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リオです。なんでしょうか、夕方になったら急に寒くなりました。昼間は結構暖かかったはずなんだけどな。足首が冷えてちょっと痛い感じです。風も強いし。まだお腹出して寝るには早いかもしれません。リオでした!------------------------------「お熱いのがお好き」 香ばしいトマトとジェノバの香りと活気にあふれた店内。 コック帽子をかぶった欧州人のスタッフが笑顔でテーブルの間を歩いている。 太一に誘われてカナコはイタリア料理の店に来ていた。「でさ、太一はどう思う。主任のこと」「そ、そう言われてもなあ。変に期待してただの飲み友達でいましょうだったらきついし、やめとけばいいよ。うん。ひょっとしたらオカマかもしれんしな。やめとけやめとけ」 なぜそういう発想になるのかと、カナコは頼りない太一にため息を送る。「オマタセシマシター。トウフノマルゲリータデース」 陽気な笑顔のコックが泡立つトマトソースのピザを運んできた。「確かおごりだったよね、太一」「おうよ」「えっと、追加でこのワインと、あとナスとペンネのピザ、それにアップルピザをお願いします」「アリガトゴザマース」 来たときよりも陽気にシェフはキッチンに戻っていく。「マジカ!」「マジよ。さってっと、冷めないうちにいっただっきまーす」 薄生地の上にトマトソースが引かれ、千切り豆腐が撒かれている間にバジルの葉が添えられていた。「うん。おいしー。ありがとね、太一。悩みに付き合ってくれただけじゃなくて、奢ってもくれるなんて。あんたいい男ねえ」「お、おうさ。主任とかいうやつよりずっといい男だぜ」 かっこつけて胸を張る太一。だが、カナコにはちょっと頼りなく見えた。「どうなるかわからないけど、もう少し様子見しながら仕事していくわ。あんたもエリカと仲良くするのよ。ちょっとオバカだけどいい子だからね」「あ、あぁ。そのことなん……」「うーん、やっぱりこの店いいわ。早くワインこないかなー」 太一はカナコの嬉しそうな顔を見て、言いたい言葉を飲み込んだ。 今はこの笑顔を見ていたい、太一はそう思った。「俺にもちょっと飲ませろよ」「ちょっとだけだよー」「俺のおごりだっつーの」 二人は昔から変わらない笑みを交わした。------------------------------「お熱いのがお好き」 end.アルチェネロ トマトソース・バジル入りアルチェネロ トマトソース・トスカーナ
2011年05月31日
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リオです。台風一過です。英語で言えばハリケンファミリーです。ちょっと嘘つきました。こちらは台風が抜けて、涼しい風、明るい日差し、よい昼寝日和です。うーん、季節、天候にあわせて楽しめる昼寝というのはとてもアウトドアなスポーツだなと思いました。みなさんもマクロビに取り込んではいかがですか。よい眠りを!-------------------------「今そこにある恋」 賑やかな会社の食堂。 お腹を空かせた野獣系ジョシがあちらこちらでトレイを抱えて食事に食らいついている。 カナコとアリサも同じように。「センパイ、結局主任とつきあうことにしたんですか?」 カナコと同じおからハンバーグ定食を食べるアリサ。「え、アリサどうしてそう思うの」「主任の笑顔が普段の3割増しなんです。飛び上がりたいのを抑えているようにも見えるし」「み、みんなにもそう見える?」 付属の玉葱と大葉のスープに口をつけながら少し緊張したようにたずねる。「んー、どうですかね。まだ大丈夫だと思いますよ。そもそも、私二人を観察してますし。そういう目でみられなければ問題ないかと」 素直に安心できないカナコだったが、バレバレでなければまだいいと思った。 不安と一緒にショウガベースのタレがかかったおからハンバーグを食べる。 空腹は情緒を危うくする、というのはカナコの持論だ。「怖いなあ」 ぼそっと言うカナコにアリサは言う。「後ろめたいことがなければ問題ないんですよ。問題は恋の芽が二人の間にあることですね」 アリサの言葉に、ハンバーグをついまぶカナコの手が止まった。「自覚しないようにしてたんだけどなあ」「まっ、なるようになりますよっ」 アリサの満面の笑みを横目にカナコはため息をついた。-------------------------「今そこにある恋」大豆ミート(バラ肉風)大豆マヨ・320g 野菜ブイヨン・(5g×8包 )
2011年05月30日
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リオでした!ってオチから入るのも一回ぐらいは許されると思うの。日曜日ですよ。あるいはサンデーです。水曜日に発売するのにね。どうでもいいことですが、デザートのサンデーは日曜日に食べるものだからだそうですよ。なんでも「日曜日にクリームソーダ禁止!」っていう地域があって「アイスにソーダかけるのはセーフだろう」ということで始まったそうです。裏はとってませんけどね。リオでしたー!------------------------------「きいてほしいんだ、ぼくのこと」 昼下がり、カナコは昼食をとりにマスターのお店に来ていた。 昼間とは言え嵐のような強い雨が降る中に顔を出す客は少ない。 ドアのカウベルが鳴った。 バーカウンターにいたカナコは振り返るが、それは知らない人だった。「誰かお待ちですか」 マスターが声をかけた。「う、ううん。なんでもないの」 士郎の姿を探してしまっていた。そんなことはさすがに言えない。 昨日のうちに読み終えてしまった「ねずみの騎士 デスペローの物語」の感想を早く伝えたいとカナコは思っていた。「どうぞ、サラダうどんです」 マスターが注文の品を出した。 レタス、トマト、キュウリ、揚げナス、とろろ昆布。それらが添えられた細うどん。 切子ガラスの醤油さしに入れられたマスター秘伝のポン酢をかけてすする。 コシのあるうどんの歯ごたえ。 ポン酢の酸味と揚げナスのほんのりとした甘み。 咀嚼から飲み込むときまでおいしさが終わらない。「いい季節ですね、マスター。今日もすごくおいしいです」「恐縮です。カナコさん」 笑いながらマスターはおじぎをした。「ああ、そういえば」 と、マスターは切り出す。「士郎さんはこのあたりに住んでいらっしゃいまして、よくお昼を食べにこられるのですよ」 へぇ……、と興味なさそうにカナコが言おうとする前に、ドアベルが鳴った。「あ、カナコさんこんにちは。奇遇だね。……マスター、僕も同じものを」「かしこまりました」 士郎は一直線にカナコの隣に座った。「し、士郎さんこんにちは。本、ありがとうございました。とってもおもしろかったです。デスペローが一生懸命で可愛くて」「気に入ってもらえてよかった」 カナコは子供のような笑顔の士郎にねずみの騎士の姿を重ねた。 士郎は嬉しそうに話を続ける。「僕は昔からヒーローに憧れていたんだ。塔の奥に閉じ込められたお姫様を助け出すんだってね。かっこいい自分でいたくて、いつ助けを求められてもいいようにジムに通ってるんだ。子供っぽいけどね」 腕まくりをする士郎。まるっきり子供の顔だった。 カナコの頭に電話ボックスで返信するクラーク・ケントの姿が浮かんだ。「じゃあ、会社での士郎さんは仮の姿ですか」「あははっ。当たってるかな。かっこよくて信頼されてる上司を演じてるって意味ではね」 嵐のような雨のせいか、気分が高揚した士郎は話を続ける。 そんな士郎を見ていたくてカナコは聞くことに徹した。 彼が笑うと自分も嬉しくなる。 こんな関係も悪くないかな、とカナコはヒーローに憧れる少年の顔を見つめた。------------------------------「きいてほしいんだ、ぼくのこと」end.手づくりうどん・250g
2011年05月28日
