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手作り作品販売サイトminneが本格的に稼働を始めました。今まではギャラリーとして、作品の表示だけだったのが、本日から実際に売買が出来るようになったんです。ただ、支払い方法はクレジットカード決済のみで、ビザ、マスター、ダイナースしか利用出来ないんですよねぇ。JCBが使えないって、ちょっと意外でした。私も、何年も使っていないビザのカードを探しましたよ。あと、送料の設定がごく簡単な仕組みなので、売る側はちょっと考えこんでしまうかも。私は考え込みましたよ、ええ。作品が紙のように、薄くて軽くて緩衝材も不要なら、全国一律の普通郵便で送れるのですが、私の作品だと、そうも行かないのです。(゚-゚;)ウーンで、取り敢えず、販売するのは定形外郵便で送れるものに絞る事にして、重さとかパッキングに重々気を使わなければならない、陶器の家シリーズは一旦ギャラリーから外しました。どうすれば一番安く安全に送れるか、じっくり考えてみます。poco a poco (私のギャラリーです)送料込みで、大体千円前後になるくらいの価格設定です。焼き物に関しては、割れないように紙などで包み、手製の紙箱に詰め、緩衝材入りの封筒に入れてお送り致します。どうぞ宜しく?
2012.04.11

ブログで連載していた「小ムハンマド」を、加筆修正した上で電子書籍化致しました。無料なので、読んでみて下さいね。8000字ほどの掌篇小説です。「小ムハンマド」パブーにて無料公開中
2012.04.02

手作りアートやクラフトを紹介、販売(3月予定)出来るサイト、minneに、陶器の小物などを展示しています。販売についてはまだ未定ですが、ちょこっとずつ作品をアップしていこうかと思っています。1月半ば過ぎから始まったサービスですが、どんどん参加者と作品が増えています。ものづくりが好きな方って多いんですね。 ギャラリーの名前は「POCO A POCO」スペイン語で、ちょっとずつという意味です。陶器以外のものも出してみようかと考え中です。 よろしければ、覗いてみて下さいね。
2012.01.25
掌編「昇降機小景」は、原稿用紙13枚くらいの母子の物語です。電子書籍としてPubooさんとbookYARDさんにアップしました。Puboo版は、横書きのePubとPDFでダウンロードも出来ますし、ブラウザーで読むことも出来ます。BookYard版は、縦書きPDFと青空文庫形式テキスト、横書きePubで読めますし、スマフォユーザーの方は、ここの有料アプリを使って読み込む事も可能です。お好みのスタイルで読んでみて下さいね。 短いお話なので、乗り物の中や、ちょっと時間の空いた時にサクサク読めますよ。 「昇降機小景」Puboo版「昇降機小景」book YARD版
2012.01.21

私の長編恋愛小説の「私家版」が、でじたる書房さんでも読めるようになりました。ダウンロードのデータは、でじブック形式とPDFの二種類になります。でじブック形式は、専用のでじブックリーダーを使って縦書きで読めるのですが、本棚のインターフェイスにダウンロードしたデータを保存でき、紙の本をめくるように読めるのでとっても読み易いんですよ。今回は背表紙もデザインしたので、三巻本棚に並べるとイラストが完成します。ただ、残念ながら、でじブックはマックに対応していないので、マックユーザーの方はPDF版をお読みになって下さいね。こちらも縦書きで作成しました。他の電書サイトさんと同様に、上中巻は無料で、下巻のみ税込350円の有料販売になっております。出来れば、是非三巻通してお読みになってみて下さい。原稿用紙換算すると、全部で480枚ほどの作品です。リンクはこちら「でじたる書房-葉山ユタ」
2012.01.13
別ブログに掲載した掌編小説「昇降機小景」は全三回で完成しました。家族のちょっと切ないお話です。 白嘘物語-昇降機小景
2012.01.12
別ブログの方で、新しい連載小説を始めました。短編になると思いますが、家族のお話です。宜しかったらご購読下さい。 連載小説「昇降機小景」
2012.01.10

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。2012年は、良い年になって欲しいものですね。あとですね、今年アセンションが有るのかも気になります(笑)来るなら早く来て欲しいと思う。今年はまだ新しい作品を書いていませんが、構想は幾らか出来つつあります。去年は半年間、真面目な恋愛物を書いていたので、今年は少し前に戻って不思議譚を書きたいな、と考えているところです。この子に何か語ってもらおうかな…。
2012.01.07

暮れも押し迫ってきましたね。そんな折に「私家版」の完結編を出しました。上巻と中巻は無料でしたが、すみません、この下巻は税込350円で販売させて頂きます。ブログに連載してい内容の他、日高真麻 の「私家版」が掲載されておりますので、是非、こちらのブログをお読みになってた方も、全篇通してお読みになってみて下さい。今回もPubooさんと wookさんで、同じ物を同じ価格で発行させて頂きました。 wook版「私家版‐下巻」 Puboo 「私家版」下巻(税込350円) それでは、今年の更新は、今回で仕事納めとなります。皆様、お体にお気をつけて良いお年をお迎えください。今年一年、ご愛顧いただき、誠にありがとうございました。 葉山ユタ
2011.12.29

連日で恐れ入ります。「私家版」の上巻に続き、中巻も電子書籍として公開致しました。それに伴い、こちらの「私家版」データは削除致しました。Puboo版もWook版も、無料でダウンロード出来ますので、ゆっくりまとめてお読みになって下さいね。Wook版はこちらからどうぞ 「葉山ユタ 物語は皆白い嘘」 Puboo版はこちらからどうぞ 「私家版」上巻(無料) 「私家版」中巻(無料) 最終巻は、ただいま調整中です。 ☆彡あらすじ 独身サラリーマン篠田圭介の趣味は本の装幀。ある日、若い女性版画家から版画集の装幀を依頼される。彼女は肌の白さが際立つ寂しげな人妻だった。彼女の作 品に惚れ込んだ篠田は、私家版の制作を引き受けるが、彼女の人となりにも興味を持った。本と版画を仲立ちにした長編恋愛小説、全三巻です。
2011.12.25
メリークリスマスおお、絵文字、初めて使ったかも。 さて、何がメリーかは置いておいて… 「私家版」上巻がWookさんでも読めるようになりました。縦書きの方が読み易いという方は、こちらをどうぞ(横書きでも読めます)Wook 「私家版」‐上巻 それでは、良いクリスマスをお過ごし下さい。お仕事の方は、お体に気を付けてお過ごし下さい。
2011.12.24

「私家版」の推敲が、大体終わりましたが、原稿用紙換算すると480枚にもなり、電子書籍にするには長すぎて読みづらいかと思い、上中下巻、三巻に分ける事にしました。まずは上巻が出来ましたので、パブーさんにアップ致しました。他の電書サイトさんにも、随時アップするつもりですので、お楽しみ頂ければ幸いです。
2011.12.23
今まで見た、印象的な夢についての記録です。白嘘物語(引越し中) ご興味があればお読み下さいませ。
2011.12.15

リクエストがあって、陶器のミニチュアポックリを作っていたのですが、そのリクエストは「真っ赤なのと真っ黒の」で、実はそういうはっきりした色の物は、焼き物で作るのはちょっと難しいのです。私の通っている陶芸教室の先生は、信楽で修行した方なので、はっきりした色の釉薬を好みません。真っ赤だとか真っ黄色なんて釉薬は置いてないのです。(また、非常に高価だそうです)なので、真っ赤とか真っ黒にするとなると、焼き上がった物に塗るしかないわけで、それなら焼き物じゃなくてもいいのでは…という疑問を抱きつつも作りましたよ。アクリル絵の具を塗っては乾かし塗っては乾かしで、ずいぶん時間がかかりました。作ったはいいけど、買って貰えるのかしらね、これ?
2011.12.12

