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「わしの所に来るか?」 しばらく二人は共に過ごすことにした。ある日「弁慶、飯でも食いに行くか!」「え? しかしわしはお尋ね者。ましてや昼間に……」「ほとぼりが冷めたか確かめぬか? 心配するな。弁慶は夜に出没するゆえ、まっ昼間にうろついているとは誰も思わん。それに牛若の荷物持ちとして歩いておれば疑う者はいないだろう。さ、後ろに付いて来い」 牛若の言葉に「はい!」と嬉しそうに弁慶は返事をした。 桃色の衣装の牛若は目立っていた。「あらまあ、若様。この度はどうもありがとうございました。おかげで悪さをする者達はずいぶんと減りました」「若様、こんにちは。若様のお陰で無理な場所代を取られなくて済みます」 商売人や町の者たちは、どこの若様かは知らないが、身なりが良く、正義感のある牛若を慕っていた。皆、牛若のお陰で暮らしが楽になったと大喜びであった。「これ取っておいて下さい」礼としてそれぞれ銭や米を持ってくるのだが……。「要らぬ」皆の暮らしが楽ではないことを知ってた故、それらを受け取れなかった。「じゃ、あんた持っといてよ」一人の女が、弁慶に米を無理やり押し付けた。「う? え?」弁慶は戸惑い、牛若の方を見た。『お前に任す』の目配せに「じゃ、いただきます」。 お付きの男が受け取ったので、女は、満面の笑みを浮かべて帰って行った。「(町の人に喜ばれて、愛されて、若ってすごい方なんだ)」弁慶は今さらながら驚いた。「さあ、食え! 飲め!」茶屋に着くと、牛若に促されて弁慶はたくさん食って飲んだ。 牛若は、ひたすら酒を飲んでいた。「うまいか?」「はい、若、真昼間に町でこんなにうまい酒を飲んで、飯が食えるなんて、うう……。あかねにも、ううう……、たくさん食わせてやりたかったあぁー。ああ……あかねぇー」「泣くな! 弁慶、食え! 飲め!」牛若は酒を注いだ。 二人の豪快な飲みっぷりに、周りの客は感心していた。「すごい呑ん兵衛たちだなあ」 他にも二人を見つめる目があった。「あの大きい方はきっと弁慶に違いない。堂々と昼間っから酒なんか飲みやがって、いい気なもんだ。あいつを捕まえて懸賞金をもらうぞ」 大きな男が弁慶だと見当を付け、役所に付き出す機会を狙っていた。「もう何本目だ?」「さあ? あいつらどれだけ飲んでも酔いつぶれねえ。どれほど酒が強いんだ?」「あの小さいのと二人なら、わしらだけでやっつけられるだろ?」「いや待て待て、小さい方は簡単だが、なんと言っても千本刀の弁慶だぞ。千人切っているんだぞ。五十人は集めて来なければやられるぞ」 などと二人が酔っ払うのを待ちながら、ひそひそ話をやっていた。「ぷーッ!」牛若は思わず酒を吹き、弁慶に掛けてしまった。「え? 若! どうしました?」弁慶は顔にかかった酒をぬぐいながら聞いた。「くく……」牛若は苦笑していた。「ふふ……。地獄耳のわしには、丸聞こえだ。あいつら五十人どころか、百人でも千人かかってきてもわしに勝てないだろう」「弁慶、ひと暴れするか?」「ええ? ひと暴れって」「後ろの林の中の男らがわしらを狙っておる。面倒ゆえ転がってもらおうか!」「へ? 狙っている? 転がってもらう? いいんですか?」「ああ、今日は特別だ」「はあぁ、腕が鳴るわ」弁慶は牛若のお許しが出て興奮してきた。「よいか弁慶、ちょっと痛めつけるだけだ。殺すなよ。わしも殺さん」「若! でも骨を折るくらいはよろしいですか?」「ふっ、骨を折るくらいなら仕方ないな。好きにせい」「はい! 解りましたぁ。久しぶりに暴れられる。」 弁慶は、近くにあった棒を拾い、握りしめた。「来い来い来~い! 腰抜けどもー!」「お前、お尋ね者の弁慶だろう。知っているぞ。おとなしく捕まった方がいいぞ」林の中から男たちがぞろぞろ出てきた。「わははは……」弁慶は高らかに笑った。「うおー!」男たちは刀を振り上げ弁慶めがけて襲ってきた。「キャー!」客たちはあわてて茶屋に逃げ込んだ。「おりゃー!」弁慶は棒を振り回した。 男たちは、弁慶にあっけなく倒された。 それを見て、人々が集まって来た。「こいつら何かと難癖付けて、わしらの上がりを奪って行く輩だ。」「お前! おれの妹を無理やり連れて行こうとした奴だな!」「こいつは役人とつるんでいる奴だ。皆でやっつけよう!」 町の衆は、この機とばかり手に棒を持ち奴らを叩き始めた。 足蹴にされ、体中泥だらけになった輩は命からがら逃げ帰って行った。「覚えてろよ!」 「はっはっは……」牛若は、一人の男を呼んだ。「皆で立ち向かう事は良いことだ。店主、明日の昼、人をたくさん呼んでおけ! 良い事があるぞ、ふふ……」「人を? よい事?」「おお、弁慶御苦労! 帰るぞ!」「はい若!」弁慶は近づくとすっとしゃがんだ。「乗ってください」肩に牛若を座らせるとすっくと立ち上がった。「おおー! 良く見える! ふふ……」弁慶の肩に乗った牛若は絶景を楽しんだ。 牛若を肩に乗せた弁慶は、意気揚々と帰って行った。「日が暮れて来た。弁慶、出かけるぞ」「へ? どこへですか」「付いて来い」 小川の横の道を通って町に出る途中、見慣れぬ集落の横を通った。 「いつの間に?」牛若はちらと見たが、先を急いだ。 牛若と弁慶は、とある屋敷の門の前にいた。「弁慶、お前はここで待っていろ。入って来るな」牛若は門に近づいて行った。 牛若の身体は、門に吸い込まれるようにすーっと消えて行った。「え? 若? 若?」 弁慶は、門の所まで行き、押してみたが開かない。門には閂が掛かっていた。「若、どこへ行ったのだ。こんな頑丈な門、入ってくるなと言われても入れぬわ」 目の前の牛若がいきなり消えたものだから、どうしたらいいのか困り果てた。「わし、夢を見たのか? いやいや、確かに若とここまで来て……、こんなこと前にもあったしな、若はいったい何者なのだ?」 そうこう悩んでいるうちに ドシン、ドシン! ドーン、ドーン! 重々しい振動に弁慶は尻もちをついた。「うわ! なんだ?」 なんと地を震わせたのは米俵であった。「なにー? こ、米俵? なぜここに?」 何もなかった所に米俵が四俵も落ちてきた。 弁慶は尻を突いたまま口をあんぐり開けていた。「あ~あ」 突然、ため息をついて牛若が現れた。「あの蔵には米しかなかった。おや何をしている弁慶、早く運べ!」 いつの間にか牛若がそばに立っていた。「え? 若! いつの間に? ああ、はい」 弁慶は言われるままに両肩に米俵を二つずつ抱え上げた。「よいせ! 若! どこへ?」 四つの米俵を抱えているにもかかわらず、にっこり笑っている弁慶。米俵を担ぐのは嫌いではない。「お前本当に担げるのだな、大したものだ」 牛若は自分でやれと言っておきながら、今さらながら弁慶の怪力に驚いた。 昼立ち寄っていた茶屋の前に来た。「おい店主」「はい、若様。昼間はお疲れ様でございました」「これを預かってくれ」「え? それは、米……ですか? 解りました、お預かりします」「弁慶、三つ置いておけ」「はい」弁慶は米俵三俵をどん! どん! どーん! とその場に置いた。「明日の昼また来る」 牛若はそう言うと、さっと店を後にした。 左の肩に米俵、右の肩に牛若を乗せて弁慶は家路を歩いた。「若!」「なんだ?」「今日の事は……、ええっと、何ですかね?」 弁慶は聞かずには居られなかった。目の前で牛若が消えたり現れたり、米が降って来たり――。夢ではないかと思ったが、こうして米を担いでいるし――。「弁慶」「はい若!」「気にするな!」「ええー?」「明日も行くぞ!」「若ぁ―!」 途中、出かけるときに見かけた小川のほとりの小屋まで来た。「弁慶、それをここに置いて行け」「へ? わしらの米でないのですか?」「違うぞぉー」と軽く牛若に言われ、弁慶は久しぶりに米がたらふく食えると喜んでいたのにがっかりであった。「……わかりました若」ドンとその場に米を置いた。「誰だ!」「なんだ?」「何?」 ぞろぞろと小屋の中から子供らが出てきた。 年長の男の子が警戒しながら「何者だ!」 棒きれを構えて威嚇した。「お前が長(おさ)か? 置いておくぞ。これ食え!」 牛若はその子に言い渡した。「え? これは?」 男の子は中身が何かは想像はついた。「食っておけ」 牛若はその場を後にした。「あの」 男の子が声を出した。「ありがとうございます」 男の子は牛若たちに向かって深く頭を下げた。「ありがとうございます」 小さい子らも長に続いてぺこりと頭を下げた。「なに?」「わあー、わー」 子どもたちの歓声が二人の背中に聞こえた。「ぶつぶつぶつ……、ぶつぶつぶつ……」 帰り道、弁慶は何か呟いていたが「よいではないか弁慶、あいつらは戦などで親がいなくなったり、食えなくて捨てられたり、預けられた所から逃げ出して来たりした子らの集まりだ。食えていないのだ。米の一つや二つ大した事ではない。お前は人助けをしたのだからがっかりするな。明日うまい物を食わしてやる」 牛若はにこにこ顔で言った。「人助け……」 人助けなどやったことがない弁慶は、その言葉に足が止まった。「人助けをしたらあの世に行ったとき、閻魔様に救われると聞いたことがある。若、本当ですかね?」「え? さぁ……、あるかもな」牛若はすましていた。「わし、これからはたくさん人助けをするぞ。そして死んだら閻魔様に会ってお頼み事をする。あかねに会わせてもらうのだ」弁慶は目を輝かせた。 そして希望がわいた顔で、牛若を「ほいよ」と肩に乗せ、勇んで家に帰って行った。次の日 牛若は桃色の着物に濃い桃色の袴をはき、市女傘(真ん中が高くこんもり盛りあがった女性用の編み傘)をかぶり、白く透けた上着を羽織っていた。さながら市場に買い物に行くお嬢様の出で立ちであった。 それは弁慶が牛若と出会ったあの橋の上での出来事を思い出させる衣装であった。「若……、その格好は……、わしてっきりあのとき若がおなごかと思い刀を取りに行こうとしました。大きな間違いでした」「勝てると思うたか? ふふ、弁慶、牛若の名は知れ渡っていて、わしもいろいろ狙われておる。お前も有名となっている。お前はお尋ね者で今だ手配書は剥がされておらぬ。あのときお前を死んだ事にすればよかったな。その二人が並んで歩けば大いに目立つ。ゆえにわしは女とも男とも分からない者とする。お前はわしのお付きの荷物運びとして欺くしかない」「は、はい、若」 間髪いれず牛若は「その名は言ってはならん」「え? 若……、あ」「それを言えばわしが牛若で、お前が弁慶であると解ってしまう。一緒におれば、千人刀の命(めい)をわしが下した事になる。二人一緒ではまずかろう?」「は、はい。解りました若、あ、いや、でもどうして私を連れて歩いてくれるのですか?」 弁慶は危険と知りつつ匿い、一緒に過ごしてくれる牛若の心を聞いてみたかった。「(不憫ではないか、生い立ちもそうであるが、ばあさんに騙され金を取られ、又、たった一人の家族に死なれて、あのままではばあさんを殺しに行ったであろうし、また罪を重ねる。そして捕らえられ死罪に……。見てはおけなかった。わしが千人目でよいではないか)」 牛若は先を見通せていたかのように思い起こしていた。「(それに、お前の命も……、そう……。)」 弁慶にはすべては言えなかった。が、どうにか弁慶にとって良い道をと、考え探っていた。「お前がまだ見たことない物や食ったことない物を教えてやろうと思ってな」 振り向き、にっこり微笑んだ。「ところで(わか)初めて会った時、あの橋のところで向う脛を叩かれました。あの笛は相当痛く感じました。あの一撃で私の戦いは終わってしまいました」 弁慶は思い出し、感心していた。「笛? 笛など持っておらん」 牛若はそう言うと「いやいや(わか)! 持っておりましたでしょう。あの固い竹笛」 弁慶は説明した。「ああ? ああ、あれね、あれは竹笛ではなくきびじゃ」「き? きび? きびって?」「ああ、さとうきび」「さとうきび……、なぜに、なぜに……、さとうきびを?」 大いに不思議に思い弁慶は問うた。「かじっていた」「なぜにかじっていた?」 すました顔で牛若は「はらへっていた」「……」 弁慶はじぶんを懲らしめた若者の―― 〝さとうきびの一撃〟に倒れたことを今知り、とてつもなく叫びたくなった。「やめておけ」 牛若に心を読まれ、また〝一撃〟を見舞われた。 牛若と弁慶は例の旗ごの前にいた。「ほらほら、皆! ちゃんと並んで、皆の分はあるから」 二人は米俵の米を配っていた。「米だ! 米が食えるぞ」 皆はとても喜んだ。「これはな、朝廷からの賜り物だ、受け取れ」「朝廷からの? これはありがたい、昨日いい事があると言ったのはこれの事なのか、いい事すぎるよ」「上様、ありがとうございます」 民たちは御所の方角に向かって手を合わせた。「(どうせ民から取り上げ過ぎた米だ。豪農から取り上げたこの米はもともと民の物だ、返してもらったに過ぎぬ)」 その米俵には『朝廷より ウシワカ』と貼り紙がしてあった。「『朝廷より』だな、で? なんだこの木を並べたような印は、字か? 名前か?」 一人の若者が米俵に貼られた紙の文字を読んでみたが、その下の字は顔を右に左に傾けてもどうしても読めなかった。 その場に『ウシワカ』の文字を読めるものはいなかった。その日の深夜 牛若と弁慶はまた別の屋敷の前にいた。「おい(弁慶)ここで待て」「はい若!」「こら、『若』と呼ぶな」 牛若は弁慶をたしなめた。「いや、でも、夜はいいでしょう? なんて呼べばいいんですか? わか」 申し訳なさそうに弁慶は聞いた。「お館様とでも呼べ」「おやかた……、さま」 慣れぬ言葉に弁慶はうつむいていた。「お!(弁慶)そこに餅が落ちている」 牛若は弁慶の後ろを指差した。「え? 餅?」 好物の餅と聞いて弁慶はあわてて振り向いた。 しかしどこにも餅は無かった。きょろきょろ捜しながら「若、餅なんてどこにも、あ!」 すでに牛若の姿は無かった。「若、また消えたぞ。どうなってるんだ。ま、今日も米が降って来るのだろうな。二つでも四つでも六つでも降って来いだ。皆持って帰ってやる」 独り言を言いながら夜空を見あげていた。 ドン、ドン、ドンドン! 米俵が降って来た。「そら来ました。いらっしゃい!」 弁慶はにこにこしながら米俵を撫でた。 牛若は続いてまた別の蔵の中にいた。「匂う匂う。ここか!」 蔵の奥の扉を見つけ鍵をガチャっと開けた。 扉の奥には重々しい木箱がいくつも積み上げられていた。「これよこれこれ」 牛若はその箱のそばに寄った。 そして左の掌をぱっと開いた。そこに青と白の渦巻きが出来た。「ほいよ!」掛け声をけ、木箱をその渦の中に放り込んだ。「ほいほい!」 四つほど放り込んだ後「よし!」 そう気合いを入れると、その渦に牛若も飛び込んだ。 ドン! ドン! ドカ! ドカ! 外で待つ弁慶の目の前に木箱が落ちてきた。「おおー! 何だこれは!」 弁慶はその木箱を見ると、鍵は外されていた。そしてふたをそっと開けてみた。 「おあー! 金判だー! ええー! 初めて見たぞ、金だ! これは千両箱だ! いっぱい入っている! すごいぞ!」 ドタッ! あとから牛若が落ちてきた。 「あいたた……」 尻をさすりながら牛若は「何をしている弁慶、早よ入れんか!」と催促した。 牛若に促され「あ、はい、若!」 弁慶は持たされていた麻の袋を懐から出し、木箱の金判を入れにかかった。 カチャ、カチャ、ガチャガチャガチャ――。 金判は二つの麻袋にたっぷりと収まった。 それを弁慶の袖に一袋づつ入れ、先ほど落ちてきた米俵を昨夜のように二つずつ持とうとした。「うおー!」 弁慶の左右の袖にそれぞれ箱二つ分の金判、そして両肩にそろぞれ二つずつの米俵。 さすがに今日は重いであろうが弁慶は根性で持ち上げた。「ふんぬー!」「お前すごいな」牛若はニヤッと笑った。「うう……、せっかくの若の稼ぎを無駄にはしません」 夜路をでっしでっしと歩いて帰った。 牛若は途中貧しい集落に米を二俵置いた。 その後、ある鋳造所の前に来ていた。 門の前では二人の門番が槍を構えそこの警備をしていた。「開けろ」 牛若は門番に声を掛けた。 カッ!「お前何者、ここをどこか知っておるのか」 門番の槍は交差され、二人の侵入を阻んだ。 ここは、朝廷から許しを得ている鋳造所の一つである。誰かれなしに中に入る事は許されない。「開けぬか!」 牛若はそう言いながら懐に手を入れた。 カチャカチャ 二人の門番は槍を牛若に向けた。「う!」 弁慶は米を担いだまま足を踏ん張り身構えた。 牛若は懐から札(ふだ)を出してきた。「解るか?(触ってみるか?)」 その札を見せられた門番は「あ!」っと声を発した。「え? 判官の? (つまり天皇の?)札!」 二人の門番は槍を下に降ろした。「ど、どうぞお入りください」 門番達は丁寧に誘導した。「この判官札を持っておれば、どこなと通れる。お前の好きに使うが良い」 後白河院の言葉であった。 牛若は迷わず鋳造所敷地内の奥まで入って行った。夜中でも鋳造をやっていることは牛若は知っていた。 ザッっと戸を開け「おい! 米を降ろせ」と弁慶に命じた。 ドドン! 降ろされたのは二つの米俵であった。 親方らしき男がやって来た。その目は疑いの眼であった。「誰だ! 何だお前たち」「親方か? これを溶かしてもらいたい」 そう言うと弁慶の懐の麻袋を出させた。「お! 金判だ」 親方は中の金判を見て反応した。牛若はもう一つの袖から袋を出させた。「こんなにたくさん、これは確か、うちで作った金判だな」 親方は目の前の男はいったい何者なのだ? という不可思議な顔をして言った。「朝廷の方でございますか?」 と聞いた。「(そうしておくか)内密にせよ」 牛若は札を見せながらそう言った。「解りました、仰せの通りに至しましょう。どうやらお急ぎのようですね」 親方はそう言うと早速金判を炉に入れた。 熔けた金は四角の小さな穴がある鋳型(いがた)に入れられていった。その穴は四十個くらいあり、持ってきた金のすべてを溶かし、順に鋳型に入れて行った。温度が下がって来るとその鋳型はひっくり返されそれの裏をガンガンと勢いよく叩いた。親指の先ほどの四角いそれはコトコトコトと転がり出された。 普通、赤々と燃えるその塊は、そこから剛鉄の鎚で叩かれ平たく伸ばされ、金判となるのだが、牛若が求める物は塊である。「伸ばさずともよい。そのままが良い。冷やすのだ」 溶かして小さくされた金の塊は水に入れられた。 ジューっと水が熱せられる音を響かせ、勢いよく湯気が立ち上がった。「これでよろしいか」 親方は出来上がりの合図を牛若に伝えた。しかし「もっと水をかけろ! 熱くて持って帰れぬわ」 その金は熱が冷めるのに一晩中かかった。 すでに夜は明けていた。 小さな四角い金は持ってきた麻布にすべて収められた。「親方、ご苦労、礼じゃ」 牛若は弁慶に合図すると米俵を差し出させ、さっさと帰って行った。 親方は不思議そうに二つの米俵をじっと見ていた。ある日のこと「おい(弁慶)! 出かけるぞ」「はいわか、あ、いや、おやかたさま」「おい、絶対に『若』と言うなよ、わし女の恰好をしているのだから若はないだろう」「あ、はい、すみません」 毎回これであった。「いいかげん慣れろ」「はい、わ、おやかたさま」 京の町は多くの店が出て、たくさんの人で賑わっていた。牛若は武家の娘の恰好で歩いた。その後ろを弁慶は荷物持ちとして付いて歩いた。 いろいろな店の前を通ったが、弁慶はさして興味を示さなかった。が、髪飾り屋の前に来た時、弁慶の足が止まった。 店頭に並んでいる髪差しをじっと見ていた。その中には赤や草色の色が付いていたり、綺麗なつやのある茶色い石が付いていたり、それらを見ながら弁慶は夢中になって見ていた。 それを見た牛若は「おい(弁慶)! 入るぞ!」 そう言うと牛若は店の中に入って行った。 弁慶は後に続いた。「主、髪飾りを出せ」 中から番頭らしき人が出て来て「はい、これは御寮様、どうもいらっしゃいませ」 丁重に近づいてきた。「一番良い品を出せ」「はい? 一番良い品でございますか」「おう」 牛若は懐から袋を出し金塊を五つ取り出すと、それを畳に転がした。「え? これは、もしかして?(この金で金判8枚分はあるはず。金判八枚分のかんざし……)」 番頭は考えていた。「(もし偽物なら大損だ)あの……、御寮様。御無礼とは存じますが、金の一つをお預かりさせて頂いてもよろしいでしょうか」 低姿勢で主は牛若に許しを請うた。「ああ」 牛若は軽く答えた。 しばし待たされた後、奥から出てきたのはその店の主であった。「これはどうも御寮様、私、店主の左衛門と申します。先ほどは店の者が失礼をいたしました、お許し下さい」 その手には肩幅ほどの横幅の四角い桐の箱が抱かれていた。「これはうちで最も腕利きの職人が作り上げた最高級のかんざしでございます。御覧下さいませ」 この主、先ほど牛若が渡した金が本物であることを確かめたようだ。 主はうやうやしく桐の箱のふたを取ると、白い絹に包まれたままその箱を差し出した。 牛若はその白い絹を剥いだ。 それはまばゆいばかりの銀製の髪飾りが三つ揃いで納められていた。 向かって右に銀製の桜の花がちりばめられたこめかみのあたりから挿すかんざし、真ん中はそれより大きく台の銀に金や赤い石がほどこされた豪華なもので中央に挿すかんざし、そして左は細いビラがたくさんついてゆらゆらとたなびくようになっている銀製のかんざし、これもこめかみの上のあたりから挿すもので、非常に美しく蝶の飾りがひらひらと揺れるのである。この三つ揃いである。 それを見た弁慶は目を剥き、息を吸い込んだまま止まっていた。「気に入ったか?」 牛若は弁慶の顔を見た。「〝てふ〟が……、てふが……」 弁慶は頭をこくこくと縦に振るだけであった。 「もらう」 牛若は主にそう言うとそれを箱から外し、絹の布で包むとそれを弁慶に渡した。 布の中でシャリンっと涼しげな音がした。「うっ」 弁慶はそれを両手に抱き目を潤ませた。「では」 二人は店を後にした。 店の者らは皆驚いた。定価の倍の金子を置いて行ったあの者たちはどなたであろうかと……。「牛若殿であろう」 主は小さくつぶやいた。「飯食うか」 二人は旗ごで休んだ。「おい(弁慶)食え!」 そう言われても弁慶は落ち着かなかった。懐に入れたかんざしの事で頭がいっぱいであった。「この前は豚一頭平らげてしまうほど食っていたのに。飯がのどを通らないか? はは、早く持って行ってやりたいのか?」 牛若に言い当てられ弁慶は「おやかたさま……」 ぐっと湯のみの酒を飲み干した牛若は「では、行って来るか?」と優しく言った。「え?いいんですか?」 弁慶の目が輝いた。「ああ、行って来い。ただし、もう少し日が暮れてからじゃ」 許しが出た弁慶は大喜びであった。 弁慶は山道を走った。走りに走って一気に山を駆け抜けた。 そしてあっという間に目的の途に着いた。「はあっはあっ……、はあっはあっ……」 弁慶は妹のあかねの墓の前まで来た。「あかね」 弁慶は跪まづいた。「あかね、おにいが来てやったぞ。これ、お前に持ってきた」 懐からかんざしの入った布を出してきた。 シャリンと銀のかんざしの上品な音が綺麗な空気の中で小さく響き、蝶の飾りがゆらゆら揺れた。 弁慶は布を解いてあかねに見せた。「ほら、きれいだろ? きっとお前に似合うぞ」 じっと前を見つめていた弁慶の目から涙が振れてきた。その涙はとめどなく流れ落ちた。「くっ……」 弁慶は石の前の土を手で堀り出した。 深く掘ってからそのかんざしをそっと埋めた。「うう……、うおぉ……」 土を被せながら泣き続けた。 そして最後の別れを済ませた。 その頃牛若は、酒を口に運びながら赤い月を見ていた。御所「おい(弁慶)ここで待っていろ」 弁慶を門の外に待たせ牛若は御所の中に入って行った。「おお! 参ったか牛若! 久しいよのう」 機嫌よさそうに後白河天皇が出てきた。「今日は何の御用で?」 居心地の良くない御所にはなるべく来たくはない牛若であった。「おお牛若、たまには話をしようではないか」 かまってもらいたい天皇は牛若の話が聞きたかった。「酒! 肴!」牛若はそっけなく口を開いた。「近頃盗賊が現れておる。そして米や金銀が盗まれておるのじゃ」「そうですか。私は知りません」 牛若が答えると「お主しかおらぬであろう」 疑いの目で天皇は言った。「ええ? 誰か私の姿を見た人はいるのですか? 私が泥棒ですか?」 そう言うと「いや見た者はおらぬ。しかし大名たちの蔵から財がいつの間にか消えておるのじゃ、そしてそれが朝廷の名を書いて民たちに米を配っておるのじゃ。そんなことをするのはお主しかおらぬ」 そう言われても牛若は知らぬ顔をした。「いやそれがじゃな。わしに圧力をかけていた大名が急におとなしくなったのじゃ。蔵の物全部取られて力が落ちた故に私兵も雇えず破産寸前らしいのじゃ。収賄に関わっていた者も表沙汰になり罪の追及をしておる。まさに朝廷の変革が起きている」「そうですか」 牛若はつれなく酒を煽っていた。「ところで牛若、弁慶なる人物。千本刀の暴れ者と対決したと言う噂は本当であるか?」 天皇に聞かれ牛若は湯呑を置いた。「その男を捕らえて死罪にするとかむごいことをしますか?」「捕らえてみないと解らぬ。しかし千人切ったのであろう?」「千人も殺したのを見た奴はいるのですか?」「それは解らぬ」 天皇と対峙した牛若は、弁慶の手配書を外す約束をさせた。 手配書が外され気が楽になった弁慶ではあるが、弁慶の手にかかり命を落とした者もいたことは確かである。その身内などから恨まれ仇を取ろうとする者もいるはずである。身の危険に変わりはなかった。「弁慶、やはりほとぼりが冷めるまでどこかに隠れるか?」 牛若はそう言うと「わしは殺されても良い。恨み事は無い。しかし若の身に危害が及ぶのは耐えられません。わしとおると若が危険です」「弁慶、わしは死なんよ」「わしは若の足かせになってはならんと思う。どこかに消えます」「弁慶……」「ずっと考えておりました。若は何の縁もゆかりもないわしに……。いや、命を狙ったわしを助けてくれたばかりか、あかねに幸せな思いをさせてくれて、最後までみとってくれて、わしには何もできなかった。わしにもずいぶんと楽しい思いをさせてくれた。思い残すことはありません。わしを見放して下さい」「弁慶、しばらくの間だけだ。どこかに身を隠せ。お前はどこの出だ?」「生まれは知りませんが、物心付いた時には寺におりました」「どこのだ?」「比叡山にある寺です。自分も坊主になると思いながら修行をやっていた。でも酷い坊主ばかりで、我慢ができす大暴れした。それで飛び出してきたんです」「フッ、お前は切れたら何をしでかすかわからん奴だからな」「……」「よし! そこへ行こう!」 牛若の発した言葉に「へ? あの寺に、ですか?」弁慶はまさかと思った。「ああ、そこしかあるまい。お前を匿ってもらう」「若……」 それは無理だろうと弁慶は思った。 いよいよ寺に向うことにした。 二人は京の町から直接比叡山に登らなかった。後ろを撒きながら琵琶湖の東側まで北上し、湖を西に渡る計画を立て、琵琶湖を左回りに半周することにした。 二人は湖のほとりに着いた。湖畔に船が見えた。「おい船頭! この船はどこまで行くのだ?」「へい! 向かいの大津までです」「そうか、乗るぞ」「へい! あ!」 船頭は気付いた。「(あの大男はもしかして噂の弁慶ではないか。こんなところまで来て……。わし、殺されるのか?)」 怯えている船頭に「心配するな、向こう岸まで渡してくれれば礼はする」「ええー?」船頭の独り言に牛若はとっとと答えた。 船頭が躊躇している間に、二頭の馬と大男と牛若は船に乗り込んだ。「うわ~、揺れるぞ。こんな大きな馬を乗せてしまって、沈んでも知らんぞ。無茶な奴らだ」 船頭はおびえた。「おとなしくしていろよ」 牛若は二頭の馬に言ってきかせた。「フルフル……」馬は置かれた場所を分かっているようで終始おとなしくしていた。 二人と二頭は夕暮れの湖を静かに渡った。「思ったより早く着いた。船頭すまぬな、無理を言って……。この事は誰にも言うな。言った場合はとことん追って行って殺す。末代まで追いかけて殺す」 牛若はきつい目で睨んだ。「へ、へい!」「絶対言うな! 聞かれても乗っていないと言え! わかったな」「はい! わかりました」 牛若は懐から切り銀が入った袋を出してきて、一掴みすると、それを船頭に渡した。「行け!」 船頭は手に渡された銀を見て「ひえー銀か? それもこんなにたくさん! おわー!」 船頭は大いに驚き、馬上の若者に頭を何度も下げた。 寺にて 寺の門前に来た。弁慶が過去に修行した寺である。「ここか……」「はい」 弁慶は気乗りがしなかった。「受け入れるわけが無い」「まかせろ!」牛若は軽い口調で門をくぐった。「住職はいるか?」 子坊主に問うた。「はい」 やがて奥から住職がやって来た。「あ、べ、んけいか?」 すぐに弁慶だと解り身を固くした。「この弁慶を匿ってくれるか?」 見知らぬ男に唐突に聞かされた住職は驚いた。「ええ? 匿う? 手配中の者を? そ、それは……」「お前の所で責任持たぬからこうなったのであろう」「し、かし……、先代の頃のことで、先代は亡くなり……」「あなたではないけれど、坊主であろう。最後まで責任持て!」「んんん……」住職は苦い顔になっていた。「男の道って言うのは、困った人間を助けるのが正道ではないのか? 預かってもらわねば困るな。それにもう昔の暴れん坊ではない。人の言う事はちゃんと聞くし、寺の助けにも少々なるであろう」「むむ……」「それでも放り出すのか? それでも良いぞ!」 牛若はキリッと睨んだ。 