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リオです。そとはざあざあ、なかはぬくぬく、これなーんだ。こたえリオが今したいことです。雨っていえばお昼寝ですよ。昼酒あおったり、お菓子だけでお腹いっぱいになったり、世界最高の自堕落をする為のシチュエーションです。でも、お仕事なのよー。みなさんは、どんな今日をお過ごしですか?------------------------------「君を読む物語」 湯気の立つ紅茶とユキのくれたパンをテーブルにおいて、カナコは読書をしている。 外は雨、静かにしとしと、部屋には自分だけ。 昨日の喧騒は嘘のよう。 カナコの手にあるのは児童書「ねずみの騎士デスペローの物語」。 少し変わったねずみの子、デスペローが人のお姫様に恋をして勇敢に戦うお話。そんな物語を士郎は貸してくれた。「本当に男の人って冒険の話が好きなのね」 物語を通してカナコは士郎の人となりを想像した。 時計が鳴る。 思ったより没頭していたようで、すでに半分近くを読み進んでいた。 しおりを挟み、本を閉じる。 伸び、深呼吸、そしてパンをかじる。 昨晩ユキが置いていってくれたココナッツのパン。 しっとりしたパン表面にまぶされたココナッツの歯ごたえと香りにうっとりする。 名残惜しさを感じながら、紅茶をひとすすり。「ありがとう、こんな贅沢な週末はユキ、あなたのおかげ……」 本の表紙に淡い筆致で描かれた「ねずみの騎士デスペロー」を見た。 腰に縛り付けた赤い糸に縫い針という名の剣を携えて、恋するねずみは姫の下へまっすぐに駆けつけようとしている。「……あと、士郎さんもありがとう」 カナコはお姫様の笑顔でねずみに微笑みかけた。------------------------------「君を読む物語」end.ココナッツフレーク・100gココナッツパウダー・120gココナッツクリーム 400mlルイボスティー3g(ティーバッグ×30袋)ラズベリーリーフ・24g(ティーバッグ16袋)スロートコート・32g(ティーバッグ16袋)エキネシアティー・プラス・24g(ティーバッグ16袋)ペパーミント・24g(ティーバッグ16袋)フレッシュハーブ レモングラス (1パック/約50g前後)フレッシュハーブ ハーブティセット
2011年05月28日
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リオです。金曜日が来ました。みなさんどうお過ごしですか。素敵なアフターファイブなのでしょうね。こちらは雨が降ってきましたので、肌寒い夜を暖かく楽しくすごしたいと思っています。それが一番の贅沢。さて、芋焼酎、芋焼酎。-------------------------「恋のからさわぎ」 カナコの家にユキと太一が揃い夕餉を囲んでいた。「で、カナコはどうするつもりなの」 ユキが缶ビールを持った手でカナコを指差した。 太一は耳だけをそばだてながらカナコの作った豆乳スープを飲んでいる。 パクチ粉やコリアンダーの香りと麻の実ナッツの風味が香ばしい。 おいしさに気をとられてしまえばカナコたちの言葉が遠くなる。 だが、カナコの手料理故に味あわないのも申し訳ない。 そんなところで太一は葛藤をしていた。「どうするって、別に士郎さんとはなにも……」「おいおいカナコさんよぉ。今なんつったぁ? 士郎さん? 士郎さんだって? もう名前で呼び合う仲かよ。太一、なんか言ってや……やっぱやめ。黙って食べてなさい」 ユキが酔った勢いでいつもよりハメを外している、ように見えた。「待てよユキ。俺にだって物申す権利が」「黙りなさい、太一。元カレに人権なんてないのよ」 ひっでー、と言いながら切り干し大根の煮物に手をつけている太一。「しろ……主任が仕事の外は名前で呼べって。飲み屋仲間だし、別に他意はないでしょう?」「本当は分ってるくせに。士郎さんはカナコと仲良くなりたいのよ。そうでなければ上司があなたにバーボンの話なんてするわけないじゃない」「バーボンの話ってなんだ。俺に聞かせてくれよユキ。士郎って誰だよ」 豆ご飯をかきこみながら太一が身を乗り出してくる。「しつこいよ太一。元カレの分際で未だにここに出入りしているんだってね。ご飯食べてないでさっさとエリカのところに帰りなさい」「ユキひっでー、お前に呼ばれて俺きたんだぜ」「私は酒買ってこいって言っただけよ。もう用は済んだの出てけー」 ユキと太一が言い合いをする外でカナコは一人思う。 人の色恋ってそんなに面白いものかしらね。-------------------------「恋のからさわぎ」 end.フラックスシード(亜麻の実)30g
2011年05月27日
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はい、今日リオは木曜日でした。おそらく世界的にも木曜日でしょうが。皆さんお疲れのようですね。あと一日だーって思ってもやっぱり明日へつなぐので精一杯なんでしょう。勿論リオも同じです。麦チョコでも食べて踏ん張りますけどね。とはいえ、土日もないリオにはまだ先のながーいお話です。あー、月曜日休みまで遠いにゃー。土日休みの皆さんはあともういっちょ、気張っていきましょう!あ、本当に疲れている人は休んじゃってもいいですよ?世間が許さなくてもリオが許します。責任はとれませんけれどね。-------------------------「めぐり逢えたら」 いつものバーカウンターでカナコは悩んでいた。 店内にはジャズナンバー「misty」が流れる。 士郎主任がどうして自分の噂をしているのか、アリサにからかわれていただけなのか、答えはでない。 相談しようと連絡した太一も今は県外へ出張だという。 太一といえばどうしてまた私の家に遊びにくるのか。 普通、今カノのノロケも愚痴も元カノに聞かせるモノじゃないと思う。。 太一、主任、いったい私をどう思ってるのか。「それで、カナコさんはどちらにするかお決まりですか」「ど、どっちって!? 二人ともそういう関係じゃないし!」 マスターの声にびっくりして飛び上がるカナコ。「? 本日の焼酎のお話でございますが」「む、麦でお願いします」「かしこまりました」 なにごともなかったように静かな笑顔を見せてマスターはグラスの用意をはじめた。 マスターが取り出したボトルから綺麗な金色の液体がグラスに注がれる。 カウベルがなった。 気になって振り返ると士郎主任が立っていた。「カナコさん。この店気に入ってくれたんだ。あ、隣いいかな」「あ、主任どうぞ。すいません、実は私ここの常連で」 二人がマスターを見ると、優しい笑顔と会釈が返ってきた。「へえ。今まで気づいたことなかったなあ。どうしてだろう」「すれ違っていたんでしょうね。あ、主任はなに飲まれますか」 マスターがゆるやかに間に入る。「士郎さんはいつも同じものを頼まれるのですよ」「ふふふ、僕はこう見えて一途でね」 マスターと士郎が訳知り顔でアイコンタクトを取った。「どうぞ、士郎さん」「ありがとう、マスター」 マスターは琥珀色がゆれるグラスを士郎の前に出した。「主任はバーボンなんですね」「うん。僕は若い頃ルパン三世の次元大介に憧れててさ。知ってるかな、いつも次元はカウンターで『オヤジ、バーボン』って言うんだ。それ見ていつかやってやろうって思ってたわけ」 その話を聞いて、ついカナコは笑ってしまった。「ああ、マスター。やっぱり笑われちゃったよ」 士郎はマスターに肩をすくめてみせた。「す、すいません主任。ふふふ、でも主任って意外に子供っぽいところあるんですね」「男の子はいつだってヒーローに憧れているものさ」 失礼します、とマスターが二人にお皿を並べ始めた。 皿にはクラッカー、アメリカンチェリー、薄切りレモン、マーマレードジャム、メイプルスプレッド、大豆ペースト、レタス、トマトが盛られ、一緒に塩などの調味料も添えられていた。 ごゆっくりどうぞ、と言うとマスターはテーブル席のお客へ注文を受けに去っていった。「さ、食べようかカナコさん」「はいっ」 カナコはさっきまでの悩みなどすっかり忘れてクラッカーに食材を乗せていく。 たっぷりとメープルスプレッドを塗り、チェリー添えて大きな口で食べた。 クラッカーの歯ごたえ、チェリーの酸味、追いかけるようにメープルスプレッドの甘い香り。「主任、すごいおいしーですよ」「あはは。前にも言ったけれど、カナコさんは本当においしそうに食べるね」 士郎は山盛りのクラッカーを一口で食べる私をじっと見ていたのだ。 そう思ったら、カナコは急に恥ずかしくなってきて小さくなりたくなった 急にばつの悪そうな顔をしたカナコに士郎はあわててフォローをする。「ご、ごめん。そういう意味じゃなくって。……思い切りのいい食べ方をするカナコさんが素敵だなって、そういう……ああ、もう僕は何を言っているんだ」 お互いに言葉に詰まり話ができなくなった。 静かに「misty」が流れる。 なにも言わず回るのはお酒と、時計の針。 士郎のグラスで氷がカランと音を立てた。「え、えっと、とりあえず食べようか。お勧めの盛り合わせ教えてもらえるかな」「あ、は、はい」 カナコの言うままにクラッカーに山盛りに載せてしまう士郎。「カナコさん、ちょっとやりすぎたかな」「ふふ、主任も男なんですから、ばくっと見せてくださいな。私よりは大きい口開けられるはずですよね」 士郎はカナコが目を丸くするくらいの大口でクラッカーを頬張った。。「わ、すごい主任。本当に食べちゃいましたね」「ちょ、ちょっと苦しかったよ」 さっきまでの緊張などクラッカーと一緒に飲み干してしまったかのように二人は笑う。「そうだ、カナコさん。ここで会うときくらい主任ってやめて名前で呼んでもらえないかな。会社ではないんだし」「え、えっと。し、士郎さん、ですか」 士郎はカウンターの下でガッツポーズを取った。「そうだね、そうしてくれると嬉しいな」「はい。常連同士宜しくお願いしますね」 お酒と、空気と、恋に酔う。 そんな大人の夜が流れていく。-------------------------「めぐり逢えたら」 end.有機ストロベリージャム有機ブルーベリージャム