勢いがついて、豆ノートを作っています。 今回、表紙はハンズで買ってきた青い牛革を使用。金彩してみたら豪華に見える♪ 欧米では、こういう物にチェーン付けてネックレスに加工しているのを見かけます。私は首が凝るので出来ないなぁ。 左の豆ハードカバーは、表紙が厚すぎるのか、開くと本が分解するです(´・ω・`)右の豆ジャーナルは結構いいです。パカッと開けるし。 充分、実用品だけど、使うの勿体無い。 「私家版」の推敲が進みません。やります、やりますよ、ええ……。
2011.12.05
Chosen 後編 アップしました。このお話は、私が十年以上昔に見た夢を元に書いたものです。あまり深読みせずお楽しみ頂ければと思います。
2011.12.01
前後編で「Chosen」という掌編小説を別ブログにアップします。今日は前編です。これからは新作の小説はあちらに書き、こちらにはご案内や小説以外のものを書いて行こうかと思っています。良かったら、別サイトの方もお読みになって下さいね。ヨロシクお願い致します。別ブログ:白嘘物語引越し中
2011.11.30

「私家版」を書く前、製本に興味を持ち、文庫本の表紙を付け替えたりしていたのですが、手慰みに豆ノートを作ってみました。ちゃんと花布も貼って50ページくらい書ける白地のノートです。ちょっとしたメモくらいは取れますよ。本格的なルリユールは、こんな簡単なモノでは無いですが。 左の「鍵」はレプハドで作ったもので、その内ちゃんとした豆本でも作った時に表紙に貼ってみようかと思います。
2011.11.28
さて「私家版」連載は終了しましたが、少々冗漫かと思いますので、これから推敲して参ります。今年中には完成版を電書にしたいのですが、その際には真麻ちゃんの「私家版」のテキストも入れたいなー、などと考えています。ストーリーも、ブログのような全公開型でないなら、もうちょっと大人向けにしてもいいかもね。そして、4ヶ月も連載した長編なので、電書では前後編に分けようかとか、色々考え中です。 ところで、以前にも書きましたが、連載が一段落したので、別のブログサービスに引越しの準備をしております。当分の間は両方運営すると思いますし、こちらも有る程度はデータを残しておこうかと思案中です。新しいブログの方は、今まで書いたものを幾つか抜粋してコピペしているので、目新しいものは無いですが、ちょっと読みやすいかな?どうでしょうか。よろしければ、こちらの方もご覧になって下さいね。 白嘘物語(引越し中)
2011.11.21
次回、最終回です。終わりましたら、ちょっとお休みして推敲作業に入ります。
2011.11.19
どうも、今晩は。いきなりですが、こちらのブログサービスは、良いところもあるのですが、ちょっと運営に気になる点があり、もしかすると他のブログサービスに乗り換えるかもしれません。こちらのデータは、基本的にエクスポート出来ないようなので、ほとんどを削除して物語の分だけ電子書籍化し、新たに書き始める作品は、他所で「白嘘物語」として再開するかもです。そして、そちらが軌道に乗ったら、多分こちらのブログは全部削除すると思います。今まで書いた分はパブーさん他で読めますし、別に問題無いかなぁと。アフィリエイトも、全然やってないし。いずれにしても、今連載している「私家版」までは、こちらで書こうと思っているのですが、それが終わったら考えます。お引越ししても、引き続きよろしくお願いしますね~。
2011.11.16

二三日実家に帰省していた為、しばし連載はお休みしていました。また、明日からチマチマ書くつもりです。今日は趣向を変えて、実家にある大きな日本人形をご紹介しますね。 じゃーん。 大きいんです。大体70センチくらいかな。これくらい大きいと、人形と言うより「小さい女の人」って感じです。 祖母の家に戦前からあったらしいんですが、もともとは知り合いか誰かから、貰うか買うかしたそうなので、昭和初期か大正時代のものではないか、と母が言っていました。来歴の詳細は不明です。昔は芸者さんが温泉旅館のお座敷に侍る土地だったので、その関係で貰ったのかな? 後ろ姿 袂に柄が少し残っていますね。すっかり煤けて気の毒な有様なのは、古いのに加えて、元々有ったはずの人形ケースを壊してしまい、何のカバーも掛けず、置きっぱなしにしていたせいかと。今回、帰省ついでに、ホコリを払ってキレイにしてきました。 怖い? 怖くない、怖くない。意外と現代的な、可愛い顔をしています。 ね? まだ二十歳そこそこの芸者さんのようで、右手には三味線のバチを持っていたらしい。髷の前髪には赤い櫛を挿していたそうなんですが、それも紛失…。 胸元の手紙が思わせぶりですね。 江戸川乱歩の「人でなしの恋」を思い出します。
2011.08.17

海岸沿いのピンク色のホテルに泊まっているんですね。それでは、そこを出て蔵と教会に向かって歩いて下さい。教会の正面玄関あたりから向かい側の道に渡って。白い銀行の建物と卸問屋のビルの間に道があります。そうそう、少し行くと郵便局があって、古いアパートや民家が並んでる。そこを抜けると左側の角にカフェがあるの。玄関の両脇の青いタイルを貼った円柱が目印。朝まで営業しているから貴方が来るまで一人で飲んでるわ。
2011.07.01

今はもう無いのですが、昔々、私の実家の近くに、元は国立大学の職員寮だったと言われていた空き家がありました。本当にそうだったのかは今では分かりませんが、そこには燕の営巣する土蔵と、大きな岩を二つあしらった、そこそこ広い庭がしつらえてあったのです。庭木も豊富でしたが、初夏になると一際大きな白い花を沢山つける高い木が一本植えてありまして、私達近所の子供達はその爽やかで甘い匂いから「ジュースの木」と呼んでいたものです。あの合成香料そのものの、粉末ジュースの香りに似ていたのです。「ジュースの木」を自宅の庭にも植えたい、と思った私は、その大きな白い花を一つ折り取り、猫の額ほどの自宅の庭の隅に埋めてみたりもしましたが、当然根付くわけもありません。大人になってから、あれはきっと朴ノ木だったのだろうと当たりをつけたのですが、うっかり根付いてしまったら、山に生える巨木の事、大変な事になったでしょうね。毎年、今頃になると、あの芳しい朴ノ木の花の香りを思い出します。 北海道知事公館の朴ノ木
2011.06.21

いかに時代が変わろうとも神のおわす所に人は集まりまする。
2011.06.15

私の家は、とても高いところにあるんだって。ずっと向こうは、山しか見えないの。乾燥していて冬はとても寒いけど、雪は降らないのよ。家は、家族や親戚みんなで作るんだ。おんなじ形の家がたくさんあるけど、ちゃんと自分の家はわかるよ。ほんとだよ、ほら、あれが私の家。
2011.06.01

白樺の幹を見てその内部に流れる樹液を思う。 白樺の樹皮を見てそれが暖炉で燃える匂いを思う。 白樺の林を見てその中をしなやかな雌鹿の歩むを思う。
2011.05.22