寺側は悩んだ。「ところで、あなたはどなたですか?」 住職が問うてきた。「わしは牛若だ。わしと勝負するか?」「うっく……」 今をときめく牛若丸の剣の達人の噂は国中に広がっていた。弁慶を打ち負かしたはずの牛若丸が弁慶を庇ってこの寺に来た意味が理解できなかった。しかし考え直した。「(避けられんな)」住職は観念した。「わかりました」「受け入れた! 信じられん」弁慶は驚きの顔をした。「匿ってくれるか? さすれば、わしは用事がある。出て行かねばならん。頼むぞ」 牛若は背中から妖刀を引き抜いてそれを見せた。刀は青と白の炎がゆらめき、何ものも断ち切ってしまうであろう鋭い刃が皆の心を凍らせた。ざわついていた周りの空気が一瞬冷めた。「ぉぉ!」「頼んだぞ」牛若は住職に弁系を委ねた。「分かりました。それが弁慶を助けると言うことでしょうか。あなた様は仏様ですか? それとも神様ですか? そのような刀を持った御人はおりません。いったい弁慶をどうしたらよろしいのでしょう?」 住職は困惑した。「修行をさせよ、精神の修行」「修行ですか」「また帰って来る。(役人に)通報もよいがどうなるか解っておるな」 牛若はやんわり脅した。「分かりました」 住職は深く頭を下げた。「渡しておく」 牛若はそう言うと銀の入った袋を二つ住職に渡した。 三月(みつき)が過ぎた。「若!」 牛若を弁慶が喜んで迎えた。「元気にしていたか?」「はい、若のお陰です」「そうか」 しかし牛若は弁慶の瞳の奥に影が見えた。「牛若殿、お帰りなさいませ」 住職は牛若を快く迎えた。「どうぞ、牛若殿はお酒でございましたね」「うん」 住職の部屋で牛若は酒を馳走になっていた。「弁慶は真面目にやっておるか? 暴れていたら困るが」「どうですか、真面目にやっております。毎朝、四時に起きてぞうきんがけや掃除を一生懸やっております。皆、感心しております」「不便はないか? 何でもよい。都合は付けるぞ」 もじもじしていた住職であったが、意を決して牛若に訴えた。「あの……、実は見ての通りうちの寺は貧乏寺でございまして、荒れた寺の修復もままならず、尊像もいたわしい状態で……。それに仏像も痛み過ぎております。叶いますなら仏像を五体、迎えさせて頂きたい」「解った、見てみよう」 住職と牛若は本堂に入り、状態を見た。 尊像である薬師如来像はほとんど金が剥げ、下の木目模様がしっかり見えるほど痛み、情けない姿を晒していた。「あれを新しいのにするのだな」 牛若が言うと「いえ、そうではありません。あの尊像は先々代より預からせて頂いている物、代々伝わる宝像でございます。できますなら修復したいと存じます」「そうか、解った。(新しいのを作る方が早いのだがな)ではそうしよう」 牛若は庭に出た。その先に弁慶と修行僧達の姿が見えた。「ほら弁慶、水持って来い!」「はい」「おい弁慶ここも拭いておけ」「はい」「なんだこの掃除は、お前はいつまで経っても一人前に出来ないな」「……」 弁慶は大きななりをしていたが、僧たちのいじめにぐっとこらえている様子だった。「(あいつら、弁慶を怒らせて暴れさせ、追い出そうとしているな)」 牛若はすたすたと彼らの所まで行った。「はっ」と気付いた弁慶が慌てた。牛若が彼らをやっつけるのではないかとうろたえた。「あ、牛若殿だ! 牛若殿だぞ! みんな!」 彼らの中にも牛若の光る刀を見たことがある者がいて話を聞いた事がある為、自分たちが切られるのではないかと一瞬怯えた。自分たちのしている事に追い目があった。「おお、みんな、ご苦労さん。いつも弁慶と仲良くしれくれているのだな」 牛若はにこにこしながら皆の所に行き、声を掛けた。「前のように弁慶は暴れないだろう? もしそれをやったらわしが謝らせるから、ここに置いてやってくれな」「……」 修行僧たちは戸惑っていた。「飯だけ食わせていればよく仕事をするからいじめないでくれるか」 牛若は優しく頼んだ。「(いじめているなんて、和尚さんに言われたらどうしよう)」 僧たちは一瞬身がすくんだ。「和尚さんには言わないついでにこのことも言うなよ」 そう言うと牛若は僧たちにそれぞれ〝切り銀〟を握らせた。「なかなか外には出れないだろうが、持っておっても邪魔にはならんだろ?」「うわー! 銀だ! 初めて見た」「これ一つで家が建つのだぞ? 知ってるか?」「へー! すごい! 宝だ、牛若様、どうもありがとうございます!」 皆、手にした三角形の切銀をまじまじと眺めながら、驚きと同時にとても喜んでいだ。「弁慶と仲良くしてやってくれな」「はい! 若さま!」 皆大はしゃぎであった。「弁慶! 本堂へ行って仏像五つをそこの池の前まで持って来い!」「え? ああ、はい、若」 その意味はわからないまま弁慶は牛若の顔色を見ながら本堂へ向かった。「……」 弁慶は本尊の前に来るとうやうやしく両手を合わせ拝んだ後、それを抱き上げた。「フンム……」 人の等身大ほどの本尊は薬師如来で、頭から尻までの木彫りの像。裸像である。頭髪は巻き毛で両手はゆるりと下に下ろし、そのまなざしは地(ち))を見つめていた。すでにぼろぼろに金は剥げ落ち、木目の像は充々痛々しかった。「これでは誰も参りには来ないか……。御利益が期待できそうもない御本尊では参拝人が来ないと言うのも無理ないしな。しかし若はこれをどうする気なのだ?」 弁慶はぶつぶつ言いながらも重い仏像を一人で運んだ。 五つの像を前部出してきたところで牛若は言い放った。「これらすべて池に放り込め!」「え? 池に? 良いのですか?」「良いに決まっている。早よせい」 そう言われて弁慶はうやうやしく像を池に入れた。 ドボン! 牛若は本堂へ赴いた。 すると桶と水と手ぬぐいを用意させた。そして像のあった跡の床を水で濡らした手拭いで自ら拭き出した。「おお! 殿! それは私どもがやります」 住職はあわてて牛若を止めようとした。「構わん、わしがやっておく。わしの仕事じゃ」「なりません! 殿!」「住職、その殿というのはやめてくれぬか?」 牛若は殿という呼び名も若様という呼び名を嫌がった。「しかし、若様は源家の御子息。いずれ殿さまに……」「望んではいない事だ」「では牛若様で……」「(名前はあまり知られたくは無いのだが……)」「若! すべて池に入れました」弁慶がやって来た。「では五日ほど水に沈めておけ! 木が膨れてきて金が剥げてきたら転がして金箔をすべて取っておけ。取れたら水から出して乾かしておくのだ」 牛若は弁慶に後の事について指示を出した。「はい、わかりました。金箔を取っておくのですね。任せて下さい」二十日後 牛若は寺の敷地の一角に鋳造所を構えさせていた。「ここで金の仏壇を作るのだ」 驚いたのは住職。「若様、金箔ではないのですか?」「当り前じゃ。わしは金の像と思ったが、住職が嫌がったので金を被せる事にする」「おおー!(いったい金がどれほど要ることか)」 住職はその器の大きさに驚きを隠せなかった。 鋳造の職人と仏像作りの職人を呼び、いよいよ仏像を仕上げる事になった。 職人は溶かされた金を筆で塗っていた。「おい! それでは話にならんな」 牛若は筆では金はうまく張り付かない事を嘆いた。「はあ……、木目が浮き上がります」「ではどうする?」「はい、上からかけます」「上からかけるか? はっはっはっ」 牛若は笑った。「住職様は怒りませんか?」 職人はそっと聞いた。「怒らぬけど……。まあ良いわ、そうせよ」 牛若はにこにこしていた。 仏像の上から金の液をバサリバサリとかけ、数日間乾かしてまたかける。下に貯まった金はまた溶かして腰のあたりに横からかけ、まんべんなく金をかけ回す。 全く贅沢な金の使いようであった。 ひと月以上かけ、光輝く金の仏像が五つきっちり仕上がった。「できた!」「出来たぞ」「良い出来じゃ」 職人たちは満足感を覚えた。「こんな良い仕事をしたのは初めてだ」 「何というすばらしさ! これは!」 本堂に運ばれた本尊は、金の分厚さにひと周り……、いや! ふた周りは大きくなった。 きらきらと輝くそれはお堂の中でも真昼の明るさ並みに反射し合っていた。 何よりその美しさである。なめらかな肌に妖艶な笑みをたたえた切れ長の目とやや膨らみのある唇は何とも言えぬ色気を漂わせた。 それが五体もあるわけだから、後光さえ覚え、皆の目と心を奪った。「おおー! 如来降臨!」 住職はひざまづき、手を合わせた。 住職に続き寺のものは皆、手を合わせ、経を唱えた。 すでに寺の修復も行われ、着々と改装は進んでいた。「和尚様、素晴らしい出来でございますね。このまま行けば離れつつある檀家衆が帰ってきますね」 一人の修行僧が口にした。「うむ……」「和尚様、牛若殿はいかにも信心深い方でござりますね」 にこやかに言うと「ばかもの!」 和尚は一喝した。「皆、本尊の前に集まれ!」 住職は皆を集めると説教を始めた。「皆聞くが良い。この寺を立て直して下さっているのは知っての通り牛若殿じゃ。感謝に余りある。なんと奇特なお方であろう。しかし牛若殿は宗教になんの趣(おもむき)も心を寄せる事もない方である、この大事業は寺の為でもなく、私やお前たち僧の為でもない。まぎれもなくこれは弁慶の為にしておる事である。牛若殿は弁慶に刃を向けられたにもかかわらず、成敗するどころか一筋に弁慶を庇っている。弁慶は幼くして親に捨てられ、心を許した住職に裏切られ、やっと安らげる身内を見つけるも人に騙され、あげくに妹を失った。牛若殿は弁慶に純真を見たのである。何も良い思いをしていなかった弁慶のことが不憫であると同時にその純真さに何より弁慶を大事に思い、守りたいと思う気持ち一心からである。お前たち、人と言うのはただ一人の為だけにどれだけの事が出来るかを学ばせてもらってはいないか? 真面目に行(ぎょう)を積んで行こうとしている弁慶に対してお前たちはどうあるべきか? これからの日々を戒め、牛若殿に恥ずかしくない言動をすべきだとは思わぬか? 常に敵の目に晒されるいる牛若殿だから解る孤独であり、弁慶をいじめの的にされたくないのだ。つまり、弁慶ただ一人の為にこの寺に大金をはたいているのだ!」「……」「……」「……」「……」「……」「……」 和尚に言われ、皆、頭(こうべ)を垂れた。三月後 本堂に続く寺の参道には行列が続いていた。「寺がすごい事になっているらしい」「見たのか?」「ああ、すごい仏様だ! お堂もきれいになっているんだ」「如来様を拝むのだ」「ありがたや。ありがたや。早く拝みたいよ」 次々に訪れる参拝の者たちは、きらきら光る仏様を見て驚き、またありがたがり、喜んで賽銭を投げ、幸せそうに帰って行った。 それは毎日続いた。 牛若はその横で深く頭を下げた。「ありがとう」 僧たちにはなぜ牛若が頭を下げるのかが解らなかった。参拝の者が賽銭を投げて、頼みごとをして帰る。頭を下げるのは参拝客の方だ。「みなさんお賽銭を入れてくれてありがとう。みなさんもお金にも苦労があるでしょう。私らも食べるものも大変で芋とか食べながらやっています。みなさんの寺への気持ちがうれしいです」 牛若は深く頭を下げ、みんなをねぎらった。「ええー? はあ……」「それは、どうも」「頭の低い方だ」 寺に礼を言われるとは思っていなかった為、皆戸惑っていたが、良い気持ちになった。 牛若が頭を下げるので住職も頭を下げた。修行僧も頭を下げた。 参拝の者も頭を下げた。そこには心ゆかしい気で満ちていた。ある日の事 牛若はある青年の姿が目に入った。その青年は思い悩む表情をしていた。その手には賽銭が入っているであろう小さな布袋を握りしめ『入れようか入れまいか』賽銭箱の前で迷っている風であった。 牛若は青年に近づくと「どうぞ中へ」と本堂の中へ案内した。「なにか悩みごとがあるのですか? よろしければ伺いますよ」 青年はふっと顔を上げた。「はい、実は母が胸の病で、助からないかもしれません。ここに来てお布施することで治るならばと、参ったのです」胸の内を心細く語った。「そうでしたか、その大金を布施に使うか病の母の治療に使うかさぞ迷われたことでしょう。解りました。一発で治しましょう!」牛若は言いきってしまった。「ええ!」「おお?」 二人の会話は外に聞こえていたので皆がどよめいた。「三日待って下さいよ。必ず治します」「本当ですか、ありがとうございます」 牛若の頼もしい言葉に青年は大いに喜んだ。 その夜、牛若は青年の母を透視した。「やはり肺に岩(腫瘍)が出来ている。他の臓にも移っている。少し手強いがやっておくか」 牛若は左手を開き、そして閉じた。「くく……」 牛若は少し苦しそうに顔をゆがませた。「ごぼっ……」 刹那血を吐いた。「げほっ、ぐほっ……」 牛若は異物を咳いた後、口の周りの血を拭きとりそのまま寝間に倒れこんだ。三日後 あの青年が牛若の元に駆け込んで来た。「ありがとうございます! ありがとうございます! 母が……、母の顔色が良くなり、元気になりました。今朝はかゆが食べれました。なんといって良いか……ありがとうございます」 涙ながらに礼の言葉を述べた。「治りましたか。それは良かったですね」 牛若はほほ笑んだ。「本当に助かりました。あなた様は生き仏様です。ありがとうございました」 青年は手を合わせた。「わたしは仏ではない。ふふっ、それより母親に言うておけ! 肺の病は小さな土や砂や埃が病のせいになることがある。肺は一度土などが入ると外に出る事はない。気をつけねばならん。きっと母親はいままで精を出して田畑を耕してきたのであろう。今度からは口・鼻は手ぬぐいなどで覆い、土埃には気を付けて仕事をするように言っておくが良い」 牛若は原因と予防を教えてやった。「はい、ありがとうございます。そう伝えます」 青年は何度も頭を下げ寺を後にした。 その後寺には噂を聞いた者たちが次々と訪れ、寺の御利益を授かろうとが人々が押し寄せた。「(これで弁慶も寺の行く末もうまくいくであろう)」 牛若は安堵した。一月後 また問題が持ち上がった。 ある商売人が困り顔で牛若の元にやって来た。「若様、どうか聞いて下さい。今、町では大変なことになっております!」 その男は非相な顔つきで飛び込んで来た。「どうしました、だんなさん」 牛若は中へ案内した。「若様『切り捨て御免』です」「なに? 切り捨て御免?」「若様、今町で『切り捨て御免』なる朝廷の制度が出来ております。朝廷及び武士に逆らった者は切り捨ててもよいという制度です。それを盾に誰かれ構わず切り捨てようとする者が出てきております。どうか助けて下さい!」 急ぎ牛若は町に出むいた。 町には反物屋やまんじゅう屋や飾り職の店などたくさんの店が出ていた。そこに数人の若者の集団が肩を揺らせながら通りをかっ歩していた。 ふと一人の若者が店に並べてある饅頭を掴んだ。そして口に入れ、そのまま歩いて行こうとした。「あの、お代を……」 店の女は饅頭の代金を貰おうと、その男の背を追った。「何だ?」 男が振り向いたと同時に「無礼を言うた! 切る!」 と言い、刀を抜きバサッとその女を切ってしまった。「ひぃ~」「まただ」「また無礼打ちだ」 町の者はここの所無礼だと称して民を切り捨てていた。「『切り捨て御免』であるからな」 男はそう言い周りの者に知らしめ、その場を離れようとした。 そのとき、後ろから声がした。「まんじゅう取って、金払わんで、無礼打ちとな……。その女、無礼言うたか?」 桃色の着物の人物が言い放った。 振り返り男は「なに? お前どこのおなごじゃ」 睨みつけた。「言わぬ」 桃色の着物の牛若は女のそばに寄り首に手を当てた。「(脈は、ない……。か)」 そこへいきなり男ども三人が刀を抜いて襲ってきた。「無礼打ちじゃー!」 すぐさま牛若は三つの剣をカカンッと鞘で跳ね返した。 男たちは尚もいっせいに襲いかかるが、牛若の素早さに一太刀も当てられない。 牛若は刀を抜くと、棟(むね:刀の刃の反対の背の部分)でドッズッドンと鈍い音を響かせ、三人の身体に命中した。 輩の一人は右腕を折られギャーギャーとわめいていた。「うっ、うう……」 もう一人は背中を打たれ息が出来なくて苦しんでいた。残り一人は腹のあたりを押さえ門悦していた。一瞬の出来事であった。「おい! 逃げるぞ」 到底勝てそうにもないと察した彼らは何か叫びながら転がるように逃げて行った。 パチパチパチ――。パチパチパチパチ――。 町の衆が手を叩いた。拍手の嵐であった。「すごいな、強いな」「あいつらとんでもない奴らだ。前もここで「切り捨て御免」と言って〝物乞い〟を切っていた。「良くやってくれました。胸が透く思いだ」「でも、仕返しに来ないかね。なにせ奴らの親はお武家とお役人だよ」 反物屋のおかみさんが心配そうに言った。 だが、牛若は平気な顔をしていた。「(来るなら来い)」会議室にて「旦那さま(が)おいでました」 ス―っと部屋の下手の障子が開いた。 天皇が催す会議の部屋まで許しを得るでもなく素通りしてくる牛若。 天皇は牛若に気付くと「こっちへこい」と、手で小さくちょいちょいと手招きをした。 牛若は天皇より『ひいき』を受けているため御所であろうといつでもどこでもお構いなしに振る舞えた。まさに天皇は牛若が大のお気に入りで彼をいつでも歓迎した。 『判官贔屓』(はんがんびいき)という言葉がささやかれるほど天皇は牛若にひいきした。 牛若は判官の地位を受けてはいるが、仕事の命令を受ける事は無く自分の思ったように町を見周り、自分のやり方で罪人を取り締まったりしていた。 下座の左手から入ってあたりを見回した。 中央の座に後白河天皇が椅子に座っており、牛若に向ってにっこりと頬笑んでいた。 右手は赤い裃(かみしも)の官僚が十数人並び、左手は青い裃の官僚が十数人、それら全員が牛若の入室を唖然として見ていた。「酒!」 その場にどっかと座り、ひと言発した。 すかさず天皇はぽんぽんと手を叩き、すぐに酒を持ってくるよう命じた。 御所では牛若が飲む酒は常に用意してある。その為ほとんど待たせる事なくすぐに酒が運ばれてくる。 酒徳利と大きな湯呑みが置かれると「殿、どうした。一杯注ぎに行きましょうか」 そう言い、牛若が立ち上ろうとした。「おお! わしが行くわ。盃!」 天皇はそう言うと、真ん中をすたすたと歩いて牛若の前に歩み出た。「あ、りえぬ……」 官僚たちは、事の流れにのけぞった。 牛若は運ばれてきた湯呑みに酒を注いだ。「殿、楽しい酒飲めてますか?」 天皇に問うた。「う~ん……」と鈍い返事であった。 その時、周りはひそひそと話をしだした。「何の用事でしょう?」「さあ、今は御前会議中ですぞ」「どういうことだ」「勝手に入場し無礼にもほどがある」「あの牛若なる者、後ろに大きな男を連れていると言う。その男は千人切ったと言う弁慶ではないのか?」「取り締まる役のあ奴が罪人を連れまわっている。これは由々しき事」「しかも夜はその男寺におると言う。昼は牛若と共に。夜はわしら奉行所が手が出せない寺に守られている。やっきになって弁慶を狙っているが捕らえる事が出来ない」「まことに賢い奴じゃ」「上様も何を考えておいでか」 その時「うるさいわ!」天皇は官僚たちに向かって一喝した。 そして牛若の報告に関心ありで問うた。「ところであっちはどうであった? 豪農が百姓から無謀に取り上げた年貢米。それを豪商に渡り、またそれをどこぞの官僚に渡っていただと? そしてそれぞれ米をはねていたと言うたな」「そうです殿」酒を煽ると牛若は認めた。「で、それは?」「取り上げた米は一旦朝廷の蔵に入れた後、民にまいて来たし、二重帳簿の件は今調査させておりますよ」「で? 蔵から出した米や麦、どこまで行って来たのだ?」「ああ、尾張の方まで行ってきました。全部撒いて来ました。多すぎてきりがないかと思いました」「そうか、それは『朝廷からの……』になっておるのか」「そうです」「そうかそうか……。うんうん」 いささか天皇はご機嫌であった。「ところで殿、近頃おかしな話が聞こえてきているが……」 牛若は官僚の面をぐるりと見渡した。 目があった官僚は「は!」と身体をびくつかせ、目を離した。 皆、頭を下げ顔を隠し、誰もこちら側を見ようとしなかった。「(牛若含め源氏を取り込んでわれらの味方にすればよいのではないか?)」「(敵に回しては合わぬ。しかし好き放題させておくわけにもいかぬ。近頃は上様もあ奴に惑わされておる。いざの時は……)」 当然牛若の存在は目障りだと思う者がほとんどであった。しかし妙な剣を使うし、切り殺される事を恐れ、正面切っての勝負は避けていた。 だが、すでに官僚たちの腹の声は地獄耳を持つ牛若には聞こえていた。「(何のための政治か、自分の事しか考えない奴らめ。たたっ切ってやる!)」 さっと立ちあがった牛若は、背から妖刀をするするっと出した。 その青と白に光る妖刀は皆を威圧するにた易かった。 一瞬にのけぞった一同に向かって牛若は言い放った。「わしは天皇の味方である! お前らの誰の味方でもない!」 官僚の中には後ろに逃げ小さくなる者もいた。「やはりな、お主な」天皇は一言発した。「お主とは?」牛若は問うた。「わしを守ってくれるのはお主しかおらぬと言う事じゃな」「そうですね」 牛若の言葉に手を叩いた天皇。「酒、料理も持って来い!」パンパン! 気を良くした天皇は追加の酒と料理を命じた。 ふと一人の官僚が妖しい動きをした。目配せで兵を動かそうとしたのだ。 その時、牛若の手に持つ妖刀は下から上に切り上げられた。シュバー! 青と白の光が妖刀の先から飛び放たれ、目的に向かい走った。 シュン!! 光は先ほどまで座っていた天皇の王座の真ん中を抜けた。 玉座は右左に転がった。周りの者は皆息を呑んだ。と同時に「出あえ!」「出あえ!」何人かが叫んだ。「天皇の王座を……、よくもやってくれたな」 この時とばかり、牛若を捕らえる口実が出来た。王座を断ち切るなど逆賊の他でもない。「謀反だ! 上様を護れ!」 官僚の一人が兵を出す命を出した。「家来でも護衛でもなんでも呼ぶがよい。そのくらい予測しておるわ。出して来てみよ。お前らも無事では帰れぬけどな!」 牛若の目は怒りに赤く燃えていた。 天皇が立ちあがった。「椅子くらい構わぬ! 牛若が何故にこれだけ怒っているのか解らぬか? お前ら金を追うては派閥じゃ領土の獲り合いじゃと勝手に争いばかりしおって。うんざりじゃ! 終いには命(めい)を下すぞ! どんな命か解っておるのか!」 一同は天皇の意外な言葉に『えっ?」』と動きが止まった。「牛若に〝皆殺し〟を命ずるぞ!」 ギョっとした官僚たちはうろたえた。「生き残りたい奴は出て行け!」 天皇は叫んだ。 その言葉に皆、すごすごと部屋を出て行った。 結局牛若が無礼三昧をしても誰一人として天皇を守れなかった。天皇はがっくりと力なく肩を落とした。〝信用できる者などいない。命がけで天皇を守るものは一人もいない〟と言う事を牛若は天皇に教えた。「飲め!」 牛若は酒を注いだ。「誰が出したのだ」「何?」「〝無礼打ち〟だの〝切り捨て御免〟だの、そんな決まり事を誰が作ったのだ」「う……」 牛若はものが言えないでいる天皇に詰め寄った。「わしがここで切り捨て御免で片っ端から切り捨てて行って良いか?」「うう……」 天皇は言葉が出ないでいた。「武士は偉くないぞ。農民たちが田畑を耕してくれるから武士らは飯が食えるのだぞ。どうして農民や民が無礼なのだ。なぜこのようなものができるのだ!」「……」 返事が出来ない天皇に向かって「取り消しにするか!」 牛若は聞いた。「そうしよう」 天皇は素直に従った。 その日より『切り捨て御免』の制度は無くなった。 しかし、『仇討(あだうち・かたきうち)』の制度は残っていた。 身内を殺された遺族は君主の免状があれば仇討が出来る制度である。「あだうちか……」 ある町中で睨みあう三人がいた。「夫の仇!」 頭に白い鉢巻きを捲き、襷(たすき)をかけ、短刀を構えていた女がいた。横にはまだ幼い女の子が――。同じように額に白の鉢巻きをつけ、短刀を握っていた。 二人の前にいる男は武士らしく、およそ女子供では勝てる相手では無さそうだ。「おい、あれは仇討ちだぞ」「おお!」 町の衆がぞろぞろと集まってきた。 その男は今にも腰の刀を抜こうとしていた。「もし……」 牛若は声をかけた。「は!」と振り向く女。「免状は持っていますか?」 その言葉に女は胸から君主の免状を出してきた。「おい(弁慶)!」 そう言われて弁慶は前に進み出た。 牛若は免状を確かめると弁慶に親子の援護するよう目配せをした。「助太刀は構わぬからな」 牛若の言葉が言い終わらぬうちに「やー!」――ブン! 弁慶の振り切った薙刀はた易く武士の首をはねた。 ドン。――ドサッ。「ええ?」「すごい」「一発だ」 周りの見物人は事の早さに大いに驚いた。「あの、だんなさま……」 女はうろたえていた。なにせ命を懸けて挑もうとしていた相手を助太刀とはいえ、一撃で終わらせてしまったものだから動揺が止まらない。 仇打ちの場面にちょうど通りかかった牛若たち。彼らの助っ人によって女は見事仇を取る事が出来た。「おい(弁慶)」「はい」 弁慶は女の元に行き、手を出して包みを求めた。 女は胸元から紫色のかきつばたをあしらった家紋入りの風呂敷包みを出した。 弁慶は打ち落とした武士の首をそれで包んで女に手渡した。 女は牛若の元に近づいた。「ありがとうございました。これで主人の仇を打つ事が出来ました。主人も思い残すことは無いと思います。今より城に向かいこれを届け、見聞して頂きます」「そうせよ、褒美をもらうが良い」 牛若はほほ笑んだ。 女とその子供は深々と頭を下げ、国に帰って行った。 牛若は寺に帰った。「おお、若様、お帰りなさいませ」「住職、達者であるか?」「寺も人は多く出入りし、檀家も増え随分賑やかな寺になりました。これも若様のお蔭でございます」「そうか」「あのような立派な仏様を安置させていただきますと今度は警備に力を注ぎませんと……」 金の仏像に今度は違った心配が出てきた住職であった。「おるではないか、警備は……」 牛若はにこにこしていた。「ああ、弁慶でございますか。確かに薙刀を振っております。しかしあの薙刀は堅固でございますな。一流の刀鍛冶の仕事と身受けます」「(それはそうだ、千本の刀の中から良い物を溶かして叩きに叩いたものだ)」 二人はにこりと頬笑み合った。ある日の事「弁慶!来たぞー! 飯食うたか?」 牛若は弁慶を訪ねた。「若!」 弁慶は嬉しそうに出てきた。その顔は腕が鳴ってむずむずしていた表情であった。「いっぺん勝負するか!」「はっ」 牛若に言われ、嬉しそうに答えた弁慶。腕を試したくて仕方がなかった所だ。 もちろん真剣で――。身がまえた二人。「参りました言うなよ弁慶」「はい、若!」「その時は死ねよ」「はい、若!」 試合が始まった。 ブン――、弁慶は思い切り長い薙刀を音を鳴らして振って来た。 キン! ガッ! ブン! ブン! キンキン!! 力を試す弁慶だが牛若一歩も引かない。僧侶たちは必至でそれを見ていた。「酒持て来い」 牛若は手加減用に酒を飲んだ。 弁慶の力とは、普通の人間がまともに受ければひとたまりもなく押されるが、牛若は内から出る妖力で戦う為、出過ぎる力を加減する必要があった。酔うたように身体を柔らかく揺らし、弁慶の薙刀をすいすいとかわした。 しばし剣を交えた後、弁慶に疲れが見えてきた。 牛若は左手を開き一瞬で弁慶の身体を止めた。ピタッと止まった弁慶の額の真中を人差し指でコンッと突いた。 すると弁慶はいとも簡単にころんと後ろに転がった。「へえ~」それを見ていた周りの者は驚いた。「今一度!」弁慶はまた向かってきた。 カンカンカン! 普通の刀で受けていた為、カーン! と牛若の刀の半分が飛んで行った。「たー!」 弁慶はこの時とばかり勢い込んで剣を振りおろして来た。 ブン! 牛若はサッと左手を突き出した。と同時に弁慶は何かにふき飛ばされるように勢いよく後ろに吹っ飛んだ。 どおん!「うーん……」 弁慶はその拍子にのびてしまった。 するとある者がやってきた。「わしが出る」 なんと齢七十の住職が前に出てきた。「う、なんと……」 牛若は困った。「転がすわけにもいかず……」「やー! やー! とー!」住職は自慢の薙刀で仕掛けてきた。 仕方なしに住職の剣を全て受け、疲れ果てるまで相手をした。が、やがてその時が来た。「はあっはあっ……、参りました、勝てません」 住職は降参した。「酒!」 牛若は縁台に上がると酒を飲みだした。「おい! 住職、飲もう! おい! 弁慶も飲め!」 そう言うと住職にも酒を飲ませた。「わっはっは……」「あははは……」 三人は夜更けまで酒を飲んで騒いだ。「良いか弁慶、今後とも人は殺すな。わしの許しがあるまで殺すな。わかったな」「はい、若」「弁慶には寺の警護をしてもらう。頼んだぞ弁慶」 住職はとても機嫌が良かった。 牛若が口を開いた。「弁慶の身体は人の二倍はあるゆえ、合う鎧がなかったな。穴のあいた銭を結んで作らせようと思う。待っておれ」 牛若の言葉に「いえ、若、わしに鎧など要りませぬ。わしの身体を射る矢も貫く刃もありませんわ。わしは剛鉄のからだゆえ……。わっはっは……」「剛鉄の身体か、わっはっは……」「はっは……」 今宵、久しぶりに酒を飲んで皆良い気分になった。 人を憎みながら生きてきた弁慶にとって、本心から安らぎを覚えるひと時であった。 その騒ぎに町の民たちが集まって来た。「こいつら何かと難癖付けて私らの上がりを奪って行く族だ。悪い奴らだ」「僕の妹を無理やり連れて行こうとした奴だなお前!」「こいつは役人とつるんでいる奴だ。皆でやっつけよう!」 町の衆はこの時とばかり手に棒を持ち奴らを叩き始めた。「痛てー、やめろ!」