方舟 (講談社文庫) [ 夕木 春央 ]
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方舟という名の地下建築に閉じ込められた10人の脱出ストーリー。一捻りくわえられているのが地上へ出る為には1人犠牲になれなければならないシチュエーションであること。つまり生きて帰った9人は殺人犯となるわけだ。そんな地下建築の中で殺人が起こる。9人になった生存者達が考えること…殺人犯を犠牲にすれば地上に出られる。つまり…殺人事件が起きた時点で命の重さに差が生まれたのだ。そうなれば始まるのは犯人探しだ!犯人以外が考えていたことは殺人犯を見つけだすこと。生き残る為にだれかが犠牲にならなければならかった、そしてその犠牲者は方舟の中で人を殺した殺人犯だったという物語を作り出そうとした。一方、殺人犯が考えていたこと、それは自分だけが生き残る方法。自分だけが生き残った先に描いたのは残る9人を救おうとしたが無理だったと言うストーリー…つまり救えなかった9人を故意的に殺しても事故として亡くなったことにしても残る事実が変わらない。命の重さを平等にできる条件が整ったのだ。そうなればあとは自分だけが生き残る方法を導き出し、結果的に残る事実が変わらないのであれば生きる為に1人殺すも2人殺すも変わらないという考えに至った。罪なき人が生き残る方法を考えていた殺人犯以外の6人に待っていたのは衝撃のラスト、殺人犯だけが生き残る状況にあると知ったときの絶望感がひしひしと伝わってきた最後であった。