ここのところ雨が降らないせいか、川の水も少なく、白く濁ったような緑色をしている。街の中の河川にしては珍しく、ここの川の堤防には土が堆積し、その上にびっしり草が生えているので、その気になれば草を踏んで水辺まで降りることも出来るが、魚が釣れるわけでもないので、そんな酔狂な事をする御仁はいないようだ。それでも鴨が数羽、水の上に羽を休めているのが見える。鴨だの水鳥というものは、どんな泥水の上に浮かんでいても、これと言って体は汚れないようで、流石に自然は上手く生き物を作っている。人間は汚れた世間の水の中をアップアップしながら泳いでいるわけだが、自身の体が汚れるか否かは、それぞれの体から出る、油のごとき防護膜の厚さ次第と言ったところだろうか。
2011.05.12

晴れた日の昼下がりに散歩するなら波止場がお薦め。パイプをふかしたマドロスはいないし、桟橋にはカップルばかりで目のやり場に困るけど。トロトロに見える海面を眺めながらカモメのご機嫌を伺っていると、気持ちもトロトロに凪いでくる。 ああ、カモメの目ってのは案外に凶暴だね。海にタバコの吸殻を投げ捨てたりしたら、カモメの奴に、孫子の代まで恨まれそうだよ。
2011.05.10

海風に背中を押されて石畳の坂道を登る。ほら、頑張って、あの桜の梢の下まで行こう。 花弁の雲の下にもぐったら、ゆっくり振り向いて。そうして海を見下ろして深呼吸しよう。 出来ることなら、あなたと手を繋いで。 あなたと二人並んで。
2011.05.09

坂の多い街には、景色や建物に風情のある所が多いんだ。学生時代の友人の言葉だが、その当時は建物の外観などには興味が無く、へぇ、そんなものかい、と生返事をしていたものだ。歳を取ると街歩きが好きになる。建物の歴史も気に掛かる。そうだな、やはり坂道の多い街は風光明媚だ。その傾斜が豊かな風景を創りだすのだ。坂の先に海が見えれば言う事無しさ。
2011.05.07

既にサイドバーにも表示されていますが「長足王と長耳王」をパブーさんとbookYARDさんで電子書籍化しました。少し手直ししていますが、内容はそのままです。まとめてお読みになりたい方は、ダウンロードしてお読み下さい。ちなみにbookYARDさんではPDFを縦書きでダウンロード出来ます。少し前までは、ちょっとレイアウトに難があったのでお薦めしませんでしたが、今回とてもキレイに表示されているのを確認しましたので「やっぱり日本語は縦書き」と、お思いの方はお試しになるといいかも。パブーさんのダウンロードはいつも通り、横書きPDFと横書きePubです。 ダウンロードはこちらからどうぞ。↓ パブー 長足王と長耳王(無料) hayamayuta-bookYARD
2011.04.16

白零一(ツクモレイイチ)の事務所は、この石造りのビルディングの三階にあります。通りに面した方の部屋ですよ。気が乗らないと働かないので、居留守を使う事もあります。だから、訪ねても、赤いドアには鍵がかかっているかもしれません。 一階のテナントは、まだ空き家のままです。 白さんは、カフェかバーが入ればいいのに、と思っているそうです。 今も白さんは留守です。お天気が良いので、近くの港まで散歩に行ったようです。 タバコは止めた方がいいですよね。
2011.04.01

いつもの事ですが、パブーで「犬と旅する男」を電子書籍化しました。今回の作品は、原稿用紙で20枚くらいになるんですが、一日で書き上げたのを5回に分けてアップしました。一日で20枚なら十日で200枚行ける…はず…だ。短編は、まとめて読んだ方が臨場感が出るので、よろしければお読みになって下さい。白さん、主役にして、もっと長いのを書きたいのですが、その時はブログには出さないかもしれません。まだ、分かんないけど。って人気無いかもしれないけど (´・ω・`)ショボーン パブー 犬と旅する男(無料)
2011.03.27

でじたる書房さんでも「行く春を惜しむ」が、電子書籍として読めるようになりました。無料なので、カートに入れて決済に進んでも請求される事は有りません。PDF形式はパブーと同じで横書きですが、【でじぶっく形式】は、このサイトのリーダーをダウンロードすれば縦書きで読めます。とても読みやすいので、一度、お試しになってみて下さい。 アイコン、ちょっと可愛くしてみた。↓DL先 行く春を惜しむ
2011.03.14

震災の為に自重し中断しましたが「家へ帰ろう」のあとがきです。 この作品は、自作の陶器で作った家に、背景と文章をつけて色々な国の子ども達が家に帰る様子を表現した写真絵本です。今後、家の物件が増えていく予定でして、まとまりましたら二版目を発行致します。世界中の、家に帰れない子ども達が、一日も早く家と家族に迎えられ平和で幸せな日常を過ごせますように。 文、背景画、陶器制作:葉山ユタ家へ帰ろう【初版】
2011.03.13

私はベッツィー。私の家は湖のほとり、森の近くに建っている。冬は雪が多くて大変だけど、春になると、それはそれはきれいな所よ。春が来て、暖炉を使わなくなったら、すぐに鳥が煙突に巣をかけたわ。パパもママも私も、鳥が大好きだから、そのままにしてるの。そろそろヒナが産まれる頃だから、私、すぐに帰らなきゃ。
2011.03.10

ぼくは雅紀。ぼくの家は、町のはずれにある小さな一軒家だ。古い小さな家で、家のまわりには大きなポプラや桜があるよ。父さんと母さんは、緑に囲まれた場所で暮らしたかったんだって。今は桜が満開で、とってもきれいなんだ。今日はみんなでお花見するから、早く帰らなきゃ。
2011.03.07

ぼくはホアン。ぼくの家は海の近く、砂浜の上にあるんだ。お父さんとお母さんは、朝早くに漁に行って、お昼には戻ってる。学校から帰ったら、弟や友達と海に潜って遊ぶんだ。今日はみんなで、きれいなウミウシを探しに行くって約束をした。弟の手を引っ張って、走って帰るよ。
2011.03.06

わたしの名前はインゲ。わたしの家は石畳の街にあるの。石造りのアパートメントの隣にある一軒家。おじいちゃんが建てた小さな家。ママは工場で働いていて、わたしが学校から帰っても、いつもいないの。でも、今日は早く帰れるって言ってたから、わたしも急いで帰るんだ。ほら、ママの赤い車があるわ!早く帰ろう!話したいことたくさんあるの。
2011.03.05

えー、いつもの事ながら、先日までの連載小説をパブーとbookYARDで電子書籍化しました。多少、手を入れてあります。表紙に登場人物六人のイメージ画を入れてみました。イメージ通りかな? まとめてお読みになりたい方は、こちらでダウンロードして下さいね。 パブー 行く春を惜しむ(無料)パブーの方だけ、表紙画像を変更しました。何か、暗いかな、と思って。3/6 感想はこちらのコメントへhttp://p.booklog.jp/book/21878ブクログのパブー本棚へ入れるhttp://booklog.jp/puboo/book/21878 iPhoneやiPadをお持ちでiPhoneアプリのbREADERをご利用の方はbookYARDでダウンロードをオススメ。ePub PDF 青空文庫形式で読めるそうです。 パソコンでePubを読む時はファイヤーフォックスならアドオン利用で、すぐ読めるようになります。それ以外ですと、アドビのリーダーでも読めますが、画像が切り取られてしまうので、ちょっと不満。作品紹介にも記載してありますが、この作品は尾崎士郎の「惜春夜話」という短編小説にインスパイアされて書いたものです。「惜春夜話」の舞台は、大正時代(?)あたりの早稲田の学生寮で、大学生と言えば男子しかおらず、袴に下駄履きで、寮の布団を質に入れて吉原へくりだし、相手にされずショボンと帰ってくる、と言うような大変悩ましい青春小説です。とても面白く、今の時代にアニメ化してもいいんじゃないか、と思うくらいなので、ご興味の有る方は、図書館ででも探してみて下さい。古書だと二千円くらいから有るようですが。私は古本屋で、お茶でもこぼしたのか、シミだらけでヘロヘロのを百円で買ってきました。昭和二十二年の初版です。元々は定価五十円也。短編小説が十篇掲載。作品を電子書籍化はしていますが、私は本当は活字派ですわ。 タイトルの文字が、ド下手でびっくり(笑)
2011.03.03