「やめろー」 足蹴にされ地べたに転がされた彼らは、体中泥だらけであった。「やろう! 覚えてろよ!」 やがて輩達は逃げ帰って行った。「はっはっは……」 牛若は笑いながら一人の男を呼んだ。「勇気とは良いことだ。店主、明日の昼、人をたくさん呼んでおけ! 良い事があるぞ、ははは……」「人を? よい事?」「おお、弁慶御苦労! 帰るぞ!」「はい若! 乗って下さい」 弁慶は近づくとすっとしゃがんだ。 そして肩に牛若を座らせるとすっくと立ち上がった。「おおー! 良く見える! 絶景かな! ふふ……」 弁慶の肩に乗った牛若は喜んだ。 牛若を乗せた弁慶は、勇々と帰って行った。「日が暮れて来た。弁慶、出かけるぞ」「へ? どこへですか」「付いて来い」 小川の横の道を通って町に出る途中にある集落が出来ていた。牛若はちらと見たが、先を急いだ。 牛若と弁慶はある屋敷の門の前にいた。「弁慶、お前はここで待っていろ。入って来るな」 そう言うと牛若は門に近づいた。 そして門に吸い込まれるように牛若の身体はすーっと消えて行った。「え? 若? 若?」 門の所まで行き、押してみたが開かない。当然門にはかんぬきが掛かり、開かなかった。「若、どこへ行ったのだ。こんな頑丈な門、入ってくるなと言われてもなあ」 いきなり目の前の牛若が消えたものだから、弁慶は驚いた。どうしたらいいのか困り果てた。「わし、夢を見たのか? いやいや、確かに若とここまで来て……、こんなこと前にもあったしな、若はいったい何者なのだ?」 そうこう悩んでいるうちに ドシン、ドシン! ドーン、ドーン! 重々しい振動に弁慶は尻もちをついた。「うわ! なんだ?」 なんと地を震わせたのは米俵であった。「なにー? こ、米俵? なぜここに?」 何もなかった所に米俵が四俵も落ちてきた。 弁慶は尻を突いたまま口をあんぐり開けていた。「あ~あ」 突然、ため息をついて牛若が現れた。「あの蔵には米しかなかった。おや何をしている弁慶、早く運べ!」 いつの間にか牛若がそばに立っていた。「え? 若! いつの間に? ああ、はい」 弁慶は言われるままに両肩に米俵を二つずつ抱え上げた。「よいせ! 若! どこへ?」 四つの米俵を抱えているにもかかわらず、にっこり笑っている弁慶。米俵を担ぐのは嫌いではない。「お前本当に担げるのだな、大したものだ」 牛若は自分でやれと言っておきながら、今さらながら弁慶の怪力に驚いた。 昼立ち寄っていた茶屋の前に来た。「おい店主」「はい、若様。昼間はお疲れ様でございました」「これを預かってくれ」「え? それは、米……ですか? 解りました、お預かりします」「弁慶、三つ置いておけ」「はい」弁慶は米俵三俵をどん! どん! どーん! とその場に置いた。「明日の昼また来る」 牛若はそう言うと、さっと店を後にした。 左の肩に米俵、右の肩に牛若を乗せて弁慶は家路を歩いた。「若!」「なんだ?」「今日の事は……、ええっと、何ですかね?」 弁慶は聞かずには居られなかった。目の前で牛若が消えたり現れたり、米が降って来たり――。夢ではないかと思ったが、こうして米を担いでいるし――。「弁慶」「はい若!」「気にするな!」「ええー?」「明日も行くぞ!」「若ぁ―!」 途中、出かけるときに見かけた小川のほとりの小屋まで来た。「弁慶、それをここに置いて行け」「へ? わしらの米でないのですか?」「違うぞぉー」と軽く牛若に言われ、弁慶は久しぶりに米がたらふく食えると喜んでいたのにがっかりであった。「……わかりました若」ドンとその場に米を置いた。「誰だ!」「なんだ?」「何?」 ぞろぞろと小屋の中から子供らが出てきた。 年長の男の子が警戒しながら「何者だ!」 棒きれを構えて威嚇した。「お前が長(おさ)か? 置いておくぞ。これ食え!」 牛若はその子に言い渡した。「え? これは?」 男の子は中身が何かは想像はついた。「食っておけ」 牛若はその場を後にした。「あの」 男の子が声を出した。「ありがとうございます」 男の子は牛若たちに向かって深く頭を下げた。「ありがとうございます」 小さい子らも長に続いてぺこりと頭を下げた。「なに?」「わあー、わー」 子どもたちの歓声が二人の背中に聞こえた。「ぶつぶつぶつ……、ぶつぶつぶつ……」 帰り道、弁慶は何か呟いていたが「よいではないか弁慶、あいつらは戦などで親がいなくなったり、食えなくて捨てられたり、預けられた所から逃げ出して来たりした子らの集まりだ。食えていないのだ。米の一つや二つ大した事ではない。お前は人助けをしたのだからがっかりするな。明日うまい物を食わしてやる」 牛若はにこにこ顔で言った。「人助け……」 人助けなどやったことがない弁慶は、その言葉に足が止まった。「人助けをしたらあの世に行ったとき、閻魔様に救われると聞いたことがある。若、本当ですかね?」「え? さぁ……、あるかもな」牛若はすましていた。「わし、これからはたくさん人助けをするぞ。そして死んだら閻魔様に会ってお頼み事をする。あかねに会わせてもらうのだ」弁慶は目を輝かせた。 そして希望がわいた顔で、牛若を「ほいよ」と肩に乗せ、勇んで家に帰って行った。次の日 牛若は桃色の着物に濃い桃色の袴をはき、市女傘(真ん中が高くこんもり盛りあがった女性用の編み傘)をかぶり、白く透けた上着を羽織っていた。さながら市場に買い物に行くお嬢様の出で立ちであった。 それは弁慶が牛若と出会ったあの橋の上での出来事を思い出させる衣装であった。「若……、その格好は……、わしてっきりあのとき若がおなごかと思い刀を取りに行こうとしました。大きな間違いでした」「勝てると思うたか? ふふ、弁慶、牛若の名は知れ渡っていて、わしもいろいろ狙われておる。お前も有名となっている。お前はお尋ね者で今だ手配書は剥がされておらぬ。あのときお前を死んだ事にすればよかったな。その二人が並んで歩けば大いに目立つ。ゆえにわしは女とも男とも分からない者とする。お前はわしのお付きの荷物運びとして欺くしかない」「は、はい、若」 間髪いれず牛若は「その名は言ってはならん」「え? 若……、あ」「それを言えばわしが牛若で、お前が弁慶であると解ってしまう。一緒におれば、千人刀の命(めい)をわしが下した事になる。二人一緒ではまずかろう?」「は、はい。解りました若、あ、いや、でもどうして私を連れて歩いてくれるのですか?」 弁慶は危険と知りつつ匿い、一緒に過ごしてくれる牛若の心を聞いてみたかった。「(不憫ではないか、生い立ちもそうであるが、ばあさんに騙され金を取られ、又、たった一人の家族に死なれて、あのままではばあさんを殺しに行ったであろうし、また罪を重ねる。そして捕らえられ死罪に……。見てはおけなかった。わしが千人目でよいではないか)」 牛若は先を見通せていたかのように思い起こしていた。「(それに、お前の命も……、そう……。)」 弁慶にはすべては言えなかった。が、どうにか弁慶にとって良い道をと、考え探っていた。「お前がまだ見たことない物や食ったことない物を教えてやろうと思ってな」 振り向き、にっこり微笑んだ。「ところで(わか)初めて会った時、あの橋のところで向う脛を叩かれました。あの笛は相当痛く感じました。あの一撃で私の戦いは終わってしまいました」 弁慶は思い出し、感心していた。「笛? 笛など持っておらん」 牛若はそう言うと「いやいや(わか)! 持っておりましたでしょう。あの固い竹笛」 弁慶は説明した。「ああ? ああ、あれね、あれは竹笛ではなくきびじゃ」「き? きび? きびって?」「ああ、さとうきび」「さとうきび……、なぜに、なぜに……、さとうきびを?」 大いに不思議に思い弁慶は問うた。「かじっていた」「なぜにかじっていた?」 すました顔で牛若は「はらへっていた」「……」 弁慶はじぶんを懲らしめた若者の―― 〝さとうきびの一撃〟に倒れたことを今知り、とてつもなく叫びたくなった。「やめておけ」 牛若に心を読まれ、また〝一撃〟を見舞われた。 牛若と弁慶は例の旗ごの前にいた。「ほらほら、皆! ちゃんと並んで、皆の分はあるから」 二人は米俵の米を配っていた。「米だ! 米が食えるぞ」 皆はとても喜んだ。「これはな、朝廷からの賜り物だ、受け取れ」「朝廷からの? これはありがたい、昨日いい事があると言ったのはこれの事なのか、いい事すぎるよ」「上様、ありがとうございます」 民たちは御所の方角に向かって手を合わせた。「(どうせ民から取り上げ過ぎた米だ。豪農から取り上げたこの米はもともと民の物だ、返してもらったに過ぎぬ)」 その米俵には『朝廷より ウシワカ』と貼り紙がしてあった。「『朝廷より』だな、で? なんだこの木を並べたような印は、字か? 名前か?」 一人の若者が米俵に貼られた紙の文字を読んでみたが、その下の字は顔を右に左に傾けてもどうしても読めなかった。 その場に『ウシワカ』の文字を読めるものはいなかった。その日の深夜 牛若と弁慶はまた別の屋敷の前にいた。「おい(弁慶)ここで待て」「はい若!」「こら、『若』と呼ぶな」 牛若は弁慶をたしなめた。「いや、でも、夜はいいでしょう? なんて呼べばいいんですか? わか」 申し訳なさそうに弁慶は聞いた。「お館様とでも呼べ」「おやかた……、さま」 慣れぬ言葉に弁慶はうつむいていた。「お!(弁慶)そこに餅が落ちている」 牛若は弁慶の後ろを指差した。「え? 餅?」 好物の餅と聞いて弁慶はあわてて振り向いた。 しかしどこにも餅は無かった。きょろきょろ捜しながら「若、餅なんてどこにも、あ!」 すでに牛若の姿は無かった。「若、また消えたぞ。どうなってるんだ。ま、今日も米が降って来るのだろうな。二つでも四つでも六つでも降って来いだ。皆持って帰ってやる」 独り言を言いながら夜空を見あげていた。 ドン、ドン、ドンドン! 米俵が降って来た。「そら来ました。いらっしゃい!」 弁慶はにこにこしながら米俵を撫でた。 牛若は続いてまた別の蔵の中にいた。「匂う匂う。ここか!」 蔵の奥の扉を見つけ鍵をガチャっと開けた。 扉の奥には重々しい木箱がいくつも積み上げられていた。「これよこれこれ」 牛若はその箱のそばに寄った。 そして左の掌をぱっと開いた。そこに青と白の渦巻きが出来た。「ほいよ!」掛け声をけ、木箱をその渦の中に放り込んだ。「ほいほい!」 四つほど放り込んだ後「よし!」 そう気合いを入れると、その渦に牛若も飛び込んだ。 ドン! ドン! ドカ! ドカ! 外で待つ弁慶の目の前に木箱が落ちてきた。「おおー! 何だこれは!」 弁慶はその木箱を見ると、鍵は外されていた。そしてふたをそっと開けてみた。 「おあー! 金判だー! ええー! 初めて見たぞ、金だ! これは千両箱だ! いっぱい入っている! すごいぞ!」 ドタッ! あとから牛若が落ちてきた。 「あいたた……」 尻をさすりながら牛若は「何をしている弁慶、早よ入れんか!」と催促した。 牛若に促され「あ、はい、若!」 弁慶は持たされていた麻の袋を懐から出し、木箱の金判を入れにかかった。 カチャ、カチャ、ガチャガチャガチャ――。 金判は二つの麻袋にたっぷりと収まった。 それを弁慶の袖に一袋づつ入れ、先ほど落ちてきた米俵を昨夜のように二つずつ持とうとした。「うおー!」 弁慶の左右の袖にそれぞれ箱二つ分の金判、そして両肩にそろぞれ二つずつの米俵。 さすがに今日は重いであろうが弁慶は根性で持ち上げた。「ふんぬー!」「お前すごいな」牛若はニヤッと笑った。「うう……、せっかくの若の稼ぎを無駄にはしません」 夜路をでっしでっしと歩いて帰った。 牛若は途中貧しい集落に米を二俵置いた。 その後、ある鋳造所の前に来ていた。 門の前では二人の門番が槍を構えそこの警備をしていた。「開けろ」 牛若は門番に声を掛けた。 カッ!「お前何者、ここをどこか知っておるのか」 門番の槍は交差され、二人の侵入を阻んだ。 ここは、朝廷から許しを得ている鋳造所の一つである。誰かれなしに中に入る事は許されない。「開けぬか!」 牛若はそう言いながら懐に手を入れた。 カチャカチャ 二人の門番は槍を牛若に向けた。「う!」 弁慶は米を担いだまま足を踏ん張り身構えた。 牛若は懐から札(ふだ)を出してきた。「解るか?(触ってみるか?)」 その札を見せられた門番は「あ!」っと声を発した。「え? 判官の? (つまり天皇の?)札!」 二人の門番は槍を下に降ろした。「ど、どうぞお入りください」 門番達は丁寧に誘導した。「この判官札を持っておれば、どこなと通れる。お前の好きに使うが良い」 後白河院の言葉であった。 牛若は迷わず鋳造所敷地内の奥まで入って行った。夜中でも鋳造をやっていることは牛若は知っていた。 ザッっと戸を開け「おい! 米を降ろせ」と弁慶に命じた。 ドドン! 降ろされたのは二つの米俵であった。 親方らしき男がやって来た。その目は疑いの眼であった。「誰だ! 何だお前たち」「親方か? これを溶かしてもらいたい」 そう言うと弁慶の懐の麻袋を出させた。「お! 金判だ」 親方は中の金判を見て反応した。牛若はもう一つの袖から袋を出させた。「こんなにたくさん、これは確か、うちで作った金判だな」 親方は目の前の男はいったい何者なのだ? という不可思議な顔をして言った。「朝廷の方でございますか?」 と聞いた。「(そうしておくか)内密にせよ」 牛若は札を見せながらそう言った。「解りました、仰せの通りに至しましょう。どうやらお急ぎのようですね」 親方はそう言うと早速金判を炉に入れた。 熔けた金は四角の小さな穴がある鋳型(いがた)に入れられていった。その穴は四十個くらいあり、持ってきた金のすべてを溶かし、順に鋳型に入れて行った。温度が下がって来るとその鋳型はひっくり返されそれの裏をガンガンと勢いよく叩いた。親指の先ほどの四角いそれはコトコトコトと転がり出された。 普通、赤々と燃えるその塊は、そこから剛鉄の鎚で叩かれ平たく伸ばされ、金判となるのだが、牛若が求める物は塊である。「伸ばさずともよい。そのままが良い。冷やすのだ」 溶かして小さくされた金の塊は水に入れられた。 ジューっと水が熱せられる音を響かせ、勢いよく湯気が立ち上がった。「これでよろしいか」 親方は出来上がりの合図を牛若に伝えた。しかし「もっと水をかけろ! 熱くて持って帰れぬわ」 その金は熱が冷めるのに一晩中かかった。 すでに夜は明けていた。 小さな四角い金は持ってきた麻布にすべて収められた。「親方、ご苦労、礼じゃ」 牛若は弁慶に合図すると米俵を差し出させ、さっさと帰って行った。 親方は不思議そうに二つの米俵をじっと見ていた。ある日のこと「おい(弁慶)! 出かけるぞ」「はいわか、あ、いや、おやかたさま」「おい、絶対に『若』と言うなよ、わし女の恰好をしているのだから若はないだろう」「あ、はい、すみません」 毎回これであった。「いいかげん慣れろ」「はい、わ、おやかたさま」 京の町は多くの店が出て、たくさんの人で賑わっていた。牛若は武家の娘の恰好で歩いた。その後ろを弁慶は荷物持ちとして付いて歩いた。 いろいろな店の前を通ったが、弁慶はさして興味を示さなかった。が、髪飾り屋の前に来た時、弁慶の足が止まった。 店頭に並んでいる髪差しをじっと見ていた。その中には赤や草色の色が付いていたり、綺麗なつやのある茶色い石が付いていたり、それらを見ながら弁慶は夢中になって見ていた。 それを見た牛若は「おい(弁慶)! 入るぞ!」 そう言うと牛若は店の中に入って行った。 弁慶は後に続いた。「主、髪飾りを出せ」 中から番頭らしき人が出て来て「はい、これは御寮様、どうもいらっしゃいませ」 丁重に近づいてきた。「一番良い品を出せ」「はい? 一番良い品でございますか」「おう」 牛若は懐から袋を出し金塊を五つ取り出すと、それを畳に転がした。「え? これは、もしかして?(この金で金判8枚分はあるはず。金判八枚分のかんざし……)」 番頭は考えていた。「(もし偽物なら大損だ)あの……、御寮様。御無礼とは存じますが、金の一つをお預かりさせて頂いてもよろしいでしょうか」 低姿勢で主は牛若に許しを請うた。「ああ」 牛若は軽く答えた。 しばし待たされた後、奥から出てきたのはその店の主であった。「これはどうも御寮様、私、店主の左衛門と申します。先ほどは店の者が失礼をいたしました、お許し下さい」 その手には肩幅ほどの横幅の四角い桐の箱が抱かれていた。「これはうちで最も腕利きの職人が作り上げた最高級のかんざしでございます。御覧下さいませ」 この主、先ほど牛若が渡した金が本物であることを確かめたようだ。 主はうやうやしく桐の箱のふたを取ると、白い絹に包まれたままその箱を差し出した。 牛若はその白い絹を剥いだ。 それはまばゆいばかりの銀製の髪飾りが三つ揃いで納められていた。 向かって右に銀製の桜の花がちりばめられたこめかみのあたりから挿すかんざし、真ん中はそれより大きく台の銀に金や赤い石がほどこされた豪華なもので中央に挿すかんざし、そして左は細いビラがたくさんついてゆらゆらとたなびくようになっている銀製のかんざし、これもこめかみの上のあたりから挿すもので、非常に美しく蝶の飾りがひらひらと揺れるのである。この三つ揃いである。 それを見た弁慶は目を剥き、息を吸い込んだまま止まっていた。「気に入ったか?」 牛若は弁慶の顔を見た。「〝てふ〟が……、てふが……」 弁慶は頭をこくこくと縦に振るだけであった。 「もらう」 牛若は主にそう言うとそれを箱から外し、絹の布で包むとそれを弁慶に渡した。 布の中でシャリンっと涼しげな音がした。「うっ」 弁慶はそれを両手に抱き目を潤ませた。「では」 二人は店を後にした。 店の者らは皆驚いた。定価の倍の金子を置いて行ったあの者たちはどなたであろうかと……。「牛若殿であろう」 主は小さくつぶやいた。「飯食うか」 二人は旗ごで休んだ。「おい(弁慶)食え!」 そう言われても弁慶は落ち着かなかった。懐に入れたかんざしの事で頭がいっぱいであった。「この前は豚一頭平らげてしまうほど食っていたのに。飯がのどを通らないか? はは、早く持って行ってやりたいのか?」 牛若に言い当てられ弁慶は「おやかたさま……」 ぐっと湯のみの酒を飲み干した牛若は「では、行って来るか?」と優しく言った。「え?いいんですか?」 弁慶の目が輝いた。「ああ、行って来い。ただし、もう少し日が暮れてからじゃ」 許しが出た弁慶は大喜びであった。 弁慶は山道を走った。走りに走って一気に山を駆け抜けた。 そしてあっという間に目的の途に着いた。「はあっはあっ……、はあっはあっ……」 弁慶は妹のあかねの墓の前まで来た。「あかね」 弁慶は跪まづいた。「あかね、おにいが来てやったぞ。これ、お前に持ってきた」 懐からかんざしの入った布を出してきた。 シャリンと銀のかんざしの上品な音が綺麗な空気の中で小さく響き、蝶の飾りがゆらゆら揺れた。 弁慶は布を解いてあかねに見せた。「ほら、きれいだろ? きっとお前に似合うぞ」 じっと前を見つめていた弁慶の目から涙が振れてきた。その涙はとめどなく流れ落ちた。「くっ……」 弁慶は石の前の土を手で堀り出した。 深く掘ってからそのかんざしをそっと埋めた。「うう……、うおぉ……」 土を被せながら泣き続けた。 そして最後の別れを済ませた。 その頃牛若は、酒を口に運びながら赤い月を見ていた。御所「おい(弁慶)ここで待っていろ」 弁慶を門の外に待たせ牛若は御所の中に入って行った。「おお! 参ったか牛若! 久しいよのう」 機嫌よさそうに後白河天皇が出てきた。「今日は何の御用で?」 居心地の良くない御所にはなるべく来たくはない牛若であった。「おお牛若、たまには話をしようではないか」 かまってもらいたい天皇は牛若の話が聞きたかった。「酒! 肴!」牛若はそっけなく口を開いた。「近頃盗賊が現れておる。そして米や金銀が盗まれておるのじゃ」「そうですか。私は知りません」 牛若が答えると「お主しかおらぬであろう」 疑いの目で天皇は言った。「ええ? 誰か私の姿を見た人はいるのですか? 私が泥棒ですか?」 そう言うと「いや見た者はおらぬ。しかし大名たちの蔵から財がいつの間にか消えておるのじゃ、そしてそれが朝廷の名を書いて民たちに米を配っておるのじゃ。そんなことをするのはお主しかおらぬ」 そう言われても牛若は知らぬ顔をした。「いやそれがじゃな。わしに圧力をかけていた大名が急におとなしくなったのじゃ。蔵の物全部取られて力が落ちた故に私兵も雇えず破産寸前らしいのじゃ。収賄に関わっていた者も表沙汰になり罪の追及をしておる。まさに朝廷の変革が起きている」「そうですか」 牛若はつれなく酒を煽っていた。「ところで牛若、弁慶なる人物。千本刀の暴れ者と対決したと言う噂は本当であるか?」 天皇に聞かれ牛若は湯呑を置いた。「その男を捕らえて死罪にするとかむごいことをしますか?」「捕らえてみないと解らぬ。しかし千人切ったのであろう?」「千人も殺したのを見た奴はいるのですか?」「それは解らぬ」 天皇と対峙した牛若は、弁慶の手配書を外す約束をさせた。 手配書が外され気が楽になった弁慶ではあるが、弁慶の手にかかり命を落とした者もいたことは確かである。その身内などから恨まれ仇を取ろうとする者もいるはずである。身の危険に変わりはなかった。「弁慶、やはりほとぼりが冷めるまでどこかに隠れるか?」 牛若はそう言うと「わしは殺されても良い。恨み事は無い。しかし若の身に危害が及ぶのは耐えられません。わしとおると若が危険です」「弁慶、わしは死なんよ」「わしは若の足かせになってはならんと思う。どこかに消えます」「弁慶……」「ずっと考えておりました。若は何の縁もゆかりもないわしに……。いや、命を狙ったわしを助けてくれたばかりか、あかねに幸せな思いをさせてくれて、最後までみとってくれて、わしには何もできなかった。わしにもずいぶんと楽しい思いをさせてくれた。思い残すことはありません。わしを見放して下さい」「弁慶、しばらくの間だけだ。どこかに身を隠せ。お前はどこの出だ?」「生まれは知りませんが、物心付いた時には寺におりました」「どこのだ?」「比叡山にある寺です。自分も坊主になると思いながら修行をやっていた。でも酷い坊主ばかりで、我慢ができす大暴れした。それで飛び出してきたんです」「フッ、お前は切れたら何をしでかすかわからん奴だからな」「……」「よし! そこへ行こう!」 牛若の発した言葉に「へ? あの寺に、ですか?」弁慶はまさかと思った。「ああ、そこしかあるまい。お前を匿ってもらう」「若……」 それは無理だろうと弁慶は思った。 いよいよ寺に向うことにした。 二人は京の町から直接比叡山に登らなかった。後ろを撒きながら琵琶湖の東側まで北上し、湖を西に渡る計画を立て、琵琶湖を左回りに半周することにした。 二人は湖のほとりに着いた。湖畔に船が見えた。「おい船頭! この船はどこまで行くのだ?」「へい! 向かいの大津までです」「そうか、乗るぞ」「へい! あ!」 船頭は気付いた。「(あの大男はもしかして噂の弁慶ではないか。こんなところまで来て……。わし、殺されるのか?)」 怯えている船頭に「心配するな、向こう岸まで渡してくれれば礼はする」「ええー?」船頭の独り言に牛若はとっとと答えた。 船頭が躊躇している間に、二頭の馬と大男と牛若は船に乗り込んだ。「うわ~、揺れるぞ。こんな大きな馬を乗せてしまって、沈んでも知らんぞ。無茶な奴らだ」 船頭はおびえた。「おとなしくしていろよ」 牛若は二頭の馬に言ってきかせた。「フルフル……」馬は置かれた場所を分かっているようで終始おとなしくしていた。 二人と二頭は夕暮れの湖を静かに渡った。「思ったより早く着いた。船頭すまぬな、無理を言って……。この事は誰にも言うな。言った場合はとことん追って行って殺す。末代まで追いかけて殺す」 牛若はきつい目で睨んだ。「へ、へい!」「絶対言うな! 聞かれても乗っていないと言え! わかったな」「はい! わかりました」 牛若は懐から切り銀が入った袋を出してきて、一掴みすると、それを船頭に渡した。「行け!」 船頭は手に渡された銀を見て「ひえー銀か? それもこんなにたくさん! おわー!」 船頭は大いに驚き、馬上の若者に頭を何度も下げた。 寺にて 寺の門前に来た。弁慶が過去に修行した寺である。「ここか……」「はい」 弁慶は気乗りがしなかった。「受け入れるわけが無い」「まかせろ!」牛若は軽い口調で門をくぐった。「住職はいるか?」 子坊主に問うた。「はい」 やがて奥から住職がやって来た。「あ、べ、んけいか?」 すぐに弁慶だと解り身を固くした。「この弁慶を匿ってくれるか?」 見知らぬ男に唐突に聞かされた住職は驚いた。「ええ? 匿う? 手配中の者を? そ、それは……」「お前の所で責任持たぬからこうなったのであろう」「し、かし……、先代の頃のことで、先代は亡くなり……」「あなたではないけれど、坊主であろう。最後まで責任持て!」「んんん……」住職は苦い顔になっていた。「男の道って言うのは、困った人間を助けるのが正道ではないのか? 預かってもらわねば困るな。それにもう昔の暴れん坊ではない。人の言う事はちゃんと聞くし、寺の助けにも少々なるであろう」「むむ……」「それでも放り出すのか? それでも良いぞ!」 牛若はキリッと睨んだ。 寺側は悩んだ。「ところで、あなたはどなたですか?」 住職が問うてきた。「わしは牛若だ。わしと勝負するか?」「うっく……」 今をときめく牛若丸の剣の達人の噂は国中に広がっていた。弁慶を打ち負かしたはずの牛若丸が弁慶を庇ってこの寺に来た意味が理解できなかった。しかし考え直した。「(避けられんな)」住職は観念した。「わかりました」「受け入れた! 信じられん」弁慶は驚きの顔をした。「匿ってくれるか? さすれば、わしは用事がある。出て行かねばならん。頼むぞ」 牛若は背中から妖刀を引き抜いてそれを見せた。刀は青と白の炎がゆらめき、何ものも断ち切ってしまうであろう鋭い刃が皆の心を凍らせた。ざわついていた周りの空気が一瞬冷めた。「ぉぉ!」「頼んだぞ」牛若は住職に弁系を委ねた。「分かりました。それが弁慶を助けると言うことでしょうか。あなた様は仏様ですか? それとも神様ですか? そのような刀を持った御人はおりません。いったい弁慶をどうしたらよろしいのでしょう?」 住職は困惑した。「修行をさせよ、精神の修行」「修行ですか」「また帰って来る。(役人に)通報もよいがどうなるか解っておるな」 牛若はやんわり脅した。「分かりました」 住職は深く頭を下げた。「渡しておく」 牛若はそう言うと銀の入った袋を二つ住職に渡した。 三月(みつき)が過ぎた。「若!」 牛若を弁慶が喜んで迎えた。「元気にしていたか?」「はい、若のお陰です」「そうか」 しかし牛若は弁慶の瞳の奥に影が見えた。「牛若殿、お帰りなさいませ」 住職は牛若を快く迎えた。「どうぞ、牛若殿はお酒でございましたね」「うん」 住職の部屋で牛若は酒を馳走になっていた。「弁慶は真面目にやっておるか? 暴れていたら困るが」「どうですか、真面目にやっております。毎朝、四時に起きてぞうきんがけや掃除を一生懸やっております。皆、感心しております」「不便はないか? 何でもよい。都合は付けるぞ」 もじもじしていた住職であったが、意を決して牛若に訴えた。「あの……、実は見ての通りうちの寺は貧乏寺でございまして、荒れた寺の修復もままならず、尊像もいたわしい状態で……。それに仏像も痛み過ぎております。叶いますなら仏像を五体、迎えさせて頂きたい」「解った、見てみよう」 住職と牛若は本堂に入り、状態を見た。 尊像である薬師如来像はほとんど金が剥げ、下の木目模様がしっかり見えるほど痛み、情けない姿を晒していた。「あれを新しいのにするのだな」 牛若が言うと「いえ、そうではありません。あの尊像は先々代より預からせて頂いている物、代々伝わる宝像でございます。できますなら修復したいと存じます」「そうか、解った。(新しいのを作る方が早いのだがな)ではそうしよう」 牛若は庭に出た。その先に弁慶と修行僧達の姿が見えた。「ほら弁慶、水持って来い!」「はい」「おい弁慶ここも拭いておけ」「はい」「なんだこの掃除は、お前はいつまで経っても一人前に出来ないな」「……」 弁慶は大きななりをしていたが、僧たちのいじめにぐっとこらえている様子だった。「(あいつら、弁慶を怒らせて暴れさせ、追い出そうとしているな)」 牛若はすたすたと彼らの所まで行った。「はっ」と気付いた弁慶が慌てた。牛若が彼らをやっつけるのではないかとうろたえた。「あ、牛若殿だ! 牛若殿だぞ! みんな!」 彼らの中にも牛若の光る刀を見たことがある者がいて話を聞いた事がある為、自分たちが切られるのではないかと一瞬怯えた。自分たちのしている事に追い目があった。「おお、みんな、ご苦労さん。いつも弁慶と仲良くしれくれているのだな」 牛若はにこにこしながら皆の所に行き、声を掛けた。「前のように弁慶は暴れないだろう? もしそれをやったらわしが謝らせるから、ここに置いてやってくれな」「……」 修行僧たちは戸惑っていた。「飯だけ食わせていればよく仕事をするからいじめないでくれるか」 牛若は優しく頼んだ。「(いじめているなんて、和尚さんに言われたらどうしよう)」 僧たちは一瞬身がすくんだ。「和尚さんには言わないついでにこのことも言うなよ」 そう言うと牛若は僧たちにそれぞれ〝切り銀〟を握らせた。「なかなか外には出れないだろうが、持っておっても邪魔にはならんだろ?」「うわー! 銀だ! 初めて見た」「これ一つで家が建つのだぞ? 知ってるか?」「へー! すごい! 宝だ、牛若様、どうもありがとうございます!」 