与作・3



    区分分けすると与作は黒人である。
今どき、NYあたりじゃ白人だのインディアンだのが混じった子が多い中、こいつはまごうかたなき立派な黒人である。親戚中見回しても黒くないのは私とQPだけである。
ただし、アメリカンライフが長い家系なので、アフリカの黒人とはまた少し違っている。まぁ、アメリカナイズされちゃっているわけである。顔つきも何もかも・・・。

昔、私の中で黒人とは歌がうまく、踊りも上手なものであった。
しかし。
この常識は与作によって崩される。
こいつはこれまた、稀に見る音痴であり、ダンスもヘタである。
いつも大好きなラップに合わせて何やら音を出しているんだけど、これが喋っているのか歌っているのか判別しがたい。
私などしょっちゅう「何~?」と返事をしていまい「違うよ!歌ってるの!」と言われる始末である。
一度、彼がベッドルームで踊っている気配がした。
そーーーーっと近づいてみると・・・。
そこには映画「The Wood」のように1人で音楽にあわせて踊る彼の姿。
しかも、これがどう見てもお世辞にもうまいとは言いがたい。
コメントもできず、冷やかすのもためらわれ、見なかったことにしてその場を去った私であった。
こんなインチキ黒人って・・・・・・・。
もちろん、私はこいつをクラブに誘ったこともないし、何かのコンサートなんかもいつも私一人で行くようにしている。
だって・・・・・。
もし一緒に行って隣でうっかり間違えて踊られたりしたら、それこそ大変である。

それでも今日も彼は自信満々に、大きな声でラップするのであった。



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