公園のベンチに腰掛け、七尾はプカプカタバコを吸っている。四方は遊具のパンダに跨り、空手の型を練習していた。砂場で遊んでいる子供が二人いるが、それぞれ自分の世界に没頭しているようで、何の会話も聞かれない、静かな土曜の公園だった。そこに息せき切った男子大学生が三人走りこんで来て、静寂は破られた。砂場の子ども達がその勢いにビビって、ちょっと腰を浮かした。三人のただならぬ様子に、四方がパンダから下り、四方もベンチから立ち上がった。「な、何だ?どうした?」「ダメだ!ダメだ!あれはダメだ!」薬局から戻った第一陣の三人が、息を切らせ、むせながら、口々にアレはダメだアレは違う、と叫んでいる。さっぱり要領を得ないので、四方が両手を広げて、ちょっと落ち着け!と言った。「何がダメなんだよ?一人ずつ分かるように言えよ!」息を整えて、八重樫が代表して言った。「アレは、男だよっ!!」「え?」「え、じゃねぇよ!男だよ!お・と・こ!ポニーテールの男!ちょっと女っぽいけど、お・と・こ!誰だよ、最初に女だって言ったの?!」ぜぇぜぇしながら五嶋が四方に畳みかける。「四方君だよね!引越しの時、そう言ったの?」「ええ??ちょ、でも俺、あの時一回しか見てないし…皆んな、今まで観察してて…」皆まで言わないうちに、七尾が四方の腕を引っ張って駈け出した。ダンがベンチに座り込み、続いて五嶋も横に座って足を投げ出した。「参ったなー」「ホント、とんだ勘違いだね」「まぁ、灯りの無い夜に、遠目で見たら分かんないかもなぁ…」「そりゃ、胸も無いさ、なぁ」ダンが可笑しくなってきたのか、ははは、と笑い出した。その人は、ほっそりしたなで肩の若い男で、柔和な顔をしていた。声も柔らかく、遠くから聞けば、まんざら低めの女性の声と思えなくもない。しかも、紛らわしい事にあの髪型だ。遠目に女と間違えられても仕方ないだろう。しかし、男は男だ。六人ともそっちの気は無かったので、いかに感じが良いとは言え、これはもう対象外だ。この何週間かの騒動とワクワクの顛末がこれかと思うと、可笑しいやら馬鹿馬鹿しいやら。それでも三沢の純情を考えると、八重樫は笑ってばかりもいられないなぁと思った。三人がベンチで休んでいると、何分もしないうちに七尾と四方がつまらなそうな顔をして帰って来た。ダンが、見てきたか?と聞くと、七尾が半笑いの顔で言った。「いや~、実に爽やかな好青年だったな」四方は固く腕組みをして、とても不服そうだ。唇を付き出して文句を言う。「何だよ、あの髪型!?ポニーテールで前髪パッツンって何だよ?薬剤師で男ならスポーツ刈りだろ!」「ま、兎に角、全ては俺達の勝手な思い込みだったってわけだ」七尾が八重樫に、マスクが入った紙袋を渡した。「三沢には、お前から上手く言っといてくれや」「うわ~、俺、なんて言ったらいいんだよ?あいつ、結構本気だぞ。コンタクトにしようか、とか言ってたんだぞ!」「そのうち、笑い話になるって」七尾は笑いながら、ブランコに飛び乗って立ちこぎを始めた。ダンも七尾の横のブランコに乗って遊び始めた。四方は、七尾のタバコを一本貰って一服し、五嶋はベンチに座って日向ぼっこだ。やれやれ…。八重樫は両手に薬局の紙袋を持ったまま溜息をつき、やおらパンダに跨って、遠くに少しだけ見える、寮の屋根を眺めた。午後になり、三沢が空腹を感じて目を覚ますと、枕元に咳止めとのど飴、栄養ドリンクにマスクが置いてあった。部屋を見回すと、八重樫が窓の下の壁にもたれて本を読んでいる。「八重樫、これ…?」三沢が咳止めの箱を持って、八重樫に尋ねると、彼は本から顔を上げないまま静かに答えた。「ああ、それ皆んなからお見舞い。良かったら飲んでくれ」「悪いなぁ、気ィ使わせて…。これって、あそこの薬局で買ってきたのか?」「…うん、そう」一眠りして大分気分が良くなったのか、三沢が布団の中で少し体を起こして聞いた。「あのぉ、あの女の人いた?」「うーん、それがさぁ…」八重樫は顎をこすりながら、顔をしかめて窓の方に視線を泳がせた。空気は乾き、顔に当たる午後の日差しは強く暑い。眩しい陽光に目を細めて、八重樫はどこから話したものだろうか、としばし考えた。完にほんブログ村
2011.03.02
五人は意気揚々と寮を出て、あの薬局へ向かった。空は雲一つ無い鮮やかな青空で、風も無い暖かな日であった。ものの数分で、例の薬局の前に着いた一行は、八重樫、五嶋、ダンを残し、四方と七尾が目で作戦遂行を訴えて公園へと去って行った。「じゃあ、行くか」八重樫の言葉に、緊張した五嶋とダンが頷く。八重樫が薬局のガラス戸を引くと、ピンポーンとチャイムが鳴った。例のごとく、カウンターには初老の男性店員が立っていて、来客にいらっしゃいませ、と愛想良く声を掛けた。三人は、素早く店内に目を走らせたが、他には店員も客もいない。…いないのかな?…。三人が、お互い目で問いかけていると、その男性が、何をお探しですか、と尋ねてきた。仕方が無いので、八重樫がその男性の前に進み出て、薬の相談をする事にする。「あの~、友達が風邪を引きましてですね、その、咳がひどいんで、何か薬を、と思いまして…」「おや、そうですか。お友達思いですなぁ。熱は無いんですか?」「えっと、ちょっと有るみたいです。風邪薬は飲んでるけど、咳が止まらないって。あ、それと胃の調子も良くないって言ってます」「あ~、じゃぁ、胃に優しい薬で咳止めがいいかな」「はぁ…」八重樫が応対して貰っている間、五嶋とダンは、のど飴などを物色しながら、カウンターの奥に在る小部屋の中を伺っていた。「あそこって調剤室なんじゃない?」「そうだな。ここ、調剤薬局だもんな。きっと中で仕事してんだよ」小声で話していると、案の定小部屋の奥に白衣を着た人物の背中がちょっとだけ見えた。「いた、いた!」「こっち、来ないかな?」店員が、薬を二つほど出して、ガラスのショーケースに並べている時、二人は八重樫に、目と指先で「あっちに、いる!」と知らせた。八重樫は、分かったと言うように頷いたが、この後どうしたら良いか分からない。上の空で薬の説明を聞いていた八重樫は、仕方無く効きが早いと言われたソフトカプセルの方を一つ頼む事にした。ダンが、のど飴を一つ持ってきて、これもお願いしますー、とショーケースの上に置いた。八重樫が財布から金を出しながら、ダンに聞いた。「これも買うんか?」「ま、ついでにさ。後で精算しよ」年配の店員は、薬とのど飴を紙袋に詰めながら、ニコニコ笑っている。「仲がいいんだねぇ。皆さん、近くの大学寮に住んでる学生さん達かい?」「はい、そうです」「そうかい。じゃぁ、お友達が早く元気になるように、ちょっとサービスさせて貰おうかな」三人が、サービスって何だろうと思っていると、その人は奥の調剤室に声を掛けた。「ちょっと、こないだ届いたサンプル用の栄養ドリンク持ってきてくれないか?」はい、と声がして、ガサガサと何か探している音がする。思いがけない展開に、三人はそれぞれ輝くような笑顔を浮かべ、内心ガッツポーズを取っていた。ただ、ちょっとだけ、違和感を感じたけれども、その時はテンションが上がっていて、そんな些細な事はすぐ頭から消え去り、大きく目を見開いて調剤室から白衣の人が出てくるのを、今か今かと待っていた。そして、その人は現れた。ガラス瓶の栄養ドリンクを二本手に持ち、笑顔で言った。「店長、これでいいですか?」「ああ、それそれ、この学生さんのお友達が風邪引いたって言うから、サービスだよ」白衣でポニーテールの人は、そうなんですかぁ、とニコニコ笑っている。それは人好きのする、とても爽やかな笑顔だった。八重樫と五嶋とダンは、目をまん丸にして、その人の顔を穴が開くほど見つめていたが、ハッと八重樫が我に返った。「あ、ありがとうございます。お、お幾らでしたっけ?」アタフタと精算をしている横で、五嶋とダンが腑抜けた様子で唖然とし、お互いの顔を見ている。買い物を済ませ、引き戸を開けて外に出ると、後ろで、ありがとうございましたー、と二人の声がハモっていた。店の外に出た八重樫と五嶋、ダンは、堅く口を結び、無言で顔を見合わせると、突然ダッシュして待ち合わせ場所の公園へ突っ走った。「ダメだ!ダメだ!ダメだ!ダメだ!」と叫びながら。 ― 次回最終回