皆、手にした三角形の切銀をまじまじと眺めながら、驚きと同時にとても喜んでいだ。「弁慶と仲良くしてやってくれな」「はい! 若さま!」 皆大はしゃぎであった。「弁慶! 本堂へ行って仏像五つをそこの池の前まで持って来い!」「え? ああ、はい、若」 その意味はわからないまま弁慶は牛若の顔色を見ながら本堂へ向かった。「……」 弁慶は本尊の前に来るとうやうやしく両手を合わせ拝んだ後、それを抱き上げた。「フンム……」 人の等身大ほどの本尊は薬師如来で、頭から尻までの木彫りの像。裸像である。頭髪は巻き毛で両手はゆるりと下に下ろし、そのまなざしは地(ち))を見つめていた。すでにぼろぼろに金は剥げ落ち、木目の像は充々痛々しかった。「これでは誰も参りには来ないか……。御利益が期待できそうもない御本尊では参拝人が来ないと言うのも無理ないしな。しかし若はこれをどうする気なのだ?」 弁慶はぶつぶつ言いながらも重い仏像を一人で運んだ。 五つの像を前部出してきたところで牛若は言い放った。「これらすべて池に放り込め!」「え? 池に? 良いのですか?」「良いに決まっている。早よせい」 そう言われて弁慶はうやうやしく像を池に入れた。 ドボン! 牛若は本堂へ赴いた。 すると桶と水と手ぬぐいを用意させた。そして像のあった跡の床を水で濡らした手拭いで自ら拭き出した。「おお! 殿! それは私どもがやります」 住職はあわてて牛若を止めようとした。「構わん、わしがやっておく。わしの仕事じゃ」「なりません! 殿!」「住職、その殿というのはやめてくれぬか?」 牛若は殿という呼び名も若様という呼び名を嫌がった。「しかし、若様は源家の御子息。いずれ殿さまに……」「望んではいない事だ」「では牛若様で……」「(名前はあまり知られたくは無いのだが……)」「若! すべて池に入れました」弁慶がやって来た。「では五日ほど水に沈めておけ! 木が膨れてきて金が剥げてきたら転がして金箔をすべて取っておけ。取れたら水から出して乾かしておくのだ」 牛若は弁慶に後の事について指示を出した。「はい、わかりました。金箔を取っておくのですね。任せて下さい」二十日後 牛若は寺の敷地の一角に鋳造所を構えさせていた。「ここで金の仏壇を作るのだ」 驚いたのは住職。「若様、金箔ではないのですか?」「当り前じゃ。わしは金の像と思ったが、住職が嫌がったので金を被せる事にする」「おおー!(いったい金がどれほど要ることか)」 住職はその器の大きさに驚きを隠せなかった。 鋳造の職人と仏像作りの職人を呼び、いよいよ仏像を仕上げる事になった。 職人は溶かされた金を筆で塗っていた。「おい! それでは話にならんな」 牛若は筆では金はうまく張り付かない事を嘆いた。「はあ……、木目が浮き上がります」「ではどうする?」「はい、上からかけます」「上からかけるか? はっはっはっ」 牛若は笑った。「住職様は怒りませんか?」 職人はそっと聞いた。「怒らぬけど……。まあ良いわ、そうせよ」 牛若はにこにこしていた。 仏像の上から金の液をバサリバサリとかけ、数日間乾かしてまたかける。下に貯まった金はまた溶かして腰のあたりに横からかけ、まんべんなく金をかけ回す。 全く贅沢な金の使いようであった。 ひと月以上かけ、光輝く金の仏像が五つきっちり仕上がった。「できた!」「出来たぞ」「良い出来じゃ」 職人たちは満足感を覚えた。「こんな良い仕事をしたのは初めてだ」 「何というすばらしさ! これは!」 本堂に運ばれた本尊は、金の分厚さにひと周り……、いや! ふた周りは大きくなった。 きらきらと輝くそれはお堂の中でも真昼の明るさ並みに反射し合っていた。 何よりその美しさである。なめらかな肌に妖艶な笑みをたたえた切れ長の目とやや膨らみのある唇は何とも言えぬ色気を漂わせた。 それが五体もあるわけだから、後光さえ覚え、皆の目と心を奪った。「おおー! 如来降臨!」 住職はひざまづき、手を合わせた。 住職に続き寺のものは皆、手を合わせ、経を唱えた。 すでに寺の修復も行われ、着々と改装は進んでいた。「和尚様、素晴らしい出来でございますね。このまま行けば離れつつある檀家衆が帰ってきますね」 一人の修行僧が口にした。「うむ……」「和尚様、牛若殿はいかにも信心深い方でござりますね」 にこやかに言うと「ばかもの!」 和尚は一喝した。「皆、本尊の前に集まれ!」 住職は皆を集めると説教を始めた。「皆聞くが良い。この寺を立て直して下さっているのは知っての通り牛若殿じゃ。感謝に余りある。なんと奇特なお方であろう。しかし牛若殿は宗教になんの趣(おもむき)も心を寄せる事もない方である、この大事業は寺の為でもなく、私やお前たち僧の為でもない。まぎれもなくこれは弁慶の為にしておる事である。牛若殿は弁慶に刃を向けられたにもかかわらず、成敗するどころか一筋に弁慶を庇っている。弁慶は幼くして親に捨てられ、心を許した住職に裏切られ、やっと安らげる身内を見つけるも人に騙され、あげくに妹を失った。牛若殿は弁慶に純真を見たのである。何も良い思いをしていなかった弁慶のことが不憫であると同時にその純真さに何より弁慶を大事に思い、守りたいと思う気持ち一心からである。お前たち、人と言うのはただ一人の為だけにどれだけの事が出来るかを学ばせてもらってはいないか? 真面目に行(ぎょう)を積んで行こうとしている弁慶に対してお前たちはどうあるべきか? これからの日々を戒め、牛若殿に恥ずかしくない言動をすべきだとは思わぬか? 常に敵の目に晒されるいる牛若殿だから解る孤独であり、弁慶をいじめの的にされたくないのだ。つまり、弁慶ただ一人の為にこの寺に大金をはたいているのだ!」「……」「……」「……」「……」「……」「……」 和尚に言われ、皆、頭(こうべ)を垂れた。三月後 本堂に続く寺の参道には行列が続いていた。「寺がすごい事になっているらしい」「見たのか?」「ああ、すごい仏様だ! お堂もきれいになっているんだ」「如来様を拝むのだ」「ありがたや。ありがたや。早く拝みたいよ」 次々に訪れる参拝の者たちは、きらきら光る仏様を見て驚き、またありがたがり、喜んで賽銭を投げ、幸せそうに帰って行った。 それは毎日続いた。 牛若はその横で深く頭を下げた。「ありがとう」 僧たちにはなぜ牛若が頭を下げるのかが解らなかった。参拝の者が賽銭を投げて、頼みごとをして帰る。頭を下げるのは参拝客の方だ。「みなさんお賽銭を入れてくれてありがとう。みなさんもお金にも苦労があるでしょう。私らも食べるものも大変で芋とか食べながらやっています。みなさんの寺への気持ちがうれしいです」 牛若は深く頭を下げ、みんなをねぎらった。「ええー? はあ……」「それは、どうも」「頭の低い方だ」 寺に礼を言われるとは思っていなかった為、皆戸惑っていたが、良い気持ちになった。 牛若が頭を下げるので住職も頭を下げた。修行僧も頭を下げた。 参拝の者も頭を下げた。そこには心ゆかしい気で満ちていた。ある日の事 牛若はある青年の姿が目に入った。その青年は思い悩む表情をしていた。その手には賽銭が入っているであろう小さな布袋を握りしめ『入れようか入れまいか』賽銭箱の前で迷っている風であった。 牛若は青年に近づくと「どうぞ中へ」と本堂の中へ案内した。「なにか悩みごとがあるのですか? よろしければ伺いますよ」 青年はふっと顔を上げた。「はい、実は母が胸の病で、助からないかもしれません。ここに来てお布施することで治るならばと、参ったのです」胸の内を心細く語った。「そうでしたか、その大金を布施に使うか病の母の治療に使うかさぞ迷われたことでしょう。解りました。一発で治しましょう!」牛若は言いきってしまった。「ええ!」「おお?」 二人の会話は外に聞こえていたので皆がどよめいた。「三日待って下さいよ。必ず治します」「本当ですか、ありがとうございます」 牛若の頼もしい言葉に青年は大いに喜んだ。 その夜、牛若は青年の母を透視した。「やはり肺に岩(腫瘍)が出来ている。他の臓にも移っている。少し手強いがやっておくか」 牛若は左手を開き、そして閉じた。「くく……」 牛若は少し苦しそうに顔をゆがませた。「ごぼっ……」 刹那血を吐いた。「げほっ、ぐほっ……」 牛若は異物を咳いた後、口の周りの血を拭きとりそのまま寝間に倒れこんだ。三日後 あの青年が牛若の元に駆け込んで来た。「ありがとうございます! ありがとうございます! 母が……、母の顔色が良くなり、元気になりました。今朝はかゆが食べれました。なんといって良いか……ありがとうございます」 涙ながらに礼の言葉を述べた。「治りましたか。それは良かったですね」 牛若はほほ笑んだ。「本当に助かりました。あなた様は生き仏様です。ありがとうございました」 青年は手を合わせた。「わたしは仏ではない。ふふっ、それより母親に言うておけ! 肺の病は小さな土や砂や埃が病のせいになることがある。肺は一度土などが入ると外に出る事はない。気をつけねばならん。きっと母親はいままで精を出して田畑を耕してきたのであろう。今度からは口・鼻は手ぬぐいなどで覆い、土埃には気を付けて仕事をするように言っておくが良い」 牛若は原因と予防を教えてやった。「はい、ありがとうございます。そう伝えます」 青年は何度も頭を下げ寺を後にした。 その後寺には噂を聞いた者たちが次々と訪れ、寺の御利益を授かろうとが人々が押し寄せた。「(これで弁慶も寺の行く末もうまくいくであろう)」 牛若は安堵した。一月後 また問題が持ち上がった。 ある商売人が困り顔で牛若の元にやって来た。「若様、どうか聞いて下さい。今、町では大変なことになっております!」 その男は非相な顔つきで飛び込んで来た。「どうしました、だんなさん」 牛若は中へ案内した。「若様『切り捨て御免』です」「なに? 切り捨て御免?」「若様、今町で『切り捨て御免』なる朝廷の制度が出来ております。朝廷及び武士に逆らった者は切り捨ててもよいという制度です。それを盾に誰かれ構わず切り捨てようとする者が出てきております。どうか助けて下さい!」 急ぎ牛若は町に出むいた。 町には反物屋やまんじゅう屋や飾り職の店などたくさんの店が出ていた。そこに数人の若者の集団が肩を揺らせながら通りをかっ歩していた。 ふと一人の若者が店に並べてある饅頭を掴んだ。そして口に入れ、そのまま歩いて行こうとした。「あの、お代を……」 店の女は饅頭の代金を貰おうと、その男の背を追った。「何だ?」 男が振り向いたと同時に「無礼を言うた! 切る!」 と言い、刀を抜きバサッとその女を切ってしまった。「ひぃ~」「まただ」「また無礼打ちだ」 町の者はここの所無礼だと称して民を切り捨てていた。「『切り捨て御免』であるからな」 男はそう言い周りの者に知らしめ、その場を離れようとした。 そのとき、後ろから声がした。「まんじゅう取って、金払わんで、無礼打ちとな……。その女、無礼言うたか?」 桃色の着物の人物が言い放った。 振り返り男は「なに? お前どこのおなごじゃ」 睨みつけた。「言わぬ」 桃色の着物の牛若は女のそばに寄り首に手を当てた。「(脈は、ない……。か)」 そこへいきなり男ども三人が刀を抜いて襲ってきた。「無礼打ちじゃー!」 すぐさま牛若は三つの剣をカカンッと鞘で跳ね返した。 男たちは尚もいっせいに襲いかかるが、牛若の素早さに一太刀も当てられない。 牛若は刀を抜くと、棟(むね:刀の刃の反対の背の部分)でドッズッドンと鈍い音を響かせ、三人の身体に命中した。 輩の一人は右腕を折られギャーギャーとわめいていた。「うっ、うう……」 もう一人は背中を打たれ息が出来なくて苦しんでいた。残り一人は腹のあたりを押さえ門悦していた。一瞬の出来事であった。「おい! 逃げるぞ」 到底勝てそうにもないと察した彼らは何か叫びながら転がるように逃げて行った。 パチパチパチ――。パチパチパチパチ――。 町の衆が手を叩いた。拍手の嵐であった。「すごいな、強いな」「あいつらとんでもない奴らだ。前もここで「切り捨て御免」と言って〝物乞い〟を切っていた。「良くやってくれました。胸が透く思いだ」「でも、仕返しに来ないかね。なにせ奴らの親はお武家とお役人だよ」 反物屋のおかみさんが心配そうに言った。 だが、牛若は平気な顔をしていた。「(来るなら来い)」会議室にて「旦那さま(が)おいでました」 ス―っと部屋の下手の障子が開いた。 天皇が催す会議の部屋まで許しを得るでもなく素通りしてくる牛若。 天皇は牛若に気付くと「こっちへこい」と、手で小さくちょいちょいと手招きをした。 牛若は天皇より『ひいき』を受けているため御所であろうといつでもどこでもお構いなしに振る舞えた。まさに天皇は牛若が大のお気に入りで彼をいつでも歓迎した。 『判官贔屓』(はんがんびいき)という言葉がささやかれるほど天皇は牛若にひいきした。 牛若は判官の地位を受けてはいるが、仕事の命令を受ける事は無く自分の思ったように町を見周り、自分のやり方で罪人を取り締まったりしていた。 下座の左手から入ってあたりを見回した。 中央の座に後白河天皇が椅子に座っており、牛若に向ってにっこりと頬笑んでいた。 右手は赤い裃(かみしも)の官僚が十数人並び、左手は青い裃の官僚が十数人、それら全員が牛若の入室を唖然として見ていた。「酒!」 その場にどっかと座り、ひと言発した。 すかさず天皇はぽんぽんと手を叩き、すぐに酒を持ってくるよう命じた。 御所では牛若が飲む酒は常に用意してある。その為ほとんど待たせる事なくすぐに酒が運ばれてくる。 酒徳利と大きな湯呑みが置かれると「殿、どうした。一杯注ぎに行きましょうか」 そう言い、牛若が立ち上ろうとした。「おお! わしが行くわ。盃!」 天皇はそう言うと、真ん中をすたすたと歩いて牛若の前に歩み出た。「あ、りえぬ……」 官僚たちは、事の流れにのけぞった。 牛若は運ばれてきた湯呑みに酒を注いだ。「殿、楽しい酒飲めてますか?」 天皇に問うた。「う~ん……」と鈍い返事であった。 その時、周りはひそひそと話をしだした。「何の用事でしょう?」「さあ、今は御前会議中ですぞ」「どういうことだ」「勝手に入場し無礼にもほどがある」「あの牛若なる者、後ろに大きな男を連れていると言う。その男は千人切ったと言う弁慶ではないのか?」「取り締まる役のあ奴が罪人を連れまわっている。これは由々しき事」「しかも夜はその男寺におると言う。昼は牛若と共に。夜はわしら奉行所が手が出せない寺に守られている。やっきになって弁慶を狙っているが捕らえる事が出来ない」「まことに賢い奴じゃ」「上様も何を考えておいでか」 その時「うるさいわ!」天皇は官僚たちに向かって一喝した。 そして牛若の報告に関心ありで問うた。「ところであっちはどうであった? 豪農が百姓から無謀に取り上げた年貢米。それを豪商に渡り、またそれをどこぞの官僚に渡っていただと? そしてそれぞれ米をはねていたと言うたな」「そうです殿」酒を煽ると牛若は認めた。「で、それは?」「取り上げた米は一旦朝廷の蔵に入れた後、民にまいて来たし、二重帳簿の件は今調査させておりますよ」「で? 蔵から出した米や麦、どこまで行って来たのだ?」「ああ、尾張の方まで行ってきました。全部撒いて来ました。多すぎてきりがないかと思いました」「そうか、それは『朝廷からの……』になっておるのか」「そうです」「そうかそうか……。うんうん」 いささか天皇はご機嫌であった。「ところで殿、近頃おかしな話が聞こえてきているが……」 牛若は官僚の面をぐるりと見渡した。 目があった官僚は「は!」と身体をびくつかせ、目を離した。 皆、頭を下げ顔を隠し、誰もこちら側を見ようとしなかった。「(牛若含め源氏を取り込んでわれらの味方にすればよいのではないか?)」「(敵に回しては合わぬ。しかし好き放題させておくわけにもいかぬ。近頃は上様もあ奴に惑わされておる。いざの時は……)」 当然牛若の存在は目障りだと思う者がほとんどであった。しかし妙な剣を使うし、切り殺される事を恐れ、正面切っての勝負は避けていた。 だが、すでに官僚たちの腹の声は地獄耳を持つ牛若には聞こえていた。「(何のための政治か、自分の事しか考えない奴らめ。たたっ切ってやる!)」 さっと立ちあがった牛若は、背から妖刀をするするっと出した。 その青と白に光る妖刀は皆を威圧するにた易かった。 一瞬にのけぞった一同に向かって牛若は言い放った。「わしは天皇の味方である! お前らの誰の味方でもない!」 官僚の中には後ろに逃げ小さくなる者もいた。「やはりな、お主な」天皇は一言発した。「お主とは?」牛若は問うた。「わしを守ってくれるのはお主しかおらぬと言う事じゃな」「そうですね」 牛若の言葉に手を叩いた天皇。「酒、料理も持って来い!」パンパン! 気を良くした天皇は追加の酒と料理を命じた。 ふと一人の官僚が妖しい動きをした。目配せで兵を動かそうとしたのだ。 その時、牛若の手に持つ妖刀は下から上に切り上げられた。シュバー! 青と白の光が妖刀の先から飛び放たれ、目的に向かい走った。 シュン!! 光は先ほどまで座っていた天皇の王座の真ん中を抜けた。 玉座は右左に転がった。周りの者は皆息を呑んだ。と同時に「出あえ!」「出あえ!」何人かが叫んだ。「天皇の王座を……、よくもやってくれたな」 この時とばかり、牛若を捕らえる口実が出来た。王座を断ち切るなど逆賊の他でもない。「謀反だ! 上様を護れ!」 官僚の一人が兵を出す命を出した。「家来でも護衛でもなんでも呼ぶがよい。そのくらい予測しておるわ。出して来てみよ。お前らも無事では帰れぬけどな!」 牛若の目は怒りに赤く燃えていた。 天皇が立ちあがった。「椅子くらい構わぬ! 牛若が何故にこれだけ怒っているのか解らぬか? お前ら金を追うては派閥じゃ領土の獲り合いじゃと勝手に争いばかりしおって。うんざりじゃ! 終いには命(めい)を下すぞ! どんな命か解っておるのか!」 一同は天皇の意外な言葉に『えっ?」』と動きが止まった。「牛若に〝皆殺し〟を命ずるぞ!」 ギョっとした官僚たちはうろたえた。「生き残りたい奴は出て行け!」 天皇は叫んだ。 その言葉に皆、すごすごと部屋を出て行った。 結局牛若が無礼三昧をしても誰一人として天皇を守れなかった。天皇はがっくりと力なく肩を落とした。〝信用できる者などいない。命がけで天皇を守るものは一人もいない〟と言う事を牛若は天皇に教えた。「飲め!」 牛若は酒を注いだ。「誰が出したのだ」「何?」「〝無礼打ち〟だの〝切り捨て御免〟だの、そんな決まり事を誰が作ったのだ」「う……」 牛若はものが言えないでいる天皇に詰め寄った。「わしがここで切り捨て御免で片っ端から切り捨てて行って良いか?」「うう……」 天皇は言葉が出ないでいた。「武士は偉くないぞ。農民たちが田畑を耕してくれるから武士らは飯が食えるのだぞ。どうして農民や民が無礼なのだ。なぜこのようなものができるのだ!」「……」 返事が出来ない天皇に向かって「取り消しにするか!」 牛若は聞いた。「そうしよう」 天皇は素直に従った。 その日より『切り捨て御免』の制度は無くなった。 しかし、『仇討(あだうち・かたきうち)』の制度は残っていた。 身内を殺された遺族は君主の免状があれば仇討が出来る制度である。「あだうちか……」 ある町中で睨みあう三人がいた。「夫の仇!」 頭に白い鉢巻きを捲き、襷(たすき)をかけ、短刀を構えていた女がいた。横にはまだ幼い女の子が――。同じように額に白の鉢巻きをつけ、短刀を握っていた。 二人の前にいる男は武士らしく、およそ女子供では勝てる相手では無さそうだ。「おい、あれは仇討ちだぞ」「おお!」 町の衆がぞろぞろと集まってきた。 その男は今にも腰の刀を抜こうとしていた。「もし……」 牛若は声をかけた。「は!」と振り向く女。「免状は持っていますか?」 その言葉に女は胸から君主の免状を出してきた。「おい(弁慶)!」 そう言われて弁慶は前に進み出た。 牛若は免状を確かめると弁慶に親子の援護するよう目配せをした。「助太刀は構わぬからな」 牛若の言葉が言い終わらぬうちに「やー!」――ブン! 弁慶の振り切った薙刀はた易く武士の首をはねた。 ドン。――ドサッ。「ええ?」「すごい」「一発だ」 周りの見物人は事の早さに大いに驚いた。「あの、だんなさま……」 女はうろたえていた。なにせ命を懸けて挑もうとしていた相手を助太刀とはいえ、一撃で終わらせてしまったものだから動揺が止まらない。 仇打ちの場面にちょうど通りかかった牛若たち。彼らの助っ人によって女は見事仇を取る事が出来た。「おい(弁慶)」「はい」 弁慶は女の元に行き、手を出して包みを求めた。 女は胸元から紫色のかきつばたをあしらった家紋入りの風呂敷包みを出した。 弁慶は打ち落とした武士の首をそれで包んで女に手渡した。 女は牛若の元に近づいた。「ありがとうございました。これで主人の仇を打つ事が出来ました。主人も思い残すことは無いと思います。今より城に向かいこれを届け、見聞して頂きます」「そうせよ、褒美をもらうが良い」 牛若はほほ笑んだ。 女とその子供は深々と頭を下げ、国に帰って行った。 牛若は寺に帰った。「おお、若様、お帰りなさいませ」「住職、達者であるか?」「寺も人は多く出入りし、檀家も増え随分賑やかな寺になりました。これも若様のお蔭でございます」「そうか」「あのような立派な仏様を安置させていただきますと今度は警備に力を注ぎませんと……」 金の仏像に今度は違った心配が出てきた住職であった。「おるではないか、警備は……」 牛若はにこにこしていた。「ああ、弁慶でございますか。確かに薙刀を振っております。しかしあの薙刀は堅固でございますな。一流の刀鍛冶の仕事と身受けます」「(それはそうだ、千本の刀の中から良い物を溶かして叩きに叩いたものだ)」 二人はにこりと頬笑み合った。ある日の事「弁慶!来たぞー! 飯食うたか?」 牛若は弁慶を訪ねた。「若!」 弁慶は嬉しそうに出てきた。その顔は腕が鳴ってむずむずしていた表情であった。「いっぺん勝負するか!」「はっ」 牛若に言われ、嬉しそうに答えた弁慶。腕を試したくて仕方がなかった所だ。 もちろん真剣で――。身がまえた二人。「参りました言うなよ弁慶」「はい、若!」「その時は死ねよ」「はい、若!」 試合が始まった。 ブン――、弁慶は思い切り長い薙刀を音を鳴らして振って来た。 キン! ガッ! ブン! ブン! キンキン!! 力を試す弁慶だが牛若一歩も引かない。僧侶たちは必至でそれを見ていた。「酒持て来い」 牛若は手加減用に酒を飲んだ。 弁慶の力とは、普通の人間がまともに受ければひとたまりもなく押されるが、牛若は内から出る妖力で戦う為、出過ぎる力を加減する必要があった。酔うたように身体を柔らかく揺らし、弁慶の薙刀をすいすいとかわした。 しばし剣を交えた後、弁慶に疲れが見えてきた。 牛若は左手を開き一瞬で弁慶の身体を止めた。ピタッと止まった弁慶の額の真中を人差し指でコンッと突いた。 すると弁慶はいとも簡単にころんと後ろに転がった。「へえ~」それを見ていた周りの者は驚いた。「今一度!」弁慶はまた向かってきた。 カンカンカン! 普通の刀で受けていた為、カーン! と牛若の刀の半分が飛んで行った。「たー!」 弁慶はこの時とばかり勢い込んで剣を振りおろして来た。 ブン! 牛若はサッと左手を突き出した。と同時に弁慶は何かにふき飛ばされるように勢いよく後ろに吹っ飛んだ。 どおん!「うーん……」 弁慶はその拍子にのびてしまった。 するとある者がやってきた。「わしが出る」 なんと齢七十の住職が前に出てきた。「う、なんと……」 牛若は困った。「転がすわけにもいかず……」「やー! やー! とー!」住職は自慢の薙刀で仕掛けてきた。 仕方なしに住職の剣を全て受け、疲れ果てるまで相手をした。が、やがてその時が来た。「はあっはあっ……、参りました、勝てません」 住職は降参した。「酒!」 牛若は縁台に上がると酒を飲みだした。「おい! 住職、飲もう! おい! 弁慶も飲め!」 そう言うと住職にも酒を飲ませた。「わっはっは……」「あははは……」 三人は夜更けまで酒を飲んで騒いだ。「良いか弁慶、今後とも人は殺すな。わしの許しがあるまで殺すな。わかったな」「はい、若」「弁慶には寺の警護をしてもらう。頼んだぞ弁慶」 住職はとても機嫌が良かった。 牛若が口を開いた。「弁慶の身体は人の二倍はあるゆえ、合う鎧がなかったな。穴のあいた銭を結んで作らせようと思う。待っておれ」 牛若の言葉に「いえ、若、わしに鎧など要りませぬ。わしの身体を射る矢も貫く刃もありませんわ。わしは剛鉄のからだゆえ……。わっはっは……」「剛鉄の身体か、わっはっは……」「はっは……」 今宵、久しぶりに酒を飲んで皆良い気分になった。 人を憎みながら生きてきた弁慶にとって、本心から安らぎを覚えるひと時であった。
2025.02.27
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家に帰って、深夜11時 思い起こしてみた。自分以外の物事に関して批判や愚痴を言うことについて……。「おなごは愚痴を言いたいもんなんだよ」と云ってみたが、よく考えれば、それを言ったところで本当に心は晴れるのだろうか? また同じ繰り返しをしてはいないだろうか……。 同じ場面が来た時、また同じ思いや過去を思い出すことで、不快な思いしか浮かばないではないか。この心地よくない不協和音は何なのか?一言では片づけられないが、〝個性”とか‶相性”なのだろうか。ここからご近所トラブルとかが起きている。誤解もある。もっと手前で回避出来たこともあるかもしれない。つまり、最初が肝心なのかもしれない。
2025.02.05
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YちゃんがSの゛告げ”をキャッチしかけてしばらくして、その後「(Eのこと)だってかわいいもん」からだった。Yちゃんは私とSの関係を面白がっていて、『通訳』的にいろいろ私に伝えてくれて助かっている。そこは「だって(Eは伝わらない)」ので、Sは随分助かっていることだろう。それから数年は、私とYちゃんの会話を見守っていたが、ここ最近は変わってきている。なにか物事の批判的なまた、悪口的な会話がYちゃんに異変を起こしだした。Yちゃんが喉に異常を起こし、話裏くなる現象……。結論は……”言わなくてよろしい”ということか……。私達に”もっと建設的に精神が上がる方向に行きなさい”ということなのでしょう。ぽつんと「わかりました」とYちゃんが言った。で…… 「そのつまらない話の内容ってなんだっけ?」には、、、答えは出てこなかった。やっぱどうでもええことなんやね。
2025.02.05
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少しでもほうれん草を採っておきたいと国府まで行き、1時間ほど採ったが、雪が降って来た。T氏の倉庫で荷造りをするううち、雪も止んできたので再開。100ほど採れたので撤収、そして出荷。寒い日ではあったが、つらくはなかった。(準備はおこたらなかった)次の日の今日、いけるかなと思ったが、雪が降ってきて断念。きっと「やめとけ」の合図であろうと、砂王に行くのをやめた。と言うのも昨日は雪が降る日であるというのに「やめてー。もちょっと採りたいので雪止んでもらいたい」と願い、思うように言った代わりに、今日降らないはずが降った……。と言うことで辻褄合わせた。昨日は素直に礼を言った。「ありがと水神さん。ありがとSさん」で、今日はおとなしく家にいて、Yちゃんを送り迎えの書物添削の日にした。(1時間しかできなかったけど)雪が降って来たのでYちゃんを家に送り、駐車した車で2時間も話し込んだ。ゴミ収集場が進んでいる話では「(はにわとか古代の物が出てくれば止まる)」というSの話をお思い出してどうにかならんか話をしていた。”あるのかないのか”聞いておけばよかった。そこで『祈り』と言うワードが出たよう祈り……人にでもなく、物にでもなく…… ”万物” と言った。
2025.02.05
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いよいよAmazonより作品の展示となります2024年12月25日発売 ”守銭奴 地獄の仕分け人は小さなばあさん”です長い事眠らせていた作品ではありますが、第二弾として第1弾はっしゃしま~す!協力してくださった佳江ちゃんと小川さんには感謝感謝です。そして見守ってくれたセリカと麦ちゃんとて今宵、一人晩酌ではありますが、三人でお祝いしてます。かんぱ~い!ありがとありがと「だら~~ッと終わる(出展しない)事もあるわな」と言うと、『徒労に終わる』と的確に言われた時にゃ、……「(やらないかんばい)」とおもたひとつ越えるとまたひとつ越えたくなってきた何かと用事はたくさんあるけどまたやってみたい応援してくれるってのはとてもありがたい^^次回よりO氏を例の世界へ引きずり込みたい25日6時よりお祝いパーティーがあるため、飲み代を稼ぐのに、国府に行って(出荷任されほうれん草)を採取する。ほうれん草はよく売れるんだこれが!……おふたりが食事代は割り勘にすると言ってきかない正確なため、苦肉の策!!一緒にほうれん草を採って売ってお金にしての稼ぎならってことで……私にお金を使わせまいとお気を使ってる……良い友だ……!さ、あすは寒くても頑張ろう、とりあえず100袋! 麦ちゃん一緒に行く?
