駐在員★お楽しみ★生活

昔、フィレンツェの中心街に、日本のホモ友達が住んでいた。
夜、度々彼のアパートを訪ねたことがあるのだが、友人が仕事で少々帰宅が遅くなった時には、私はそのアパートの前で待つ事となった。
その当時は携帯電話なんてなく連絡も取れず、待つ以外に術はなかったのである。

イタリアには、郊外や田舎、山の中くらいにしか一戸建ての家を見かける事はほとんどない。
イタリアの家というのは日本でいう所のマンション式で、3~4階建ての建物に10数戸前後入っているのが一般的。
その建物の玄関は常に施錠されており、鍵を持つその建物の住人しか開けられないようになっている。
郵便配達の人も、インターホーンを鳴らして、住人に鍵を開けて貰わないと建物の中には入れない。

私が外で友人を待つ間、この建物に住む日本人男性と幾度か出くわした事がある。
この日本人男性、日本では滅多に見かけないような格好をされており、Pa~には、とても異様に見えた。
年齢は確か29歳で、シルクハットを被り、カシミヤのコートを羽織り(袖に腕を通していない)、エルビス・プレスリーみたいにシルクのフリンジ付ストールを首にかけていた。
外見は?と言うと、お顔は決して男前とは言えず、ボディは中年太り気味。
一言で言って
≪何か勘違いされているのでは?≫

この変てこ日本人男性だが、アパートの前で顔を合わせた毎度、両脇に外国人女性を抱えていたのである。
一度や二度ならナンとも思わなかったのだが、それが毎回となると???である。
その外国人女性は毎回顔ぶれが違い、彼女達は一目で特殊なお仕事に就かれていると判る服装をしていた。
しかも毎回二人!
そして、オンナは全員金髪であった。

この話をホモ友達にすると、この日本人男性、友達がそのアパートに引っ越した6年前には既に居住しており、彼自身の話では、とある有名商社の駐在員とのこと。
同じアパートに住んでいる同じ日本人同士だが、全く付き合いはないと言っていた。
異国で同国人と巡り会ったら、懐かしさも加わっておしゃべりくらいしたくなるのが普通だが、6年間もの間、同じアパートに暮らしながら口を殆ど利かないというのは、Pa~が感じた異様さはホンモノなのだ。
この変てこ日本人男性が一度だけ、Pa~ホモ友達のアパートの呼び鈴を鳴らした事があるそうだが、その時も両脇にオンナを抱え、
「シャンパンか白ワイン、わけてもらえません?」と言ったらしい。

旅行や短期滞在などで、現地の男性と一時のアバンチュールを楽しむ日本人女性の話はよく聞くが、6年以上もプロの複数女性と駐在員生活を満喫(?)した日本人男も、大変ユニークである。


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