2011.03.01
次の日の朝、三沢は大分熱は下がってきたものの、代わりにひどく咳が出るようになってきた。汗まみれのパジャマが気持ち悪く、半袖シャツとスェットの下に着替えて、脱いだパジャマを洗濯カゴに突っ込み、八重樫が食堂から持ってきてくれた、おじやと漬物を食べ、薄い番茶で薬を飲んでから再び布団に潜った。布団の中でタオルを口に当てて咳をしていると、まるで昔の肺病病みのようだなどとボーッとした頭で考えている。今日は土曜で、ほとんどの講義は休みだから、八重樫も朝食後しばらくは部屋で何かしていたが、ついさっき、出かけるわと行って部屋を出て行った。八重樫に風邪が移らなきゃいいけど、と思いながら、また三沢はうつらうつらしてきた。もう季節は春から初夏へ向かっており、窓から入る日差しが暑く感じる事さえある。こんなに良い天気で休みなのに、風邪で動けないなんて最悪だ。そう思いながらも、三沢は次第に気持ちの良い眠りに落ちて行った。八重樫は部屋から出て、示し合わせてある集合場所の談話室へ行った。ソファにはダンと四方が既に待っていて、コタツ席では他の寮生が二人、碁を打っている。よぉ、と八重樫が二人に声を掛けると、おうとかうーす、とかはっきりしない返事が帰ってきた。五嶋と七尾がいないので、聞いてみる。「十一号室は?」「あいつら、今日は掃除当番」「あ、そっか。あのな、三沢、今日は咳がひどいよ」ソファに座って八重樫が言うと、ダンが同情して顔を歪めた。「咳って体力落ちるんだよな。そんじゃ咳止め買ってきてやるか。あとマスクとか」「そうだなぁ」しばらく三人で雑談していると、五嶋と七尾がニコニコして入ってきた。「悪ィ悪イ。風呂掃除、やっと終わったべや」「お待たせ~」「お疲れさ~ん。じゃぁ、揃ったところで、早速今日の計画を立てようぜ」四方がテーブルにノートを開いて、シャーペンを構える。「いちいち、書かんでも…。まぁ、いいけど。じゃぁ、買うのは咳止め系の風邪薬とマスクな?金は五人の割り勘でいい?」八重樫の言葉に、全員がウンウンと頷く。「で、誰が行く?」「分けて行くべ?風邪薬班とマスク班にして、あんまり立て続けだと怪しいから、ちょっと時間差で」「いい、いい!そうしよう。二、三に分けて行こう」「よし、それではアミダで」早速、四方がノートにアミダくじの線を引き始めた。皆んな小学生のいたずら小僧のような顔をして、ヒヒヒと笑いながらそれを見ている。「最初に薬を買うのが三人な…で、その少し後で…マスクを買いに二人…と…さ、名前書いて、線、足せ」アミダの結果、先に行くのが八重樫、五嶋、ダン、第二陣が四方と七尾になった。第一陣に名前が入らなかった四方が、不満足そうではあったが張り切って仕切り始めた。「よし!今回のミッションは、皆んな分かってるな?あの人の、人となりを観察してきて報告。その後、データを突き合わせて考察の上、それとなくヤツに諦めた方がいいか、アタックすべきかを伝える、アタックする時は必要なデータを提供すると。どう?」ダンがクスクス笑いながら、ま、いんじゃないの、と言った。皆んなニヤニヤ笑いが止まらない。「僕達、第一陣が薬買った後ね、ここに戻って交代する?それとも、どこか外で集まる?」五嶋が童顔の丸顔を紅潮させて、四方に尋ねると、皆んな周りを見回して、ここはちょっとなぁ、と言葉を濁した。他の寮生に聞かれるもよろしくないし、あそこから寮へ戻って交代するのも面倒だ。「あ、あの商店街の端に公園、在るよ」「ああ、ダンはあの辺、歩いた事あるんだっけ」「そうそう、あの薬局を通り越して何件か先かな。橋の手前に、結構キレイに整備された公園が在るんだよ。あそこで待ち合わせるってどう?」「そうすっか。今日は天気もいいし、公園で日向ぼっこもいいかもな」「よし。じゃぁ、三人が任務遂行までは残りの二人は公園で待機。三人が仕事を終えて公園に来たところで、二人が出陣って事でいいな?」「ラジャー」四方が時計を見て立ち上がった。「ターゲットは朝九時開店なので、もう開いているぞ。早速、作戦開始だ」全員が立ち上がって、各々ガッツポーズを構えた。よし!行こう!三沢の為に!いや、俺達の為に!
2011.02.28
八重樫が四方達の向かいのソファに座り、ダンと五嶋も、それぞれ空いているソファや椅子に腰掛けた。「何、何?何を企んでんの?」八重樫が不敵に笑っている正面の二人に訊くと、七尾が床に置いてあったビニール傘を掴んで八重樫の目の前に掲げた。「ジャ~ン!」「何だよ、その傘」横に座ったダンが、七尾から傘を受け取って、その握り手の部分を八重樫に見せた。そこには消えかかってはいたが、黒いマジックで薬局の名前が記されている。「あれ?これって、向かいの薬局の?」四方と七尾が、満足そうにイヤラシイ笑みを浮かべた。「皆んなの意見から察するに、昨日の晩から傘立てに有ったそうだ。って事は、昨日の夜、あの薬局に行って、傘を借りて帰って来た奴がいるって事だな?」キョトンとしている八重樫に、四方が探偵よろしく説明を続ける。「昨日、寮生の中で、傘を持たずに出かけ、雨の中を帰って来た奴は一人しかいないんだよっ!」「ああ…」合点がいった八重樫は、三沢が見せてくれた錠剤の風邪薬を思い出した。なるほど、そう言う事か。身だしなみを整えようと髪を切りに行って雨に降られ、思い切って薬局に行き風邪薬を買い、傘を借りて帰って来たと。それで、雨の日のメガネは不便ってわけか。それじゃぁ、あの人の顔は良く見えなかったに違いない。しかし、風邪薬を買いに行って、風邪を引くとは、つくづく運の無い奴…。「それで、何?お前ら、何する気?三沢は風邪で寝こんでるんだから、ほっといてやれよ」傘を床に置いたダンが、にっこり笑って八重樫の肩を叩いた。「いや、俺達は三沢を応援しようって事になったんだよ」「応援?」「みんな、あの人の事は興味有るけど、やっぱり一番熱心に見えるのは三沢君じゃない?だから、ダンも三沢君に譲るって」五嶋の言葉に八重樫が吹き出した。「譲るも何も、顔も名前も知らない相手じゃないか。何、言ってんだよ皆んな。応援だってやりようが無いだろう?それとも、三沢にダンのオペラグラスでも上げるわけ?」