読書の部屋からこんにちは!

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2016.08.20
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奥田英朗さんの「家日和」という短編集がありますが、
この本はその続編、あるいは姉妹編というのが、いちばん分かりやすい説明かと思います。

残念ながら、「家日和」の内容をほとんど覚えていないのですが、
一番おもしろかったのは、ロハスにはまってしまった妻を描いたものでした。
その感想は、 こちら にあります。
熱心にロハスに打ち込んでる奥さんのようすを、
困ったヤツだと思いながらも優しく見守っている、包容力のあるご主人でした。

その奥さんが、またもや登場します。
ご主人が人気作家になったことにより、自分の生き方を路線変更せざるを得なくなる、
人知れず苦労している奥さんです。
彼女が、最後に行きついたのは、なんとマラソンでした。
マラソンは、彼女を健康にしたばかりではなく、
意外にも彼女の心を慰め、家族の再生にまでつながっていきます。

東京マラソンに出場した彼女は、歩くような速度で、
それでも健気に走ってゴール会場に戻って来ます。
「よく頑張ったとしか言いようがない。胸を張って戻ってくればいい。」
「おかあさーん、おかあさーん、こっち!こっち!」
尊敬するおかあさんを、飛び跳ねて迎える子どもたち。
ご主人が涙を我慢している前で、奥さんがゴールに向かって行くシーンで、小説はおしまい。

さまざまな形態の家族が持つ、ありがちな、あるいは想像を超えた問題。
深刻だったり、ほほえましかったりする問題。
どの話も、終わり方がとてもすっきりしていて、結末がいい方に転ぶのかその反対なのか、
ぎりぎり想像できるかどうかというところで、ストンと終わる。
説明や余韻は一切なし、あとはご自分でどうぞ。
みたいな終わり方が、とても気持ちがいいです。





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Last updated  2016.08.20 14:51:20
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