海ねこポチ
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「バーニーさん、どこへ?」突如立ち上がったバーニーさんに尋ねる。「ワタシココツボモトメテキタヨ。ミツケタラツリモテツダウネ。」そういってバーニーさんは歩きはじめた。話によるとバーニーさんの求めるものは最初からこの塔に眠る骨董品だったみたいだ。なるほど。トレジャーハンティングってわけか。でももともと釣りはおいらがすべき仕事。なによりここまで来るのに用心棒として頼もしすぎる活躍もしてくれてる。「気をつけていってきてくださいね。」おいらの呼びかけに笑顔で手を振る。「ポチ、親父の腕前をよく見るっすよ!」「わかりました!」自信たっぷりにそういうおやっさんが頼もしい。おいらとおやっさんの振った竿の先がしなり、日の光を受けて照り輝く水面に波紋が広がる。・・・・・数分後、おいらの竿にわずかな手ごたえ。・・・っく!!急いで竿を上げる。・・・逃がしたか。「どんまいっすよ!ポチ。」言うやいなや今度はおやっさんの竿がピクピクと動く。「おおおおおおお!!」おやっさんの竿が勢いよく上がり、光の弧を描く。「ポチ!!見た見た!?親父釣ったよ!」「・・・・」はじけイワシっす・・・。気を取り直して糸を水に垂らす二人。そこにコバンが落ち着きなく走ってくる。「お~~い!!」「コバン君、静かにしたまえ!!魚が逃げてしまう。」からかいまじりに言う。「ごめん!!でも、あったよぉぉぉ!!」コバンの腕にはありがたいことに古代豆がどっさり抱えられている。「でかした!!コバン!!」「コバン、あまいな。それはカクサンの実っすよ!」・・・いや、おやっさん、これが古代豆っす。おやっさんの大きなリアクションを見た後、水辺に餌を垂らす3人の男。そこにバーニーさんが戻ってくる。「ミツカッタヨ!フフフ。コレデツボガカンセイダヨ!」おめでとうございます!・・・・・水中で動く4匹のエサとそれを水の外に導くかのような4本の糸。その糸は小一時間経った今でも一向に動きを見せない。水辺に並ぶ4つの人影も、餌に従うかのように沈黙を守っている。まぶしいほどに照っていた日差しが急速に弱まる。静寂を破る歓喜の声!!「きたぁぁぁぁ!!」コバン!今日の君は差し引き大幅プラスだ!長らく見ていなかったが、得意気にコバンの見せるその魚はまぎれもなく古代魚だ。「コッチモダヨ!!」バーニーさんが釣り上げた、小型だけど形のいい古代魚。おいらも負けていられない!!「よし!!!」「おお!!おいらすげー!!」おいらの声と同時にコバンの声が再び響く。すごい!大漁だ!!おやっさんはというと・・・・びくに泳ぐのはキラキラと輝く・・・はじけイワシ。その数は4匹になっている。「コッチモ2匹メヨ!!」バーニーさんの声が響いたそのときだった。「ポチ、今すぐ帰るっすよ。」
2007年01月11日
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