2024.12.23
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『恵まれているように見えても無駄に生きとるふわふわでは罪浪費すな』ってことらしい私も苦労したと思うが私の場合、自ら選んでいったものだからゆーていくとこない後悔と反省と憤りが日々襲ってくる「(知っとんやから)Sがゆーとってくれたら」とつぶやくとジトーっと私を見る「『聞けへん』」とつっこみ Y 「私が睨んだんと違う」と……わかっとる「(私は)自分に素直やからな」とつぶやくと「『確かにな』」 Y 笑ろとる「私はどの時代もやんちゃやったらしい」するとすかさず「どの時代もかわいい」と、Yは言わされ「なんやなん!」といかり^^私たち人間は常に人を恨んでみたり、悪口を言ってみたり、愚痴をはいてみたりする私もしょっちゅうだでも思い出してみるとSはそれはなかったなあ私の嫌事全部吸収していたなあ人の悪口聞いたことないなあやっぱそれを〝高い〟と言うのかなあそういうところで「(S)かっこええなあ」と言うとにや~っと口が……そういう時はいつもYは口角を下に引っ張る(Sに抵抗している)SはYの体(又は一部)を借りて(できない私に)ジェスチャーしてくれるSは便利になったのでやりやすくYは今までにない〝(Sの)存在〟を面白がっている私はSとYの攻防がとっても面白いときおりYは突っ込み返すときもあるSも楽しんどるんやな私たち(Yと私)を出会わせる意味はあったのでしょうね
2024.08.22
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2024 8月20日佳枝ちゃん宅にて……NHK〝光る君〟について語り合った脚本・音楽・キャストすべてよくできてる大河をもう一度見直ししたのは初めて……よかった源氏物語を読もうと思った……が、原文(に近くても)きっと最後まで読めないと思うのでネットであらすじと登場人物を調べるだけで結構楽しい54帖いけそう〝守銭奴〟添削後作品の意味について話し合ったこの作品の中に何個か(6個?)意味が含まれているらしい読み手の感想知らしめることの意味私が書いた事でばあさんの人生を無駄にしなかったらしい前にSに聞いた時、ばあさんの事書いていけるのか聞いた時「喜んどるぞ」と言った普通自分の生きざまを、また幸せとは言えない・罪も犯した生き様を人に知れるの嫌ではないかと思い聞いてみたが「〝知ってもらう〟ということが大事なんだ」と言ったで、発表する気になったYちゃんも結構苦労・努力した方なのでふわふわ生きて来てる人を見ると「よほど前世で徳を積んどるのやなあ」と言う私がSから聞いた話は前(前世)の生き方はまた同じような性格で、生き方で、周りにも前と同じような者が集まるらしい〝〟
2024.08.22
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Yさんと筍の真空パックに行ってきた法事のお土産にあげるらしい帰り、(自然山で)日本一低い山(弁天山)に登山してきたすうねん前より、きれいに整備され、階段ができ、広くなり、手すりもついていたお守りが売られていた手ぶらでごめんなさいYさんちでコーヒーをよばれた(ここでは)わたしを中心に回っているらしいS・麦・T・Y……皆がそれぞれの役割で私の周りで協力してくれているらしいし、これからも……で、「だら~~っと終わるっちゅう話も、あるわな?」と言う言葉に『(皆が)徒労に終わる』とぼそっと……(爆笑)特に一番時間を取ってくれているyさんだなあ、前回『このままでは辿り着かん』と言われたばかりやらないわけにはいかんな「作家になったらTには手伝ってもらおうと思ってる」の反応にYさん目が赤くなったやっぱTも引きずり込むのかYさんが「仮名でもええじゃん、ペンネームでも、仮面ネームでも……」私「仮面被ってな」(頭から仮面被る動作付き)『ハア~』とあきれたらしいちなみにずっと守ってくれてたのに今回陽性だったのはわざとやな『今までは守りすぎて来たので、そろそろ人並みにいろいろ知ること』ですとええけど……今から?……。それでも見守ってくれてるのでS!どうもありがとうMちゃんありがとう^^
2024.05.07
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(甥)チャクラが開いている云々……を通して私に解ったか?私「解った」……「開けてくれ」Yさんの唇”ヒッ”っと引きつる(二回)5月2日前回貰った麦ちゃんへのおかきを開けて「家に帰って開けたげる」と言ってたのに忘れてて、Yさんちで出した「麦ちゃん食べよ」雑談後で、Yさんがお茶のお替りに行っている間におかきをしまう準備をして「(帰ったらまた開けるからね)」」そしたらYさんに訴えた「撤収された」Yさんそ~~~っとチョコを机に出したで、思い出した「麦ちゃん食べる?」と言いながら自分の口にケーキを放り込んだ速攻で訴えた「返事する前に食べるな!」麦ちゃんの突っ込みもさえている麦ちゃんの人形を作ったのだが一体作った後、しばし基本の本体を転がしておいたで、「作り切ってしまわないといかんわなあ」とつぶやいたら「ええけど、首と胴体転がさんといて」うん、前日、場所を動かす時、箱から首が転げ落ちたことがあった(作りかけだったのよなあ)そうだよなあ、首と洞が離れたままにしといたらいかんわなあ、てことで急ぎ3体作りましたとさ麦ちゃんにはいろいろ勝手してるけど麦ちゃんは怒らんなあ麦ちゃんごめんね、もちょっと気にするわねで、何時も見守ってくれてありがとう
2024.05.07
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もし人々が、自らの自由の為に何が必要なのかと把握できれば苦痛は伴うが、いずれその自由をもたらす行動の流れを描き出すことができる。そうすれば不断の努力の下に新しい民主主義的規律を模索しその防御に備えることができる。このタイプの闘争で得られた自由は永続する。自由を護り、豊かなものにすることに打ち込む粘り強い人々によって、それは保持されていくのだ。ジーン・シャープ川向の佳江ちゃんのお家へ行くと毎度ひと笑い(笑い話は絶えないが)して帰る 極めひと笑いである それが出ると納得して気持ちよく帰れる 過去のひと笑い集 「だってかわいいんだもの」 「開けてくれ」「できるか!」 「じゃ好きなこと望んでもええんやな」「まちがえるなよ」 手のひら出して「くれ!」「……(妙な反応)」 ……『……』帰ろうとした私に反応 『全部私(とは)違う』 『ケチルナ』 『ざぶとんわあ?』 「作りかけののフィギア作らないかんわなあ」「頭と胴体転がさんといて」 ……(電話がポケットに落ちてパチパチパチ)『面白かった』 前半はSで、後半は麦ちゃん 上からの一言は面白すぎ そいや 「麦ちゃん怒って来たぞ」 「何」 「(ピューって飛んで来たぞ、なんかあった?」 「んん?……ああ、さっき焼酎グラスこかした」 「それや」 ちびちび飲んでたんかなあ(怒ってSのとこ行く?^笑^) トイレの電気が付きっぱなしたり なくした鍵が帰ってきてたり 洗濯さおのタオルがまあるく濡れてたり ゴミ袋の中の缶が飛び出してくたり ホント楽しいわあ でも佳江ちゃんは良く言う 「わたしを通して言う、直接言うて!」 そら仕方ない、私がわからんから……助かります佳江ちゃん
2024.01.30
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はじめまして福澤克雄様私は四国徳島に住む村上惠美と申します。この度”MBS日曜日の初耳学”を拝見し”VIVANT”での裏話を拝見しました。VIVANTは大変すばらしい作品で、あまり邦画を見ない私でも毎週楽しみに拝見しました。登場には体が震えました。そしてお手紙を書いております。「”T倉健が天界に…”で、T倉健さんやってほしいな」……という思いです。この度、私が温めております”作品集(読み物)”が多々御座いますが、この度”閻魔なる者S”とのやり取り日記を同封いたしました。『ざしきわらし麦ちゃん』『守銭奴ばあさん』『マチュピチュ』『ネッシーは竜の子』などいろいろありますが、全部”閻魔王”なる者が教えてくれました。しかしなにせ私はずぼらなもので、書き上げきれません。でも内容は面白いです。知人の”閻魔王S”は何でも知っておりました。関西方面の住所であるため、徳島の方言を使っておりますが、ご容赦ください。(信じ難い内容ですが)会話自体は事実です。尚、私の作品『信長(閻魔)』もおすすめです。どうぞお楽しみください。
2024.01.16
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はじめまして役所広司様私は四国徳島に住む村上惠美と申します。この度”MBS日曜日の初耳学”を拝見し”VIVANT”での裏話を拝見しました。VIVANTは大変すばらしい作品で、あまり邦画を見ない私でも毎週楽しみに拝見しました。登場には体が震えました。そしてお手紙を書いております。「”T倉健が天界に…”で、T倉健さんやってほしいな」……という思いです。この度、私が温めております”作品集(読み物)”が多々御座いますが、この度”閻魔なる者S”とのやり取り日記を同封いたしました。『ざしきわらし麦ちゃん』『コロッセオ』『マチュピチュ』『ネッシーは竜の子』などいろいろありますが、全部”閻魔王”なる者が教えてくれました。しかしなにせ私はずぼらなもので、書き上げきれません。でも内容は面白いです。知人の”閻魔王S”は何でも知っておりました。関西方面の住所であるため、徳島の方言を使っておりますが、ご容赦ください。(信じ難い内容ですが)会話自体は事実です。尚、私の作品『信長(閻魔)』もおすすめです。どうかお楽しみください。
2024.01.16
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今日も叱咤激励してもらいにYちゃんちに行ったお土産は大根・ネギ・ブロッコリー(頂きもの)それからお寿司類(出戻り)それとねこちゃんのご飯ねこちゃんらの歓迎を受けつつYちゃんち宅へ……書き物や家の事情やいろいろ話して、私の病気を治してもらうべく方法を導いてもらったSにアドバイスとヒントを求めた途中、話が反れてしまった何だったっけ?Sはズバリ答えというか、考えが飛んでくる事もあれば、話し上手でないため説明ができないこともあり、Yちゃんの読解力に掛かること多し今回は真剣だったのだけど、話が反れちゃった宇宙の話は書くな→話も歌も店名も重い→歌のうまい下手の話→ここらへんで気づいて……なんだったっけ?結局なんだかんだでYちゃんが答えを導いてくれた朝仕事をする→(Pはやめる)→帰ってきて書き物をする書き物は章ごとに書き上げて行って、後に入れ替えるなど仕上げる先ずは進めよ!やらねばな!!出来上がり調子に乗ればどんどん行きますで、印税の世界になればYちゃんに恩返しします(そこで麦ちゃんがちょこっと来たそうだ、麦ちゃんも一緒に住みたいのか?……うふ……)それまで協力お願いしますフレーフレーえみちゃん!!
2024.01.08
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今日も続けて足ふきマット類6枚ほどを庭の竿に干した。2日がかりだ。夕方取り込もうとマットを洗濯かごに入れようとしたら、窓に一番近いバスタオル(足ふき用)の上部が濡れている。ほかの分については乾いているのにそれだけ上から水を掛けたように丸く濡れている。なぜに?量は200CCくらい掛けたかなって感じの濡れよう。”これはなんかだな”ってことで早速佳枝ちゃんにTEL、そして説明。「ん?ちょっとなんか来よる」「(やっぱ?」「麦ちゃんやな、なんか言いたいことあったかな」心当たりと言えば昼頃インターネットで麦ちゃんのフィギア?(人形)を作ろうかと思い材料を探していた。で、”ペグ”といって工芸用の人形の型を見つけた。それを購入を考えていたが、いつのまにか違うサイトでなんか検索市ながら時間が経っていた。その後洗濯物を取り込んで、あれあれ?となった。濡れた原因は麦ちゃんがどこか水遊びをしていて(寒くないらしい)、私が麦ちゃんを意識したので飛んできて、タオルの上に座って見ていたという事らしい。「ちょうど麦ちゃんを作れるサイズの座った状態でつくれそうなペグという工芸用の型があったので購入して、着物を着せて…足の部分は要らん座っているので、編み笠を作って…」と、佳枝ちゃんに説明の途中で「くく……”座布団は?”と入ったよ」と佳枝ちゃん。「座布団はもちろん作るよー、難しくない」「いきなる来るわ」「かわいいなー麦ちゃん」「20個ほどあるセット(同じもの)にしようかそれともいろいろある……」と言いかけて「私の!」とか?なんか入って来たので「わたしの作品には他のキャラクターとかもあって、作ってもいいかなと…。え?20個全部麦ちゃん?」と聞くと「そうでもない、理由を聞いたらOkだったらしい」てことで、今日発注するからね。佳枝ちゃんの審神者(さにわ)法は、「あっていますか、これでいいですか?」って聞くのに相手がセリカと麦ちゃんは反応がかなり速いようだ。で、いつも佳枝ちゃんはププッって笑ってから私に説明してくれる。私たちの電話は局を通して、電波塔を使って通じるけど、麦ちゃんらは”直”で来るらしい。今日の反省「麦ちゃんは外で物干し(狭いのに)から見なくても入ってきたらええのに」と佳枝ちゃんに言うと「”入ってきい”って言えばいい」と教えてくれた。そうだった。…反省。それは聞いていた。毎日声掛けしてあげる事。それにどんどん話しかけると、何か反応があるかもよと…。そうそう……。昔(3年程前かな)物干し竿の一本だけ(二本あるのに)が微妙に上下に揺れていたことがある。「”何か意味があるんだろうな”と、録画したが意味は分からないまま。それを思い出した。佳枝ちゃん曰く、「セリカの反応…何か伝えたいことがあったけど、ずいぶん前の事だし…。」そうでしょうね、そんな感じ…でもその頃は佳枝ちゃんとそういう話はしていなかったし、相談できる人はいなかった。今回わかってよかった。ほんと佳枝ちゃんの存在はありがたい。今後もよろしくです。
2023.12.27
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昨日は佳枝ちゃんに来てもらって私の書き物の添削をしてもらった。少ししか進まなかったけれど学びはあった。さすが文学少女だった佳枝ちゃん。小説の書き方をよく知っていて、かなり訂正した。なにせ私は読書は苦手で大抵途中で眠くなり投げだす。まともに読んだ本と言えば、”ハリーポッターとアズガバンの囚人”(だったかな?)くらいで、あと最後まで飛んだのは”人生がときめく片づけの魔法”……あれ、やっぱ魔法系が好きかな。本を読まない私が本を書くって……。セリカがいなきゃそれはなかったな。昨日は佳枝ちゃんにいいこと言ってもらえた。「守銭奴は重い作品だけど、いいのかな(佳江ちゃんは苦手分野の内容なのに手伝ってもらって悪いな)」とためらう私に「確かに重い。でも本人(たみさん)が喜んでいる。自分の生い立ちや思い、誰にも言えなかったことをわかってくれる人がいるということに嬉しさがある。出してくれてよい。私(佳枝)は天界でのたみさんの活動が救われる思い」と……。そいやセリカが言っていた。「”ありがとう”言よったぞ」表に出すことをいやがってはいないようで、安心はした。ではたみさんのために書こう!
2023.12.27
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あの『(スーパー)あべ』で二人で買い物尻くらいある白菜4個750円・足ほど長い大根6本750円・腕ほどある人参5本200円あとトマト・きゅうり・きのこ他いろいろ買って二人で分けた。返り吉野家牛丼何とかセットをお土産し、佳江ちゃんちで食べた。お互いの家庭用にヤンニョムチキンをおみやした。おいしく頂いた後、コーヒーを飲みながら、会話。「私が例のおうちに長らく通ったのは、私の成長(勉強・学び)の為やったんやな」の言葉にすかさずSの《言うとるやろ》が入ってきた。Y曰く、Sは私に成長と覚醒(?)を希望していて、何時も心配しているとのこと。結局いつも私がまじめに捉えないのでSは《ハア~~》と溜息をついているようだ。そいやほうれん草行く前にSが住んでいたアパートの前を通ったのでYに「ここ前にSが住んでいたアパートがある」と言うとYは「ちょっと熱くなった」と言った。Yは感受性が高いのだなあ。もういなくなって6年半断つのになあ。5時前になってYに「そいや麦ちゃん芋好き?」て聞くと麦ちゃんが《今!?》って返し。前日に芋を焼いたので「麦ちゃんも食べよ~」って用意し、好きかどうか今度会った時Yちゃんに聞こうと考えていたが、麦ちゃんの返しが面白かった。朝の時点で、Yが「麦ちゃん今日はほうれん草取り寒いので車におりよ」と声を掛けていた。その時点で私が芋の話とかして麦ちゃん話題にいってほしかったようだ。なのに、私が帰る寸前に思い出したかのように「麦ちゃんは芋好き?」ときたので、《今言う?》Y曰く、芋は嫌いではないがあの時話題にしてほしかったのだそう。Yに大うけ!!Sとよく似て、突然来るのが結構楽しそう。普通は伺いを立てて言葉を探して「間違いないですか?」って聞くらしいのだが、Sと麦ちゃんは感情がいきなり来るので結構戸惑い、「くっくっく」と笑いながら説明してくれる。「知らんがな!」と言いつつ結構面白がっている。私としては大変助かっている。なにせ彼らの言いたいことが私には分からなくて、Yちゃんを通して伝えてくれるので、良くわかってよい。そして確認出来てとても助かる。「やっぱそうだよな~」ってよく思う。ところで一昨日家にはいる時、鍵が開かなくてあせった。裏のカギを持っていたので入れて、確認したけどなんでもなかった。不思議!まいっか!
2023.12.08
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8月10日仁田洋輔さんに会って作品を返してもらうことにしたお盆を挟みたくなかったので最速の日が10日だった嵐だった駐車場のないビルに向うのに駐車場探しやっと見つけて車を降りたら大雨!暴風!交差点を渡るのも一苦労「こんな日に歩いている人なんかいねーわ」傘が飛ばされそうになりながらなんとかたどり着いた時には全身ビッショビショ仁田さんに会って、立ち話をして、無事作品を返してもらって靴をぐしゅぐしゅ鳴らしながら帰りました帰る途中、母の件で市役所によって介護のパンフレットをもらうため、その部署に行った内容を聞いて納得して裏口に向って歩いていると、なんかぐちゅぐちゅ音が鳴っているのに気づき、足元を見ると、靴跡が水で濡れていた。まあ、靴がびしょこはわかっていたが、布ネットの靴なので、中身(中の水がネットから噴き出ていたのかねえ)歩いた等間隔に濡れていた。_なんかすんません。
2023.08.12
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先日、いつもの黄コンテナを運んでいて、玄関のドアを開けてそのまま(両手でコンテナを持ったまま)すり抜けようとしたら、目測を誤り、ドア枠に中指がグギっとかすった。「痛でー!!」って思ったが、荷物を離すわけにいかず、そのままコンテナを車まで運んだ。その途中、右中指の甲のあたりを除いたが、へこんでいた。何とか血は出ていなかったが、血管が透けていた。荷物を車に乗せ、急ぎ応急処置をしに家に入った。その途中左手で右甲に手を当てた。(手当って言うじゃない)「ん!」って気休めの『気』を入れた(つもり)。早く治れよとばかりに……。で、傷テープを貼った。一時間後、よしえちゃんが来て、いろいろ話をした後、「これ見てみ~」って言って、傷テープを剝がし、よしえちゃんに指を見せた。すると「あれ?」なんともない。よしえちゃんも「なに?」ってかんじ。いや確かにあの時、深さ1ミリ長さ1センチほどグサリとへこんでいた。今頃ぶっくり腫れるか、真っ青になっているはず。「痛そ~!」って言ってくれるはずだったに……。どゆこと?うっすら皮が1ミリほど剥けていたので、ウソはついていないことは信じてくれてるようだが、「不思議ねえ」と笑っている。絶対痛いはずのそれはそう痛くもない。……いったいどういうことだ。あれから2週間ほどになるが、そこは1ミリ×3ミリほど白くなっている。傷の後だ。痛くもなく傷跡だけ残った。思い出せばそんな不思議なことはあったっけ。子どもの頃の額の怪我の治療も麻酔なしで痛くなかったっけ。もひとつ額の大やけどの手術も痛くなかったっけ。ときどきあるのかな。
2023.08.12
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今日Yさんちに行ってちらし寿司をあげたYさんは”希望”が気になっていて、「希望と望みは違うんよ」「望みは己の分、希望は己以外」ということ」を言っていて、その答えを私から引き出そうとしていたが、私が答えを探さず、「ここ涼しいなあ」とか「ねこちゃん!」とか集中していなかったものでYさんあきれていた「それでは出て来ん」い一生懸命引き出そうとしてくれていたが、「その時」でないのか、私が上がっていないのか「なんも感じん」と温度に差があった私としてはYさんが一生懸命語ってくれていたので、こっちも懸命に聞いていたが私の生命は「休んでいた」Yさんはがっくりこんしていたなにせ私の中では”私の(希望)望んだもの”というより、”私が人の希望になる”ってことらしく、テンションはあまり上がらなかったつまり人のために生きよってことざんしょ?そういやSは人のために生きていたなあ私はそんな使命は感じたことはなく、人から言われてというより、自分から進んで楽しんでならやって来たけど……どんなんだろうまだやんの?って感じで、たぶん今まで一人ひとりより、幅も広く遠い予想がついて「はい!やります!」とは言い切れなかったでもやん(る)のだろうなあYさんと話し合いの結果結局動いてみなけりゃ先が見えない少しづつでもやるしかないかそれが私にとっても”希望”なのかねえ
2023.07.04
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先日Yさんちの応接間でYさんと二人で語り合っていた私の”書き物”についていろいろ……その前にマックでセット4人分購入Yさんの旦那さんと息子さんは台所でビックマックを食べてもらって、Yさんと二人は応接間で話しながら照り焼きチキンとフィレオフィッシュをそれぞれ食べた私の話になったとき、Yさんは「何か」を言おうとしているが、答えが見つからない長々話した後、Yさんは「それは決して絶望ではない、希望がある」と言ったので、思い出した”希望”といや、昔書いた閻魔とアイリスの話閻魔の後ろに”パタパタ”と飛んできたアイリスに閻魔はこう言った「望みは?」アイリスのその返答が「希望」だったそれをYさんに伝えながらなんかぞくっとしたYさんも「それ!」と言った希望かあ「私(自分)の為に希望してええんかのう」と言ったらYさんがうつむいて「クッ……」となり「”まちがえるなよ”と言っている」と「かハハハハハ……あいつはそれ言うわ、おっかし~~«*^●^*»」なんや自分の望むことちゃうんかい
2023.07.04
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今日も産直お休みの電話をかけようとしたらケータイがない家電で鳴らしても鳴らない、車に行っても鳴っていない最終掛けた電話はデュオなので問うたが……ないこりゃ大変だ「思い出せ思い出せ!」「麦ちゃん頼む!」とつぶやいたら「思い出した!」最後に掛かってきた電話があった家が最後……てことは敷地内、ちょと安心家電でケータイにかけながら離れの建物に……(昨日電話しながら”離れ”に行ったのを思い出した)……すると……フフフ……なっちょります、元気よく^^おうおう、ここに置いた、ちょっとした収納箱の上に置いたわよかた~~(^^♪ケータイは大事、ないと相当困りますGPSも必要かなあ記憶に自信がなくなるお年頃いや……私自身にGPSが必要なんだな
2023.06.29
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27日は雨そして停電28日は雷雨27日は家を出ていて知らなかったが一時停電していたようで帰宅後のシャワー時わかったそういえばテレビのタイムシフトも一部視聴できない28日は結構雨降った雷もバンバン鳴ったその時私は書き物を読み返して、プリントアウトしていたあまり激しい雨なので13時5分前窓を開けて叫んだ「S!えんま!(雨)止ませられるもんなら止ましてみろ!晴らしてみろ!」するとだんだん空が明るくなって、そして太陽が出てきたで、出かけたまずポニーに会いに行って、レタスときゅうりをあげたいつものように駆け寄ってきておいしそうに食べてくれたそして猫がいるところに行ってエサをあげたいつもいる黒猫3匹は出てきたが、白のお母さん猫はでてこなかったちょっと心配そして、友人宅へ行ってきゅうりをもらって、先日ご近所さんから戴いていた梅(生)をあげたその後デュオへ行って買い物をし、Yさんとこに寄ったこれは報告しなければとYさんは左肩を抑えながら出てきた何やら私が訪ねる少し前から急に重くなったと……アポをとる電話の前から調子悪くなったとかYさんは感のある人で私が訪ねることを察知していたが相当重く辛そうだった肩から首そして胸のあたりをさすっていたこれは私のせいだと思い、私は右手で手を当てたYさんは少し楽になったようでそれからこの現象の解明をした「天界の事は書くな」とSにいわれていたが、どのぶんだろうかYは「出してほしい」という気持ちと「見られたくない」という気持といろいろある」と言った確かに今回はたくさんチェックした(上で)よろこんでくれた者もあるが、そうでないのもそりゃあるでしょう(「信長」のぶんが長く費やしたなあ)「そうだ!!〇姫だ!」と叫んだら「それ!!」Yさんはうつむいていたが、大正解だったようだ……そうか、彼女の事は”良く”は書いていない彼女の心情を表現していないなYさんと二人で時代、そして彼女のおかれた環境、心情を語り合っていたするとYさんの重いものが取れてきたらしく「楽になってきた、あなたが来る前から重くなってきて耐えられんほどだった」と言うそれは申し訳ないなあの物語がSの言う通り表現しても女心としての観点があるわけだよね読み物があのままでは納得できないちゅことだったわけこの出来事はYさんと二人で解明した感のある私と感受性の高いYさんで一旦解明したそして次回書き直しだそれにしてもすごいな、さすがだな、彼女のパワーたるや、激しい雷雨ののち、Yさんに体の変調を起こさせるとは……雷雨はSのせいではないとわかっていたが、晴らしたのはSだ「晴らしてみ!」と試したので、意地になってやったと思う「それくらいできるわ」と……そして、二人で解決できると思ったでしょうね(なら、当時ちゃんとやっとけ!)でもま、Sは私をずっと守ってくれてるんやなあありがとうね^^今日からまた書くけど頼むね「天界の事は書くな」という意味わかった気がするこれからは注意します
2023.06.29
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洞窟の中は自ら光をもつコケがキラキラ光っている。そして人より大きい緑の葉が茂り竜はそれを食料にしているのだろう。とぐろを巻いて横たわっている竜の腹回りはゾウより太い。その後ろには金属の宝箱がある。「海賊が宝を隠す宇宙版やな」竜が宝を守っとる。剣のような鋭いうろこを持つ。わしは奴の頭に飛び乗って寝るまで待った。しばらくして頭がドスンと落ちた。奴が寝たところでワニのような尻尾をつたって降りた。後ろの物を見た。金属の高貴な宝箱だ。そのふたを開けると金属の鎖のついた手のひらサイズのメダルが入っていた。そのメダルの裏は金のようでピカピカ輝いていて、表は黒、その中央は金の六芒星のマーク(のような)。その真ん中は紺に近いブルーの丸い石が付いていた。そのメダルのふち一センチくらいの幅で文字がぐるっと刻まれていた。「なんて書いてあった?」「わからん」「銀の竜は起きたら耳が立つ。寝たら耳が垂れる。そしていびきをかく。ガオーガオーって、ほんで、耳が立ってきたから、あわてて帰ってきた、ははは……」
2019.02.12
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「ネッシーておる?」「ネッシー、ようけおるよ」「寿命は?」「寿命……1000年くらい生きるんちゃう?大体水の中でおるどな」「北欧に湖いっぱあるよなあ」「だいたい中(水中)でつながっとるからな、水底の中の洞窟みたいなところでおる」「何食べてる?」「草みたいな……夜中に上がって来て草食うとる。洞窟のコケも食うとる」「洞窟て、光入るん?」「入っとるなあ、空気もある。コケがキラキラ輝いとった」「あの姿で暮らしてる?」「いや、脱皮するんや、脱皮して龍になる」「えええ?龍?どんな脱皮の仕方?」「首の後ろがびりびりびりって縦に裂けて、バリバリって脱ぐ」「すごいじゃん」「でも失敗する奴もおる、命がけや」「この間洞窟が壊れてな、子供のネッシーが閉じ込められてヤバかった」え?大丈夫やった?「ああ、入り口壊してなんとか助けたった」彼らは後に皆、竜になるん?「いや、全部はなれん」竜は何色?「銀のと、金のと、蒼いのと、ああ、プラチナもおる……少ないけどな、いろいろなレベルがあるんだ」「この間洞窟見に行ったら銀のドラゴン?龍?……おってな、何か守っとるんや、後ろに……何かある。でも危ないんや、うろこが一枚一枚『剣』でな、登って行ってヘタしたら切れるぞ、で、奴が眠るのを待って見に行った」見れた?「ああ、鎖付きのペンダントやった」ペンダント?「ああ、あれはtera(地球のことをそういう)の物ではない」
2019.02.11
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私は織田信長の書き物を書いているが、中途半端位なって後悔しているもっと聞いておけばよかった自称信長のアイツに……アイツがいなくなって4か月が過ぎたテレビでは切れることなく信長の話題を振りまいている「ちぃおっと違うなあ」とか「全然違うよ」とか突っ込みを入れながら見てる先日は信長の身長を170センチなどと勝手に発表している者がいた例の教科書に載っている信長像の着物の襟から割り出したとか…その計算が合ってるかどうかはわからないがそもそも教科書に載っているあの信長絵は、まったくの別人だって常にいつの時代(に生きてきて)にもすべてワンレングスのヘアースタイルで過ごしてきた彼は、ちょんまげなど結わなかったつまりあれ(あの絵)は、影の者の一人だ信長がいつの時も欠かさなかったという酒を手に持って描かせていれば、それは本人だったかもね身長は低かったはずその理由は、身軽に動きたかったため小さい体を選んだと考えられる細くきゃしゃな信長だったが、フロイトの手記に信長の背丈は「普通」と書いたヨーロッパで言う普通なのか、日本の普通なのか……さてどういう意味?だって、魔王が「きゃしゃでちっこい体」とまともにフロイトは書きにくい「普通」が無難…てことね私は……信長とあやの対面の場面がいっちゃん好き!