「あ、それもいいね」「ダメだよ。あれ、結構気に入ってんだから」「じゃぁ、どうすんの?ラブ・レターでも渡す?」「あ、それいいね」「冗談だよ。既婚者かもしれないのに、マズイだろ?」「そう!それだよ!」七尾が人差し指を八重樫に突きつけて言った。「何が、それ、だよ。人、指差すの止めろよ」「だから俺達で、あの人の、人となりをリサーチしようって話さ」「リサーチ?」どうやら八重樫以外のメンツで、話はとうにまとまっているらしい。七尾が話を続ける。「三沢の事だから、昨日せっかく薬局行ったのに、ろくに顔も見てきてねぇと思うんだわ。俺らで行ってよ、幾つくらいの人か、独身か、あと、身長、体重、スリーサイズをリサーチしてやろうってわけだな」「まぁ、見た目での判断だけどな」四方がしたり顔で言う。「お前らもひまだねー。それ、皆んなで薬局に押しかける気なわけ?」「この人数で押しかけるのはマズイべや。だから、二三人で、回数を分けて行ったらどうかって話よ。行けば居るってわけでもないみたいだし」「そう、俺も店の前まで行った事あるけど、居なかった」「え?ダンも行ったの?」「へへ~。ジイさんに睨まれちゃったよぉ」「まぁ、そう言うわけで、第一弾としてだな、三沢の風邪薬を買いに行く名目で、明日の昼にでも早速第一陣を派遣しようと思っているんだが、八重樫はどうする?参加する?」四方は既に参謀気取りで八重樫に聞いた。「俺?俺は…」皆んなが八重樫の顔を見つめている。「やる!」力強い八重樫の返事に、全員がニンマリと笑った。こんな面白そうな事に、参加しないわけにはいかない。八重樫も、あの人がどんな人なのか知りたいのだ。そうだ、是非、知りたい!八重樫も、ニヤリと笑った。
2011.02.27
寮に戻ると、買ってきたパンと牛乳の簡単な昼食を済ませてから薬を飲み、すぐに布団を敷き着替えて床に入った。寒気がして顔も熱っぽかったが、布団に入って体が温まるとしだいに眠くなり、そのまま夕方までぐっすり眠った。ドアがバタンと開いた音で目が覚めると、八重樫が部屋に入って来ていた。最初は威勢よく入って来たが、三沢が寝ているのを見て、急に足音を忍ばせて抜き足差し足になり、そーっと三沢の顔を覗き込んだ。三沢は布団に潜ったまま、真っ赤な顔をして、おう、とだけ声を出した。「寝てた?熱上がってきてんの?」「う~ん、計ってないけど、多分…」「管理人室に行って、体温計借りてくるわ。冷たい水、飲む?」「ああ、わりぃ。頼むわ」八重樫は鞄を部屋に置くと、自分のポットを持って階下の管理人室に行き、救急箱の中から体温計を借りた。「あの~、頭痛薬以外に風邪薬、ないっすかねぇ?」五十代半ばの小柄な男性管理人に尋ねると、申し訳なさそうに頭をかきながら言った。「いやぁ、悪いねぇ。ちょっと前に切れたんだわ。明日で良ければ買ってくるよ」「あ、いいです。誰か持ってるかもしれないし」管理人室を出て食堂へ行き、流しで自分のポットのぬるくなったお湯を捨てて水を入れ、共有の冷蔵庫から氷を三つ四つ出してポットに入れた。蓋を閉めていると、食堂に鞄を斜めがけしたダンがやって来て、う~す、と声を掛けてきた。今日もネルシャツとチノパンだ。「三沢、風邪で寝こんでるさ」「え~、マジ?夕飯、食べられるかな。婆ちゃんにお粥頼んでおくか?」「そうだなぁ、後で本人に聞いてみる」ダンが冷蔵庫から自分のコーヒー牛乳のパックを取り出し、八重樫と一緒に二階へ上がった。三沢が体温計で熱を計ってみると、三十八度五分あった。どうりで喉が渇くわけだと、八重樫がマグカップに注いでくれた水を一気飲みすると、タオルを首に巻いて再び布団に潜り込んだ。「晩飯食えそう?婆ちゃんに、お粥かおじや作ってもらうか?」「うん、出来れば…。胃がまだ気持ち悪い」「そっか、じゃぁ頼んでおくわ。お前、薬とか飲んだの?」「うん、飲んだんだけど、何か、あんまり効いてない気がする」三沢は布団の脇においてあった、瓶入りの錠剤を見せた。「ああ、それ、あんまり効かねぇんだよなー」「ホント?失敗したなぁ」「まぁ、明日、明後日は休みだし、ゆっくり寝てれ。誰か胃に優しい風邪薬持ってねぇか聞いてみるわ」「ありがとなぁ…」三沢は母親以外の人間に、こんなに優しくしてもらった事は初めてだったので、内心とても感動していたが、照れ臭いので鼻の上まで掛け布団を引っ張り上げて目を瞑った。八重樫がもう一度食堂に行き、賄いの老婆に風邪っぴきが一人いるので、お粥かおじやを作ってくれないかと頼むと、じゃぁ卵を入れたおじやを作ってあげると、意外に快く引き受けてくれた。礼を言って食堂を出ると、階段の上にダンと五嶋が立っている。「何でこんな所で立ち話してんの?」「お前を待ってたんだよ。談話室に四方と七尾もいるから、ちょっと来いよ」「えー、珍しいな、この時間に全員勢ぞろいなんて」「いいから、いいから。あ、三沢君には内緒だからね」二人に引っ張られて、八重樫は自分の部屋を通り越して談話室に入った。ここは、勉強以外で寮生の親睦を図る為に用意されている部屋なのだが、二階にあるせいか、どうしても一階の住人よりニ階の住人の方が利用率が高い。どこからか貰ってきたらしい、古い擦り切れた布張りのソファセットとコタツ、座布団、日焼けした古い漫画の詰まった本棚が有るだけの八畳ほどの殺風景な部屋だ。ソファセットに四方と七尾がふんぞり返って座っているだけで、他には誰もいない。両脇でニヤニヤしているダンと五嶋の顔を交互に眺めて、ははぁ、こいつら何か悪いこと考えてるな、と八重樫は思った。
2011.02.26
八重樫が、もう寝ようと自習室から自室に戻った時、三沢は風呂から戻ったところで、シャンプーの爽やかな匂いをまき散らしながら、カットしたばかりの髪をバスタオルで拭いていた。髪が短くなったせいで、今までより頭が大分小さくなったように見える。外は相変わらずの土砂降りで、流石にこんな夜には商店街ウォッチングをする者もなく、二人とも大人しく押入れから布団を出した。布団に潜り込んだ三沢が、クシュンとくしゃみをして、鼻をすする。「風邪?」「いや、そうでも…。大丈夫…」「季節の変わり目って、風邪引き易いからなぁ」八重樫も布団に潜って目覚まし時計のアラームをセットしていると、メガネをはずした三沢が話しかけてきた。「あのさぁ」「うん?」「コンタクトっていくらくらいするんだろうな?」「コンタクト?コンタクトレンズ?」「うん、メガネって不便なんだよな、雨降りとか雪の日は。曇るし、水滴つくし」「さぁ、俺は分かんねぇけど、二三万くらいじゃねぇの?七号室の村上って、確かハードコンタクト使ってるとか言ってたから聞いてみたら?」「そうだなぁ、でも高いなぁ。ちょっと買えないか…。もう電気消していい?」「いいよ」三沢が手を伸ばして、照明の紐を引っ張って灯りを消した。コンタクトって…不便ってだけじゃなく、やっぱり三沢も外見を気にしているのだろうか。ダンに続いて変身しようとしている三沢の事が、八重樫はちょっと心配だった。陽性で元々見かけの良いダンはともかくとして、生真面目で不器用な三沢が、見ず知らずの女性に片思いして、おかしな方向に走らなければいいが、と。