2011年05月26日
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水曜日のリオです。みなさんも水曜日でしたね。相変わらず事務所は寒いです。でも休憩所は天窓があり気持ちよく昼寝ができます。リオは昼寝が大好きで、一人の昼休みを邪魔されると春先のツキノワグマのように獰猛になります。がお。みなさんも、「昼寝が好き」という方に近づくときは今は昼休みではないかどうかしっかり確認しましょう。-------------------------「恋は燃えているか」 帰宅したカナコはいつものようにビールを片手に台所に立つ。 冷蔵庫を開けてカクテキ……雨宮さんからいただいた大根を市販のキムチに和えただけの簡単漬物……を取り出す。 そして今日は缶に入ったマッコリも一緒に。 リビングではレンタルDVDが海外ドラマを流していた。「いただきます」 テーブルに並んだ夕食にカナコは手を合わた。 お手製カクテキ、サラダ、きゃらぶきの入ったおにぎり。 とにかくお腹の減っていたカナコはまずおにぎりに噛み付いた。 テレビ画面では美しい女性博士が骸骨を片手に、野生的な体格の同僚男性へなにかをしきりに説明していた。「オフィスラブねえ。私には縁のない話だ……ったけど、主任かあ。うーん」 アリサが言った言葉が頭を巡る。「やっぱりピンとこないなあ」 ビールが無くなり、マッコリを開けた。 乳酸菌の酸味と麹の香ばしさが甘く喉を通る。 カクテキを頬張ると、程よい辛さと新鮮な歯ごたえがおいしい。「主任もアリサをからかっただけじゃないの」 おにぎりにもう一度遠慮なく噛み付く。「太一に相談してみようかなあ。あ、でもエリカの耳に入りそうで怖いかも。太一ボロだして色々エリカに言っちゃいそうだし。『カナコごめーん』とか情けない声で電話してくるに違いないわ」 マッコリを大きく飲み込んだ。「むー、何を悩んでいるのカナコ。根拠の無い話なんだから、エリカの耳に入ったところで問題なんてないじゃない。よし、今度太一に聞いてみよう。そうしよう」 意を決するとカナコは夕食をさっと平らげ、次のビール缶に手をかけた。 そのときドラマの中では、美人博士にコーヒーを渡す知的な男性の姿があった。-------------------------「恋は燃えているか」 end.キムチの素・85g 焼海苔芽玄米ごはん
2011年05月25日
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リオです。今朝は雨で寒かったです。昼過ぎには晴れて青空も見えるまでになりましたが、おかげで虫も増えてくる兆しです。乙女座のA型でヒメカワ系のリオはモスキートに愛されまくりなので、ちょっとアンニュイモナムール。とはいえ、夏も大好きなのでジレンマです。-------------------------「出勤までに食べたい10のごはん」 朝日の差し込む台所からカナコが顔を出す。「アリサー、パンケーキでいい?」「あ、はい。お願いします!」 まだカナコから借りたパジャマを着たままのアリサが、昨晩遅くまでかかって作った書類に目を通している。「すいません先輩。泊めてもらってその上ご飯まで」「別にいいわよ。それより力になれてよかったわ」 顔を引っ込めるとカナコはボールを目の前に腕をまくった。 コーンミールや豆乳などの材料を混ぜ、フライパンでパンケーキを焼き上げる。 同時に紅茶を淹れながら、パンケーキに合わせるものをトレーに乗せていった。「ごめん、アリサー。手伝ってー」 トレー二つに山盛りになった朝食を二人で並べる。「うっわー、先輩いつもこんな豪勢な朝食なんですか!」「いやいや、今日はちょっと見栄張っただけよ」 パンケーキと紅茶以外にレタスとトマトのサラダ、ストロベリージャムにブルーベリージャムとメイプルシロップ、さらにバナナとキウイを添えたヨーグルト。 彩り鮮やかな食卓にアリサは目を丸くした。「見栄張ったって私はここまで思いつきませんよ。インスタント味噌汁が精一杯」「私は食べるのが生きがいだからねー。さ、食べよアリサ」『いっただっきまーす』 アリサがたっぷりのメイプルシロップをかけてパンケーキを頬張る。「はぁー、サイコー。これだけ美味しいご飯作れるっていうのなら、主任が先輩と付き合うのも分るなあ」「え!? どうして主任が出てくるのよ!」 次のパンケーキを頬張ったままアリサはカナコの驚いた顔を見た。「ん……つきあってるんじゃないんですかぁ。だっていつも主任、先輩の話してますよ」「えぇ! なんで、どうして、どういうことよアリサ!」「そう言われても……この間だってエリカの件で先方にいった帰りに一緒にご飯食べてきたんですよね。主任嬉しそうに言ってましたよ『カナコさんとデートしてきちゃった』って」 カナコは主任がなぜそんなことを言うのか理解できなかった。 主任は年上だし、エリートだし、カッコよくて大人っぽい。 そう、ジョシの憧れになるのは丁度あれくらいの男性だ。 だとしても、自分のようなどこにでもいる女子社員を特別に見てくれる理由なんてどこにも思いつかなかった。 そもそも、自分が主任をそんな目でみたことがなかった。「先輩、食べないんですか。では、いただきますね」 カナコがぐるぐると悩んでいるうちにアリサが横からつまんでいく。「……あ……こら、アリサぁ! 先輩のを横取りするとはどういう了見だあ」「え、私言いましたよぉ。先輩なにも言わないし動かないし、いいのかなって思って」「いいわけないっ。そんなんだから彼氏に太ったって言われるのよ!」 ひどいっ、と泣き顔を作るアリサからカナコはパンケーキの乗ったお皿を奪い返した。 軽い罪悪感からカナコは、「ちょっと食べる?」、と聞くが「いりませんっ」と今度はアリサにスネられてしまった。『ごちそうさまっ』 ほどなくして二人は綺麗に朝食を終えた。「すぐに戦闘態勢よアリサ」 カナコが強い視線でアリサを見た。「はいっ、エネルギー充填完了ですっ隊長!」 敬礼で返すアリサ。 すぐに台所を片付け、身支度を済ませる。 そして二人は玄関をあけ、強敵の待つ街へ飛び出していった。-------------------------「出勤までに食べたい10のごはん」 end.有機ストロベリージャム有機ブルーベリージャムコーンミール 907gデザート シロップ(ロー カカオ)・312gデザート シロップ(バニラ)・312g
2011年05月24日
