Pa~声に恋した男

大昔、Pa~が高校1年生だった頃、巷ではラジオの深夜番組全盛期で、翌朝登校すると、皆がそれらのラジオ番組ネタで話が弾んでいたものである
天邪鬼Pa~は流行りモノが好きではなく、皆が愛聴していた番組はほとんど聴いていなかったのだが、Pa~が聴いていた番組が一つだけあった
パーソナリティ K の声が大変よく、Pa~の感性を刺激する声であった

人間おかしなもので、顔も見たことない相手だが、声だけで勝手にイメージを作ってしまう
K の声の魅力に取り憑かれて数ヶ月、番組宛にPa~手紙を出した
その当時片思いしていた先輩の事を書き記し、彼へ送る曲をリクエストしたのである

自分でリクエスト手紙を出した事もスッカリ忘れた数週間後、そのラジオ番組を聴きながらお勉強していると、聞き覚えのある文面が・・・

ナンと! K がPa~の手紙を読んでいたのである
Pa~のせつない片思いの気持ちを、彼のコメント加えながら紹介
キャァ~~~~~ッ!恥ずかしい!
自分で書いておきながら、まさか読まれるとは露とも思わず・・・
そして
『■■の◎◎ちゃんからのリクエスト、♪○△□♪(ナンの曲か忘れた)
 二人がうまくいく事を願って、先輩の□□さんに送りま~す!』

こんな事があって余計 K に親近感を覚え、 K への勝手なイメージが増々膨らんだある日、新聞のテレビ番組欄に K の名前を発見!
≪オ~ッ!憧れの君 K の実像が見られる~ぅ!≫

その番組を見る為学校を早退し、テレビの前にワクワク気分で座る
いよいよ憧れの君にご対面~!である
して、番組が始まった
≪エッ!?誰コイツ?憧れの君 K は何処?≫
しかし、司会者が、横に居る 変てこなオッサン の事を K だと紹介している

Pa~はナンだか世の中がひっくり返ったような気がして、おもむろにテレビのスィッチを切った
≪ア~ッ!実物なんぞ見なければよかった~ぁ!≫
≪何故にテレビなんぞに出るんじゃ~~~ぁ!≫
≪君はラジオ専門にしなさ~~~い!≫

とまあ、乙女心ズタズタになると共に
世の中、夢だけで生きてはいけぬ、現実をしっかり見詰めよう !』
てな事を学んだ次第である

して時は流れ、Pa~がヒョンな事から、とある大手都市銀行本社に勤務し始めて数ヶ月
Pa~は全国支店の住宅ローン統括を一手に引き受けていた
まだまだ小娘のPa~が、数百の支店ローン担当者に指図していたのである
毎日、各支店の担当者と電話でお仕事をしていた
それらの支店担当者の中の一人、九州のとある支店担当者●●君、確か年齢は20歳代後半だったように思う
そいつが、Pa~に惚れたのである
当然、会ったこともない奴である
「会いたい!会いたい!」と奴は言っていた

そんなある日、Pa~公休消化の為、週末連休を取った
月曜日からは出勤だったのだが、遊び過ぎて体調崩し、結局出勤したのは水曜日から
5日振りに出勤すると、先輩達が
九州□△支店の●●君が、先週末突然あなたを訪ねて来たわよ
「へ?!」
馬鹿よネェ・・・前以て連絡してから来ればイイのに
「まったく!」
あなたの連絡先聞かれたけど、教えなかったわ
「正解!」
月曜日まで休暇を延ばすと言うから、 やめなさい !と私たちが進言したの
「????????」
あなたにって、お土産たくさん持って来たのよ
「して、そのお土産は?」
あの子、ホント馬鹿よねぇ・・・と言うか気が利かないと言うか・・・
 日持ちのしない物ばかり持って来て・・・
 それに、あなた月曜日欠勤だし、いつ出勤するかも判らないから、私たちで全部いただいたわ

「????????」
先輩達はそう言って、小さなキーホルダーをPa~に手渡した
これは食べる訳にもいかなかったから・・・それにしても趣味が悪いわねぇ・・・
「あのぉ・・・●●さんって、どんなタイプでした?」
可愛かったわよ、でもPa~のタイプではないわね、純朴そうだったもの
「興味半分、会ってみてもよかったなぁ~」
Pa~! また騙す気
わざわざ九州くんだりから自前で来阪して、 ショックを受けずに 帰って好かったわよ
「????????」

確かに!
Pa~の甘~い声と実物には大いなる隔たりがあるのは事実である
これぞ、夢と現実
●●君の夢は、叶わぬ夢のまま終わって好かったのかも知れぬ


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