Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/10/03
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◆アッシジと聖フランチェスコ
 清貧の聖者フランチェスコ(1182?~1226)の町・アッシジは、フィレンツェから南東へバスで3時間ほどのところ、標高424m。田園地帯を見下ろすオリーブの丘にある。南北約1km、東西約4kmほど、人口約2万4千人の小さな町だ。ブドウ畑

 何が有名かと言えば、12~13世紀の中世の建物や街並みがほぼ完璧に残っていて、今もそこで人々が暮らしを営んでいるという稀有な街だ(ちなみに、フィレンツェはもう少し後の15世紀に花ひらいた街だ)。

 アッシジは、ご存じの人も多いと思うが、2000年にユネスコの「世界遺産」にも認定された。だからという訳でもないが、イタリアでは欧米人だけでなく、日本人にも人気の観光地の一つだ。( 写真左 =フィレンツェからアッシジへの道中には、ワインのブドウ畑やオリーブ畑がたくさん見える)。

 僕らの乗ったフィレンツェ発「JALユーロエキスプレス」のバスは、定員45人の大型バスだが、運転手さんとガイドさん以外、僕らも含めてわずか6人。「ロンドンの同時テロ以降、日本から観光に来る人が減りましてねぇ…」と残念そうなガイドさん。これでは採算取れないだろうなと同情してしまう。聖フランチェスコ教会

 11時頃アッシジに着いた僕らは、ガイドさんに連れられて、石畳の坂道をひたすら登る、登る。中腹からは、両側の建物の色は白とピンクに見事に統一されている。

 ガイドさんの話では、建て直す際も必ず地元産の同じ色の石を使うことや、住宅の窓枠の色は茶色か緑色にすることなどの規則が決められているという( 写真右 =アッシジで必ず皆が訪れる「聖フランチェスコ教会」)。

◆欧米人には「巡礼の地」
 アッシジの名を歴史上有名にしたのは、この地に生まれたジョバンニ・ディ・ベルナルドーネという若者(後の聖フランチェスコ)。裕福な家庭で放蕩生活を送っていたジョバンニは、軍隊で捕虜になるなどの苦労を重ねた後、20歳の時、信仰に目覚め、宗教の世界に身を投じる。そしてすべての財産を放棄し、終生、清貧生活を送りながら貧者のために尽くし、44歳で亡くなるまで各地で布教につとめたという。アッシジ

 欧米のキリスト教徒にとっては、アッシジや聖フランチェスコの名は、特別の重みを持つようで、欧米人にとっては、ここへは観光ではなく巡礼のため訪れると言った方がいいかもしれない(ちなみに、米西海岸のサンフランシスコの名の由来は、この聖フランチェスコの名前からという)。

 僕らが立ち寄った25日(日)も、当然、欧米人がたくさん訪れていたが、教会の内外あちこちで祈りを捧げる老夫婦の姿も目立った( 写真左 =アッシジの中心、コムーネ広場。古代ローマ時代の建物も見える)。

 フランチェスコの墓のある「サン・フランチェスコ教会」がアッシジ最大の見学スポット。教会には、現在60人の修道士がいて、日本人修道士も2人いるという。遠くアッシジまで来て修業する気持ちを聞いてみたい気もしたが、「余計なお世話」と言われるだろう。アッシジ

 ちょうど日曜とあって、教会内ではミサが開かれていた。観光客はミサの最中なので「しゃべるな」と入館の際、注意される。欧米の観光客らの多くは、一緒にミサに参加して祈りを捧げ、入り口の寄付受付所でなにがしかの寄付までしていた( 写真右 =アッシジの街路は細くて曲がりくねって、しおかもアップダウンがあり、結構疲れる)。

◆無信心の徒には居心地の悪さ
 「サン・フランチェスコ教会」は、通称「下の教会」「上の教会」という2つの教会に分かれている。「下の教会」には、聖フランチェスコや彼の4人の弟子の眠る墓があり、「上の教会」には、聖フランチェスコの生涯を描いたジョットによる有名な28枚のフレスコ画がある。アッシジの猫

 2つの教会は、行列ができるほどの込みようだった。地下の聖フランチェスコの墓の前では、じっとひざまづいて祈る欧米人が多い。一応仏教徒でも無信心に近い僕にとって、聖地のこの場所はなんとなく場違いな気がして、言いようのない居心地の悪さを感じた( 写真左 =フィレンツェでは猫をほとんど見かけなかったが、アッシジでは街のあちこちに)。

 アッシジは美しい。清らかな美しさに満ちあふれている。だが、ここを観光の場でなく、巡礼の地として訪れている欧米人の信仰心を共有することは無理だった。白とピンクだけの清純なアッシジよりも、色彩多彩なフィレンツェの方が、僕には合う。Montefalco Sagrantino