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リオです。こちらはステキな雨が降り続いております。静かにしとしと。緑が綺麗ですねこんな日は一人静かにおやつとお昼寝今日は抹茶白玉ぜんざいでした御餅大好きあと抹茶みたらし団子も買ってありますがそれまた、あとであとで……-------------------------「陽だまりのような午後を」 まさか主任がこの店を知っているとは思わなかった。 取引先への謝罪の帰り、主任は「寄り道をしよう」とカナコお気に入りのバーに入っていったのだ。 カナコは隣に座る主任に頭を下げた。「すいません主任。私がエリカにしっかり指示しておけば」「いいよ、カナコさん。先方も許してくれたしね。なにより、失敗は起こるものだよ」 主任……士郎は優しい笑顔で言った。 それでも頭を上げないカナコに士郎は続ける。「ほら、カナコさん。せっかく仕事さぼってお茶しにきたんだから、楽しくいこう」「え? さぼりにきたんですか」 顔を上げたカナコの目が点になっている。「君を絞り上げる為に寄り道したと思ってたのかい。そんな悪趣味な男に思われていたとはショックだなあ」「いえ、そんなことは!」 カナコの必死な顔とは対照的に、士郎は楽しそうだった。「失礼いたします。ポトフでございます」 マスターがやってきてテーブルに湯気の立つポトフと切り分けたバゲットを並べる。 ごゆっくりどうぞ、とマスターは頭を下げすぐに下がっていった。「頭下げるのは疲れるよ。さ、お腹いっぱいにして元気を取り戻そうか」「は、はい」 綺麗なスープの中には透明になった玉葱、柔らかそうなじゃがいも、鮮やかな人参、ころころとした芽キャベツが沈んでいる。 胡椒の香りが食欲をそそった。 士郎の笑顔とポトフの出現に緊張が切れてカナコの空腹が目覚める。「じゃ、お先に。いただきます」「あ、私も。いただきます」 スープをひとすくい。 ブイヨンの味わいと、温度で体が温まってくる。 次に芽キャベツ。柔らかな食感と瑞々しさが噛んでいて楽しくなってくる。 ほくほくのじゃがいも、甘い玉葱、とろける人参。食べるほどに身になっていくようで、元気がでてきた。 香ばしいバゲットも、スープとの相性は抜群だった。 ぱりっとバゲットを頬張ったところで視線に気づく。「あ、主任。えっと、なにか私の顔についてますか」 すると士郎は少し目を泳がせながら言った。「あ、ごめん。カナコさんって本当においしそうに食べるなあって思って……」「え、あ……」 一度目が合い、互いに言葉につまる。 そんな二人から離れ、マスターはカウンターの中で小さく微笑んでいた。-------------------------「陽だまりのような午後を」 end.野菜ブイヨンベジタブル スープブイヨン
2011年05月23日
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人生毎日が日曜日って夢ですよね、リオです。日曜日だからって休みとは限りませんが。そんなみなさんは私と一緒においしいもの食べましょう。お勧めは豆乳キムチラーメン。ほとんどの袋ラーメンにあいますよ。是非お試しください。舌とお腹に甘いリオでした!-------------------------「甘辛ウィークエンド」 カナコはハミングしながら台所に立っていた。「メニューは揚げじゃがの味噌あえ、冷奴、ほうれん草のおひたし。食材は万全っと」 皮のままの新じゃがを油で炒めていく。皺が寄ってきたら水を加えて茹でる。 味噌、みりん、砂糖を鍋に入れて練り味噌を作る。 木へらについた味噌をひとなめ。「上出来っ」 茹で上がった芋を味噌に入れて煮詰めていく。 続けて他のメニューもできあがり、ご飯も炊けた。 玄関のチャイムが鳴った。「カナコー、開けてー」 ユキの声だった。「いらっしゃい。今できたところなの」 二人すぐに食卓を囲む。 目の前にはまだ湯気を立てる、一番おいしい瞬間の夕飯が並んでいる。「いい香りー。楽しみ」「じゃ、挨拶しちゃいましょうか」『いっただっきまーす』 二人で手を合わせて斉唱。 待ちきれないとばかりにユキは味噌和えをかじる。味噌の甘味と、じゃがいもの皮の風味が食欲をさらに刺激していく。「んー、期待しててよかったー。カナコ、これ旅館みたいよ! ご飯にもぴったり!」「これ初挑戦なの。おいしくできてよかったー」「カナコの旦那になる人がうらやましいわ」 二人で笑い、一心に夕食を進める。 冷奴もまた味噌のあとに食べるのに丁度よく、口の中を冷やしてくれる。 合間合間にほうれん草のおひたしで箸休め。「ところでカナコ。また太一きたでしょ」「なんでユキ知ってるの?」 ユキの鋭い発言にカナコは目を丸くした。「今日、私の店に来たのよ。いい加減にしなさいよ。男女の友情なんて信じすぎても痛い目見るだけよ」 そういうんじゃないんだけど……、と言葉を濁すカナコ。 うまく返せないカナコにユキは畳み掛ける。「まったく。あんな頼りない男さっさと見限りなさいよ。そんなのより、あの士郎さんにしなさい!」「ちょっとユキ、どうして主任が出てくるのよ!」「士郎さんカナコのこと絶対まんざらじゃないって。かっこいいし、エリートコースだし、士郎さんにしなさい」「ないないないない! 主任と私なんてありえないっ」 想像にもしたことのない話にカナコは否定する。 ユキはそんなカナコの様子を意にも返さず、目を輝かせながら士郎を恋人に推す。「諦めんなっ。いけるってカナコなら」「根拠がなーい!」 追い詰めるユキ、逃げるカナコ。 ガールズトークは賑やかに週末の夕食を彩った。-------------------------「甘辛ウィークエンド」 end.立科みそ汁立科あわせみそ麦味噌・1kg八丁味噌立科豆みそ(750g)
2011年05月22日
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みなさまこんにちはかなですヽ(●´∀`●)ノアヒャー日記を書くのは正月ぶりということで、かなりお久しぶりになってしまいましたねリオさんが毎日素敵な小説を書いてくださるので、私も毎日見る側に回ってしまっていました(笑そんなことではいかんщ(゜Д゜щ)というわけで、この間あったちょっとした出来事をご紹介いたします<業者のお兄さん>先日、知り合いが引越しをしまして、冷蔵庫と洗濯機を業者さんが取り付けにきてくれるということになっていたのですが、知り合いはちょうどその時仕事が抜けられなくて、私が代わりに行くことになりましたその業者さんは若いお兄さんとおじさんの2人組で、お兄さんの方は、爽やかな短髪で野球部っぽい感じ高校卒業したてなのかなーと思ったのですが、2人の様子を見ていると、どうやらお兄さんの方が先輩のようです(°∀°)オヤ?その後洗濯機の試運転中にお兄さんと少し喋ったのですが、(おじさんは先に車に帰りました)お兄さんは私に対してタメ口で話していましたまさか私のことを年下だと思ってるのかなと思いつつ、話の流れで歳を聞かれたので、「今22です」と、答えたところ、「えー高校卒業したばっかかと思ったー!!」と言われましたそれはこっちのセリフです(つд`)やっぱりお兄さんは私のことを年下だと思っていたようですしかしその後もタメ口で話しているので、「あれ?この人実は年上なのかな??」と、思いはじめました(・с・*)オヤ?帰り際になってお兄さんに「じゃあ仕事頑張ってねー」と言われたので、「お兄さんも頑張ってください」と言うと、ドアから出しかけた顔をこちらに戻し、「ぶっちゃけさぁ、社交辞令とか無視して俺何歳に見える?」と聞いてきました。なんともノリの軽いお兄さんです最初の爽やかなイメージはどこに行ってしまったのでしょう(´‐ω‐`)ホントネとにかく返事をしなければいけないので、私より年上だけどそんなに違わないだろうと思い、「んー24とかですか?」と聞いたところ、「あーそうなんだぁ」と深くうなずいているので、「えっ本当は何歳なんですか??」と聞くと、ニヤリと怪しげな笑みを浮かべながらこう言いました。「今年で32になる」・・・・・。え゛―っΣ(○д○)「絶対うそだ!!15歳くらい逆さば読んでるでしょ!!」とはさすがに言えず、心の中で叫んでおいて、「ほんとですかぁ!?」とオーバーリアクションで驚いておきました「これでも頑張ってるだにー?」と、なんだか得意げな笑みを浮かべていましたが、一体何を頑張っているんだか全く分かりません( ´_ゝ`)でも今まで会った人の中で一番予想と実年齢の差が大きかったので、とても衝撃を受けました人は見かけで判断しちゃいけないんだなとつくづく思った一件でございましたとさでは今回はこのへんでかなでした*´∀`*)ノ
2011年05月22日
