https://www.youtube.com/watch?v=dQh3cSbV0pE
私の可愛い人
さくらんぼの実るころhttps://www.youtube.com/watch?v=jycvRlQI_hw
「私の可愛い人」ってフランス文学があった。10代の頃毎日読んで毎日泣いていた。
パリで絵を学ぶハンガリーの青年がアンクレールという可愛いパリジェンヌと恋におちる。
日曜日、アンクレールは「 さくらんぼの実る頃
」というシャンソンのレコードを大事そうに抱えてやって来た。恋人にこの曲を聴かせたくて来たのである。
ガスストーブつけてココアを飲んでお喋りして帰る。何故かヌードにならない。
それは昔の人達だからだ。
彼はアンクレールを疑い始めた。
彼女が住んでるはずの住所を訪ねてもそれらしい家がない。
彼女が勤めてるオフィスを訪ねてもそんな人はいませんという。
そういえば右手に指輪をはめてたことがあった。自分と逢った時、あわててはずした。
アンクレールは嘘つきだ。アンクレールって誰だろう?
問い詰めたら泣く泣く喋りだした。
「私は天涯孤独の身でパリの場末に住み舞踏会のドレスを縫っています。」
どうりでいつも素敵なドレスを着てたわけだ。
「指輪をはめてたのはね。私職場で同僚に貴方と婚約したって嘘ついちゃったの。
不信感もたれたくなくて自分で指輪買ってはめてたの」
一方彼はハンガリーに帰れば大邸宅があって素封家だった。
アンクレールは恋人を失いたくない一心でこんな小細工してたのである。
アンクレールが孤児だからといって切り捨てるようなバンサンじゃなかった。結婚することになっていよいよ荷物を運ぶという朝病院から電話がかかってきた。
「奥さんが事故に遭って重体です」
病院にかけつけたらアンクレールは虫の息だった。
「 モンプテイ。ごめんね、、馬鹿な自動車がぶつかってきたのよ。
モンプテイ、驚いた?夫を呼んで下さいって言ってしまったの、、
私貴方の奥さんになりたかったものだから、、、
顔が青いのはね 出血してるためなのよ、、、 だけど明日になれば、、出血も止まって,,, モンプテイと,,, 一緒になれる
」
これがアンクレールの最後だった。
https://www.youtube.com/watch?v=dQh3cSbV0pE
私の可愛い人という邦題で映画化されてアランドロンとつきあう前の可愛いロミーシュナイダーがアンクレールを演じてた。
「さくらんぼ摘み取れば血の色の耳飾りゆらりゆれて。
人を好きになることは神様も止められぬ。 さくらんぼ実る頃 鳥さえも恋をする」
桜桃の実る頃という歌は1871年パリコミューンの闘士銅工職人ジャン・バテイスト・クレマンが作詞し桜桃の籠を持ってたルイーズという女性に捧げた詩だという。
パリ・コンミューンは戦士・市民3万人の虐殺により終わった。ルイーズも銃殺された。
クレマンはイギリスに逃げたが10年後パリにもどってみると自分が作った歌を人々が歌ってたという
。
さくらんぼの実る頃は単なる恋の歌ではない。裏の意味があって。さくらんぼの実る頃散っていった人を意味する。
赤い流血と 夭折の人と
それはルイーズでありアンクレールなのだった。