一夜開けた朝、三沢はガンガンする頭痛で目が覚めた。どうも本格的に風邪を引いたらしい。午前中から講義があるので、無理矢理に体を起こして着替えていると、八重樫もモソモソと起きだした。お互い寝ぼけた声でおはよう、と言い、各々朝の支度を済ませる。洗面所に行って顔を洗い、三沢は鏡に映った自分の髪を改めて見てみたが、カットした時と一晩寝て起きた今と、何だか全然印象が違う。寝ぐせで、あちこち好き勝手に跳ねている毛先に水を付け、あまり使っていなかった櫛で整えたが、どうもカッコよくはならないようだ。諦めて洗面所を出て、一度部屋に戻ってから食堂へ向かった。食堂のドアの前で会った寮生に、おはよう、と声を掛けられたので、おはようと挨拶を返すと、あれ、鼻声だねぇと言われた。ちょっとな、と言いながら中に入ると、席の半分ほどは既に埋まっていた。いつもテレビの近くに陣取る四方が、こっちこっちと三沢を手招きした。八重樫と五嶋も既に来ていて、カウンターの前でトレイを持って並んでいる。三沢も、テーブルに箸を置いてから列に並んだ。しかし、並んでいるうちに、全然食欲が無い事に気づいた。胃の辺りがムカムカして気持ちが悪く、白いご飯が喉を通る気がしない。しかし、何にも食べずに登校するわけにもいかないので、ご飯少しでいいですと、老婆に声を掛けてトレイを出した。先に席についた八重樫が、三沢のご飯茶碗のご飯の少なさに気づき、具合悪いのかと聞いた。「う~ん、何かムカムカする。熱は無いと思うけど」「学校、行けるか?」「行く。午前中の講義、出ないと後が面倒になるし…」「あんまり具合悪くなったら、早退して病院行けよ」「そうだなぁ…」三沢の元気の無いのを見て、他の者もいつもより静かに朝食を食べ、またそれぞれの部屋に戻って、学校へ行く準備をしたり、寝直したり、談話室に行ったりした。三沢は午前中の講義は何とか受けたものの、胃のムカムカが収まらない為、学食でお昼を食べる気にはなれず、午後から出る予定だったゼミは休み、売店でパンと牛乳を買って一人寮に帰る事にした。朝食の後、例の風邪薬の錠剤を飲んだのに、何だかさっぱり効いた気がしない。風邪じゃないのか?いや、風邪だろう。病院行くほどじゃないと思うから、早く帰って寝てしまおう。今までは首が隠れるくらい長かった髪を切ったせいで、首筋がスカスカと寒い。ジャンパーの衿を立て、顔をうずめるようにして、はぁはぁと熱い息を吐きながら三沢は道を急いだ。
2011.02.25
三沢の心臓がドキンと跳ね上がった。おおっ!チャンス!いよいよ近くで顔が見られる!跳ね上がった胸のドキドキが耳の中でコダマしてウルサイくらいだ。しばらくすると、あのポニーテールの人がニコヤカに傘を持って小部屋から出てきた。ニコヤカに…多分…三沢の裸眼では良く見えていなかったけれど、多分、愛想良く出て来たに違いない。店主は傘を受け取ると、はいどうぞ、返さなくてもいいですよ、と透明なビニール傘を手渡して寄越した。ああ、出来ればあの人から受け取りたかった…。三沢は何とか顔を良く見ようと、おかしいくらい目をしかめてその人の顔を凝視したけれど、どうしても顔に目鼻がついてる、という程度の認識しか出来なかった。美人かどうかはもとより、年の頃さえ判別出来ない有様だ。しかしながら、いつまでもここにいるわけにもいかず、三沢は挙動不審な笑顔を浮かべ、消え入りそうな小さな声でありがとうございますと礼を言い、ギクシャクと店の引き戸を開けた。またピンポーンとチャイムが鳴り、お大事にー、と二人の声が背中の向こうでハモっていた。三沢はビニール傘を開いて、トボトボと寮に向かった。見えたけど…、会えたけど…、と呟きながら。虚しい気持ちで寮にたどり着き玄関に入ると、一階の食堂から笑い声が聞こえてきた。八重樫や四方達の明るい声だ。三沢は、借りた傘を傘立てに突っ込み、三和土のスノコの上でびしょ濡れになった靴下を脱いだ。そのまま食堂に顔を出して、定食を頼もうかとも思ったが、みんなの陽気な声を聞いたら、逆に顔を合わせるのが億劫になり、そのままスリッパをつっかけてニ階の部屋に戻った。びしょ濡れのジーパンとジャンパーを脱いでハンガーに掛け、靴下は洗濯カゴの取っ手に並べて置いた。朝使って干しておいたタオルで、濡れた頭をゴシゴシ拭きながら、部屋着のスェットに着替えた。乾いた柔らかな服に着替えたら、少しは気分も軽くなり、自分の箸とポットを持って階下の食堂に向かった。食堂のドアを開けると、今までテレビを見ながらゲラゲラ笑っていた友人達が、突然笑うのを止めて三沢の顔をじっと見た。ああそうだ、俺、髪切ったんだっけ…。「へぇ、三沢もイメチェンかぁ」「さっぱり切ったなぁ」皆んなが目を丸くして、口々に言った。三沢は、あまりつついて欲しくないので、俯きがちに、うん、とだけ答えた。「今日のおかず、何?」「鯵の干物、ポテサラ、わかめと大根の味噌汁」ちなみに、梅干、漬物、海苔の佃煮は常備されている。三沢はポットと箸をテーブルに置いて、定食を取りに行った。「なんかアレだ、誰かに似てる。誰だっけ?」四方が目を細めて三沢の背中を見ながら呟いた。「誰?芸能人?」と五嶋。「ホラあの、えー、上を向いて歩こうを歌ってた…」「え?坂本九?いや、そっれはないべや。似てねぇって!」「カワイソ過ぎるよ~」三沢は八重樫達が楽しげに話しているのを背中で聞きながら、何だか皆んなと距離が出来たような気がして、また少し気分が暗くなった。皆んなは明るい太陽の下にいるのに、自分だけが暗い雨雲の下でじっとり濡れているような気分だった。愛想の無い賄いの老婆に定食をもらい、沢庵を数切れ白飯の上に乗せてテーブルに戻ると、八重樫と五嶋が席を立つところだった。「三沢、雨に降られて濡れたんだろ?早く風呂入ってあったまった方がいいぞ」「うん、食ったら入るわ」じゃぁな、と二人は食堂を出て行った。テーブルには四方とダンが居残っていたが、改めてダンを見て三沢は何だか違和感を感じ、彼の姿を上から下まで眺め回した。「こいつもイメチェンなんだよ。何だかなー、みんな」四方がダンを指差し不満そうに言ったので、ようやく三沢はダンの服装がいつもと違うのに気づいた。「ああ、そうか。ダンガリー以外の服着てるの、久しぶりに見たような…。ネルシャツなんて、持ってたっけ?」ダンは、青と白のグラデーションになった、チェックのネルシャツを撫でながら、今日買ってきたんだ、とニヤニヤ笑いながら言った。「結構いいよ、ネルシャツ。柔らかくて肌触りいいさ。チノパンもはいてて楽だわ。三沢も思い切って髪型変えたなぁ?」「うん、かなり伸びて鬱陶しかったし、時間あったから切ってきた」「いいよ、似合うよ、なぁ?」「まぁな、俺は男の髪は短い方が好きだ」褒められて恥ずかしくなり、下を向いて食事に集中しようとしたら、思わずクシュンとくしゃみが出た。「お、風邪か?風邪引いたんなら、俺らが風邪薬買って来てやるから言えよ」四方がニヤニヤして言う。「いらねぇよ」鼻水をすすりながら、鯵の干物を食べる。三沢は、いつものクタクタのダンガリーシャツと、擦り切れたジーパンから脱皮したダンの前で、あの薬局で風邪薬を買ってきたとは言えなかった。
2011.02.24

