卒業→就職


1年たって、さぁ、卒業って時に、うちのクラスに残っていたのは12人。
私の仲のいいきくちゃん、みなちゃん、きよみちゃんはみんな残っていた。
そのうち、卒業できたのは9人だった。
残りの3人は時間が足りずに卒業延期ということだった・・・・。
就職は学校の紹介で実家から通えるあたりのお店に一応決めてあった。

8年暮らしたこの街を今度こそ本当に出なくちゃならない。
彼氏の所に車を取りに行って、きくちゃんの家に寄ってみた。
おじちゃんが居酒屋をしているきくちゃんちなので、おじちゃんが道中食べな、っておいしいおにぎりなんかを作っておいてくれた。
思えば、寮生活中もろくなもん食ってねーんだろ、ってよくゴハンを食べさせてもらったっけ・・・・・。
すでに東京で働いていたお姉ちゃんが、休みを取って福岡まで来てくれて(彼女は福岡の短大に行っていたので、お友達が福岡にたくさんいた)一緒に車で東京まで行ってくれることになっていた。
見慣れたバイパスを走って、高速に乗った。
「もう、2度と、ここをこうして自分の車で運転することはないかもしれないーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

大好きな街だった。
すっごくつらいこともいっぱいあったけど、それでもキレイな海と、きれいな山と、気のいい仲間がいっぱいいた。
ここを離れるのはすごくつらかった。
小さい頃から親の転勤が多かったので、別れには慣れてるとは言っても、こうやって、自分の意思で自分の好きな町を捨てるのはすごく、勇気のいることだった。

お姉ちゃんを拾い、山口のおばあちゃんのところに1泊、姫路で1泊、秦野で1泊して、4日かけて実家に着いた。

就職した店はあんまり私には合わなかった。
女のオーナーで、すごくこまかくて、贔屓とかすごくて、やっていけないかも・・・と思っていた矢先に、元彼が死んだっていう電話がきた。

彼とは15才の頃に付き合っていて、別れた後もすごく仲が良くて、まるで本当のお兄ちゃんのように可愛がってもらっていた。
人生について、いろんなことを教えてくれた人でもあった。
原因は私達みんなの共通の趣味だったバイク。
今までどんな事故でも死ななかった彼が、たかが時速50kmで突っ込んで死んでしまうなんて、嘘みたいだった。
何もやる気が失せてしまい、ゴハンもあんまり食べたくないし、喋るのもいやになってしまい、ついにお店もやめてしまった。
毎日家に閉じこもっている私を心配して、お姉ちゃんは粘土を買って来て「一緒に作ろう」と遊んでくれたりした。
3ヶ月目。
父が「髪の毛でも切ってキレイにしてもらってこい」とお小遣いをくれた。
このままじゃいけない・・・と言われるままに、地元で評判のお店に行ってみた。


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