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2005.10.05
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……最初この本を読み始めた時、とんだ失態をしてしまったのです(苦笑)
本を読む時は何時もカバーを掛けて読んでいます。中のカラー口絵も挟みこんで。
読み始めてね、あれ?何か変!?あれれ~?「……」
実は何を勘違いしたのか、ワタクシ、池戸裕子の本を読んでいる気になってしまっていました。
でも、この文章、池戸裕子でなくて、まるで火崎勇じゃん!
そう、読み始めて文章で火崎勇の本だと気が付いたのでした。
火崎勇の文章がそれだけ特徴が有ると言うことなのですが、
しかし読み始めるまで気が付かない私も……(爆)

けど、この作家さんを勘違いして本を読むって時々やってしまいます。
それで読み進むにつれ、何か微妙に雰囲気が違うと言うか、
受ける感覚が違い、納まりが悪くなり、それで作者を確認しなおし、間違いに気が付き、
その感じた違和感にホッとしてしまう。
火崎さんの文章は本当に特徴があり、癖になってしまうかな。



【最後の純愛/火崎勇/宝井さき/2005.9.30/キャラ文庫】

満足度としては★4(満点★5)。好みの点からはもうちょっと高めで★4.3(苦笑)
如何転んでも、火崎ワールドだなって。



【あらすじ】

結局失うなら、二度と本気の恋はしない・・・。
フリーライターの巨摩は、サラリーマンの芝とルームシェアをしていた。
穏やかな芝は、巨摩にとって理想の相手。このまま心地よい共同生活を続けていきたい――。
ところが、芝に想いを寄せる同僚が現れ、
「芝を好きじゃないなら同居を解消しろ」と迫られてしまう!!
敢えて封印していた欲望を自覚した巨摩は、ある晩思わず芝をきつく抱いてしまい・・・!?


【ネタバレ感想】


良くも悪くも火崎さんの世界ですね。
なんだけど、今回は特に精神面でのまどろっこしさにイラ付いてしまった(苦笑)
っていうか、いい加減しなよ~、往生際悪すぎ!且、ある意味自己中の主人公。
そしてもう一人の主人公は、物分りが良すぎるのか、良い子なのか、得たいが知れない感じで。

このお話はBLにしては珍しいのかもしれませんが、攻が主人公になっています。
でも、攻視点と言うにはとっても語弊が有るようにも思えるのです。
攻の視点と言うのではなく、単に恋愛をする片割れの視点、若しくは恋に受身な視点。
そう、BL用語で攻でありながら、恋においては受身になってしまっている男の視点で描かれています。

BLって、受視点の話の方が多いような感じですよね。
誰かの指摘でそうかも、と思ったのですが、書き手・読み手がほぼ受身オンリーな為に、
その方が両者とも感情移入し易いからなのかもしれませんね。
話としても、多くは攻の方が押せ押せで、受って何処か強気に出られない、
それこそ受身的な葛藤でもって恋に翻弄されて行くような感じが有ります。

この話は立場的には攻めでも、精神的には受身になってしまった男が主人公の視点。
受の方が性格的にも男前です!
だからそういう意味でも珍しいのかもしれない。

話としては2話構成になっています。
あらすじは、最初の方の話になります。
過去の恋に傷つき、恋することに怯え、恋することに背を向けていた巨摩が、
芝に惹かれる己の心を素直に認めるようになるところまで。

最後の方に、芝が巨摩に一目惚れして、自分のテリトリーに引き摺り込み、
徐々に懐柔して自分に振り向かせた、と言うような事を言っています。
芝は最初からずっと迷い無く巨摩を見つめていたんだなぁと、これも一途と言うのでしょうか。

視点は巨摩のもの。
初対面の時から芝に惹かれ、一緒にいて居心地の良い芝との関係に安定を求め、
変化を求めず――謂わばぬるま湯のような生活に浸って居たいと思っていた巨摩。
過去に傷つき、また同じ痛みを受けることに怯え、自分の心にフィルターを掛け、
思いを誤魔化して――。
そこに芝を慕う小久保が現れ、寝たふりをしていた巨摩の心を揺さぶり、
そこから巨摩の葛藤……悪足掻きと言った方が良いのかもしれない、が始まる。

一見男らしい巨摩の往生際の悪さと言うか、
ウダウダと理由を付けて捏ねくり回しと言うところがイライラしてしまう。
でも。――実際の人間なんてそんな物なのかも知れないなと思うと、
小説の中ぐらい潔く有って欲しいと願ってしまった。(苦笑)
その点、巨摩視点で見る芝はなんとも頼もしい。一本筋の通った、強さと潔さが有る。
小久保を切っ掛けに、巨摩に思いを告げる芝。無くしたくないが為に芝を拒む巨摩。
そして、回り道をしながらも芝への思いを認めた巨摩。

2話目はその後の二人。
芝への思いを認めながらも、まだ何処かに迷いの有る巨摩の前に、昔の恋人・石坂が現れる。
巨摩を手酷く振った石坂だったが、幸せそうな巨摩を妬み、そして今の立場から逃げる為に、
芝との間に波風を立てようとする。
巨摩の芝の気持ちを図りきれない迷いと、そして芝の秘めていた怯えと。
隙間に忍び寄った亀裂は広がり、初めて芝が感情に素直に激昂する。
巨摩が芝の推し量れなかった感情に触れ、
迷いも躊躇いも喪失への怯えも全て消え去る事が出来た。

それは切っ掛けかもしれないが、芝が巨摩に惹かれたのは芝の疵を知らなかったから。
けれど、やっぱり巨摩の飾らない性格なんだろうなぁ。

巨摩視点の――自己分析型モノローグ。或いは一方的なのかもしれないが。
これが芝視点になると、巨摩が臆病な兎に見えるのでは無いかと思ってしまった。
終わった恋に傷つき、また傷つく事を頑なに拒む。
殻を壊し、恋することをまた初めても、自分の存在意義ばかりを求めて。
恋愛とは対等なものであり、守る方と守られる方とで成り立つものではない。
勝手に守るとか、守られるとか、それは自分の立場でしか物を見ていないからで、
その視野の狭さに中々気付けなかった巨摩は、子どもなのかな、と思った。










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Last updated  2005.10.05 20:06:55
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