2017.10.04
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はるか遠い昔Sがこの星に降りてきたときSの衣装の裾をつまんだ妖精がいたそしていしょに地上に降りてしまったその妖精の名はRRは林檎ではなくももを食べたのだ
2017.09.09
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またミサイル打ちよった一発づつなら破壊されてしまうよな自分から攻撃することは絶対ないけれど、自分または自分の大切なものを傷つけたらただではすまん
2017.08.29
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Sがいなくなって早や3か月が経つふと喪失感に襲われるテレビのニュースや番組の放送を見ては聞きたいことがあるって言うのにいないんだものなあ何でも答えてくれたS、今までわからなかったことがジグソーパズルのピースが埋まるように話がすんなり収まって、すっきりとした思いがしたものだ「何が聞きたい?」Sはいつも優しく耳を傾けてくれたけっしてわかりやすい答え方ではなかったが、懸命に理解しようとしたあの頃が懐かしいSは「自分は死なない、死ねない」いつもそう言っていたでも肉体は限界を超えていた、持ちこたえられなかったと言う事か……Sは人間ではない……そう思うSの生誕は昭和37年、四国のある山間のある町……となっているが実は、ある高位の方とある女史との間の落とし子であったどちらも育てることはできない事情があったと考えられるそして何かの縁で神戸に住む、後の母となるある女の人に預けられた男の子は竜生と名付けられたその母の所に転がり込んできた男が後の父であるつまり両親とは血はつながっていない年末に博打に負けたおけら野郎、そして金のむしんに来られ断り切れなかった優しい女、それから三人の生活が始まった二人は籍を入れ自分たちの子として育てたが、竜生は戸籍には入れられてはいなかったやがて二人の間に男の子が生まれたその子を長男として戸籍に入れたそして夫が四国の実家に戻る際、竜生は次男としてやっと戸籍に入れられたそれは長男直輝が生まれてから3年が経っていたつまり「神戸で長男を産み、三年後次男である竜生が生まれた事をきっかけに四国に戻ってきた」と言う設定であった一家4人で父の実家での生活が始まった先に生まれながら年下の直輝の弟として過ごす竜生であったが、食が細く、直輝より体が小さかったため世間の誰にも怪しまれることはなかった竜生が生まれた直後「この子泣かないわ、先ほど呼吸が止まっていたし、生きられるかしら」看護婦は未熟な赤黒い子供を前にして半分あきらめかけていた赤子はお尻を叩かれるのは痛いくていやなのか、仕方がなさそうに、うぎゃっと小さく泣いた「泣いたわ、大丈夫ね」一同ほっとした風に産湯の支度をしだした竜生は生誕地も生誕日も両親も兄弟も違うところにあるすべて合っていない戸籍を持ちながら育っていった竜生の体は痩せていて丈夫そうには見えなかった2歳頃まで言葉をしゃべらなかった発達障害?母親は心配して病院に連れて行った「問題ありませんよ、そのうち話し出します」医者の言葉に母は安堵したように胸をなでおろした母はいつも竜生を心配し何があっても味方であった竜生は痩せていて、うつむいて過ごす大人しい子供であったストレートの肩にかかるほどの長い髪は気味がる子もいた幼稚園に入ってもあまりしゃべらない竜生は、体が小さいこともあっていじめられることがあったしかし竜生はけんかに負けたことがない竜生の体に触れようとする者は、ダーンと遠くに吹っ飛ばされた「せんせーい!」飛ばされた子供は泣きだすが、竜生はいつも知らぬ顔をしていた「あくまー! えんまー!」気味の悪い子供として煙たがる子もたくさんいたしかし竜生にとって友達の必要を感じていなかったので一人でいる方がよかったある日の事、同級の女の子が指に怪我をして泣いていた右指を草で切ったようであったそれを見た竜生は後ろから近づいた女の子ははっと振り返った長い髪がサラッと揺れた女の子は恐れの目をして竜生を見た竜生は目を合わせず、立ち止まって、少し右指を動かし、すぐそのまま立ち去った女の子はきょとんとして竜生の後ろ姿を見送ったそして「あれ? 治った! 」傷があともなくなくなっているのに気づいた子供たちの間で騒ぎになった「本当に怪我してたってば」女の子はあわてながらも、また竜生の後ろ姿を見送った小学一年に上がったとき、標語を考える時間があったしんごうは右左右みて とかおうだんほどうは手を上げて とかごはんのあとははをみがいて とか、皆が提出する中竜生は『一日一善』を出した一日一善とは、一日に一つ善いことをしようと言う標語それを見た担任は「嘘だろう?」と言うような顔で「お前誰かに教えてもらったんだろう?」先生は竜生を問い詰めた「自分で……」竜生は信じてくれなくてもよいと言う顔で横を向いた先生は怪しい目つきで竜生の標語が書かれた紙と竜生を交互に見ていた月日が経ちある標語がテレビで全国放映された「一日いちぜーん!!」竜生にとってぜんぜん知らないおじさんが元気よく言い放っていた「誰だあいつ?」竜生が考えたのに無かったことになっていた一日一善……この標語は日本中にヒットしたある日の事授業で運動会用のお面を作ることになった前日、生徒たちは先生に輪ゴムを2つ用意するように言われていたしかし竜生は用意できていなかった「そんなものあるか! 学校で用意してもらえ!」竜生は父には突き放すよう冷たくあしらわれていた当日、仕方なく輪ゴムなしで登校した竜生相変わらず長髪で前髪も長く垂らし、うつむき加減で過ごす竜生は人をあまり受け付けない変わり者のイメージがついていた2時間目、皆は犬や猫やたぬきなど思い思いの顔の絵を描いて動物お面を描いたそして動物の目の所に穴を開けた。それと面の両端に穴を開けて輪ゴムをかけるとそれぞれのお面が出来上がった竜生はというと、まずゾウの顔を描いた。ゾウの目は開けたが、輪ゴムはない彼は画用紙を長さ30センチ幅3センチくらいに切って、灰色に塗り、しわを描いてぞうの鼻を作った。そしてその灰色の紙の端をゾウのお面の真ん中にのりでくっつけた。その紙を頭にかぶれるようにくるりとわっかにしてお面の真ん中に持ってきてのりでくっつけたつまり頭にかぶせるわっかをゾウの鼻で現したのだ竜生は黙々と作業をこなし、輪ゴムなしでお面をかぶることができた「わー ぞうさん、かっこいい!」「竜生ー、いいなあ、どうやって作ったの?」「私も作ってー」それを見た担任は竜生のアイデアに、一年生のできにしてはおかしすぎると思い、竜生を疑いの目で見た先生のいぶかしげる表情をよそに竜生は一気に人気者になった竜生は授業をまともに聞かなかった勉強はつまらなかったが友達が寄ってくるようになり、楽しくなったのか遊びに行く気で学校へは通ったあるテストの日竜生は居眠りをしていたテストの時間内ずっと寝ていたしかし回答は全部書かれ、全問正解していた男教師は「ウソだ!」憎らしいというような苦々しい顔をしていた「おかしい、あいつはどうなっているんだ、まともに授業を受けていないのにテストは満点……しかし、先日のIQテストは普通だった……わからん」竜生は片方の口角を上げ鼻で笑った「先生などにばれるようなことはせんよ、IQテストは調整しておかないと(わけわからん組織に)捕まる、でも寝てるときは勝手にペンが動いて書いてしまうので試験は気を付けねばな」竜生はもしかして不思議な子供? と思われつつ、まさかそんな……見間違いだろう、ありえない……と思わせつつなんとか学校生活をこなしていった
2017.08.29
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その昔空中爆破を起こした宇宙ロケットがあった。日本人宇宙飛行士もいて悲惨な話ではあった。「いらんことするからや」Sは履いて捨てるように言った。政治家らは宇宙にステーションを置き、有事の際自分たちだけ助かるため避難場所を確保しようと考えている。なのでロケットを破壊した……らしい。今も懲りずに作っているとしたら、それはえらいさん方用の避難地だよ。でもそれはSは「許さん」て……。「ロケット」「ミサイル」等……点火で瞬時にわかるんだとさ。今日も発射してきたミサイル。今日も失敗だったね。
2017.08.29
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「信長あらすじ」の目次〇鬼の子吉法師(1~2P) 信長は人質として斎藤道三にさらわれる〇うつけもの吉法師(2~3P) 吉法師はきっぽうしではなくきちほうし、その訳は名づけの折、道三が「気違い法師とでも名付けよ」と言い放ち、哀れに思ったじいの武井夕庵(たけいゆうあん)がきちほうし(吉の法師)と幼子と道三の両方をおしはかって付けた苦肉の策の名前である〇宝探し(3~4P) 信長はいち早く佐渡島の金鉱を見つけると5年で掘りつくした。例の貝を立てたような山は金の堀り跡。現場でやっていた金の加工時のかけらは、信長は細かい金は捨てていた。現場に残されたかけら(砂金)は上杉家が管理したが、おいしいところはさっさと信長が持って行ったあとである砂金とは最初から川に金の砂があったのではなく、金の採掘の際に出たかけらである〇天井裏(4~5P) さる(後の豊臣秀吉)との出会い天井裏に隠れていたさると信長の対決さるの生い立ち(さるが「すて」と呼ばれた訳)〇草履とり(5~6P) さるが信長の草履を胸で温めていた話はさるの作り話信長を怒らせ危うく殺されかけた〇甲賀の里乗り込み(6~8P) さるが幼いころ拾われ暮らしていた忍者の里へ信長が出向く(後に信長はさるの母親を見つけ出し会わせてやる)〇あやとの出会い(8~10P) 運命の娘あやとの出会い知られざる信長の真実の愛、唯一愛した娘の名はあや〇蘭丸姉妹(10P) 蘭丸は森家(男は生まれなかった)の双子の姉妹、男と偽り育てられた〇濃姫との対決(10~12P) 側室たちの命を狙う濃姫と信長との対決元々まむし(道三)の娘、濃は信長の命を狙って嫁いできたが、稟議激しく側室たちへの毒殺を謀っていた 〇怪しき者(12~13P) 信長は常に命を狙われていた。なぜ信長が目立つ派手な衣装を好んだか……。信長は二つ取っ手が付いた酒飲み碗(マグカップのような)を作らせていた(訳は……目が悪かった)〇比叡山延暦寺(13~16P) 腐れ切った寺の坊主の一掃「尾張は豊かな国らしい!」難民のように尾張まで民が押し寄せてきた〇別れ(16P) つくしてくれたじいと蘭丸とのいとまごい ●歴史に残っていない事実 〇信長から仕掛けた戦は一つもない〇信長は天下統一に興味はない〇信長は唯一、一人の女性(あや)に純愛をささげた〇あやが馬に乗りたがるので、当時下着の無い時代に下着(絹のももひき型とゴムがないのでヒモパンティ)を作らせた。それが町に流行した。 〇敵に塩を送ったのは信長〇信長は舶来品が好きで、オランダ商人のくれた大きな置き時計とサファイヤのネックレスと万華鏡が気に入った●他たくさんの逸話あり
2017.06.13
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Sがいなくなったのでひとりで書く
2017.05.30
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信長鬼の子吉法師 パ――ン!ガラガラガラ!パ――ン!その夜、いかずちが日本国中を轟かせた。 未だかつて誰も知り得ない雷が空を昼間のように明るく光らせ、耳をつんざき、肝に重く響いた。 バラバラバラ…っと雷と同時に何万何十万という鳥の大群が明るい夜空を舞った。その鳥は真っ白なコウモリであった。それは天に昇る龍のように空を駆けた。そしていくつかの塊になり、光の合間をすり抜け、目的の地へと鋭い速さで突き抜けて行った。 それらこうもりたちの足には紙が握られていた。しっかと握られた紙は各武家屋敷内に飛び込むと、それを投げ込んでいった。 異様な鳥の翼の音に武家屋敷の者が障子を開けた。 「何の騒ぎだ?」 「どうなされました?」 ふとそこに落ちている紙に気付いた主はそれを手にした。 「何か書かれておる」 主は急ぎ開き、そして静かにその文を読んだ。「んん…んんむ…」と、ただ唸っていた。 白いコウモリは静かに去って行った。備前(岡山) 時を同じくして、ある屋敷では、薄明かりの中、若い女が出産を迎えていた。それは息絶え絶えにわが子を案ずる母親の顔がそこにあった。 「はあ…はあ…」 「姫様、もう少しです!」 「はあ…はあ…あー」 「姫様!もう少し!」 「う~~~…」 「姫!……」 「ああー…うー…」「ぅ、生まれた!生まれた、姫様!おの子です。おの子…あ!」喜んだのもつかの間、一瞬空気が沈んだ。「…死産?…なんと…なんと…おかわいそうに…」 産婆や伴共の落胆の空気の中、母親の枕元に寝かされた赤黒い塊…それは産み落とされたばかりの赤子の姿であった。 この世に生を受け母の懸命のお産であったが、もはやこの子の息は絶えたのか? そのときドカーンと、いきなり雷が屋敷に落ちた。大きな音と共に突然の閃光が走った。「ひやー」皆、体が裂けるような衝撃を体に受けた。「なんと激しい雷じゃ」そのとき、横たわる赤黒いかたまりが一瞬ヒクツと動いた。そしてうにゃうにゃと手足が動き出した。それに気付いた産婆が 「い、生きているのか?」 (気付けよ!)とばかりにじたばた動き出した赤子。 「生きているのか?だが泣かぬ」 「坊や…」この出産には決死の覚悟で挑んだのだ。か細い声でわが子を案ずる母。 「おい!叩け!尻を叩け!」 「は!はい!」 侍女は赤子の両足を抱き抱え、ぱしぱしと尻を叩いた。 「若様!若様!どうか!」 「…」 「…」 (やめて)…赤子はうにゃと、小さく泣いた。 「え?泣いたか?」 「息をしているか?」 「はい、息をしています」 「よかった、…よかった…姫、大義じゃ生きておるぞ」 「ほぉー…」皆は深い安堵に包まれていた。やがて若い母は子供を引きよせた。そして満たされた気持で赤子に初乳を飲ませた。その時― ドカドカドカっと黒い装束の輩が侵入してきた。 「何者!」 「キャー…」 その族たちは抵抗しようとする男衆たちを切り倒して言った。 「ぎゃあー!ひ、姫様ぁー」そしてあっという間に母親からその赤子を奪い取ってしまった。 「あー…坊や!」 「この者預かり受ける」 そう言い立ち去ろうとした。 そのとき 「お待ちください、せめてこれを…この子に…」 そう言って母は胸から首飾りを外すと、それを授けたいと願った。それは五瓜(ごか)の家紋が押された銀貨で鎖に通されてあった。 黒装束の男はそれをすっと受け取り赤子の首に掛けた。そしてさっと部屋を出て行った。 皆があぜんとする中、若い母は 「坊や…どうか…無事で…」 中略美濃赤子は三日かけて美濃の国まで連れられてきた。「殿、連れて参りました。織田信秀殿の若であります」「ふむ…その者が信秀の子か…この人質がおればわしに向かって手出しはできぬであろう、これを大いに活用しようぞ」 振り向きざまに命を下したその男の名は美濃の国の斎藤道三である。以前より織田信秀の動向を見ていた道三はまもなく備前に彼の落とし子が生まれることをかぎつけていた。 その子が生まれれば直ちに奪い、人質にすることを前々から企てていた。 そしてこたび赤子が生まれたので、屋敷に押し入り、子供を連れてこさせた。「そのうち織田方には知れるであろう、ふふ、これでしばし信秀も手出しできまい。全国討伐には織田方が目障りなのじゃ。しかしその子、泣かぬな、まさかまことにこの子は鬼か…気味の悪い子よ」 道三は先ほどから握っていた紙を(バッ)と投げ捨てた。その紙には、不気味なことが書かれていた。「その宵亥の刻 いかずちと共に「鬼」が舞い落ちる 鬼の子しかと守れ」 あの白いこうもりが落として行った文の意味を理解できないままに、三日後、道三の元に泣かない赤子が送られてきたのだから,いかにも落ち着かない面持ちであった。「『しかと守れ』とはなんなのだ…?鬼の子を守れと申すか!誰がよこしたのだ!ふん!たわけめ!」 他の大名家や武家屋敷の元にも文は届いており、屋敷の者たちは気味悪がった。だが亥の刻に生まれた鬼の子は尾張の織田信秀の子だという噂は数日のうちに広まり、それは織田家に対して警戒心を強くするものであった。 斎藤道三は織田家をいつでもつぶせる小大名だと軽く考えていたが、その夜の出来事は、先に控えていた尾張攻めを思い留まらせた。つまりはそれがために時間を稼ぐ意味あいになった。 道三の妃である小見の方は三日前に投げ込まれた気味の悪い文の意味を祈祷師に見させていた。「『鬼を守れ』とはどういうことだ!」その日はいつになく火の勢いが強く、祈祷師は額に脂汗をかきながら気を読んでいた。「ううんむぅ…鬼が来る!この屋敷に鬼が来る!いかずち狂い落ちる時、夜の鳥と共に鬼が舞い落ちる。決して亡き者にしてはならぬ。手を出せば必ずやこの屋敷に災い起きる」「わしを守れ…」 祈祷師の声と違う不気味な声があとに続いた。それは部屋全体に響いた。「何?今のは…ひえ~~」 驚いた妃は道三の元へ駈け込んだ。「お、お前様、いかずちの夜、鬼が…鬼が、来ると…何!そこにおる子は!」 小見の方は初めて見る赤子に目をむいた。「……」道三は、背筋が凍るような不気味さを覚えていた。「まさか、鬼とはこのいかにも小さい赤子のことではあるまいな、何かしようものならひねりつぶしてやる。このような小粒に何ができようぞ!んんむ…」今まで味わったことのない不気味さに先の不安を感じていた。 その赤子とは後の織田信長である。普通の子とはひとまわり小さく弱々しいこの赤子がはたして鬼なのか…。 鬼と疑われたその子は、吉法師と名付けられ人質として斎藤家で過ごした。それからというもの、吉法師の奇妙な行動は皆を驚かせた。 中略 うつけ者吉法師三つになるまでひとつも声を出さない吉法師はものが言えない子と思われていた。命を狙われ続けるうちにうつけといわれるようになっていった。木に登っては落ち、へらへら笑い、刀をぶんぶん振り回しては危ない目に合わせ、周りを困らせていた。「吉法師様、おやめなされ、危ないですぞ」「吉法師様、お召し物を、裸ではよろしくございませぬ」吉法師につくじいや侍女たちは、ある時は逃げ惑い、ある時は追いかけまわし、常に振り回されていた。「あやつは気がふれておる、食事に入れた毒が効いてきているのだ。あやつは何でもは食わぬが、松竹は食う。そこで先日、わし松竹に毒をぬってやったのじゃ、ほかにもいろいろな…ふふふ」「はははは…」家来たちの話は吉法師には聞こえていた。(言うておけ、わしは毒の匂いなどすぐに解るわ、毒なぞすぐに吐きだしておるわ。今は生き延びねばならぬためおとなしゅうしておるが、わしに牙をむけた者はただではおかぬ)やがて、家来の中から一人、また一人と姿が消えて行った。今宵も一人、突然心(しん)の病に倒れ、死んだ。それを不審に思う者もいたが、まさか鬼の子の仕業とは思ってはいなかった。見た者はいないのだから…。吉法師は今日もはだしで(へらへらへら)とうつけな顔で庭を駆けていた。道三の部屋では「まことにあいつが気に障る。いつかわしの首掻っ切るのではないかと夜も眠れぬほどじゃ」斎藤家に、ある者が来ていた。その者は茶人であった。ときおり道三に呼ばれては茶の相手をしていた。あるとき吉法師がいつものように庭をはしゃいで走り回っていた。そして木の根に足を取られ転んでしまった。「ああ~~、痛あ…」「おお、おお…転んだか、よしよし」通りがかったその茶人はその子をやさしく抱き上げた。「大事ないか?ん?」抱きあげられて吉法師は、彼を見てにやっと薄笑いを浮かべた。「ん?」その時茶人は何かに気づく表情をした。(この子は普通の子供の目ではない、えらく人を超えたような面持ち) 彼は吉法師が只者ではない人物であることを感じた。 そしてその時、縁を感じたのか子供の吉法師に興味を持った。 「そなたは常人ではない目をしてなさる。さて味方となれば、この上ない富貴を覚え、敵とならばそれ以上なき辛苦を味わうことでありましょう。(まさに天国か地獄か、深く重いものを背負っておられる)」 「…おまえ、わしの家来になるかー?」 吉法師はにやっと笑みを浮かべながら口を開いた。「ほほほ…家来とな…それはそれは…私のようなものにお目を付けてくださり感服いたします。なんなとお命じください。…ですがわたくし戦はまったくで…お茶を煎じるくらいしか出来ませぬが…」 吉法師はにっとした顔でその場を去って行った。 (敵になるか味方になるか…) 吉法師の小さな背中を見送る茶人とは後の千利休という人物であった。吉法師は野や山に出かけては遊んでいた。城外への外出も許されるようになった。 ある日、吉法師が山道を歩いていると「やー!えいー!」 シュッ!シュッ!向こうの谷合いで怪しげな音が聞こえてきた。それらは忍びの使い手と思われた。 しばし二人は技を交わし合っていた。ふと片方の者がこちらに気づいた。そいつはこちらに向かい走ってきた。シュタタタ!ブンッ!黒い装束のそいつは素早く木の枝から枝へ飛び移り近づいてきた。サッと枝から降りるとき小刀が光った。シュッ!シュッ!刀が唸る。が、吉法師はするりするりとかわす。シュッ!シュッ!フッ!フッ! 若い忍びはただ空を切っているだけだった。どうにも吉法師の体に一太刀も触れることができない。吉法師にとってはスローモーションに見え、刀を交わすことなどた易いことであった。ゴーン…ゴーン…そのうち近くの寺の鐘が鳴った。「(なんだこいつ、やたら素早いな、かすり傷一つ付けられないなんて俺としたことが…しかしもう時がない、帰りが遅いとお館にまたどやされる)またいずれ!さらば!」忍びは急ぎ走り去って行った。 「ふ~ん、さるのようなやつだなあ…」 吉法師はさるに似た忍びの背を見つめつぶやいた。 吉法師はあいかわらず裸で庭を走り回っていた。へらへらしている吉法師のうつけの名はだんだん外へと広まって行った。ある日、斎藤家の重臣たちが悩んでいた。 「どうしたものか、殿はこたびの戦はどう攻めるのか…」 三人の重臣たちはぶつぶつ談をしていた。近々戦が始まりそうである。 後ろから近づいた吉法師が言ってのけた。 「そこはね、攻めるふりをして引き返すんだよ、そして油断している隣の城を速攻で落とすんだよ」 「え?」 驚いた。なぜこのうつけがそんなことを言うのか。しかしありえないことではない。 吉法師はにこにこ笑っている。 後に重臣たちはその法で功を収めた。そして時折難儀な戦には吉法師に相談をしたりしている。 「それはね…城の石垣を崩すんだよ」 「どうやって…」 「くわがあるだろ、あれでいいよ、石垣の石を一つずつ落として行くんだよ、少しずつ崩していけばそのうち石垣は雪崩の如く崩れるのさ」 吉法師はにこにこしながら答えてやる。 「なんたる…考えもつかなかった、子供の考えながら利には合っておる」 重臣たちは大いに感心した。 「おい、わしが殿になったらお前たちを使ってやろうか?」 吉法師がそう言うと 「なんだァこいつ、わははは…やっぱり大うつけだ…ははは」 そう笑っていた彼らだが、付き添ううちに吉法師の理論が正しく聞こえてきて、だんだん耳を貸すようになっていった。 「あいつはときどき賢いことを言いおる。でも…いや…しかし…うつけはうつけだろ、はははは…」 考えても彼らに答えは出てはこなかった。 斎藤家茶室にて 「どうでしょう、あの吉法師殿を里に帰されては」 その声の主は茶人であった。 「ううむ…」 考え込む道三。 中略 吉法師 尾張へ…吉法師が十歳を迎えたある日、とうとう吉法師は織田家に帰されることになった。 当日、吉法師は輿(こし)で尾張まで送られることになった。 輿の中ではガサガサ跳ねまわり、担ぎ手をたいそう困らせた。バッカ―ン!…暴れ続けた吉法師は、輿の扉を壊し、体が外に飛び出てしまった。 「あたたた…たすけて~」 助けを呼ぶ吉法師に 「やれやれ、やっぱりうつけじゃ、送りつけた後は殿に報告じゃ、早よおらぬようになってせいせいじゃ」 吉法師のあきれた行動を林の中からたくさんの目が見ていた。「尾張の若うつけの所行 敵にあらず」忍びの者たちはそれぞれの主に報告した。 中略 宝探し(金山銀山) 吉法師はいずれ来る大きな戦への備えをしていた。 「おい、人を呼べ!」 「はは」 「周辺の地理は解ったが、もっと遠くの地理が知りたい。二年以内に日本の地図を作れ」 「はは、では三人ひと組の五組ほどでよろしいかと…」 「うむ、まかせる」 「はは、ところで若様、そろそろ元服の支度を…」 「いらぬ、そのようなもの無用じゃ」 「いや、しかし…」 「いらぬといったらいらぬ、早よ行け!」 「はは」 「元服をしないなどと…若にも困ったものだ」 美濃からずっと付いて来ているじい(武井夕庵)は若に手を焼きっぱなしであった。 二年後 地図を広げながら家来は説明をしていた。「殿、この三角の記しが山です。そして丸の記しが城、四角が金山と銀山の記しです」「ふむ…この佐渡という島、ここに金が多く取れるのだな、よし見聞に参るぞ」「は…あ?今からでございますか?」「あたりまえじゃ、すぐに出立じゃ」「ははー」 吉法師は思い立ったらすぐに動くので家来たちは常に振り回されている。 「殿、お待ちくだされ、まだ支度が整っておりません。お待ちを…」 「後で参れ!」 ヒヒ――ン―。吉法師は早馬で出走して行った。 「ああ…馬に乗り疾風のごとく走り去る若の背中をどれだけ見送ったか」 長江は肩を落としながら 「皆の衆、いやはや若様にはついて行けませぬな」 「まことに…」 金採掘 「若様、どうもこの金山はふもとよりは山頂からかけてその中央あたりに金脈があるようです」「であるか、では山頂からかかれ!」専門の者に金の脈を探させた信長は、早速命を下した。 人足達は精を出して山を登った。そして頂上に着くと懸命に山を掘った。数日後「出たぞ!」掘られた岩にはたっぷりと金が含まれていた。 砕かれた岩は作業場で溶かされ、加工されていった。金塊と大判と小判も作られた。 なかにくすねようと近くの土地に埋めて隠そうとした者もいた。 そう言うやつを信長が見逃すはずはなく、その者には罰を加えた。信長は見せしめにそれらの首を落とした。 (仕事が終わればしかとそれに見合った土産を用意してやるのに…おろかもの) 信長は山の形が変わるほど金を取りつくした。彼は加工されるときにこぼれる砂状の金には目もくれなかった。それゆえ名の如く『おこぼれ』の金が佐渡にはたくさん残った。採掘期間たったの五年のことであった。佐渡の島より運ばれてきた金塊銀塊は那古野城下に運ばれた。そうして後の戦に備えた。城をいくつも建てられるだけの財を十代にして集めあげた。中略天井裏その頃ある男が屋敷内に入ってきていた。その男は足軽として雑用をしていた。(あいつどこかで…ほう、思い出した。美濃で会うたわ…さるに似た奴じゃ、他の者とは少し違う気配…殺気というやつ、わしの屋敷で探りか…ふ…)信長は人と違う気を放つ者には敏感であった。その男は、美濃の山中で出会って、一戦を交えた者であった。 ある夜、寝所にいた信長は天井から放つある気配に気づいた。 (ふっ、ねずみにあらず、さるが覗いておる、一つ遊んでやるとするか…)信長は欄間から槍を外すと 「ほれ!」 ドカ!ッ天井裏にいた忍びは「う…」っと反り返り、向きを変え移動した。 瞬間「おら!」っと、軽い声と同時に槍の先が別の天井板を貫いた。逃げようとした忍びの足先一寸のところだ。忍びは素早くかわすかのように逃げ走る。だが「ほれ!ほれ!」忍びの行く手を止めるように槍の先は絶妙に忍びの前にはだかった。右へ行けば右、後ろに行けば後ろにドカドカと下から追い立てた。天上板はあちこち抜けおち、穴だらけになった。そのうち逃げ惑っていた忍びの動きがなくなった。 「動くな…」 信長の声が低く響く。 (動けば刺してしまうではないか、先を読んで刺すのも難儀なのだぞ) ドカドカと激しい音に騒ぎを聞いた家来たちが信長の寝所に集まってきた。 「殿!いかがいたしました」 「何事でござるか」 障子の向こうでどたどた人の足音がする。 天井裏の曲者に緊張が走る。 「大事ない、下がれ」 信長が一喝する 「しかし…」 信長を案じるじいは、戸惑っていた。 「何でもない、下がれ」 信長の命には逆らえない。 「大事なきよう…」家来たちは仕方なく寝所をあとにした。「おい!そこな奴、降りてこい!」 穴だらけの天井の隙間に向かって信長は声をかけた。(逃げれば下から刺される)敵わぬと察した忍びは、槍で開けられた穴からすごすごと降りてきた。その者は黒いかぶりもので顔を隠していた。懐に入れた手には短刀が握られていた。(もはや命は有るまい、自害すべきか、はたまたこのまま飛びかかり、信長を襲うか…いやいや、あんな殺陣の持ち主にかなうはずはない…わしもこれで終わりか)忍びは窮地に立っていた。「かぶりものを取って顔を見せよ、名はなんと申す」曲者は信長に促され、しぶしぶかぶりを取った。しかしその者の口からは何も出てこなかった。「…」信長はその忍びの顔を覗き込むと「んん?お前、わしの草鞋(ぞうり)に座っておった奴じゃな…ふははは…けしからん、はははは…」草履とり数日前のことである。パ―ン!外の妙な気配を感じ、信長は障子を開けた。「ん?何をしておる」庭には足軽らしき者がいて、そいつは驚いて飛び上がり、その場から逃げようとしていた。「まてぃ!」「…」信長は追いかけようと草履を履いた。するとその草履が何やら生温かい。「ん?お前―」と、そいつを睨みつけた。そしていきなり、ドカーンとそやつを足蹴にした。「ヒ―――」足軽は庭先を転がった。「ヒーッお許しをー」信長は刀を抜き、そいつを追いかけ回した。「お前わしの草履に腰掛けておったであろう!」「ひえーー、お館様お許しをー」男は庭じゅう逃げ回った。「待てこらぁー」あわてて奥からじいが出て来た。「殿!何の騒ぎでございますか」「おお?」信長は興奮していた。 「ひー助けてー」男はじいの後ろに回り込み、その足にしがみついた。 「どうした?」じいが男に問うた。「はい、ああ~~じ、実はお館様の為に草履をこの胸で温めておりました。そしてそれをお出ししたところ…ああ…お館様がお怒りに…はい…」必死の形相であった。「殿…」じいは信長の顔を見た。「はあ?草履を暖めとったぁ?わしがそんな気色悪いことをさせるか!わしが知らぬと思うてか…こやつ許さん、たたっ切ってやる!」嘘が嫌いな信長は本気で殺してやろうと思った。しかし忍び出身の奴はなかなかすばしっこかった。「お許し下されー」そして平謝りに謝った。「も、申し訳ござりませぬ!二度と…二度と致しませぬ。お許し下され!」その男、先ほどまで城の内周りの見張りを言い渡されていた。「ふー、ちと足が疲れたな」男はあたりを見回し「誰もいない!っと、どこか座るところは…」男は腰かける場所を探した。目の前に程よい高さの縁石があった。「石か…いやそこは冷たかろう」座るには縁石は冷たく、あれこれ考えた後「丁度草履が置いてある。誰のだろう、まいっか、石よりはましだ」そう言い縁石の上に置かれていた草履の上座る事にした。