架空世界の放浪者ランドの「冒険日記」

貞観政要に学ぶ「騎士団長の行動哲理」




「貞観政要」は、唐の太宗と、それを補佐した名君たちとの問答集であり、中国や日本では為政者の「帝王学の唯一の教科書」として用いられてきた。
ここに、ヘルマーシュ大陸においての騎士団長のあり方を見ることにする。

「貞観政要」の根底に流れる思想は「草創(そうそう)と守文(しゅぶん)と孰(いず)れが難き」である。つまり、騎士団長として騎士団を作るの方が難しいのか、それとも騎士団長として騎士団を維持し続けるのが難しいのか、ということだ。
答えは簡単だ。維持し続けるほうが難しいのだ。一度でも、騎士団長をやったことがある冒険者なら、身をもってわかるだろう。

もちろん、騎士団を立ち上げ、軌道に乗せるのは、楽ではない。しかし、「エルタキンになる」などの目標がはっきりしているので頑張れる、騎士団員は一致団結する。というような前向きな大変さなのだ。

一方、維持し続けるとなると、「安心・誘惑・油断」といった心の問題になってくるのだ。

守成すなわち維持の時期になると組織が大きくなり、騎士団長が騎士団員一人一人を掌握できなくなってしまう。そこで役割を分け、騎士団員に権限を与える必要がでてくる。
「Arcadia騎士団」では、騎士団長は私だが、こと騎士団対騎士団の戦いの時の指揮権は、Yasichiに全権を渡している。また、交渉事・イベントなども、最適な団員にすべてを託している。

その時に、注意しなければいけない事柄を、「貞観政要」には「十思」「九徳」として掲げられている。

〔十思〕
  ・欲しいと思うものを見たら、足るを知って自戒せよ
  ・大事業をしようとするときは、止まることを知って民の安楽を気遣え
  ・高ころびしそうな危ないことを思うときには謙虚に自制せよ
  ・満ちあふれるような状態になりたいという願望が起これば、満ちあふれる海はすべて川より低いことを思い出せ
  ・遊びたいと思うときは、必ず限度をわきまえ、狩りのとき、一方に逃げ道を用意してやるぐらいのやさしさを持て
  ・怠け心が起こりそうだと思えば、始めを慎重にして終わりをつつしむこと
  ・自分の耳目を塞がれているのではないかと心配ならば、虚心、部下の言葉を聞け、
  ・中傷や讒言(ざんげん)を恐れるなら、まず自ら身を正して悪をしりぞけろ
  ・恩恵を与えるときは喜びによって賞を誤ることがないようせよ
  ・罰を加えようとするときは怒りによって重すぎる罰にならないようにせよ

〔九徳〕
  ・寛大だが厳格
  ・柔和だが事が処理できる
  ・真面目だが丁寧
  ・事を収める能力があるが慎み深い
  ・大人しいが意志が強い
  ・実直だが温和
  ・大らかだがしっかりしている
  ・剛健だが内面も充実している
  ・強勇だが正しい

つまり、物事の表裏や両極を見ることによって、初めてあるべき姿を理解することが出来る。そんなことを言いたいのだろう。偏った認識で物事を決して捉えるな、行き過ぎるなと。



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