 アッシジでは、聖フランチェスコ教会のほか、フランチェスコの弟子でもあった修道女「聖キアーラ」を祀った「サンタ・アキーラ聖堂」を見学(フランチェスコやキアーラが着ていた衣服を教会地下で公開している)して、昼食のため指定のリストランテへ。

◆唯一、不満だったアッシジの昼食
 坂道を下ったところにある雰囲気のいいリストランテとあって、少し期待したのだけれど、メニューも選べず、パスタも鶏料理の味もいまいち。はっきり言って、今回の旅行で一番まずい店だった。やはり、店は自分で探して選ぶに限る( 写真右 =料理はいまいちだったが、ランチの店で飲んだワインは、果実味が豊かで旨かった)。

 ただし、ここのリストランテのオーナーはワイン醸造所も持っていて、銘柄の「Montefalco Sagrantino」は、地元でもコストパフォーマンスのいい評判のワインとか。一応試飲させてもらっが、タンニンがしっかり効いて、深みもある。納得できる味と価格(30ユーロ)だったので1本購入。帰りのローマ空港の免税店では56ユーロで売っていたので、ちょっとラッキーかな。

 食後、アッシジを後にした僕らは、いよいよローマへ。あと2時間半の旅程だ。イタリアに来ているんだという実感が、ますます沸いてくる。(→以下「5日の日記」へ)。





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Last updated  2005/10/05 01:44:46 AM
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Re:05年・伊太利亜往還記・アッシジ編/10月3日(月)(10/03)  
ayakh  さん
アッシジ。いつか行きたい街のひとつです。
私の枕辺には、いつも「アッシジの聖フランチェスコ小品集」があります。小鳥までもが彼の説教を聴くために集まった、という伝説があるような清らかな方です。

いきたいなぁ。。 (2005/10/03 01:02:04 AM)

Re:05年・伊太利亜往還記・アッシジ編/10月3日(月)(10/03)  
ステラビア  さん
うらんかんろさん、おかえりなさーい!
イタリア語で予約を入れたり店員さんとコミュニケーションしたりできるんですか?!
せっかくの機会ですものね。滞在時間を100%満喫したい、とう気持ち素晴らしい。なかなかできることではないと思います。でも、少しでも言葉が通えば旅はもっともっと充実しますね。

アッシジ見学の話し、興味深く拝見しました。私もロシアで聖堂をいくつか見学しましたが、確かに居心地が悪いんです。信心深い人の聖地に踏み込む罪悪感、みたいな気持ちなのでしょうか。でも、アジアの寺院めぐりでは、また違う気持ちになれます。無宗教とはいえ、仏陀信仰の血が流れていることを実感しました。

レストランは、残念でしたね。でも、よいワインを見つけて逆転!転んでもただで起きない精神でしょうか?(笑)
ローマ編も楽しみにしております♪ (2005/10/03 10:16:09 AM)

Re:05年・伊太利亜往還記・アッシジ編/10月3日(月)(10/03)  
pattie  さん
こんにちは!
アッシジは誰もまわりに行った人がいなくてとても新鮮な気持ちで読ませていただきました。
建物のこだわりはさすがヨーロッパですね。
以前うらんかんろさんが書かれていた日本の建築についてもっとヨーロッパを見習うべきだと思いました。その土地には合った建物があってそれをずっと残していくことは本当にすばらしい事です。
そんな方たちが日本に来られたらがっかりするだろうなと思います。

私がいつも思うのが「教会」ってとても厳粛な聖域なので無宗派の私が入るのはおこがましいと思ってヨーロッパの教会って入ったことがないのです。

せっかくいい雰囲気のリストランテなのにメニューが選べないのはとても悲しいです。 (2005/10/03 10:46:18 AM)

ayakhさんへ  
 ayakhさん、こんにちはー。

>アッシジ。いつか行きたい街のひとつです。私の枕辺には、いつも「アッシジの聖フランチェスコ小品集」があります。小鳥までもが彼の説教を聴くために集まった、という伝説があるような清らかな方です。いきたいなぁ。。

 聖フランチェスコの「小鳥への説教」のエピソードは有名ですね。
僕はきっと何年生きても、そんな境地まで到達することはできないでしょうが…(^_^;)
アッシジは、観光地という次元を超えて、一見の価値はある街だと思います。
ドイツW杯へ行くついでに、訪れてみてはいかが?(笑) (2005/10/04 08:06:09 AM)

ステラビアさんへ  
 ステラビアさん、こんにちはー。

>うらんかんろさん、おかえりなさーい! イタリア語で予約を入れたり店員さんとコミュニケーションしたりできるんですか?! 少しでも言葉が通えば旅はもっともっと充実しますね。


