「興味深い」「参考になった」「賛同できる」と思われた方はポチっと協力お願いします。⇒ マリーンズファンのイーグルスに対する印象は?⇒Ranking
2008年07月13日
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