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崖っぷちのリオです!ごめんなさい、ちょっと嘘です。『デスパレート(崖っぷち)な妻たち』を見たら使いたくなったんです。このドラマすっごい面白いですね!あまりの面白さに大興奮してバランスボールから転げ落ちました。はい、崖っぷちを余裕で過ぎてました。い……痛い……。今度「ビジター」シリーズ見ようと思ってたけど、こっちを見ちゃうかも。-------------------------「美男、おやつ、公園にて」 空は青く晴れ渡り、日差しは柔らかい。時折吹く風も優しく街を通り過ぎていく。 カナコは休日を満喫するために散歩に出た。 大好物をおやつに持って。「んーっ、やっぱり毎日歩かなきゃだめね」 公園の遊歩道を行く。植木で縁取りされた公園には芝生がずっと続き、街の誰もが休日を思い思いに過ごしていた。 特にカナコの心を掴んでいるのは犬たちの大サミットだ。 柴犬、チワワ、ボクサー、フレンチブルドッグ、ラブラドールレトリーバー……。ほかにも沢山のカナコの知らない犬種が飼い主に連れられあちらこちらを駆け回っている。「元気いっぱいねー、本当気持ちよさそう」 カナコはそんな犬たちの姿を目にしながら、今日の休憩ポイントを見つけた。木漏れ日の涼しげなベンチ。 腰をかけて荷物を傍らに置くと、遠くから走ってくる純白の大型犬、ボルゾイ。 バネのように体を跳ね上げ、力強く大地を蹴る姿がカナコの心をときめかせた。 犬はカナコのすぐ目の前で立ち止まり、座り込むと何をするでもなくただ彼女を見つめていた。「いつもいい子だね。マイク」 ボルゾイ犬特有の長い顔を両手で包むようにカナコは撫でた。 柔らかく艶やかな毛質と硬い肉質が手に伝わってくる。 気持ちよさそうにマイクは目を細めた。「よし、私はおやつにするね」 お手拭で手を拭いて、カナコは鞄からサンドイッチとマグボトルを取り出す。 その間もマイクは別段欲しそうな顔をするわけでもなく、足元でカナコと景色を交互に見ているだけだった。 サンドイッチを顔の前まで持ってきて、出来栄えを確認する。 パンの間には荒引きナッツの入ったピーナッツバター、薄切りバナナ、ブルーベリージャムが挟んである。 カナコもマイクに習って、空と、周りの緑を見渡した。 風が体の中を抜けていく開放感。「それでは、いただきまーす」 遠慮なくかじりつく。パンに歯型がついてもかまうもんか。見ているのは口の堅いマイクだけ。 咀嚼するほどにピーナッツの風味が口に広がり、ところどころでぷちぷちと甘酸っぱいブルーベリーの実が弾ける。その間にもバナナが溶けて柔らかく舌を包む。「んぐ、あぁ、こんな贅沢してていいのかしら。いえ、いいのよカナコ。一週間のご褒美だもの」 あっという間に食べ終わると、マグを開けて紅茶を飲んだ。 優しい苦味と風味豊かな甘味が喉と鼻を潤した。「ごちそうさまでした」 両手を合わせ、カナコはお弁当包みに頭を下げた。 マイクもつられてか小さく鼻を下げる。「ふふ、お腹いっぱいになっちゃった」 誰にも見せない自然な笑顔でカナコはマイクに言った。 彼の長い耳が跳ねた。「飼い主さんが呼んでる。またね、マイク」 カナコがばいばい、と手を振る。 すっと腰を上げるとマイクは背中を向けて、来たときのように力強く駆けていった。「んー」 カナコも立ち上がり、背伸び。「洗濯物乾いたかなぁ。よしっ、私も帰ろう」 午後の風に背中を押され、カナコは公園を後にした。-------------------------「美男、おやつ、公園にて」 end.スロートコートラズベリーリーフ
2011年05月20日
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リオです。花金ですよ!みなさんアフターファイブはいかがお過ごしでしょうか。私はやっぱり仕事でした。そんなもんですよねー。明日も仕事ですが、心は折れないようにリオはがんばりますよー。-------------------------------「ワインビター・トマトスウィート」 カナコが玄関を開けるとそこにはユキのいう野良犬、がひとなつっこそうな顔で立っていた。 名前は「太一」。 カナコの元彼。「よっ。ワイン持ってきた」「今日来るなんて言ってなかったじゃない」「昨日メールしたよ?」 今度遊びにいくよ、とだけ書かれたメールは確かに受け取った。でも、いつとは書いてなかった。 ため息をつくと太一をリビングに案内した。「相変わらず片付けだけはマメにしてるみたいだな。お腹空いてるんだけど、なにか食べさせてよ。久々にカナコのうまい飯が食べたいな」 太一の『相変わらず』の子供っぽい笑顔にカナコの眉間に皺がよった。「はぁ。わかったわよ。ありあわせだから文句言わないでよ」「そう言っても必ずすげえもん作るよな」「プレッシャーかけないでよ」 そんなつもりはないんだけど、と申し訳なさそうな顔で太一はテーブルの上を片付け始めた。 ……困ったな。 つまみにしようとしてたドライトマトぐらいしかないんだけど。 しょうがない、スパゲティにしよう。 そのまま炒めれば終わりだし…… 気付けにカナコは飲みかけていた缶ビールを飲み干す。「よしっ」 オリーブオイルに漬けておいたドライトマトをトマトの戻し汁と一緒に炒め、バジルを振る。そこに茹で上がったスパゲティを加えて絡めた。 湯気の上がるスパゲティを紺に縁取りされた白い皿に盛ってリビングに持っていった。「早いな! さすがカナコ」「あんたお腹空いているデショ。あと一分遅かったら『まだー』って言ってたわ」「そんな我慢できない男じゃないぜ」 そう言う太一の顔がカナコには子供のように見えた。「ほら、ワイン開けるよ」 太一がオープナーでボトルのコルクを抜き、グラスに注ぐ。 グラスに鼻を近づけ香りを確かめるカナコ。「香りは悪くないわね」「しっかり選んできたんだよ。ほら、乾杯」「乾杯」 深い葡萄色のワインをゆっくりと飲む。 思ったより渋みが強く、重みのある味だった。「やだ。おいしいじゃない」「へっへっへ。言っただろー。よし、次はカナコのパスタだね。あれ、ちょっと麺細い?」「フェデリーニって言うのよ。ソースがよく絡むの」『いただきまーす』 二人の声が重なった。 フォークでくるりくるりと麺を集め、太一が流暢に食べている。 いつか見た風景だった。 何を思い出してるんだカナコ、と思い出を振り払って自分もスパゲティを頬張った。 バジルの香りではっきりとしたトマトの風味が口中に広がった。 細麺のフェデリーニにソースがよく絡み、たっぷりとした食べ応えを感じる。 ドライトマトとオリーブオイルから滲み出る甘味はどこまでもカナコの味覚を満たしてくれた。 続いてワインを飲むと、その強い渋味がトマトに良く合う。「やっぱ、カナコの飯はおいしいなあ」「もっと美味しいモノ食べさせてもらってるでしょ」「エリカは料理下手なんだよ。っつーか、カナコが上手すぎだと思う」 男は胃袋で掴めっていうのは迷信だ、とカナコは思った。「フツーよ。で、今日はなんできたの」「出張、近くまできてたんだよ」「食べ終わったら帰りなさいよ。ホテル取ってあるんでしょ」 食ったらね、と言いながら太一は冷蔵庫からビールを持ってきた。「でさ、エリカが一緒に住もうって言ってるんだけど」「はぁあ? ここに来てノロケとか勘弁してよ」「いや、いや違うんだよ。でさ……」 そして時間は過ぎ、ボトルを空けていく間に、時計はぐるぐると回る。 空が白んできたころ、太一がふらつきながら立ち上がった。「うぉし、帰るかあ」「帰れー」 玄関で向き合う二人。「んじゃ、ご馳走さまカナコ。また腹減ったら寄るわ」「こっちこそワインご馳走様。あと、もうくんな」 二人いつかのように笑い、玄関が閉じられる。 辺りが急に静かになった違和感を感じた。「さーって、土曜日。おもいっきり寝るかあ!」 カナコは自分に言い聞かせるように口にすると、リビングへ戻り寝る準備を始めた。--------------------------------------------「ワインビター・トマトスウィート」 end.ドライトマト・50gオリーブオイル・230g
2011年05月20日
