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私の受刑生活におけるバイブルといえる珠玉の一冊、それは安部譲二著 「塀の中の懲りない面々」 でした。昭和時代の刑務所模様がつぶさに描写されていており、今でもだいたいその内容が通用してます。新法で何だかんだと人権をとりあげるようになってきた昨今ですが、そう簡単に刑務所の中身は変わるもんじゃありませんです。
本文の中に、風呂場や舎房での刺青観察風景が書かれておりまして、その百花繚乱振りや、滑稽さがよく伝わってきます。私のお気に入りは、左腕に彫られた、時間の動かない時計の刺青のお話です
私のいた施設でも刺青を入れた人はたくさんおりました。ただ、ヤクザや、テキヤ稼業でもない普通の若いアンちゃんが、ファッション感覚で入れたと思われる、いわゆるタトゥやトライバルといったものがとても目立ちました。唐獅子牡丹や、登り龍、般若などのオーソドックスなお背中の横に、十字架に磔されたイエスの画、 ミッキーマウス(!?)、 のっぺらぼう(?)が並んでいるのですから、風呂場はイレズミの生きた博物館です。
ここで、少年刑務所や、鑑別所出身者を簡単に見分ける方法をひとつ。
手の甲や手首など、比較的見やすい部分に3角形のほくろがある人がいます。道路工事の基準の印じゃありません。それは、つまり、施設出身者の証みたいな物です。皆、中で知り合った仲間同士が入れあう馬鹿げたしきたりです。
お客さんの手の甲にそれを見たとき、つい「はっ!」とその人の顔をみてしまいました。普通に見える青年でしたけれど、いろいろあったのだな、とお釣りを渡す手に微妙な緊張感が走った瞬間でした。
ただ、それは単なるヤンキー兄ちゃんの証とも言えるので誤解の無いように。
~9月7日の日記~
朝・・・しば漬け、 金時豆(9粒)、 味噌汁(なめこ、ねぎ)
昼・・・ 回鍋肉 、鶏肉の親子煮、いとこ煮、インゲン味噌和え
夜・・ ・ニラレバ炒め 、キンピラ、三色酢の物、ハムフライ、なし
試験は滞りなく行われた。練習の甲斐なくさんざんな結果に終わった人がいて、同情を感じ得ない。この一年は彼にとって一体なんだったんだろう。試験官の風貌がいけなかったのかも。誰もが皆、試験官を見て肩を震わせていた。エスパー伊藤がそのまま背広を着てやってきたかのような貧相なおっさんが、茨城弁を丸出しにして監督するもんだから、見られている方はたまったもんじゃない。精密加工の試験官には向く人とそうじゃない人というのがいるって事くらいわかってくれ。
午後の最終レクの時間、皆に協力してもらって応援のおさらいをやった。 問題点が分かった気がする。皆、なんだかんだ文句言ってても、勝ちたい気持ちがよく分かる。去年も当日は相当アツくなってたものなあ。
大縄跳びの練習も合わせてやってみたが、60回も飛ぶと息が上がってしまって続かない。100回を越す工場もあるという。はっきり言って迷惑だ。 その工場のレクを観察していると 、選手が皆けんけんしながらグラウンドを走ってる。折れちゃえばいいのに、そんな足。当日雨が降らないかなと、本気で願うようになってきた。
(解説)
◎『金時豆(9粒)~』← 豆の数が1つでも少なかったりするだけで受刑者同士の喧嘩の原因となります。朝から小皿に盛られた煮豆の数をじっと数える大の大人の様子を想像してみて下さい。情けないもんです。この日のメニューは比較的充実していて、当りの日でした。驚くほど美味い味じゃないですけれど、珍しいメニューだとそれだけで一日が楽しく思えるもんです。
◎『午後の最終~』← レク(運動)時間というのは誰もが好きなように使いたいもので、そんな時くらいは指図されたくないのです。だから、協力的な態度がとても珍しかった。
◎『その工場の~』← グラウンドの様子が望める工場にいると、他工場のレク時間の様子が見れますが、ずっと見てると看守に怒られます。作業中は、ちょっとしたよそ見すらゆるさない看守もいて気が休まる時がありません。逆に受刑者に世間話や身の上話をする看守もいるんですけどね。そんな時はここぞとばかりに話します。