「よっこら…」さして深い意味はなく単純な行為であった。その男、実はなんと主君である織田信長の草履に腰かけていたのであった。その妙な気配を中にいた信長に悟られた。そして見つかってしまったのだ。「わしの草履に腰かけおって!」信長は猿の顔を見ながら、少しは怒りが静まっていた。「なんとふとどきな!若様、殺しましょうか?」じいは刀に手を当てた。「いや…よいわ、すておけ」信長は、先ほどの殺気は治まり不思議におかしくなっていた。 天井から落ちてきた男…信長は美濃で会い、そして先日足蹴にしたその男を覚えていた。なにせ猿によく似たその顔は印象深かった。「どこの出だ?わしの命を取りに来るなぞ一万年早いわ…やるならやってみよ!だがお前には出来まい」その者は体をヒクッと動かせ動揺した。「話してみよ」信長はそっと言った。「え?」その男は少し顔を上げた。「お前がどのようにして生き抜いて、此処まで来たか、話してみよ」信長にそう言われ、忍びは何事も観念したかのようにポツリポツリと話し始めた。「私は甲賀の者です。里では捨(すて)と呼ばれています。本当の名前は知りません。わたくしら忍びは本当の親も兄弟も知りません。物心つかないうちにさらわれ、忍びの里に連れられてきて育てられるのです。中には貧しいゆえに親の方から口減らしで里に入れられる者もおります。わたしも…きっと親に捨てられたのだと思います。捨と呼ばれておりますからね」(知っておる)信長は心でつぶやいた。「そして物の善悪を知らぬうちに忍びの術を教え込まれるのです。お館一筋で、逆らうことは許されません。逃げようものならどこまでも追われ、終いには殺されます。忍びの掟は厳しいものです。」 (解っておる)信長は心でつぶやいた。 すてと名乗るその者は泣きながらぽつぽつと生い立ちを語っていった。 信長には考えがあった。「解った、まず懐の刀を置け!」言われるまま忍びは、そっとその短刀を前に差し出した。「どうだ、今から里へ帰るか?」そう問うと「い、いや、そ、それは…」すてはあわてた。「しくじったからには生きては里に帰れまい、わしと向こうとどちらに付くかだ、お前が選べ。お前、嫁はおるか」「は、嫁はおります。子供は二人、三つと一つが…四人暮らしです」すてはぼそぼそ答えた。「解った、命は助けてやろう、その代わり伊賀・甲賀、それからその他の忍びの里はどうなっておるのか詳しく話せ」信長は地図を広げた。そして各忍者たちの里の位置や経路、そして仕事の内容(誰の仕事を請け負っているか)を聞き出そうとした。覚悟を決めたすては信長に自分の知っている情報を伝えた。自分はお館に指示され織田家の情報をもらし、隙あらば首を取るよう命ぜられていた。今宵はそれを実行する為寝所の天井裏に忍びこんでいたのだ。「ああ…、おれは裏切り者だー、もうどっちに転んでも命がない。殺される。へえ殿さま!なんでも話します」すては開き直った。「聞こえなかったか?命は助けてやろうと言ったのだ」信長がそう言うと「え?殿様?」「わしに付けば必ずお前を守ってやる、何があってもな!」「わお~~~お殿さまあ~~」忍びは泣きながら信長の足元にしがみついた。「ええい!気色悪いわ、さる!寄るな!」「わお~~~ありがたきぃ~~~わたくし犬でも猿でも何でもようござりますぅー置いて下されー」さると呼ばれたその男は、泣きながら信長の足にしがみつき、振りほどかれながらも食らいついた。「ええい!退け!さる!」その夜から信長はその男をさると呼び楽しがっていた。 甲賀の里乗り込み「さる、降りろ」信長はすてを途中から馬から降ろさせた。そしてすての体を縛るよう家臣に命じた。すてを罪人として引きまわした。一行は、甲賀の里の門の前に着いた。すての案内のおかげで最短の道を進み、仕掛けにも掛からず、里まですんなり到着する事が出来た。「かいもーん!」甲賀の里は人知れず、山あいにひっそりとあった。そこには藁(わら)ぶきの屋根の小屋が百個ほど見えた。『開門』と言っても扉などなく、二本の木が門として構えられた簡単なものであった。「かいもーん!」大きな声で開門を叫んだ。ぞろぞろ人が出てきた。「何奴、どうやってここに」「誰だあれは?」里はざわめいた。そこに叫ぶのは馬に乗った先頭の男である。なにやらまぶしいほどにキラキラ光っていた。後方には軍隊五百人ほど従えて狭い山あいに列をなしていた。門先に立つその者を見て里の者たちはあっと驚いた。その者は大きな白い馬にまたがり朝日を浴びてキラキラ輝いていた。銀でしつらえた西洋風の兜をかぶり、銀の鎧を見に着け、赤いマントをはおり、銀色のブーツを履いていた。そして銀糸で織られた手袋をはめた両手はしっかり手綱を握っていた。その姿は日の光を反射させ、神々しい光を放っていた。山の中で過ごす者にとってそのような出で立ちの姿を見たことがない。里の者はあっけに取られていた。 一瞬し~んとした空気が流れた。「いったい何者だ?あれは人間か?」 「いや、神様だよ、後光が差している」 年寄りの中に手を合わる者が出て来た。 「ばあ!違うよ、きっとここへ皆殺しに来た鬼だ」 「ひえ~鬼じゃと?ひえ~!」 鬼と聞き、あわてて家に逃げ帰る者もいた。 そこへ長老らしき男が出てきた。 「何かご用ですかな」 そこへ若い衆三名ほどが長老の前にはだかった。血気がある。緊張が走ったが 「話がある」 信長は馬を降り、兜を脱いだ。 長い黒髪がふわっとなびいた。 そのとき忍びの者の中に信長の顔を知る者もいた。 「お、織田家の若だ!」 「なに?織田の?」 「あれが信長か?」 「あいつだ」中には何度も暗殺を失敗している忍びもいた。そしてたいそう悔しがっていた。「さるを呼べ!」臣下に信長の命令が飛んだ。すると縛られたすてが引き出された。縛られ突き出されたすては、ばつが悪そうに身構えていた。それはすてが仕事をしくじったことを意味していた。忍びたちは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに事を了解した。「すて!おのれー!(しくじったか!あれを織田家に潜ませたが、信長を仕留めるどころか、生き証人として連れられてきた。これはただでは済むまい。命をかけ、一戦を交えるか…だが、相手は後ろに数百の兵を従えている。このまま闘っても勝ち目はなかろう)」武闘派は身構えた。皆が同じことを思う緊張の空気の中、信長が一喝した。「皆の者、よく聞け!…今よりこのさるに傷一つ付けたらこの村を全滅させる!」「ええー?」「なんと!」村の者がどよめいた。忍びはしくじれば命はない。つまりすてを里に返しても命はない。逃げてもどこまでも追われることになる。信長の言葉は誰も想像しなかった。それはこのすてを一生守るということを意味していた。喜んだのはすてである。「へ?…とのさま…とのさまぁ~あは~」信長のうれしい言葉にすがって泣きたかったすてであったが、なにせ縛られているのでなんともあわれに肩で泣き笑いをするしかなかった。「どういうことだ?」皆のどよめきの中、長老が声を発した。「中へお入り下され」信長はにやっとして長老を見た。屋敷に入った信長に「お茶よりお酒がよろしいですな」そう言い長老は酒を持って来させた。「殿、毒味…」家来の言葉が言い終わる間もなしに信長はかっと一気に酒を流し込んだ。「殿!」あわてる家来たち、なにせ織田家の敵が雇っている忍びの巣窟、そこで出される酒など何が入っているかわからない。緊張状態の中、信長は平気な顔で二杯目の酒をあおった。「ん…」そして、やんわりと言った。「さるの縄をほどいてやれ」「ありがたい、殿!」「さる、報告せよ」「はっ」縄をほどかれ、向きを変えたすては忍びのお館に向かって語り出した。「お館様、この信長様という御方、わたくし幼き頃より見て参りました。かの斎藤家に人質としておられたときも並みのお子ではありませんでした。自らうつけを演じ我が身を守っていたと考えられます。しかもわたくし一度剣を交えましたが、相当な使い手で空(くう)を切るばかりで衣一つ、髪一本かすめることは出来ませんでした。そして織田家では隙を狙おうにも隙がありません。寝所を襲おうとしました。が、吹き矢も試しましたが、部屋中ごろんごろんと転がってじっとせず、矢を放つことができませんでした。せめて情報と思い、張り込んでおりましたところ、やっと掴んだものも嘘の情報でした。…すべて見抜かれておりました。信長様は敵の動きが瞬時に解るものと考えられます。この御方は常人ではありません。地獄耳で音を聞き、天の気を観て、人の心を読み、来る先が解る、まさに天の力を持つお方だと思われます。敵に回してはならないお人だとずっと考えておりました。わたしはもう信長様に刃を二度と向けたくはありません」「ふむ…」長老はすての話をじっくり聞いていた。が、「すて!この裏切り者、生かしてはおけん!」そう言い、お館は、すてを殺そうと腰の剣を抜こうとした。その時「それでは筋が通らんであろう!」」長老が太い声を発した。「諜報をし、命まで狙った男を許し、その出里まで赴き、火をつけるでなし、剣を振るでなし、この御方はわしらを許そうとしておるのだ、わからぬのか!このお方にわしらは御恩に報いらねばならない」「ううん…むぅ…」お館はいまいましい顔をした。「すて」「はっ」純粋な目を向けるすてに長老がやさしく話しかけた。「お主初めて自分の意志を持ったな。それまではわれらの一道具に過ぎず、心は無用じゃった。「もう信長様に刃は向けない」と言ったその目は見事に観念した目であった…。わしも信長様を初めて見たとき自分の性根が洗われたような気がした。まさに信長様は人の心まで操る不思議なお方じゃ。すて、ここを出るがよい、そして命の恩人の信長様に一生お仕えするのだ」「長老!」すては涙目になっていた。「信長殿、この男のことはお頼み申す」長老は深々と頭を下げた。「ふむ、よかろう…」二人は目を合わせ酒を酌み交わし、契りを結んだ。「ではこれからはうちの仕事をやってもらおう、その替わり他からの仕事は受けぬように」信長は里の者たちにそう言うと、さっそく家来に言いつけをした。「今日よりこの村に全面協力する。よってこの村が食うに困ることのなきよう良いように計らってくれ、まずは城の蔵に残る米すべてこちらによこさせよ、季節に応じ野菜、魚などどんどん運び入れよ、わかったな」「はっ」家来はただちに動いた。「信長様、なんと太い御心で…」長老たちは感動した。「この村はわしが守る」きっぱりと言い切った信長の言葉に安心した女たちのすすり泣きが聞こえてきた。「おお、ありがたい…」「ところでさる、嫁とは離縁せよ」いきなりの信長の言葉に「は?嫁と?…」すては戸惑った…が、信長に逆らうことはできない。「へ、へい…、いままで苦労をかけた嫁とせがれにやっと飯を食わせることが出来るとさっき思うたに…(信長様はやはり鬼なのかなあ…)」(さる、後につらい思いをさけるためじゃ、女房子供が人質に取られれば、お前のことじゃ、判断も鈍るであろう。さるがわしのそばにおれば敵に必ず狙われる。女房らはこの里で暮らすのが安全なのじゃ。辛抱せよ)信長は朧(おぼろ)月を見ていた。村を出る一行の一番後ろで、すては別れを惜しんでいた。「かかあよ、別れだ」すてと女房は見つめ合っていた。「わしは死んだことになる。もう二度と会えないが達者にやってくれ、子供たちのこと、頼んだぞ、お前たちを連れて行けないのが悲しい…うう…あああ…」すては本気で泣いていた。「おまえさん、大丈夫だよ、信長様が私たちが困らないようたくさんの銀を置いていって下さった」「え?銀を?」「はい、それで十分暮らしてゆけます。信長様のお陰でこの村は安泰です。おまえさんはこの村の英雄なのだから、どうか信長様の恩義に報いてください」「え、英雄って…えへへ…(あ、でも気持イイ)」「私たちはお前さんの足手まといになってはいけない。後のことは案ずるな」「おお~、あ~、おまえ~~~お前は良い女房だなあ~~あ~~しかし悲しいな~」すては女房に抱きつき号泣した。 が、女房が惜しくなったのか、銀が惜しくなったのかすては 「時々ここに見に来てもいいか?心配で…も、もちろんお前たちのことだ…」 すては子供のような顔で聞いた。 「いけません!お前様は死んだ方です。わたしどもとは今日限り縁は切れました。どうか殿様に命を掛けてお仕えください、それが残された私たち親子の誇りです」 「そ、そか、そだな…、わかった、わしら信長様に救われた命、今度はわしが殿様の命を守るのじゃ、わしは殿様を絶対裏切らないぞ!お前に誓う」 二人はうなずき合った。 「じゃ、達者に暮らせよ、子供のこと頼んだぞ、妙な男に捕まるな」 「おまえさん、わかった、早う行きな」 すてはぼろぼろに泣きながら別れを惜しんだ。後にすては木下藤吉郎と名乗った。後の豊臣秀吉である。そして日々命を狙われ続ける信長のそばを離れず殿を支えていった。しかし信長は彼のことを藤吉郎、そして秀吉と呼ぶことは一度もなく、ひたすらさるとよんでいた。あやとの出会い 「出かける!」ある日、信長は、馬にまたがると同時に、駈け出した。家来たちは早すぎる信長の行動にいつも付いて行けないでいた。「殿、お待ちくだされ!」常に命を狙われている信長には影武者がいた。各地の城にそれらを置き、信長在住を他に示していた。影武者たちは信長の代わりではあるが、戦に出向くことはなく、留守を守る役目であった。城には計算高い商人や豪族たちが寄って来る。小国の主の娘やら地方の大家の娘やらの側室の話を毎日のように持ってくる。信長はたいして興味がないので、それらは影たちにまかせてあった。親御たちは娘の城上がりをそれぞれ喜んだ。殿についておけば家屋敷が守られ安泰だと考えた。信長にとって守らねばならぬ身内が増えることは、経済的にはけっこう負担ではあるが、信長はそう気にしなかった。信長本人には子供は作られていないが、影の子たちが織田家を継承していくことになる。時折侍女が信長をたしなめる。「殿、本気で後継ぎをこしらえてもらわねば困ります。濃様とは契りを交わさず、側室とも縁なき所業。これでは織田家存続の危機でござります。それに家臣たちも疑っておいでです。信長様はあちらではないかと…つまり…」「おお?わしが男を…たわけ!気色悪い!」蘭丸との間には、信頼であって、胸を貸してもらうひとときに心を休めているにすぎず、深い関係はなかった。「声を出せ」外に聞こえるように信長は時々蘭丸に色っぽい声を出させた。「との…」「蘭丸は男か女か…?」 家臣の一人が今日も審議をしようとした。「あ、いや…わしにはわからん、男とも女ともわからぬ髪形と衣装ゆえ、なんとも…」 「殿は男か女か、いったいどちらに興味があるのか…」 「まったく、難儀でござる」「もっと大きい声を出せ」「…と、との…」寝所の外でとまどう家臣達を察し「フ…くくくく……」信長は蘭丸の胸で笑っていた。信長は人に心身を許す事はなかったが、やはり人肌は暖かい。こうして時々蘭丸の胸を借りているのであった。 パッカ、パッカ、パッカ…。(まったく、城におれば世継ぎ世継ぎとうるさいわ、勝手に誰でも後をやればよいわ)長い黒髪をなびかせ、心地よく馬を走らせていた信長だったが、バサッと突然垂れた木の枝が顔にかかった。思わず手綱を引いてしまったものだから、馬が驚いた。ヒヒ――ン!目をむき、いななきながら前足を蹴り上げた。「どうどうどう、驚かせたな。なにせ目がほどよく見えてないのでな、目のことは、皆は知らぬので黙っておいてくれよ…ふふ…」信長の視力は弱く、ほとんど見えていなかったが心眼で物を見ていた。信長は馬の首すじをなでながら落ち着かせた。馬の泣き声に驚いて、近くの豪農の娘が飛び出してきた「どうかなさいましたか?」「あ…!」信長は、唖然としたままその娘を見つめた。「姫、歌姫…ここに…いたか、あの日以来だな、見っけ!」「あの…」娘は信長をじっと見ていた。「あ、歌姫、わしがわかるか?」「…姫?」きょとんとした表情の娘に「そりゃ…そうだな、覚えているわけはない…あ…あ、娘、のどが渇いたのだ。水をくれぬか?」「あ、はい、お水でございますね、かしこまりました」歩き出した娘の背中に向かって「名はなんと申す?」呼ばれた娘はくるりと振り向き「あやと申します」にこりとほほ笑んだ。「やっぱりあの時の…あや…」あやを初めて見たのは道三の屋敷、それから信長の元服の日、そして今日だ。信長の口元がたいそう緩んでいたのはまちがいない。(何年?いや何百年捜したことか…見つけたぁ…うふふ…)「どうぞ」あやと名乗る娘は水の入った湯のみと小鉢に小さな梅干しを一つ乗せて持ってきた。「すまぬな」信長は湯呑の水をくっと飲み、小梅を口に入れた。本来信長は何でもは食べられない。だがあやが差し出した小梅は食べられる気がした。「う!(すっぱい!)」信長の顔が酸っぱい顔になった。あやは、ならぬ事をしてしまったか、案じた。「はぁー…」信長はまた水を飲んだ。「うまいな」梅干しによって水のうまさを教えられた。信長は、たいそう心が癒された。翌日「出かける」殿はまた屋敷を飛び出していった。「殿―!お待ちくだされー、私も連れて行ってくだされー、一人ではなりませぬ」しかし、さるは追いつけなかった。「いったいどこへ行かれたのだろう」信長はあやのいる家の前にいた。なにか心がもじもじする。こんなところ、誰にも見られたくはない信長であった。「あ、昨日の…」後ろからあやの声がした。「私、なにか…」あやは、昨日何かそそうでもしたかと心配した。「あ、いや…その…水を…くれぬか」信長はまた水を求めた。「どうぞ」あやの差し出した盆には、水の入った湯のみと、小鉢に二個小さな梅干しが乗せられていた。信長は、いよいよ心が癒された。うかつに鼻の下が緩んでいた。信長が食べられる物が一つ増えた。愛おしいあやの差し出す梅干しは食べられて、それは自分でも不思議であった。先日、信長の元服の折、道三はその日信長暗殺を仕組んでおり、信長の死を見届けたく元服の祝いと称して参じていた。どうしても信長を倒したい道三、その日ばかりは悪魔の最後を見届けられるか、本当に悪魔は死するのか見ずには居られなかった。あやは豪農の娘で嫁入り修行として斎藤家に預けられていた。その日連れられて来ていたのは万が一、仕事をしくじった場合、娘を盾にしてでも逃げおおせるつもりであった。しかし結果は殺れるどころか、池に落ちて自分が死ぬところであった。あげくに娘婿に助けられ大恥をさらした一日であった。その後、あやは里に返され、父親と静かに暮らしていた。信長は狩りと称してあやの所へ毎日通った。屋敷では、殿さまがやけに機嫌が良い。(やっぱりわしの鼻は犬並みだ、ふふ…あや…屋敷で会った時も池に落ちたときもしかと香りを鼻に焼き付けた。近くにおること違いなしであった…見つけた時はうれしかった…ふふ…あや…天にいた頃のようにまた踊ってくれぬかのう)さるは気になって仕方がない。「お館様は狩りから帰られると獲物も捕らえていないのに、うれしそうにしている。なにかあるぞ、今度こそは絶対見届けてやる。」裏木戸で信長の出馬をまった。なにせ外に馬を待たせてあるのだから、ここから出てくるに違いない。待つこと一時(いっとき・二時間)案の定飛び出してきた信長、さっそうと馬にまたがり駈け出して行った。しかし、木戸を開けてではなく、塀から飛び出してきた。塀の中から透けて…出てきた?「え?今殿が?…抜けて?壁を?…そんなはずは…きっと飛び越えたのだ。うん、そうだ、わし頭がどうかしているのだ…ははは疲れているのかな…ははは」人が壁を通り抜けるなど、信じ難かった。さるは目の錯覚と言い聞かせ、今日は馬で追いかけた。しかし殿の馬は非常に早い。あっという間に姿が見えなくなる。まさに神風のごとくである。「見逃すなあ!見逃すなあ!」さるは必至で追いかけた。すでに姿はなかったが、懸命に探した。(もうだめかー)息が切れそうになったその時(見つけた!)木の間からそーっと覗いてみた。なんとそこには、お館様とかわいらしい娘が、ほほ笑み合っていた。(かわいらし~…あれは誰じゃ?なんと愛らしい顔なのだ、しかし殿のあんな浮いた顔を見たのは初めてだ、殿のお気に入りか?)唖然と口を開け見ていたさるだが、力が入りすぎて、木の枝をポキンと折ってしまった。(あー…いかん、殿に気づかれる!)そっと背を向けたさるだった…が、「おい、さる!」(ビクッ、見つかった!叱られる!)首をすくめながら恐る恐る振り向きかけたさるに「これにおるあやを屋敷に迎え入れる、支度せよ」「ひえ~お館様がおなごを?」 殿みずからおなごを迎えるという話は初めてでさるは大変驚いた。「へ~お館さまがおなごに恋をしたー!いまだかつてありえたか?殿が恋をしたのか?」さるは、その辺を走り回っている。「信長様は妃である濃姫の部屋にはいっさい足を踏み入れなかった。それに側室の件は影たちに任せて興味は全く示さぬし、おなごやら男やら見分けがつかぬ蘭丸となにやらいい感じだし…女性にはまったく興味ないのだと思っていた。もしかしてアレかな…なんて…なんじゃあ…殿も男じゃのう。ひひひ…」「だまれ!」信長の一喝である。地獄耳であるから信長には腹の声が聞こえる。「殿」という言葉にあやは驚いて「あの…あの…殿…様?」あやの持つ震える盆には、からの湯のみと梅干しの種が三つ転がっていた。 中略蘭丸数年前「お初にお目にかかります。わたくし蘭と申します」一人が挨拶を述べた。二人は髪を若武者のように一つに束ね侍が着る衣装で礼儀正しく座りこうべを下げていた。「ん?お前たちおなごか…そして同じ顔をしておる」「は……」「ほお…」「早くも解ってしまったか」姉妹は顔を見合わせた。(親を説き伏せ、侍方を欺きやっとここまで来たというに、さすが魔王たる信長様はわたしどもを見破られた)「殿さま、おなごでは務まりませぬか」「いいやあ、気にかかる事なし、しっかり守ってくれ」「はああ…よかった、なあお蘭」「ええ姉様」二人が女であるとわかったときは、さすがの信長も驚いたが、相当な武術の心得が読めたため、小姓に据えた。信長は二人を両方共蘭丸と呼んだ。また、戦にも常に同行させていた。心身共に盾の役割も担っていた。後にまげを結わず、好きな髪形にさせていた。さらさらなびかす信長のまっすぐな髪の形を真似て肩まで落とし、髷を結わなかった。二人はそれが恰好が良いと、すっかり気に入っていた。 あやの輿入れの日、お濃の屋敷では 「何?女を引き入れた?あや?だと?どこの田舎のものじゃ!濃は側室の話は聞いておらぬ!」 「いえ…その…側室と言うより、ただ、いとおしく見ているだけだと…」 侍女をきっと睨みつけ「いとおしく見ている?」 あまりの腹立たしさに扇子を投げ付けた。 「殺す!」 濃から放つあまりの殺気に侍女は、恐れおののいた。 中略 濃姫との対決間者 ある日、信長は脳裏に見た。 信長の妃の濃の侍女が斎藤道三のいる美濃へ密書を送る姿である。「(あやしい動きは知っていたがやはりな……)」そして家臣の一人である岩倉という男は信長の部屋に入り書簡などを物色していた。他にもいた。信長の動向を探り敵方に密告をしている。男ども三人は今川・武田・上杉それぞれの内通者であった。 四人は信長が長崎から鉄砲を取り寄せたことを洩らしていた。 「通じおって、おのれ!」すぐさま濃の部屋に走った。パシ――ン!おもむろに障子を開け、侍女を引っ張り出した。そして倒れこむ女に向かって刀を振り上げ容赦なく切った。バ!「きゃー!」いきなりの殿の行動に濃はおののいた。周りも何があったかただ驚いている。そして、廊下を早歩きで「岩倉! 松井! 長谷川(ながたにがわ)を連れてこい!」そう叫んだ。家臣たちは三人を差し出した。「シュ! ッ! ド! ドシャッ!」信長は問答無用でその三人の首をはねた。「殿! 乱心なされたか」一同は何が何だかわからない。信長の正妻の侍女と家臣三名はあっさり殿に成敗された。意識しようと思わなくとも見えることがある。信長は家臣たちの密通を見てしまった。「(わしに向いてくる奴は必ず潰す!)」「あ……う……」 濃は茫然としていた。幼き頃より一緒に過ごした侍女をいとも簡単に切り倒した信長。 侍女の亡骸を見つめながら 「むぅ……許せぬ……信長め………恨むぞ…」 濃は歯ぎしりを噛んだ。毒まんじゅう 「信長様、濃姫様より送り物でございます、今宵は名月につき、団子はいかがかと申しております」ある日のこと、あやのもとに濃の屋敷から差し入れが送られて来た。 「奥方様から?」 あやは一瞬嬉しかった。 「なんとお礼を申してよいか、まことにありがたい思いです」「濃め、しばらくおとなしくしておると思えば、気をきかせたか?あや、食うか?」「はい」あやはにっこりとほほ笑んだ。 信長はまんじゅうを手に取り一口、口に含んだ。 その瞬間、ぶっと吐き出した。 「いかん!あや!食うな!毒入りだ!」 しかし、時すでに遅く、あやはそれを呑みこんでしまった。すぐに異変が起きた。息ができない。 信長は必至で吐き出させた。が、うまくいかない。 「吐け!あや!吐かぬか!」そして、あやの手がはらりと落ちた。 「あやー!」 「あやさま!」 周りは騒然となった。 濃の屋敷では、侍女の知らせに満足しきりの濃の姿があった。 「死んだか?やっと邪魔者がいなくなった、しかし、殿は食わなんだか」 「濃姫様、大丈夫でございましょうか、姫様の御身が…」 「心配には及ばぬ、殿はわたしには手出しはせぬ、わたしの父親は蝮(まむし)と恐れられた斎藤道三であるぞ。まむしの娘を手に掛ける者などこの世におらぬわ、はははは……」 「は……あ……」 心配そうに侍女は、背を丸めた。 信長の後ろにはいつも大時計があった。 ボーン、ボーン この時計、時々外に出ることがある。つまり戦にともに出陣するのである。 「さる、いくらわしがこの時計が気にいっていると言っても体を張って守ってどうする。お前がやられるぞ」 「はは……殿の大事な時計に何かありましては……」 戦に出ると決まってさるはひたすら時計の周りでうろうろしているのである。 信長は時計のねじ巻きををさるに任せてみることにした。 「よいか、日に二回は巻くのだぞ、そして力いっぱい巻きすぎてもならぬ、ゼンマイが切れてしまうのでな。わかったな」 「はっ」 力強く返事をしたさるであったが、その用をすぐに自分の家来に押し付けた。 さるはあまり賢くないうえに器用でもない。 「お前やっとけ」家来は説明も受けず適当にねじを回していた。「ギリギリ……ガゴゴ……ギリギリ……ギ……ガシャ!」 「あっ」用を任された家来は強く巻きすぎてゼンマイを切ってしまった。 「なにぃー?切ってしまった?壊したのか?」 さるは大慌てであった。 「いかん、いかん、いかん、お館様の宝物であるぞ! 腹切りだ! おい! どうする!」 「あああー」 そこに信長が現われた。 「どうした」 「は、それが……実は……」 さるはばつが悪かった。 「何?壊した?」 「い、いや、実はお館様、わたくしやむにやまれぬ事情がありまして……その、私の家来に任せたところ……あの……」苦しい言い訳をした。 「たわけ! 誰が家来にやらせろと言った! さる! お前が巻くよう言いつたであろう!」 鬼の形相で信長はさるをどうかつした。 「ははー申し訳ございません!」 さるは土下座をした。 「腹を切れさる! 言ったであろう、ぜんまいを切ってしまえば使えぬと……責任を取って腹を切れ!」 「ああーお館さまー」 さるは泣きじゃくった。 「ふ……なんでも人任せにするでない!」 そう言いながら用意してあったぜんまいを出してきた。 信長はキリキリと巻きながらつぶやいた。 「このへんか?」 すると ボーンボーン 何もなかったように大時計は正午を告げた。「(午の刻であるな、やはり時計はよいな、いちいち人に時を聞かずともよい)」 「ほー」 さるは時計の音を聞いてほっとした。 「(ふい~命拾いした)お、お館様、ようござりました、次回よりはしっかりわたくし自らこれを巻いておきますゆえ……ははー!」 「下がれ」 信長はさるを下がらせた。 「はは」さるは胸を撫でながら部屋を後にした。信長はさるたちを下がらせると、後ろのふすまを開けた。 (サ―……) 「あや、何か食うか?」 信長はやさしい目で語りかけた。 「……殿……」 実はあやは死んではいなかった。毒入りまんじゅうを食べてしまったあやを信長は必至で介抱した。三日三晩一歩も外へ出ず力を尽くした。 そして後ろの部屋にあやを隠し、ずっと見守った。 信長の左手より力を送り込み、毒を自分に移した。体に入った毒は強烈であった。「ゲホッ!ゲホッ!」信長は吐いた。血のかたまりを吐いた。まさに命がけであやを助けようとした。「死なさぬぞ! 絶対に死なすものか!」三日目の朝、あやは目覚めた。信長のおかげで一命を取り留めた。「あや、おかえり」にっこりほほ笑んで「お前一度死んでいたぞ、引きずり戻すのは大変だったぞ」「殿……さま……」 中略濃の処刑それから7日目の早朝、ぐったりした濃が庭に引きずり出された。それは濃の処刑の時が来たことを意味していた。「なぜにわしがこんな目に……」白装束を着せられた濃は、美しかった過去の面影はなく、短い間に鬼女のような形相になっていた。 信長は冷ややかな目で縁に座っていた。 「おい……」信長の合図があった。毒の入った茶色い水が女の手に持たされていた。女は震えながら運んできた。「(こ、こんな恐ろしいことを私に……濃姫様……)」女は濃をちらと見た。「くっ!……」濃は女を意味ある目で睨んだ。「(ああああ……到底私には出来ない!)」濃の前に来た時、女はその鉢をばっさりひっくり返してしまった。「あっ」「……」皆の身体が止まった。「切り捨て!」信長の言葉に家臣の一人が前に出て女を切り捨てた。女は美濃の出で、濃の侍女の一人であり、密かに牢にいる濃に水や食料を待たせていた。それを信長は知っていた。この際、女も処分するつもりで毒杯を運ばせたのだ。「ぎゃ!」女は一瞬で絶命した。濃の前にもう一度、毒杯が運ばれた。「ぅぅ……」濃は信長をぎりっと睨んだ。 中略あやしき者 「あや~帰ったぞ~」 ターン!信長はうれしそうに障子を開けた。その姿は血で真っ赤に染まっていた。 信長は白か赤の色が好みである。出陣もどちらかの衣装で鎧は付けない。きゃしゃな体に重い鎧は外して出立することが多かった。 「殿困ります、鎧は着けていただかないと万が一の時……」 「心配いらぬ」 「しかし……体裁というものが……」 「そうか?致し方ない、では出陣の時だけ」 そう言い、出発時だけ鎧をつけ、戦になればそれを脱いでしまう信長であった。 その日は白いきながしだったので、敵陣営に飛び込み大将の首をはねる時にはすでに返り血で真っ赤に染まっていた。 信長は早くあやの顔を見たいので、戦はいつも神風の如く早く終わらせ、飛ぶように帰って来る。 「あとからまいれ!」 家臣を置いて、一人で飛んで帰る事はしょっちゅうであった。「お、おやかたさま!」ばらばらにはだけた真っ赤に染まったきものとふんどし姿にあやは毎度驚かされる。「お帰りなさいませ、お怪我はありませんか?」「ないよ、わしが怪我するわけがない」信長はにっこり答える。「早よ湯浴みに行かれませ」あやはあたふたと信長の背を押す。「はい~」信長は嬉しくて仕方がない。 「はふはふ……」湯が終わると信長は勇んで部屋に帰ってくる。ドドドドドド――「とのーお待ちを!とのー!」トトトトト――後ろから侍女が寝巻を持って追いかける声が聞こえてきた。さっと開けた障子の男の姿は真っ裸であった。「とのぉ……」毎度のことであるが、その姿はなかなか慣れなかった。