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リオです。そして、木曜日です。木曜日といえば木曜洋画劇場でした。祖父が映画好きで色々見せてもらいました。今では私も立派なB級映画ファン。「来いよベネット、銃なんか捨ててかかってこい!」と友人に言ってもなかなか理解してもらえません。(シュワちゃん主演の「コマンドー」です)皆さん疲れがたまってきてるかもしれませんが、こんなときこそ落ち着いて、心豊かに勤めてまいりましょう。--------------------------------「味のおと」 仕事を終えカナコは帰宅した。マンションの自動ドアが開くと、管理人小窓から雨宮の手がにゅっと伸びてきた。皺の多いがっしりした手にビニール袋がぶら下がっている。「おかえりなさいカナコちゃん。新じゃがとさやえんどう。できたからもらっておくれよ」「あ、雨宮さん。ただいま。家庭菜園ですか、ありがとございます」 満足そうな雨宮の顔に見送られカナコは部屋に向かう。 部屋の扉を開ければいつもどおり、まずビールを開け活力を補充。 着替えて台所に立つ。「さてと。こんな夜だし肉じゃがとか無いなあ。やっぱ味噌汁か」 手鍋に水を入れて火にかける ビニール袋から取り出した小ぶりの新じゃがを水で洗って泥を落とす。新じゃがに包丁を入れ切り分け、ラップで巻いて電子レンジで火を通す。「実はスジ取るの結構好きだったりするんだよねえ」 カナコは水でざっと洗ったさやえんどうのスジを丁寧に取っていく。「そういえば、玉葱残ってたっけ」 冷蔵庫から取り出した使いかけの玉葱を切って鍋に入れる。 電子レンジがピッピッピと鳴った。 レンジの中で湯気を立てるじゃがいものラップを剥がし、沸騰をはじめた鍋に投入。 続けてさやえんどうを入れたところでダシの素を入れて火を止めた。「あとは、お味噌を入れて……できあがりっ」 底の深いスープ皿に味噌汁をよそってリビングに向かった。 ビールと味噌汁にコンビニで買ってきたこんぶのおにぎりが目の前に並ぶ。「いっただっきまーす」 手を合わせて味噌汁を手に取る。口元に近づけて、まず香りを楽しむ。味噌の風味が体の疲れを落としていくように感じた。 ずずっと一口。「雨宮さん、ありがとう。私すごく満たされてる」 じゃがいものボリューム感と玉葱の甘味がじっくりと体に染み込んでいく。 お皿を置いておにぎりを頬張る。 そしてビール。「くーっこれで明日も乗り切れるわっ」 プルルル、とカナコの鞄からメールの着信音が流れた。「まったく誰よ。この幸福のひと時に水を差すのは」 鞄に手を突っ込んで二つ折りの携帯電話を取り出した。「太一……」--------------------------------------「味のおと」 end.立科みそ汁立科あわせみそ麦味噌・1kg八丁味噌立科豆みそ(750g)
2011年05月19日
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はいっ、週の折り返し地点ですよ。リオです。水曜日といえば水曜シアター9が好きでしたが、もうなくなってしまいました。とても残念です。(明日は木曜日、つまり……)時代は移ろい動いていきます。同じままでいてくれるものは、なかなか見つかりません。「なんだか明日会社いきたくないな」、「学校だるいな」、そう思ってる皆さま、ひょっとしたら明日は何かとっても大きな変化があるかもしれませんよ。期待はしなくてもいいですが、希望は抱きしめていきましょう!ちょっと、午後から仕事が増えて心が折れそうになったリオでした!----------------------------------「心の隙間、お腹の隙間」 車の速度に合わせて街の景色が流れていく。 スクランブル交差点で信号待ちをする営業車の中で、カナコはハンドルを握っている。助手席にいるのは後輩のアリサ。「スタバ寄って行かな……大丈夫、アリサ?」 カナコはうつむいてふらふらしているアリサに気づいて少し驚いた。「あ、はいっ。すいません先輩。気が抜けてますよね……」「朝御飯食べてきた?」「あ、いえ……」 カナコは書類カバンに手を入れてスナックバーを取り出し、アリサに渡した。「おいしいわよ」「あ、はい。ありがとうございます先輩。そのカバンってなんでも入ってるんですね」「非常食はOLのたしなみよ」 カナコの笑顔に、アリサはほっとした気持ちになった。 アリサがパッケージを破ると、ナッツが散りばめられ、穀物とシロップで固められた黒いバーが顔を出した。バナナの香りが食欲をそそり、シナモンの軽い刺激の香りが、アリサの気持ちを高揚させた。 いただきまーす、とアリサは食いついた。 決して強すぎない甘味と柔らかな歯ごたえがアリサを元気づけていく。「んっ、わっ、おいしー。先輩これおいしいーですよ」「気にいって貰えて嬉しいわ。今度売ってるところ教えてあげるね」「はいっ」 アリサはあっという間に食べ終わり、マグに入っていたお茶で喉を流す。「落ち着いた? アリサ」「はい、先輩。……あの、聞いてくれます?」「いいわよ」 信号が青になり車を発進させた。「最近先輩に『太った』って言われたんです。そのことで喧嘩して……くやしくて朝食抜いちゃったんです」「それは、しょうがないわね。まっ、また朝食抜いたら私のところに来なさい。秘蔵のソレ、売ってあげる」「売るとか、先輩コスいです」「なんとでも言いなさい」 先に笑い出したのはカナコだった。 つられてアリサも笑う。「元気出たわね」「はい」「よしっ。アリサ、このあとの取引先は強敵よ。覚悟はいいわね!」「任せて下さい先輩。頂いた朝食分は働きますよ」「それって安すぎない?」 もう一度二人は強い笑顔で笑った。 賑やかなメインストリートを駆ける営業車から、まっすぐ前を見据えて。--------------------------------「心の隙間、お腹の隙間」 end.マクロバー/バナナとアーモンドララバー レモンララバー シナモンロール
2011年05月18日
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リオです。みなさんこんにちは。火曜日ですね。月曜日に続いて強敵です。やっと勤務になれてきたころに大仕事が舞い込んできたりするもんです。あーって片付けてると週末になり……。いつが終わりなんでしょうね。週半ばより結構火曜日の方が手ごわい気がしますね。だからといって負けてる場合ではありません。あなたを待っている人が必ずいます。その人の為にも、ここで気合を入れなおすんですよー。えいえいおー!ちょっと、体調崩しかけたリオでした。-------------------------------「赤色の誘惑」 ドアについたカウベルが品のいい音で鳴った。「いらっしゃい、カナコさん。でも今日は金曜日ではありませんよ」 客のいない薄暗い店内の奥で白髪の男性がグラスを磨いていた。 カウンターの上には磨き終わったグラスが白熱球の明かりを受けて輝いている。「う……。実は今日結構仕事いっぱいつまってて、なんとか終わらせたら急にマスターのお酒が飲みたくなったの」「それでは仕方がありませんね。どうぞ、こちらに」 マスターは静かに微笑むとグラスを仕舞い、カナコをカウンターに招いた。「マスター私が来る予感してた?」「いえ? どうしてですか」「これ、私の好きな曲じゃない」 カナコはジャズを歌うスピーカーに指をさした。 ふふふ、とマスターは笑っただけだった。「では、そんなカナコさんに何をお出ししましょうか」「ワインがいいな」「はい、かしこまりました」 小さくお辞儀をしたマスターがワインセラーから深緑のボトルを取り出してきた。続けてカナコの前にワイングラスを置き、コルク栓を抜く。軽快な音。 ボトルが傾けられ、ボトルの細い口からリズミカルな音と共に赤い液体がグラスに注がれた。 カナコの目は一連の動作に釘付けだった。「どうぞ。おいしいですよ」 カナコは微笑むマスターを上目遣いに見ながら、口元がにんまりと笑った。「いただきます」 グラスを持ち上げると、もうワインの香が漂ってきた。 飲みたいのをちょっとだけ我慢して、カナコは香を楽しむ。 そして、飲む。 優しい渋みと柔らかな酸味がカナコの胸を躍らせる。「おいしーっ。やっぱり今日きてよかった!」「そうですね。一本しか入りませんでしたから、カナコさんが金曜日に来ていたらなかったでしょうね」「ふふふ、ラッキーガールね」「はい」 控えめなマスターの笑顔とおいしいワインを楽しむカナコ。「ところでカナコさん。今日は夕食も兼ねていかれますか」「うん、そのつもりよ」「では、用意いたします」 マスターが裏へ下がっていった。 カナコはジャズにハミングして歌いながらワインを楽しむ。「お待たせいたしました。ドライトマトのオリーブオイル漬けです。まずはこちらを召し上がってください」 白い皿に盛り付けられたドライトマトが出された。 カナコは待ってましたとばかりに一つ口にする。「おいっしー。このどうしてドライトマトってこんなに甘いんだろう。ね、マスター?」「さあ、どうしてでしょうね」 トマトを飲み込み、ゆっくりと待ってからワインで喉を潤す。「マスター、このトマトにあれ合わないかな。ちょっとだけ酸っぱい感じの、ドイツのなんとかってパン」「ゾンネンブルーメンですね。かしこまりました」 マスターが薄く切った黒糖に似た色のパンと一緒にいくつかの皿をカナコの前に並べた。 一つづつ手をさしてマスターは説明した。「ゾンネンブルーメン、ジェノバソース、大豆のペースト、セロリです。サンドイッチにしてもかまいませんよ」「すごいっ。マスターって本当なんでもできるのね」「マスターですから」 と、嬉しそうにマスターは答えた。 トマトが浸かっていたオリーブオイルにパンの切れ端を浸して食べる。 オイルの香りと甘味がパンの酸味とよく合う。 次にセロリをかじると強い香りが口の中を洗い流す。「おいしーっ食べるのもったいない」 カナコはマスターの後押しを受け、夕餉を進める。 セロリと大豆のペーストを乗せて、あるいはトマトとパンにジェノバソースを塗って……。 美味しい会話と食事、それに暖かな笑顔に満たされて、カナコは充実の火曜日を味わっていった。----------------------------「赤色の誘惑」 end.バジル・20gゾンネンブルーメン(有機ライ麦ンパン)炊き大豆ドライトマトオリーブオイル
