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カテゴリ: 医療制度
 head&neckが医者になった頃は、おじいちゃん、おばあちゃんというと明治生まれの方が結構おいでになったものです。カルテの生年月日をみて、43年なんて書いてあるから自分と同年輩のつもりで呼び込むとよぼよぼ(失礼)のおばあちゃんが入ってきて、良く見ると「M」:明治43年だったりする。あらびっくりでした。いつの頃からか、明治生まれの患者さんが減り、現在ではめっきりお見掛けしなくなりました。それもそのはず、明治は44年12月までですから、最後の明治生まれでも現在90代後半です。既に大正生まれのご老人も減少しつつあり、年号で時代の移り変わりを感じます。
 先日、日本の平均寿命がyahooのニュースにのっていましたが、女性は86歳、男性は79歳だそうです。他の平均値と違い、人間の寿命はばらつきが少ないのが特徴だそうで、大体これぐらいの年齢になると天に召されてゆくということでしょう。
 一口に高齢者と言ってもいろいろありますが、老年医学では、65歳から74歳までを「前期高齢者」、75歳から84歳までを「後期高齢者」、85歳以上を「超高齢者」と呼び区別しています。いま医療現場ではこの超高齢者が病気になったときの扱いに苦慮しています。ひと昔前ならば、高齢というだけで手術や化学療法を諦めていた感がありますが、最近は元気で比較的健康な方が多いため、全身状態が許せば可能な限り行ないます。とはいえ、高齢者では若い方よりもリスクは高く、時に思わぬ合併症が出たりする事があって注意が必要です。術後に痴呆が出たり、足腰が弱ったり、肺炎になったりと様々なことが起きるので、こちらも気が抜けません。それでも何とか退院できれば良いのですが、時には入院のまま回復されない患者さんもいます。50代、60代ならまず問題にならないような合併症で入院が長引く可能性はかなり高いし、その分周りへの負担も大きくなります。
 本日もhead&neckの外来に90歳の中咽頭癌の患者さんが来院されました。10年前ならばおそらくは痛み止めの麻薬で対応していたのでしょうが、今では手術を前提にお話が進みます。今後はこれが標準となるのか、社会の高齢化と医療の進歩とともに現場への負担も増大しますが、行政レベルでの対応は全くありません。政府が後期高齢者制度を充実させるというのは掛け声だけで、実際にはころころと制度が変更されて、結果として高齢者を医療施設で長く療養させると赤字になるように変質しているようです。こんなところにも進歩しない政治のツケが浮き彫りになっていると思うのでした。





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最終更新日  2010.07.27 12:27:58
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