パブーで自作の陶器の家に、背景と文章を付けた写真絵本を作りました。色々な土地に住む子ども達が、家に帰る時の気持ちを表現しています。 初版は無料公開ですが、今後物件が増えて二版目を発行する際には有料公開する予定です。今のうちに、御覧下さい。 家へ帰ろう【初版】 パブー 家へ帰ろう(無料) 感想はこちらのコメントへhttp://p.booklog.jp/book/21200 ブクログのパブー本棚へ入れる http://booklog.jp/puboo/book/21200
2011.02.23
その頃、三沢貴明は寮に帰る為にバスに乗っていた。初めて行った美容院で、どんな感じにしますかと若い女性美容師に尋ねられた時は、上がってシドロモドロになってしまったが、何とかヘアカタログの中から適当なものを見繕って仕上げてもらった帰りだ。流石にいきなりパーマをかけるのは怖かったので、前髪は少し長めで後ろは短く刈った今どきのアイドル風になる予定だったのに、仕上がりは見せてもらったヘアカタログの写真とは大分違う。それが美容師の腕のせいなのか、自分の髪質のせいなのかは分からないが、よろしいですか、と訊かれて素直にハイと返事をして、床屋の散髪の倍の金を払ってきた。何か納得いかねぇ…。バスの窓ガラスに映った自分の頭を見ながら、すっきりしない気持ちでいたら、ポツポツとバスの窓を雨が打ち始めた。なんて最悪、セットした髪が崩れるし、短くなった髪のせいで首もとが寒い、と三沢は自分のツイてなさにゲンナリした。最寄りのバス停で降りた時、雨足は勢いを増して容赦なく三沢の体を打ち、一分もしないうちに帰宅を急ぐ三沢はずぶ濡れになった。春の強い雨は冷たく、ジャンパーの襟元から水滴が、さっぱりした襟元から首筋に流れこんで三沢はその冷たさに震え出した。さ、寒い!冷てぇ!体が冷え切って風邪を引いちまう…。土砂降りの中を小走りで急ぐ三沢は、そこでハッと閃いた。そうだ、風邪薬を買おう!財布の中には、まだ二千円ほど金が残っている。風邪薬は多分千円程度だろう。寮に薬箱は有るから、常備薬は無くても何とかなるのだが、風邪薬くらい手元にあったっていいじゃないか。三沢は雨の中を駈け出した。三沢は寮に行く道を一本通り越して交差点を渡り、いつも自室の窓から眺めていた、あの商店街へ向かった。時間はまだ七時前なので、商店街はまだ明るいが、急に降り始めた雨のせいか、路上を歩く人はまばらだ。目指す薬局がすぐに見えてきた。明るい店内と自分のずぶ濡れの姿を考えると一瞬躊躇したが、勢いをつけて三沢はそのガラスの引き戸を引いた。ピンポーンとチャイムが鳴る。いらっしゃいませ、と年配の男の声が聞こえたが、三沢にはボーッとした像しか見えていなかった。外は大雨で寒くメガネには水滴が付いている、そして店内は暖房が効いていて暑いくらいだった。息急き切って駆けてきた三沢のメガネは一瞬にして真っ白に曇り、彼の目には明るい店内にボンヤリ浮かぶ、白い人影しか映っていなかったのだ。おおっ、ヤバい!何にも見えんわ!はずむ息を整えながら、仕方なく三沢はメガネを額の上にずり上げ、店内をキョロキョロと見回したが、残念ながら彼は強度の近視と乱視で、メガネをはずしたらはずしたで、やはり色の付いた何かが存在するという程度の認識しか出来なかった。カウンターの向こうの人物が、かすれた声で心配そうに言った。「お客様、これはひどく濡れてしまいましたねぇ。大丈夫ですか?」この店の店主らしい男性だが、三沢のボンヤリした視界には、他に人は見えなかった。何だよ、本当に今日はツイてない…。泣きたい気分になったが、こういう店に入って何も買わずに帰る事が出来るほど、三沢は強気な人間ではなかった。顔に付いた水滴を拭いながらカウンターの前に立った。「あのー、風邪薬が欲しいんですが…」「はい、はい。今、何か症状が出てますか?」まだ出てねぇよ、出るかもしれないから買うんだよ、と腹立たしく思ったが口には出さずに、適当な事を言ってしまおうと思った。「えっと…。頭が痛くて、少し熱っぽいんですよね…」「そうですか、では総合感冒薬がいいかもしれませんねぇ」店主はガラスのショーケースからいくつかの風邪薬を出して、目の前に並べて見せ、顆粒とカプセルは効きが早いとか、錠剤は安めとか説明をしてくれたが、三沢にはもうどうでも良かった。錠剤の安いのを一個頼むと、はい、ありがとうございますと白い紙袋に入れてくれた。三沢はメガネをオデコに上げたまま、店主の後ろにある小部屋に目を凝らすと、白衣を着た人物がチラリと見えた。ああ、あの人だ!こっちに出てきてくれ、と念じたが、中で何か作業をしているらしく出てくる様子は無い。髪の毛の先から滴り落ちる水滴を、ジャンパーの袖で拭きながらお金を払い、残念な気持ちのまま踵を返すと、店主の男性が声を掛けた。「ちょっと待って。雨ひどいから傘持って行って下さいな。使わないのがあるから」すぐ近所だから要らないと言おうとしたが、その人は奥の小部屋の方に向かって言った。「お~い、悪いけどね、使ってないビニール傘が裏に有るから取ってきてくれないか。お客様に上げるから」向こうで、はい、という小さな声が聞こえた。
2011.02.23
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