噂話聞きかじり .

噂話聞きかじり .

2017.02.15
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カテゴリ: news & gossips
( - ある物語抜粋 - )


 衰弱が進行し入院していた。

腹水で腹部は膨らみ、顔はやつれ手足がやせ細っていて、自力では動くこともままならない。

夫とは死別しており、子供がいないため独居である。

母親は彼女が学生だった時に病死している。

 ある朝の回診での出来事である。

「先生、昨日の夜お母さんが会いに来てくれたんです」

「お母さんはそこの椅子に座って窓の方を見ていて、全然私の方を見てくれないの。

寂しかった。もっと近くに来てって言ったけど聞こえないみたいで」

「手を伸ばせば届くような気がするのに、手を差し伸べてくれない。

私、お母さんに何か悪いことしたかな」

 翌日の回診でも彼女は暗い顔をしながら、

「お母さんはまだ私の方を見てくれない」、「背中を向けたままずっとそこにいる」と話し、

「早くこっちを向いてほしい」と訴えた。

 翌々日の朝、彼女は非常にすがすがしい顔をして私たちを待っていた。

 「先生、お母さんがやっと私の方を見てくれたの。

とてもうれしい。お母さんが私の手をつかんでしっかり握ってくれたの。

私、これできっとお母さんのもとに行けるのね。 うれしい。

先生、みなさん、いろいろお世話になりました。ありがとうございました。私は大丈夫です」

 その日の午後、突然血圧が低下して意識がなくなり、夜に亡くなった。

















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最終更新日  2017.02.15 10:58:32
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