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毘夷零

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2006.11.23
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カテゴリ: 機械仕掛けの天使
俺達は病院に到着した。
冷静になったのか、俺は少し躊躇していた。
ただの介護サービスの人間が担当の危篤状態に来るなんてあまり聞いたことが無い。
身内の方に、なんて言って病室に行ったらよいか分からなかった。
そんな俺に相棒は容赦なく
「鈴木さんのお見舞いに行きましょう。」
と言った。
グダグダ考えても仕方無い、ここまで来たのだから行くしかない!
俺は覚悟を決めて病室に向った。

病室に着くと、俺の心配は無駄だった。
病室の前には誰も居なかった。
入り口には面会謝絶の札がぶら下がっていた。
勝手に入るわけもいかず困っていると、運よくナースがやってきた。
俺は正直に話し、鈴木さんに会えないかと聞いてみた。
そのナースは担当の先生に聞いてくれて、短い時間なら良いと許可をもらえた。

俺と相棒は静かに病室に入った。
先生とナースも一緒に来てくれた。
鈴木さんはベッドに寝ていた。
身体には沢山の機械が取り付けてあった。
俺は相棒にいつものように手を握ってやるように言った。
相棒は言われたとおり、ベッドの脇にしゃがみ込んで鈴木さんの手を握った。
俺は先生に小声で聞いた。
「身内の方は、いらっしゃらないのですか?」
「はい。付き合いが無いとの事で誰も・・・」
「そうですか・・・それで鈴木さんの容態は・・・?」
そう聞くと先生は首を左右にふった。
俺は、ここに来た事を後悔していた。
目の前で、鈴木さんが死んでいこうとしてる現実を見なければならなかったからだ。
ある意味相棒が羨ましかった。
相棒には鈴木さんが死んで悲しいとか言う感情は皆無だろう。
俺の、こんなにツライ気持ちなんか分からないだろう・・・・
なんで、ここに相棒を連れてきたのだろう??
俺も良く分からなくなっていた。
相棒に鈴木さんのこんな状態を見せたところで何の意味は無かった。
ただの俺の自己満足?
そう思ったら、すぐにこの場から逃げたくなった。
俺は相棒に帰ろうと言った。
すると相棒が
「鈴木さんが手を離しませんが、どうしましょうか?」
と聞いた。
その言葉に一番ビックリしたのは先生だった。
先生は慌てて鈴木さんに近寄り、
「鈴木さん!聞こえますか?」
そう言いながら鈴木さんの身体をチェックした。
よく見るとまぶたがピクピク動いていた。
そして唇が何かを喋ろうとしていた。
「何て言っているんだ・・・?」
と俺がつぶやくと、すかさず相棒が
「マイコって言ってます。」
と冷静に答えた。
俺は相棒に
「鈴木さんにお父さん!って言ってやれ」
と言った。
相棒は忠実に行動した。
「お父さん!」
すると鈴木さんが
「マイコ・・・」
かすれる様な声で言った。
俺はさらに相棒に小声で指示してやった。
「お父さん、マイコよ。会いたかったわ。」
相棒がそう言うと、鈴木さんは嬉しそうに
「帰ってきてくれたんだ・・・」
そうつぶやいた。
「そうよ!帰ってきたわ。これからもずっと一緒よ!!」
相棒がそう言うと
「そうか・・・ずっと一緒か・・・そうか・・・」
鈴木さんはそうつぶやくと静かに眠るについた。













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Last updated  2006.11.23 11:35:03
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