 込み入った会話じゃなく、ほんとに簡単な内容の会話なんですよ。
フィレンツェでもローマでも、ホテルや主要な店の従業員はほとんどが英語が話せるので、
はっきり言って、イタリア語は話せなくても、困ることはほとんどありません。
(ただ、普通のお店の店員さんの英語力は千差万別です)。

 イタリア語で話しかけると、当然、相手もイタリア語で応えてくるので、
相手に通じるというのも痛し痒しです。詳しい説明をされても、
動詞や形容詞に知らないことばもいっぱいあるし…。
知ってる単語がときどき出てくるので、想像力を働かせて、
分かったような顔をして相づちを打ったり(笑)。

 でも、込み入った会話はできなくとも、現地の言葉でコミュニケーションがとれると楽しいし、
彼らも親しみを持ってくれて、お互いの距離がぐんと近くなるような気がします。
現地のガイドさんも、「英語で話しかけられるより、
カタコトでもイタリア語の方が、絶対喜ばれますよ」と話していました。

>私もロシアで聖堂をいくつか見学しましたが、確かに居心地が悪いんです。信心深い人の聖地に踏み込む罪悪感、みたいな気持ちなのでしょうか。でも、アジアの寺院めぐりでは、また違う気持ちになれます。無宗教とはいえ、仏陀信仰の血が流れていることを実感しました。

 美術館だと気軽に見学できるんですが、信仰の対象になっている観光地というのは、
一般的に信心の薄い日本人には、なかなか大変な場所ですよね。
僕もバンコクの寺院では、仏陀を見ると自然と、安心感を感じてしまいました。

(2005/10/04 08:32:52 AM)

pattieさんへ  
 pattieさん、こんにちはー。

>アッシジは誰もまわりに行った人がいなくてとても新鮮な気持ちで読ませていただきました。建物のこだわりはさすがヨーロッパですね。以前うらんかんろさんが書かれていた日本の建築についてもっとヨーロッパを見習うべきだと思いました。そんな方たちが日本に来られたらがっかりするだろうなと思います。

 そうですね。歴史や文化遺産を大切にする気持ちというか、
とにかく欧米人の建物へのこだわりは、もっと見習うべきでしょうね。
日本には、千年の都・京都ですら、怠慢な役人のせいで乱開発が進み、
町中はもうめちゃくちゃです。外国人に見せるのは恥ずかしいと時々思います。
政治家には期待できないので、せめて役人くらいはしっかりしてほしいのですが…。

(2005/10/04 08:40:42 AM)

今度はいつもの名前で  
カピタン さん
 以前徳島で某国営放送主催で「弘法大師の秘宝展」みたいなのをやってたことがありました。行ってみると曼陀羅にお賽銭は投げ込んであるわ、あっちこっちでお年寄りが手を合わせてぶつぶつ言っています。中には修験者らしき人(格好だけは普段着)が、お不動さんの仏像の前で数珠を手に真剣に念仏を唱えていて係員に注意されていました。主催者側は高野山の秘仏や秘宝を美術品として見てもらいたかったのでしょうが、仏教徒の多い日本の、然も真言宗の多い四国でやるとこうなってしまうのも仕方ないと思います。キリスト教徒にとってはアッシジも同じ様なものではないでしょうか。
 おまけ;海外の猫ってそこの現地の人っぽい顔してませんか。日本の猫と何故か顔違いますよね。種類が違うのかなあ。 (2005/10/12 11:28:59 PM)

カピタンさんへ  
 カピタンさん、おほようございまーす。今度は、新規さんではありませんでしたね(笑)。

>以前徳島で某国営放送主催で「弘法大師の秘宝展」で、修験者らしき人が仏像の前で数珠を手に真剣に念仏を唱えていて係員に注意されていました。主催者側は高野山の秘仏や秘宝を美術品として見てもらいたかったのでしょうが、仏教徒の多い日本の、然も真言宗の多い四国でやるとこうなってしまうのも仕方ないと思います。キリスト教徒にとっては、アッシジも同じ様なものではないでしょうか。

 八十八カ所巡りで知られる四国ならではの話ですね。弘法大師信仰の熱さを感じさせますね。
 でも、実際に会場でそういう人を見たら、僕は、ちょっとひいてしまうかも…。

>おまけ;海外の猫ってそこの現地の人っぽい顔してませんか。日本の猫と何故か顔違いますよね。種類が違うのかなあ。

 確かに、猫や犬もその土地の風土で顔が変わってくるような気もします。
イタリアの猫は、なぜか陽気で、親しげで、たくましそうな顔をしていたような…。
-----
(2005/10/13 08:18:55 AM)

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