産後リカバリーヨーガ embrace  <東京都調布市・世田谷区>

産後リカバリーヨーガ embrace  <東京都調布市・世田谷区>

2008.12.31
XML
カテゴリ: ドラマ
 最終回を観直すことができない、「風のガーデン」。

 なんというか、身を正さないと、観てはいけない、
というか、あの最終回をまるごと身も骨の随までも感じて受け止められる、
器の不足を感じてしまった、凄まじい最終回だったのだ。

 主人公は46歳にして膵臓がんの末期を
その身に見つけてしまった貴一さん。

 麻酔科医としての才と、
女好きが高じて、発達障害の子を持ち悩む妻の元へ
帰らない日々。
 やがて妻は小さく狂って、線路へ身を投げるのだ。

 貴一さんを勘当し、彼のこどもたちを引き取ったのが、
緒方拳さん。
 富良野で在宅終末ケアに明け暮れる日々。

 美しく育った娘は黒木メイサさん。
 富良野の自宅そばで「風のガーデン」で野花を育てている、
倉本氏、永遠のファザコンの末の不倫もしていた。

 その弟、障害を持ちながらも、
一度聞いたことは忘れない、絶対音感を持つ神木くん、
やはりガーデンを手伝いながら、緒方さんの作った、
含蓄とユーモア溢れた花言葉をささやく。ピアノも弾く。
 亡くなった母の好きな「乙女の祈り」を、
富良野にこっそり戻ってきた貴一さんと演奏するシーンが美しい。

 貴一さんはキャンピングカーに住みながら、
ガーデン近くの森で、こどもたちの様子をうかがっている。
 やがてメイサ嬢に見つかってしまい、
神木くんからは、「大天使ガブリエル」様と勘違いされてしまう。

 それは緒方さんにも知るところとなり、
父と子は再会。
 貴一さんと二人のこどもたちとの絆を強引に断ち切ったしまったことを
悔やみ、謝罪する緒方さん。
 この、長い森の中のシーンがたまらない。
 この物語のキーワード「がんが旅する」ということ。

 同じく末期の膵臓がんで先に亡くなった患者の死を通して、
自らの命を旅をどう終わらせるのか,貴一さんはずっと思っているのだ。
 自分の心とからだを乗っ取られそうになりながら、
命に触れる仲間(石田えり嬢などなどね)との再会だったり、
こどもたち、緒方さんと和解の時間を重ねながら、
その旅の終点を見極め、おとしまえをつけていくのだ。

 緒方さんの在宅ホスピスケアを通じて、
生と死をつながりのあるものにしている。
 家族が生のゆくすえを見守り続ける環境を提示する。
 ひとは,たいせつなひとの死に触れることによって、
自分の生を磨くことをするのだ,というメッセージが伝わる。

 生まれ育った自宅で最期を迎えようとする貴一さんが、
もうろうとした意識の中で、緒方さんにこう言うのだ。

 自分の部屋に初めてテレビを買ってもらったとき、
ぼくは8時だよ、全員集合をひとりで観ました。
 ばか笑いしながら、僕はいつの間にか泣いていました。
 部屋を飛び出して「こんなテレビいらない!」って怒鳴ってやろうと
思いました。僕は寂しかったんです。
 あの日、8時だよ、全員集合をひとりで観たあの日に、
僕は家族を捨てたんです。

 こんな告白だ。
 (繰り返して確認していないので、だいたいです)

 もう、驚愕で、静かに号泣。
 止まらなかった!

 こんなエピソードで、
高度経済成長から先の家族の解体を表現してしまうなんて!

 これが倉本聰だ。

 思い出すと震えてしまうシーン。

 臨終も葬式のシーンも割愛したところも、
倉本さんの死生観が際立っているところ。

 ラストシーンがすばらしい。

 森の中、キャンピングカーの周辺に、
貴一さんが生きているときに、愛らしいみずいろの小さい花をつける
エゾエンゴサクの種を植えていた。
 時には娘のメイサさんに、
「春になったら一面の花が咲くよ」と笑いながら。
 そのときには父はいないことに、メイサさんも気づきながら。
 とてもスタンダードなエピソードだけれど、
そこに至るまでの情感を、説明ではなく、
風に揺れるガーデンの植物だとか、ささやかな日常の会話だとか、
ひとり、痛みと戦う貴一さんだとか、父を想うメイサさんの複雑な
心情だとか、もうやわらかく敏感に折り重なってきたところの、
父と娘のシーン。

 貴一さんが亡くなり、冬を越えたある春の森。
 神木くんとメイサさんが、キャンピングカーのあった場所に、
一面のエゾエンゴサクの花を見つけるのだ。

 神木くんの不思議そうな表情。
 画面、上から俯瞰の位置へ。
 あの秋、父が過ごしたキャンピングカーの四角い跡だけが、
くっきりと残っている。
 その跡を不思議な顔をして歩き回る、神木くん。

 ね、すごいでしょ(涙)

 もう、ほかのドラマがいかに説明のオンパレードだったか。

 もう、ひれ伏しました。

 やはりしばらく最終回を観ることはできないくらい。

 というわけで、
今年の偏愛ドラマ大賞は「風のガーデン」。
 自分がおばちゃんになってることをしみじみと感じることのできた、
みずみずしかった「バッテリー」と、傑作「エジソンの母」が次点。

 物語は、去年も読んだけれど、
上橋さんの「獣の奏者」かなぁ。
 竹内真さんの「自転車少年記」が次点。

 ドキュメンタリーで、いまだちびちびと読んでいる
佐藤多佳子さんの「夏から夏へ」もじつによくって、
いつか書こうと思っているけれど、
石田衣良の「眠れぬ真珠」はセックスレス打破に貢献(笑)

 今年もすばらしい物語を、みなさまありがとう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.12.31 07:43:06
[ドラマ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

embrace_michiyo_ue

embrace_michiyo_ue

カレンダー


© Rakuten Group, Inc.
X

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: