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2004年01月12日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
目が覚めると、知らない家にいた。あったことのない男がやってきた。
そこは聞いたこともないのどかな島だった。
田圃の真ん中にカカシがいた。そして優午という名前のこのカカシは喋るのだ。さらに、未来が予見できるのだという。

仙台でコンビニ強盗に失敗した伊藤。逃げていたはずが・・・
いつの間にか【荻島】という、かつて支倉常長が来た孤立した島にいた。

ゴールデンレトリーバーに似た横顔の案内役、日比野。
反対のことしか言わない元画家の園山。
公式に人を殺すことが許されている男、桜。
鳥だらけの部屋に住む、足の不自由な田中。
地面に盛られた土のような身体の動かない女性、ウサギ。
死にゆく人の手を握るのが仕事の百合。

他にも、唯一外と行き来出来る轟、地べたに横たわる、若葉。
郵便局員・草薙、刑事の小山田などなど、一癖あるちょっと変わった島民ち。
そして、極めつけが・・・島の道標とも言える、カカシの優午。

と、長くなってしまった。
今一番の注目株、伊坂さんのデビュー作。
ちょっとだけ違う世界。この島で、殺人事件が起きるのです。
これに、仙台にいる伊藤のかつての恋人・静香や、一番警察官にふさわしくない警察官・城山までが絡んでくる。登場人物だけみてもわかるが、とっても盛りだくさんの内容。

魅力的な舞台。だが、消化しきれてない面もあるかも。
流れが悪くなったり、オイオイと突っ込みを入れたくなったりもする。
『陽気なギャングが地球を回す』に比べると、鮮やかさにかけるのは否めない。

殺人事件とは別のもうひとつの謎。“この島に欠けているもの”
これもちょっと安易な気がする。が、このラストはとても綺麗だった。

それでも、先が全く読めない展開で面白かった。
やはりデビュー作でこれは凄い。次の作品が読みたくなる。
巻末に付いている【第五回新潮ミステリー倶楽部賞・選評】での評価は厳しいものがあるが(その後に大幅な加筆訂正があるとのことだが)、世界にひきこまれたし、この島になにか愛着のようなものを感じてしまった。また同じ舞台で、もっと洗練された話が読めれば最高だけど。

『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎 新潮社 新潮ミステリー倶楽部(2000年12月発行)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この話に出てきたリョウコウバトの話。
はじめて知ったのですが、かなりショックでした。
参考文献にあった、『地上から消えた動物』ロバート・シルヴァーバーグ(ハヤカワ文庫NF)
が手元にあったので、“リョコウバト”の項目を読んだ。

「真昼というのに日食の折のようにあたりが薄暗くなる」
というほどの大群。それこそ少なくとも何十億はいたであろう鳩。
その群れによる被害(音、臭気、糞による草の枯死、折れる大枝)は確かに凄まじかったのであろう。が、人間は最終的には単なる娯楽の為、ひとつの種を絶滅にまで追いやったのだ。1914年、たった2、3世代のうちに。恐ろしいことだ。オーデュボンが祈る間もなかったのかも知れない。





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最終更新日  2004年01月16日 23時06分55秒
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Re:『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎(1/12)  
前から伊坂幸太郎の『重力ピエロ』が気になってるんですよ。日記拝見して、ますます気になります。<br>しかし、最近は、若い作家が活躍してますな~、と、ちょっとオヤジ気分。<br> (2004年01月15日 17時49分22秒)

Re:『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎(1/12)  
夢の助1039  さん
リョコウバトの話、なんかで読んだことがあるハズなのに、なんの本で読んだのか思い出せない。あー、気になって気になって気に入らない。 (2004年01月15日 21時40分08秒)

Re:Re:『オーデュボンの祈り』 かま玉うどんさんへ  
123mao  さん
>前から伊坂幸太郎の『重力ピエロ』が気になってるんですよ。日記拝見して、ますます気になります。<br><br>どうもです。読了したのはまだ2冊ですが、出版数もそれほど多くはないので、今年中には全部読もうと思ってます。ちょっとした会話とかも気が利いていて好きです。<br><br>>しかし、最近は、若い作家が活躍してますな~、と、ちょっとオヤジ気分。<br><br>伊坂さんは、71年生まれですね。<br>同年代の時代が来たか?とちょっとワクワクしています。<br><br> (2004年01月15日 23時22分18秒)

Re:Re:『オーデュボンの祈り』 夢の助1039さんへ  
123mao  さん
>リョコウバトの話、なんかで読んだことがあるハズなのに、なんの本で読んだのか思い出せない。あー、気になって気になって気に入らない。<br>-----<br>絶対数の圧倒的な多さ、滅亡までの期間の短さ、その理由、絶滅のその瞬間の記録が残っていること、などインパクトもありますし、引用されることは多いだろうなぁと思います。何てたって種の絶滅ですからねぇ。とんでもない領域です。<br><br>何に出ていたか思い出せたら是非教えてください!<br>でも、こういうのなかなか思い出せませんよね(笑)<br><br> (2004年01月15日 23時30分03秒)

Re:Re:『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎(1/12)  
七生子☆  さん
■夢の助1039さん■<br>>リョコウバトの話、なんかで読んだことがあるハズなのに、なんの本で読んだのか思い出せない。あー、気になって気になって気に入らない。<br>-----<br> 横レスでお邪魔します。私も気になって調べてみたんですが、稲見一良さんの『ダック・コール』でしょうか?確か積んでたはずなので、確かめてみようと思いますけれど。<br><br>maoさん、伊坂さんと同世代なのですねー!(やっぱり若いわ^^;)私はね……カミングアウトしようと思ったけど、止めておきます(汗)。 (2004年01月16日 13時31分18秒)

Re:『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎(1/12)  
123mao  さん
七生子☆さんへ<br>>横レスでお邪魔します。私も気になって調べてみたんですが、稲見一良さんの『ダック・コール』でしょうか?<br><br>横レスへの横レスです!<br>今、ちょっと確かめて見ました。ありましたよ!<br>2章にリョコウバトの記述。参考文献にはやはり、オーデュボンと、シルヴァーバーグの名前が。或いは伊坂さんここから着想を得たのかもしれませんね。<br><br>あと問題は、夢の助さんが読んだのがこの本なのかだけです(笑)<br><br>>maoさん、伊坂さんと同世代なのですねー!(やっぱり若いわ^^;)私はね……カミングアウトしようと思ったけど、止めておきます(汗)。<br>-----<br>大台が近づいてきました(笑)<br>皆さん同じ年ぐらいに感じて、お付き合いさせて頂いてます(合わせて頂いて感謝感激!)。中でも七生子さんは全く違和感ないです。(生意気で申し訳ないっす)。<br><br> (2004年01月16日 23時06分55秒)

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