2011年05月17日
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週の初めをみなさんいかがお過ごしですか、リオです。月曜日が始まってしまいましたが、覚悟の程はいかがでしょうか。やだなーって思ってる方、次の休みを目標に一歩一歩前進です。待ってましたという方、仕事を通して沢山の人を元気にしてください。私は……、一歩一歩前進していきます。ということで、新しい一週間をいってらっしゃーい。-----------------------------------「黒い天使」 カナコは会社の屋上で大きなため息をついて、営業車の中で吸った淀んだ空気を一生懸命吐いた。「くっそー、あのウスラオヤジ。飽きもせずいつも同じ事をねちねちねちねち。はぁ、なんで上司ってあんなに説教好きなのかなあ」 屋上の鉄柵に背中を預けて空を見上げた。「いけないいけない、怒りっぽくなってる。これはつまり、空腹ということね。こういうときは~、チョコレート!」 書類鞄に手を突っ込んで秘蔵のチョコを取り出した。 カナコはまず箱の上から匂いを嗅ぐ。 爽やかなミントと苦味のあるチョコの匂いに心が癒される。 ためらい無く箱を開け、紙を破った。 そしてひとかじり。「んっ、おいしー。あーもう、これだけ幸せだと世界すべてを愛せそうな気がしてくる」 心地のいいミントの香りが肺の中を綺麗にしてくれた気がした。 ごちそうさま、と包み紙を畳んで鞄にしまう。 しばらく心地のいい後味を楽しんでいたカナコだったが、口の中が少しずつ元に戻っていくのが寂しくなっていた。「ダメよカナコ。一日一枚って決めたじゃない。今食べちゃったら、先週立てた誓いをもう破ることになっちゃうじゃない」 非常用にとっておいたもう一枚のチョコバーに手が伸びそうになる。「うー、ダメ……。で、でも……あ、そっか今が非常時だ」 あっさりと欲望に負けて次の一枚を開封。 やっぱりまず、匂いから。 今度はダークチョコレートの大人びた匂い。「この匂いが私を誘惑するの。私は悪くない。おいしすぎるのが罪なのよ」 口の中で砕けるほどに甘さと苦味のおいしい賑わいが舌を溶かす。「あー、おいしかった。ごちそうさまっ」 手をあわせてカナコは食べ終わったチョコにお辞儀をした。「さてっと、それじゃあ今日もラストスパート。一丁がんばりますかあ!」 ミントの匂いを微かに残し、カナコは力強い足取りで午後の戦場へと歩き出した。-----------------------------------「黒い天使」end.ミントチョコレートダークチョコレート
2011年05月16日
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こんにちは、リオです。日曜日ですね。事務所の奥にいても窓の外から入ってくる気配がどこか騒がしく感じられます。みなさん休日を満喫されているのでしょう。ラジオのプログラムも休日向けにシフトしてますし、やはり日曜日というのは特別なんですね。神様だって休むぐらいだし。では、みなさまよい休日を~---------------------------------------「満ち足りた休日」 はっ、と目が覚める、が体はだるい。 カナコは目だけを動かして周りを見渡す。 おぼろげに昨晩の宴を思い出した。「あー、ユキとあのまま飲んだんだっけ」 日の差し込む窓を見た。 転がってる酒瓶、は見なかったことにした。 ベッドから降りて水を飲みにいく。 あ、と気づくとユキのお尻を踏んでいた。 ベッドを譲ってくれたユキは床で寝ていた。「あ、ごめん」 よく寝ているようでユキからの返事はなかった。*キッチンで水を飲んでいると声が聞こえた。「カナコ~何か作ってよ~」「私に作らせるのお?」 と返すとカナコは嬉しそうに、キッチンを漁り始めた。 するとユキも窓を開けたり、酒瓶を部屋の隅に寄せたりと片付け始めた。「フレンチトーストでいいわね」 キッチンからカナコが声をかける。「卵も牛乳もバターも品切れだけどよろしくー」 「OK」と、言ってみたもののさてどうしたものか。 パントリーを開くと、珍しい食材の宝庫、だった。「使いこなせもしないのに」 とカナコは呟いた。「えー、なんのことー?」「なんでもなーい」 ……お、パンはあった。緑色している、ほうれん草パンかな。 豆乳発見。牛乳代わりに使おう。 黒蜜とオリーブオイルがある。 黄粉もバナナもあるじゃない。 食材が決まったところでコーヒーメーカーのスイッチ入れて、と……。 完全に覚めていないぐらいのほうが迷いがなくていい。 フレンチトーストが焼ける匂いが届いたらしく「何か手伝うことあるー?」とユキが言った。「コーヒー入れてー、もうできるからー」 ユキはコーヒーをピンクと青のマグカップに注いだ。ユキが合わせて並べてくれた皿にカナコは丁度できあがったフレンチトーストを盛った。 そわそわと二人テーブルにつく。 焦げ目のついたパンとコーヒーの匂いがたまらない。「黄粉とこの黒蜜かけてね」 ボトルの黒蜜と、黄色い粉の入ったタッパを差し出すカナコ。 蜜をかけながら改めてパンを見たユキがぎこちなく話す。「このパンって……」「あ、なんかあったから使ったけど」「秘蔵のヨモギナツメパンだったのに~」「知らないわよ。これユキが焼いたの?」「そう、おいしいの! うー、でもカナコの料理なら許すかあ。あれ、これ黄粉じゃないわよ」 よく見るとふりかけた粉が黄粉より少しオレンジ色が強い。「これヤーコン。黄粉はその向こうのタッパよ」「ヤーコンって知らない。って、だからなんでそんな変な食材ばっか買ってるわけ」「便秘にいいって聞いたから……」 ヤーコンの味を知らないカナコは少し焦った。試しに一口オレンジの粉を甞める。「なんとなく? ビスコっぽい?」 うーん、と逡巡しカナコは改めて取ってきた黄粉をパンの上にさらにかけた。 ナイフで小さく切って一口。「おお、これいける! さすが私天才!」 黄粉の香り、黒蜜の甘さ、ヨモギの風味、ナツメのアクセント、ヤーコンのさっぱり感、すべてがうまく調和した出来栄えににカナコの意識は一気に覚醒した。「ほんと! あんたはやっぱり料理うまいわねえ」「まかせて!」 勢いにまかせてフレンチトーストを頬張る二人。 間もなく皿は空になり、コーヒーも胃に流し込んでブランチは終わる。「ちょっと……ね」「やっぱり食べ過ぎた」 いっぱいになったお腹を抱えて呻く。 そうして二人の休日は幸福な苦しみと共に過ぎていった。---------------------------------------「満ち足りた休日」きなこよもぎ粉末豆乳ヤーコンパウダー
2011年05月15日
