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moto,jc @ Re:烏来老街にいく(11/26) New! おはようございます ビビアン・スーさん…
あきても @ Re:烏来老街にいく(11/26) New! 外国に行っても行きたい場所 一人で行け…
ララキャット @ Re:烏来老街にいく(11/26) New! へえ、現地語で話しかけられましたか? …
marnon1104 @ Re:烏来老街にいく(11/26) New! 烏来老街は知りませんでしたが、温泉があ…
danmama313 @ Re:烏来老街にいく(11/26) New! 今日の台北は雨ですね。でも今日だけしか…
Nov 19, 2024
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カテゴリ: カテゴリ未分類
スペインに「カランダ」と云う桃とオリーブの生産くらいで、これと云った観光資源の無い街があります。
有るとしたら、「ロンピーダ・デ・ラ・オラ」と呼ばれるキリストの受難と死を思い起こさせるセレモニーくらいでしょう。
このときカランダの街は何千もの太鼓や大太鼓が広場に集結してけたたましい音に包まれます。
そして触れ口上する役人がキリストの死を宣言すると、太鼓や大太鼓の連打が止むのです。


そのカランダに「ブニュエル・フィルムセンター」と云う施設があります。
ブニュエルとはルイス・ブニュエルと云う映画監督で、このカランダ出身なんですね。
ただブニュエルはフランスで活躍した後、メキシコ国籍をとってメキシコ人として活動し、晩年にまたパリに戻ってきた異色の映画監督です。




ルイス・ブニュエルが撮った作品でみなさんに馴染みあるのは主演のカトリーヌ・ドヌーヴが濃密でエロチックな描写を見せた1967年の映画「昼顔」でしょう。
この作品はヴェネツィア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を受賞しました。

この映画でドヌーヴは医師の夫とともに幸せな生活を送ると同時に、「昼顔」という名前で娼婦として働くのですね。
この二重生活のおかげで、ようやく自分の人生を取り戻すと云うお話でした。
映画「昼顔」はかなりセンセーショナルな内容ですが、実はブニュエルの監督としての実績は最初期(1929年)の作品「アンダルシアの犬」に凝縮されてます。
この映画は画家のサルバドール・ダリと共同で製作した明快なストーリーの無いイメージだけの作品で、当時のシュルレアリスム作家パブロ・ピカソやアンドレ・ブルトン、ジャン・コクトー、マックス・エルンスト、ル・コルビュジエ、ルネ・マグリット、ポール・エリュアール、ルイ・アラゴン、マン・レイなどに拍手喝采で迎えられたものです。
パリに出ていたブニュエルがスペインに一時帰国したとき、まだ無名だった友達のダリと見た夢の話をしている内に、それをもとに映画を作ったのが「アンダルシアの犬」です。

この作品では修道士役としてダリ自身が出演してますし、冒頭のあまりに有名な女性が剃刀で眼球を真2つにされるシーンの剃刀を持った男は監督のブニュエルが演じてます。
とにかくシュルレアリスム映画の金字塔と呼ばれる作品ですが、どのシーンも吐き気をもようさせるものばかりで、けしてお勧めできる映画とは云えません。




この「アンダルシアの犬」があまりに有名になって、ブニュエルはシュルレアリスムの映画監督として扱われることが多いですが、実際には多種多様な映画を撮っています。
ブニュエル・フィルムセンターで最も人気ある展示は、ブニュエルの映像がいかに楽しく超現実的であるかを称賛する映写室です。
椅子の代わりに便器が置かれており、それぞれの便器の中にカミソリの刃、見つめる目、鳥の羽など「アンダルシアの犬」を彷彿させる意匠が施されています。
ブニュエルのシュルレアリスム映画は前述の「アンダルシアの犬」とシュールリアリストたちの後押しで運動のパトロンであったノワイエ公爵が出資した「黄金時代」くらいでしょうね。
「黄金時代」もダリとの共同制作ですが、宗教やブルジョワジー層を皮肉った作品内容に怒った右翼が、上映中にスクリーンに向って爆弾を投げつける事件が起きて、その後50年間公開禁止となった因縁の作品です。
そんなブニュエルはスペイン内戦が勃発した後、アメリカに渡ってニューヨーク近代美術館で反ファシズム映画を集めるという仕事に就くのですが、あまりにも世間知らずなダリが自身の著書「わが秘められた生涯」の中で「ブニュエルは無神論者だ」と述べたため職を失ってしまいます。
そうしてブニュエルはメキシコに移り久々に映画監督を再開すると同時にメキシコ国籍を取得するのです。
そして1950年の社会主義リアリズム映画の傑作「忘れられた人々」によってカンヌ映画祭で監督賞を受賞するのですね。
「忘れられた人々」は後にユネスコの「世界の記憶」に登録もされてます。
メキシコに移った後もスペインに戻り1961年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した「ビリディアナ」を撮るなどしてますが、ブニュエルの主軸はあくまでメキシコにありました。
1954年にはメキシコシティの路面電車を舞台にした作品「幻影は市電に乗って旅をする」やブルジョア階級の人々の運命をブラックユーモアで描いた不条理作品「皆殺しの天使」など佳作はメキシコ時代に撮ったものが多いです。

「皆殺しの天使」はパーティの後、ナゼか部屋から出られなくなってしまったブルジョア階級の人々を描いてて、数日が過ぎ、水や食料が尽きてくると人々は徐々に理性を失っていく。
人々は異常事態の原因を邸宅の主人であると決めつけ、主人は拳銃自殺を図ろうとするのですね。
そのとき、ひとり女性があることに気づきます。
人々が今いる場所がパーティのあった夜と完全に同じなので、その時の状況を再現することで無限ループから脱出できるのでは?
みごとにアタリで全員無事に邸宅から脱出できました。
無事に生還した人々はお礼に教会のミサに出席します。
ところがミサの終了後、そこに集まった人々は教会から出られなくなってしまうと云う物語。




晩年は1970年にスペイン・フランス・イタリアの合作映画でカトリーヌ・ドヌーヴが主演した「哀しみのトリスターナ」や1977年のフランス・スペイン合作映画でブニュエル監督の遺作となった「欲望のあいまいな対象」など再びメキシコから出て活躍してます。
「欲望のあいまいな対象」ではあまりにも唐突に訪れる結末によって、ブニュエルがシュルレアリスムに回帰したとも受け取られてます。


ルイス・ブニュエルが映画に興味をもったきっかけは意外にも大学時代に観たハロルド・ロイドやバスター・キートンなどのドタバタコメディ映画でした。
息子のフアン・ルイス・ブニュエルも映画監督をしてます。
1983年に肝硬変のため死去しました。





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Last updated  Nov 19, 2024 05:06:53 AM
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