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こんにちは、リオです。今朝は日差しが暖かく、気持ちの良い一日……寒っ春なんてなかった屋内は寒いです冷え性なのでパーカー羽織っての仕事です風は気持ちいいのですけどねこんな日は愛用の冷やし抹茶を飲みながら……寒っ誰だ冷やし抹茶なんて買ってきたやつは女将を呼べ!くやしいっ、でもおいしくて飲んじゃうごくんごくん……えっと、体温調節が難しい季節といいますが、とりあえず体あっためてOK冷やさない、よりも、常に体温をあげておくことが大事だっておばあちゃんが言ってましたあ、人肌はいりませんバスタブいっぱいの現金をください大浴場クラスので以上、春先にほころぶ新芽のリオでした-------------------------------「サワーノイズ」 ガラスドアをちらりと見やればネオンが透ける夜の街。黒いガラスは鏡のように椅子に座るカナコを映し出した。 閉店後のヘアサロンに灯る光は、二人の頭上だけ。 カナコの背後には一心に鋏を動かす友人のユキ。ヘアスタイリストで、今では店のチーフをしている。 ユキは正面の鏡越しにカナコを見た。「んで、今日はヘナってく?」「あ、あのみょうちきりんな匂いのやつね。よろしく」 頭髪の染料に使われるヘナは、エキゾチックな独特の甘い匂いを放つ。「私は割りと嫌ってほどでもないけどなあ。って、まあ……エッセンシャル使う?」「嫌いとまでは言ってないけどね。いつものでいいよ。なに使ってるか知らないけど」 はいよー、と口の中で呟いてユキはカナコの髪に目を落とした。 しばらくの間、質だけは自慢のカナコの髪を切る音が続く。「んで、まだ野良犬はカナコの家に住み着いているの? ほら、髪流すよ。立って」「あ、うん。たまに、来る程度だけどね。また朝まで飲んでバイバイ。やんなっちゃう」 流し台に場所を移した。 シャワーノズルが勢いよく水を吐き出し、シンクを叩いた。「居心地いいのわかるんだけど、ちゃんとしなきゃだめよ。あいつ、新しい彼女もいるんでしょ」 分かり切っている。でも、割り切れない。 本当のことを言われたカナコはちょっと悔しくて、シャワーの音で聞こえないふりをした。「はい、流し終了。んじゃ、ヘナるからまってて」「わーい、サワーね」 後ろ手をひらひらさせてユキは奥へと引っ込んでいく。 ほどなくして戻ってきた手には、緑黒いヘナの入ったガラスのボールと、ボトルとグラス。「ひょっとして、あなたがヘナする理由って」「そ、このリンゴ酢ハイボールが好き。染めるだけなら私、薬局のでいいもん。そうそう……ユキが作るのがおいしいのよね。んっく……」 はじける炭酸が喉を通り、ウィスキーの甘さとリンゴ酢の痺れるような香りが喉を踊った。 ユキの呆れた顔などまったく意に返さないで、自分の世界に浸るカナコ。「はー。うまいっ。また腕あげたわね。立派なバーが開けるわ」「あんたの方が酒好きでしょ」「私は客専門よ」 ヘナにリンゴ酢を混ぜて使っている。と、聞いたカナコが「リンゴ酢ハイボール」とユキに頼んだのが始まりだった。 それ以来、カナコがくればヘナの時間はまるで居酒屋。「で、野良犬が最後にきたのはいつよ」 とグラスを奪いながらユキ。 半分ほど一気に飲む。「ちょっと、その話続いているの?」 奪い返すカナコ。「いいじゃない、別に減るもんじゃない」「プライドが減るわ!」「無いものは減らない」 そして大笑い。 静かな街の片隅に、賑やかな女の酒宴。------------------------------------------「サワーノイズ」 end.アップルビネガーヘナ/シーマズハーブ
2011年05月14日
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みなさま、はじめまして新人のリオ(仮)です晴天雨天咲き乱れの晩春をいかがおすごしでしょうか私は事務所の奥でひっそりと、あるいはドタバタと過ごしています昼寝が趣味な私はこの時期がとても好きです晴れれば暖かな日差しに抱かれて窓際でうとうと、雨が降れば寒さから逃げるようにお布団にくるまってうとうと、昼寝が本当に楽しい季節ですさて、最近シャッチョに文章を書くのが趣味だと知られてしまい何か書いてこいよ、と迫られましたリオ「いや、ちょっと……会社のブログに載せるのは……」シャッチョ「ぁあ?」リオ「あの、ほら会社の品位とか……」シャッチョ「ウダウダ言ってんじゃねえよ書かないと鼻にズッキーニブチ込んでやる!」と、そんな会話は一切ありませんでしたがこのように書いてしまいました(鼻に大根とか……ほら品位が)では、みなさんまた近いうちにお会いできることを祈ってよい夢を……---------------------------------------「灯の香(ほのか)」 コンビニ袋を揺らしてカナコはマンションの自動ドアをくぐった。 パンプスが一歩二歩と静かな受付部屋にタイル床を蹴る。 管理人受付の窓口が開いて警備員服の老人が顔を出した。 能の翁面にそっくりだな、とカナコは思っていた。 「カナコちゃんお帰り。夜までいつも大変だねえ。ほら、小包きてるよ」「雨宮さんも遅くまでご苦労様。ありがとう。じゃ、おやすみなさい」 雨宮老が開錠スイッチを押したらしく、住人用の内扉が空いた。 聞きなれ過ぎて耳にすら入らなくなった足音の中、一日の出来事をぐるりと思い返す。 でも辿りつくのはいつも同じ。 見慣れた扉と、変わり映えしない毎日という結論。 時計を見なくても今が何時か分かってる。 電車のダイヤが正確なのと同じに、カナコのルーチンも正確。ジャパニーズオフィスレディの鑑だ、と自分で思った。 21時5分ジャスト。 ため息をついて鍵を差し込んだ。 ここまでも、ここからもルーチンワーク。 仕事と人生と、途切れる瞬間は無い。 部屋に入ったらカナコはまず冷蔵庫からビールを出して一口。なによりも大事なこと。これをしなくては帰ってきた気がしない。 居間についたら仕事鞄を投げる。続いて体に張り付いたスーツを剥がしてジャージに着替える。 体と共に心も緩んでいく。 そんな心身の隙間にビールをまた染み込ませた。 化粧を落としてから、コンビニサラダと米焼酎とミネラルウォーターと乾燥杏をテーブルに並べる。 ビールを飲む。 テレビをつける。 ビールを飲む。 サラダを食べる。 別段この生活が楽しくないわけじゃない。 むしろ忙しさがそれなりに充実していて、満ち足りた日々だと思っていた。でも、季節の移ろいに小さな迷いと停滞があるように、カナコの心にも今夜は何気ないつまらなさがあった。 それでも、心が立ち止まらないのは自分の長所だと思っていた。「まあ、ビールも美味いしこの生活に文句はないよねえ。あ、ビール無くなった」 誰ともなく呟いたカナコはグラスに焼酎と水を注ぎ一口。 それから乾燥杏を千切ってグラスと自分の口に放り込み、割り箸でグラスの底に沈んだ乾燥杏を突付きながらぐるぐるとかき混ぜた。 箸を置いてグラスを傾ける。 杏の微かな苦味を持つ甘い香りが鼻腔をくぐりぬけ、後から焼酎の澄んだ味わいが湧き上がってきた。 正に舌への至福の時間だった。 晩酌が終わるとコンビニパックをぞんざいに台所に放るとカナコは風呂へと向かう。 ジャージを文字通り脱ぎ捨て、浴室へ入ろうとしたとき小包のことを思い出した。「この間酔った勢いで蜜蝋キャンドル買ったんだっけ。酒飲みながら通販はアブないよねえ」 裸のままのっしのっしとキャンドルを取りに行く。次に台所の引き出しを家捜し。「マッチ~マッチ~はどこかなぁ。確かエリカが誕生日のときに使った……あ、あったった」 『ケ・セラ・セラ』とロゴのある喫茶店のマッチとキャンドルを抱え風呂場に戻った。 一通り体を洗い、浴槽に身を沈めた。「ふはぁあ」 ため息が漏れる。以前読んだエッセイに、風呂のため息は風呂神さまへのお祈りの言葉だ、とあったのを見つけてから彼女の中では一種神聖なものとなっていた。 ぼーっと取り留めの無い考え事を続け、上司のかつらがハロウィンの南瓜になったあたりで我に返る。「『キャンドル~ライトが~ガ・ラ・スのピアスにはじけてにーじむ』♪」 『ジュリアに傷心』を口ずさみながらキャンドルを用意して点灯、と電気の消灯。 カナコが最初に思ったのは「ふわり」という言葉だった。 真っ暗な浴室を「ふわり」とキャンドルの灯が大きく照らしていた。 身は浴槽に預け、心は視界に揺れるオレンジと闇の狭間に溶かした。 戯れに水を救い上げ、高く零してみる。 一瞬のきらめきが無数に視界に踊った。 落下する水滴同志が互いの光を飲み込み、純粋な透明さで反射させる。 昼夜問わず頭の中を転がり続けていた言葉がいつの間にか沈黙し、カナコの意識は原初の夜空に似た静謐が支配していた。 無心の時間がゆっくりと静かに流れていく。 ……ため息を深くついた。 息を吸うとき、水圧のせいか少しだけ胸の中が何か心地の良いもので埋まっていたように感じた。 キャンドルの消灯と電気の点灯。 まぶしいほどの「白」が世界を映し出した。 髪を乾かし、寝巻きに着替え、寝る前にもう一本ビールを開けてベッドに潜り込んだ。 柔らかな布団の中で目を瞑ると、「ふわり」と暖かな色が視界に揺れた。 キャンドルの優しい記憶。 懐かしいような、あたりまえのような、なんでもない感覚につつまれながらカナコは静かに今日を閉じた。--------------------------「灯の香(ほのか)」 end.キャンドル引用『ジュリアに傷心』 作詞:売野雅勇/作曲:芹澤廣明/編曲:芹澤廣明
2011年05月13日
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