「もう! おやかたさまったら……せめて戦には下にはなにか身につけてくださいね」「……であるか?」あやにそう言われて以来、外に出る時は、信長はひざまである下ばきを付けることもあった。信長は酒を楽しんでいた。彼は昔から手酌なのであやは見ているだけである。あやがそこにいるだけで信長は満足であった。 その日のあやの膳には肉煮・いかとさつまいもの天ぷら、そして枝豆・白米・香の物が乗っていた。 信長の前にはたっぷり酒が入った大きめのお銚子。それを両脇に持ち手が付いた湯呑くらいの大きさの器で飲むのが信長は好きであった。そして茶づけ用のめしがあった。信長は自分の食事は茶づけだけを食べていた。いくら蔵の中が豊かであっても贅沢はしないことを家臣に見せるためでもあった。 信長は機嫌が良かった。 「うまいか! あや?」 「はい、との」 あやはおいしそうにはしを口に運んだ。 「殿さま?」 「なんじゃ? あや」 「なぜ殿様は赤か白の衣装で戦に出られるのですか?決まってそれでございますね」 円らな瞳で問うた。 「なぜかって……わしは赤が好きであるからな」 「赤は目立ちますわ、敵の目印になりますわ、そして白は血で赤に染まります、また目立ちます」 「そう……目立つ……だから赤じゃ」 「目立つから? 目立ちたいのでございますか?」 「ああ、見つけやすいであろう? 赤いのが信長だと解ると、わしの首を取ろうとする。さすれば全部わしに向いて来る。皆がわしに向いて来れば、家来たちの命を落とさずにすむ」 「では今まで誰よりも真っ先に突進して行くのはご自分を目印にし、敵の的を自分に向けさせるため? ゆえに兵士を守るためでございますか?」 あやは驚きの中、箸が止まっていた。 「である……」 信長はくっと酒をあおった。 「一人で戦うのでござりますか?」 「まあな」「一人で戦って、戦を早く終わらせるのも死人をなるべく出さないため?」 「である……」 「一番後ろにいて戦わない殿様もいるって聞きます」 「おお、大抵そうだ、家来を前に出して自分は陣地の奥にいて危なくないところにおるわ。何万も動員しておればと安心しているのだろう、わしは何万人おろうと関係ない、潰す者は絶対ぶっ潰す」 「命知らずでございますね、お館様」 「である、昔から……」 「殿さまは鬼なのか、神なのか」 「どちらかな、ふふふ……」 中略比叡山「出かける」信長はすっくと立ち上がった。「いつお戻りですか?」あやがそっと聞いた。「五日……で終える」「行ってらっしゃいませ」信長一行はその日近江国比叡山に赴いた。この度僧衆のよからぬ情報を聞き、確かめる為、少人数で偵察して周った。 ある塔の前に来た時、信長の足が止まった。じっと中を見透かすかのように目と耳を集中させ、外から探りを入れた。 「(何じゃここは……これ寺か?)」 信長はあきれた声で呟いた。 中では坊主が酒を飲みながら花札の博打をしていた。横に女をはべらせ、肉を食べている。朝から修行を怠り、遊び呆けている様が見えた。 隣の塔も同じようにやっていた。そこは民たちが出入りしていて僧侶と一緒に花札をしていた。そしてその部屋の隅では民が金を借りていた。 返せない金を借り、博打に負け、娘を売りに出すはめになることも少なくない。娘を売る際のその仕業にも坊主は絡んでくる。手間代を取るのである。 ある民が困り果て高層に頼みを請うた。 「嫁が病気で薬代がかさみ、どうしても金が払えません、どうしたらよろしいでしょうか」 高層は答えた。 「うちにおれ、わしが食わす」 そう言い、少しの金をその男に与えた。男の子供は寺で下働きに、娘は売りに出していた。中には娘を自分のものにして囲う坊主もいた。 奥の部屋のたんすには、ある帳面類が入っており、高利貸し並みの控え帳がびっしり収められてあった。 一瞬にして事が読めた信長は「民を泣かせおって!なんと生臭い坊主よ」 信長はおおいに怒った。 「此処もか、ここもか、まともな坊主はどこにもおらぬ!各塔(全部で五か所)には坊主や商人・侍・民が集まり、朝から遊び呆けておる、情報は本当であったな、目に余るわ!許さぬ!」信長は、怒りの余り目を赤く染めていた。 三日後、信長は再び比叡山に向かった。ちょうどその時、岐阜からよこした兵と合流した。 「掃除じゃ!」 信長たちはゆっくりと山を上がった。山門に入ったあと、ある堂の前に来た。その堂の右手に据えられた石仏を見たときである。その石仏は『開基最澄』としてあった。背にある銘文の作者名が『恵心僧都』となっていたが、信長は見逃さなかった。「この名の者が作ってはおらん」作者を偽って他の者に作らせ価値をつけ布施を取り、蓄えにしていた。偽装の行いは信長が最も嫌うやり方である。信長はニセモノが嫌いなのである。「たたき壊せ!」信長の一声で一人の大きな男が前に出た。その男は鉄でできた大きな鎚を持っていた。それを思い切り振りかぶり「やー」とばかりに石仏めがけて振り下ろした。 ドッカ―ン! はかなくもその石仏は粉々に壊れた。 ここで戦いの火ぶたが切られたのであった。 「何事じゃ」 「なんじゃ! 何じゃ! 何事じゃ!」 外で異様な音がするので中から僧たちがぞろぞろと出て来た。 信長は仁王立ちをしていた。 「おお、開基様の石仏が……なんてことを……おお、恐れを知らぬおおたわけめ……」 「これは誰が作られたかお主存ぜぬか!」 僧たちは大いに怒った。 信長は「ふん」と鼻で笑った。 「あ、あの者は織田の信長でござります」 高層らしき者に修行僧が伝えた。「ええい、仏の地でこの悪行、お前が噂に聞く織田のおおたわけとな……この命知らずめ、仏罰じゃ、法の命により成敗致す、僧兵! 出会え!」 僧たちは薙刀(なぎなた)を持ち出し、信長の隊に刃を向けた。かぶり物をした僧兵も出て来た。 「持ってこい」 即座に信長の手に薙刀が持たされた。 「来るか? 薙刀には薙刀じゃ」 「や―!」とばかりに僧は信長めがけて突き付けた。 パ―ン! と跳ねつけ、素早く一撃で僧を切り捨てた。 一瞬僧侶たちは大きく驚いた。なにせ今だかつて僧侶に刃を向けたものなど誰もいなかった。坊主を殺せば七代祟るとも八代祟るとも言われ、僧侶に刃を向ける者などいなかった。ゆえに僧を殺す者があるなどと夢にも思っていなかった。だが目の前にいるこの悪魔は躊躇なくそれをやってのけた。 一瞬ひるんだ僧侶たちであったが、薙刀を振り回し叫んだ。 「出あえ! 皆出あえ、鬼だ! 鬼が叡山を食いに来たー」 高層たち僧衆は大慌てだった。だが見習いの児童たちは信長の家来たちが先に逃がし、とうに山を下りていた。 「先に年寄り子供は逃がせ! よいか、女年寄り子供は殺すな!」 信長の号令の元、信長隊は一斉に攻撃を開始した。 実践の少ない僧侶たちは勝てるはずもなくやがて逃げ惑う。 そして僧侶たちは塔に火を付けた。このままでは叡山は信長の手に落ちてしまう。見られてはならない物がたくさんあった。渡してはならない物が沢山あった。そして僧衆は自分たちの今までの行いの証拠を燃やすため自ら塔に火を付けた。「自ら火を付けおって」信長隊は塔から物を持ち出す僧侶たちを追いかけた。 「待てぃ!」信長は刀を突き付け、僧たちを立ち止らせた。 そいつらの大事に胸に抱く物を心眼で観た。布にくるまれた書物は……説法の書であった。 「行け」大したことのない法の書物など信長に興味はなかった。そいつは急ぎ離れの堂に向かった。火から逃れる為そこに隠そうとしていた。そこにはかぶり物をした僧兵がいた。五人ほどで堂を守っていた。ある僧兵が長い薙刀で襲いかかってきた。かなりの使い手ではあった。だが信長の妖刀には敵うはずもなく、全員あえなく信長の足もとに倒れた。またある僧は木箱を大事そうに抱え逃げ惑った。だが皆捕らえられ中身の大判小判は信長の家臣達によって回収された。「皆で分けよ」後に信長の元に集められ、それらは皆に分配をすることになる。ごまかし盗もうものなら信長が見逃すわけもなく首を落とされることを知っているため、皆正直に回収し、殿に差し出す。さるはと言うと……博打場の中で走り回り女を追いかけていた。「うわーいい女……待て待て~」「キャー」女を押さえこみ襲っていた。女好きのさるはどさくさの時はたいてい女を追いかけていた。他にも女に手を出す家来の姿があった。「首をはねろ」信長は女に手を出した家来の首をはねさせた。仕事をせず我身中心で走る輩を信長は嫌った。「さるは……さるゆえ」信長は、なぜかさるにはとがめはなかった。所詮さるにつられてする行為はさる以下である。家来として要らなかった。さるにはさるの役があったということか……。信長は、延暦寺の裏手の山道で白馬に乗り、張り込んでいた。「ここを通る……」まもなく僧兵が走り降りて来た。その僧兵は白いかぶり物をし、薙刀を持っていた。その男、背に高僧をおぶり外へ逃がそうとしていた。信長と僧兵は対面した。そのとき「弁慶……(顔は違っているが、弁慶だな)」思わずつぶやいた信長だった。弁慶と(元牛若)は、その昔入魂(じっこん)の中であった。「(この時代に転生していたか……弁慶……やはり今世も僧侶なのだな……)」僧兵は目の前の男を覚えているはずもなく、信長をきつく睨んだ。「降ろしなさい……」背の僧侶が言うと、僧兵は僧侶をそっと背から降ろした。「私が悪いのです」高層は僧兵に支えられながら、口を開いた。その高層は、延暦寺の法主であった。「私の身体が動けなくなって以来、二年の間に、延暦寺はここまで乱れてしまいました、すべて私のせいです、命を取られても致し方ありません」法主の覚悟の言葉であった。「……」信長は二人を見ていた。「(このじじいはそう長くはない)……行け!」信長は二人を見逃した。「(逃げてもどうせあやつらを匿う寺はなかろう、匿えば我身が危ないゆえ)」僧兵は深々と頭を下げると、法主を背負い、山を降りていった。「(弁慶……)」信長はその背を見送った。ふもとに降りた信長の隊は比叡山をぐるりと囲んでいた。「火を付け!」「火を付けー!」「寺を全部焼き捨てろ!」逃げ道をふさぐべく山を丸焼けにさせた。「あのようなくそ坊主らは何の役にも立たん」信長は、燃え盛る比叡山をずっと見ていた。「逃げ道は北東」生き残りの僧を捕らえるべく、その時を待った。「殿、捕らえました」信長の前に五人ほど捕らえて来た。信長はその中の僧侶の首に刀を当てた。「誰な」「た、助けてください」この高僧も命からがら逃げていた「誰と関係しておる」「……ど、どうか、お助けを……」「ふん、僧兵たちに命を賭して守ってもらったか……しかしここまでだ」信長はその者が口を割らずとも彼らの行いは解っていた。「殿、これら書状!」家臣が差し出したその書状は寺から持ち出されたもので、寺に送られた伊賀・甲斐・越前・堺、各国からの文や密約状や貸付帳面であった。その文の中には『信長の首を取った折には織田の領地その中の一城渡す、よって2千両工面すべし』といった寺への駆け引きの文類が山とあった。寺側は城や土地を譲り受け、それを売り、金にしていた。常にそうしてきていた寺側の財は膨らんでいた。その金をあてにし、金を借りる大名たちが多くいた。それから密かに武田家と上杉家は織田討伐の件では一時休戦し、あと三国を含めた五国同盟が結ばれていた。織田家を倒すため寺に協力を要請する五国からの密約文も見つかった。 「三河の徳川家康にも同盟参加の要請をしてきておるな、まあ察しはついていたが……どいつもこいつも……それほどまでしてわしの首が欲しいか!」証拠を突き付けられ僧たちは何も言えないでいた。「お前らにはわしの首は永遠に取れぬわ、やれ!」「はっ」信長には僧を殺ることへの躊躇はみじんもない。家臣に命じ彼らを切り捨てた。信長隊はゆっくりと京の町に入った。パカッパカッ――馬の蹄(ひづめ)の音が町に響いてきた。道すがら信長隊の両脇で恐る恐る人々が寄ってきた。「あれが鬼だ」「おお、恐ろしい……あれが第六天魔王だよ」「近寄るな、燃やされるぞ」「なむあみだぶつ……なむあみだぶつ」その中に民衆の列から今にも飛び出さんばかりに叫んだ少年がいた「すごい! 白い馬に乗ったのがあの信長様か? 初めて見た あの赤いのなんて言うんだ? かあちゃん」その目はあこがれの思いに目をキラキラさせていた。「知らないよ」「マントだよ、ありゃ」 隣にいた男が言った。「うわーー、うわーー」少年は感動しながら馬に近づいた。信長はその少年を見てその身なりに気づくと自分の懐に手を入れた。そして少年にそっと銀塊を掴ませた。少年は握らされた銀を見て驚いた。「うわー!銀だ、かあちゃん、銀だ」気づいた母親もたいそう驚いた。「ありがとうございます、ありがとうございます」と、頭を何度も下げた。後ろで家来たちが銀塊を投げ始めた。「おおー!銀だ、銀だ!」「すごい、これで私ら助かる」「ありがとうございます、ありがとうございます」信長は戦には銀の箱五つや六つ、多くて十くらい持って出るので貧しい村に施してやることは珍しくなかった。叡山のふもとは餅投げならぬ銀投げに大いに沸いた。その信長の派手な行動のお陰で後に大変なことが起きるのである。 難民 「殿お帰りなさいませ」 あやはにっこりと信長を迎えた。 「帰ったぞ、あや」二人は見つめ合って再会を喜びあった。 「あや~寝よ(ぅ)」信長は少年のような顔であやを抱えて床につこうとした。 その瞬間 「殿! 大変でございます」じいが知らせに入った。 「…ん! なんじゃじい(邪魔しおってからに……) 「大変でございます、只今近江方面から民が押し寄せております」 「なんじゃと? 民が?」 「は、知らせによると『信長様が納める尾張と言う国はたいそう豊かで暮らしに困らぬ』とうわさが広がり、食えぬ民たちが助けを求めて来ております、いかがいたしましょう」 「なんという、いったいどれほどじゃ」 「は、二千人とも三千人とも……それが噂をしながら来るのでだんだん増えながら行列を作っております」 じいは困ったように答えた。 「行列か……いたしかたない、蔵の米を出して炊き出し、食わせてやれ!」 「しかし殿、あれだけの人数……」 「構わぬ全部出せ! 民には腹いっぱい食わせてやれ! あとのことは案ずるな、任せておけ」 「はっ」 じいはは仰せのまま家臣に命じ、民たちに炊き出しを施してやった。 風呂釜ほどの大きな釜五つは、休みなく米を炊き続けた。 民たちは大いに喜び、腹を満たすと、感謝の踊りを踊った。 その日、清州の城は、大いに沸いた。 中略 別れ 「蘭丸、今日まで御苦労であった。これよりいとまをやる。元気で暮らせ」 そう言い信長は銀の入った木箱を蘭に渡した。 「殿さま、何とおっしゃいます。たとえ地獄であろうと、私はどこまでも殿のおそばで殿をお守りして参ります」 急に暇を言い渡され戸惑う蘭丸であった。 「…」 「殿、何をお考えなのでしょうか?私はもう…いらぬ者でしょうか?」 「…」後は何も言わぬ信長。いったん決めた信長の言葉に逆らえるはずもなく蘭丸は肩を落とした。「殿……」「(お蘭、お前の気持ちはようわかるが、お前を死地に行かせるわけにはいかぬからな)」蘭丸はずっとそばにいたかった。殿との思い出が蘇りとても悲しくなり涙があふれて来た。次の日「殿さま……ご武運を……」蘭丸は泣く泣く城を後にした。「じい……」信長は銀の入った木箱をじいに渡した。「若様……」「(じい、苦労を掛けたな、長きにわたってわしに沿うてくれてありがとう、あとはお前達夫婦仲よう暮らすのじゃ)」じいは、どこまでも信長について行きたかったが、殿の気性はよく解っていた為、殿の気持ちを受け入れた。「若様……ご武運を……」「じい……達者でな……」辛い別れであった。信長は自分の信頼のおける者たちを死なせるわけにはいかなかった。解散させ、彼らの身の安全を図らせた。中略「(あや、わしはお前だけそばにいればよい。他には何も要らぬのじゃ)」信長があやを見つめた……何か言葉が出そうになった。その時 ボボーーー! ランタンの炎が燃え上がった。その炎は外に漏れ赤々と充満した。 そこに突然白い鳩が飛び込んで来た。 バサバサバサ―― 「鳩を飛ばしてきたか、影か!」信長は鳩の足から紙を外しそれを開いた。『し』「え?し? 何でございましょう」「『死』だ。救命の伝報だ、行って参る」 信長は素早く立ち上がった。 「どちらへ?」あやは不安そうに尋ねた。 「京都だ、あや、必ず帰るのでここでまっていよ! 間に合うか!」 あやは今世の別れの予感がして声が詰まった。湧き上がる感情に目を潤ませた。 続く
2017.05.30
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本当にあった怖い話……キャー今年も「小手毬」の花が咲いている白くちっちゃい花が丸くまりのような形に集まって咲いている可愛いバラ科の花 木の大きさの割に鉢が小さい なのに花は満開に咲き誇っている それもそのはず、小でまりの木は鉢をぶち抜けてしっかり庭に根を張っている なのでその鉢は移動できない見た目鉢植え、しかしその実態は……庭木である……
2017.05.03
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猫群おばちゃんちに惣菜を持って行こうと玄関に出ると、おばちゃんが手押し車にゴミを積んで、押しながらゴミ出しにこっちにやってくるのが見えた後ろを黒猫がついてきている あれは黒デカ甘えんぼピータンやな さしずめ介護猫や朝は育メンくうちゃんと茶トラ黄いちゃんと緑の瞳のママさんが田んぼに出てきて、おばちゃんの見守りをしている月二回のプラの日はピータンの担当なんやな外に出ると猫はひどく警戒するけど、なんとか触らせてくれた一旦もふりだすとめっちゃ甘えん坊のピータン でも車がやってくると、超警戒! 道を横切って走って逃げた何で猫ってやってくる車の前を横切るんだろうね軽トラの運転手さんがゆっくり走ってくれたので、難なくてよかった惣菜を渡すと、ことこととおばちゃんはピータンに見守られ帰っていった
2017.05.02
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17・4・30に先っちょに危険物を積んだいつ打つか明日明朝では打たせるか打たせて角度を変えるか今まで(もう5回や)のようなやり方を変え、発射させる?Tを怒らせ終わらせる?”7日までに「起きる」起きたら「終わる」”の予言
2017.05.01
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洞窟1つ潰してやった.子豚のあの顔見せたかった.口開けてよだれ流してポカン.しばらく遊ぼう.
2017.04.30
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にんじんとたけのこのお手伝いが終わるまで忙しくてピコもままならず、すみませぬ んが!ねこちゃんをもふりに行く時間は作ります私の生きがいですので……今日も猫群宅の前を車で通ると、田んぼの周りで介護犬と介護猫がおばちゃんにつかず離れず見守っておりました私の車を見るやメタボ犬ころは、ド必死で私を追いかけようとしておばちゃんを引きずり回しており、介護犬資格はあっさり返納か……。さすが夕方は、夜行性の猫たちは生き生きと元気に見えて、何か始まりそうなたくましさが感じられ、頼もしく見えてまいりました常連猫たちが外に出て、田んぼを散策するなり、モグラを取るなり、また恋人を探しに行くなり、今宵も意味深な春の夜を過ごすのですなあ緑の瞳のくうちゃんと同じく緑の瞳のぴーたんが、じじーーーっと、私を見送ってくれた「また来るね」
2017.04.22
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天草四郎時貞その昔、熊本天草に生まれ、キリストの生まれ変わりと言われ、島原の乱において一揆軍の最高司令者として歴史に名を残す。 歴史に残っていない逸話のご紹介そもそもキリシタンが迫害された理由は、いくつかあるが、一番濃いのが、豊臣秀吉のわがままからキリシタンである女に振られた腹いせ人間と言うものはトップに立つ(ったと思い込んだ奴は)何をやってもよいと思い込む「力」を見せつけたかった(怖い信長はいないからね) 憎っくきキリシタンを全滅させようとした で、原城に立てこもった天草四郎は原城にダミーの人間を置きつつ、人を外に逃がした残った人々は海岸線に降り、原城下の崖の洞穴から中に入り、しばらく過ごした しかし裏切者も出てくるしね兵糧も途絶えると外に逃げる準備をした
2017.04.04
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Sが体調悪いと言うのでお見舞いに行った。ワンコールにてかかってくる電話がかかってこなかったので行ってみた。鍵を預かっていたので、ガチャッと開けて「生きとるかー」って入っていった。「ああ……」静かな声で返ってきた。彼はいつもの座った体勢で振り返った。(いつもどおりじゃん)そう思ったが、体調は良くなさそうだ。現在来訪しているサウジの王の話をした。「まぎれてある人物が来ている、ある話をしているはずある話とは……公共ギャンブル?まあ知らんけど、そのうち、ね!いつもSお宅に伺うと「むぎちゃん!」と見えぬ方向に向かって挨拶することにしている。定位置に麦ちゃん(座敷童)が座っているというので……。今日は?とSに聞くと麦ちゃんは散歩に出ているそうで、どこに行ったかと聞くと近くの神社で人間ウオッチングをしているそう。神社と言うのが意味深。麦ちゃんはもう、昔の居場所(東北の旅館)には帰りたくないそうで、心のきたない人ばっかりで、金ばっかりで、いやになっていて……。本当は心が痛んだ困った人を助けたかった思いがあったけど、助けていくうちに政治家とか座敷童を利用する者たちばかりになっていやになった。かの旅館を終わらせたかったのは麦ちゃん本人。ミカラン)火がついて旅館が燃えてどうなった?麦ちゃんを迎えに行ったの?S)いいや、電波と言うか、発信したミ)それをたどって麦ちゃんが来たの?S)そういうこっちゃなミ)どこから来た?S)あっち! (S、の部屋の北東方向の壁を指さした)ミ)なるほど、北東方向は東北やな、その旅館は北東やもんな、Sの部屋までマジ直線やな」S)直で来たぞミ)直で壁を通過か……壁どころじゃなくいろんなもの通過やなミ)それからSのところに居候してるんやな、遊んであげるとか、かまってあげるとか、しないん?S)(わし?)せんなあミ)そう……でも、ここが気に入ってんやねミ)(私見えないので)今どこにいる?S)散歩に行ってるなあミ)散歩?どこ?S)近いところに神社がある、そこでぼーっとおるミ)なんだろ、人間ウオッチングかなS)もともと人を助けたい精神があるのでじーっと人を見てるんちゃう?ミ)もう東北へは行かんの?S)行かんやろな、前の主人はまたもうけたいやろけど、いやになっているので絶対行かんなミ)そっかあ、今のところは、四国阿波の国にいてるのね
2017.03.15
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信長とあやが未来の話をするシーン早う書かねばなあ
2017.03.03
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きょうのくうちゃん黒猫育メンくうちゃんは、私が行くと、いつも出てくる。最近は膝の上でもふられるのが気に入ってるようだ今日は割烹着を着ていたので、割烹着にくうちゃんを包んで散歩した「なんかへん?」てな顔をしてくうちゃんは割烹着の中でくるまれていた。しかし5,6キロはさすがに重く長くはムリ!野良猫だからね、NPOが去勢に連れて行ってその時、男の子の印、右の耳を切られたのよね、ちょっと切りすぎちゃうん?ってくらい1,5センチ位切られてて、それ見るといつも切なくなっちゃう。当時猫群宅には10匹以上いたけど、今は7匹かなにぎやかだったなあア私が行くと、蜘蛛の子ちらしみたいにザザザザザ……って散っていったのを思い出すなあくうちゃんはその時からいる育メンくん右の親指と人差し指がないけど元気で長生きしてね
2017.03.03
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2月11日は建国記念の日建国記念の日の由来起源は、かつての明治時代の祝日のひとつ、紀元節(きげんせつ)その紀元節とは、初代天皇である神武天皇(じんむてんのう)即位の初日を日本の紀元、歴史が始まる最初の日として1872年(明治5年)に制定されたことから始まった。建国の日は解っていないため、建国を記念する日として1966年(翌年から祝日)に2月11日を建国の記念の日と定められた。「すめらみこと」は「天(すめら)皇(みこと)」の事ですが「天皇弥栄」と書くと「すめらぎいやさか」となる「すめらみこと」と「すめらぎ」との違い「天皇」は特定の天皇、もしくは今上天皇を指すのに対し「すめらぎ」は、皇祖もしくは皇祖から続く皇統を意味し、古より続く皇統の連続性で、護るべきはすめらぎ(連続性)というのである そうやって2千年以上日本国は皇統してきた…「天皇弥栄(すめらぎますます繁栄)」って感じ? 天皇弥栄(すめらぎ いやさか) 慶應義塾大学講師 竹田恒泰 引用 三島氏がそれを玉体(天皇)と三種の神器(すめらぎ)に例えたが、すでに最初の三種の神器はなく、代用品なのだけれど……まいっか!
2017.02.12
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お家でできる、まきすいらずの簡単巻きずしをご紹介と、その前に、去年流行った”おにぎらず”を作ってみましょうか ツナのおにぎらずです材料はごはん・のり・レタス・ツナ・マヨネーズ…だけです①まな板にのりを置いて、向こう側2センチ位(のりしろです)あけて、②ご飯を平らに乗せます③巻きずしのネタを置くようにレタス・ツナ・マヨネーズをご飯の上に置き④ネタをちょっと抑えながら、手で、くるくるくると巻いていきます できあがり! 輪切りにしてもいいし、半分に切ってちょっと抑えておにぎらず このツナおにぎらずのご飯がすし飯ならば、シーチキン巻きになりますよね すし酢は売ってますのですし飯は簡単 巻きすがない方がうまくいく巻きずしをどうぞお試しあれ!アレンジも楽しいよ
2017.02.06
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ある町の空に一匹のカラスが飛んでいた バサバサ カラスはかやぶきの屋根でできた家の前まで飛んで来た そして庭の物干し竿に留まった カラスは首を右に左に動かしながら 家の中を覗いていた家の中から声が聞こえてきた「おかーちゃーん」 「はーい」 「おかーちゃーん」 「はーい」 「きゃっきゃっきゃ」お母さんと娘の楽しそうな声だった カラスは口をパクパクさせると「オカーチャーン、ハーイ」と鳴き出した「オカーチャーン、ハーイ」 何度も鳴いている どたどたどた家の中から女の子が出てきた女の子は外を見てきょろきょろと首を動かした そして物干し竿に留まっているカラスを見つけた「からす!」 子供はせんたく竿のとこまで走り寄ると、そのカラスを捕まえようとした「エヤ! エヤ!」そこで懸命に飛びついたのだけれど手が届かなかった「おかーちゃーん、カラスがいる」そう叫ぶと カラスが真似て「オカーチャーン、カラス」と鳴いた女の子は歯を見せにっこりした「あ~?きゃきゃきゃ」カラスは気にせず花壇の方へ飛び降りた その花壇は川から拾ってきた丸い石で囲まれていた 白い大根の花が咲きねぎやにらなどの野菜の花壇だった カラスはその石をひとつづつ飛び移って遊びだした そのカラスの飛び方はピョンピョンではなかった思わず女の子は「フォンフォンフォン」と呟いた カラスの飛び移る姿がフォンフォンフォンと見えたのだ「ふぉんふぉんふぉん、きゃっきゃ」 女の子はカラスに夢中だった「美月 何をしているの?」 家の中から お母さんが出てきた カラスはバサバサと飛び立って行った「フォンフォン」 美月と呼ばれた女の子は カラスを指さしていた あくる日 またあのカラスがやってきた「オカーチャーン」カラスは元気に鳴いた それも美月そっくりな声で鳴いた 「はーい」 庭に出てきたお母さんはカラスを見つけると「ああ!?昨日のカラスね 美月のまねしてるわ」そこに美月が出てきた「あは、フォンフォン、こっち来て美月が案内する」そう呼ぶと「ファ?」カラスはバサバサッとの美月の方に飛んできて肩に留まった すると美月は納屋の方に走って行った ガラッ なやの戸を開けると布団の上で丸くなって寝ている猫がいた「なろ!この子はフォンフォン よろしくね」なろと名付けられた白に黒のぶちのネコが目を開けた「んなろ~」なろと呼ばれた猫は一声鳴いてまた寝始めた「ンナロ~」カラスは鳴きまねをした「なろ おいで」 美月はをなろをだっこして納屋の外に出た どどどどどど……今度は 離れの家の裏で飼っている ヤギの元へ急いだ「ナハちゃん フォンフォンよ」 草を食べるのに夢中になっていたヤギのナハちゃんが振り向いた「んなははははは」やぎがあいさつをした「ンアハハハハハハ」カラスは挨拶を返した「ナハ 今から歓迎パーティよ おいで」 美月はヤギの鎖を外した 彼らが母屋に帰ってきたときには美月はヤギの背中に カラスのフォンフォンは女の子の頭の上に 猫のなろは美月の背中に留まっていた いつも美月が遊ぶ庭に大きな敷物を引いてみんなでパーティをした「ねえ、あなたはいつこの町に?」一番年上のネコが カラスに聞いた「昨日だよ いい匂いがした」フォンフォンは答えた「いい匂い?」 「ああ、幸せのいい匂い」 「あら、私と一緒だわ私もここで拾ってもらったわ、いい匂いするわよね」そこにヤギのナハが「僕は肉ヤギで体が小さくて市場で売れ残っていたんだ、でもここのご主人が連れて帰ってくれたんだ、でも僕は肉にはならなかったよ それにしてもみんな面白い名前だと思わない?僕はナハで彼女がなろで……きみはフォンフォン、フォンフォンて面白い名前だね」 「僕の歩き方を見た美月ちゃんがつけたんだよ、こうやって歩くのさ」そういってフォンフォンはちょんちょんと飛ぶとき、少し高めに飛ぶのさ、フォンフォン」そう言ってやって見せた「面白いね」 「ンナハハハハハ」 「なろ~なろ~」 「オカーチャーン」 「なはははは」 「フォンフォンフォン」そこに「きゃっきゃきゃっきゃ」 「ん?」「?」「?」 猫とヤギとカラスは一瞬笑い声が止まり、顔を見合わせた みんなの話声が聞こえたかのように美月も一緒に笑っていたから……「美月分かってるのかなあ」 「さあ まさか」 「だよな」 「んなははは」「なろー」「オカーチャーン」 「きゃっきゃ」ずいぶんと賑やかなパーティになった美月は水の入った二つのバケツを持ってきた そして白い大きな画用紙と絵の具を用意してきた「さあさあ お絵かきの時間だよー」 美月はバケツに絵の具をニョロニョロと絞り出し、いろんな色を作った夏木は大きな筆で絵具に色を付け、思い切りよく画用紙に色を付けた「さあさあ」バケツに用意した絵の具にナハの足をドブントつけ、紙にべたべたと押し付けた「いっちょあがり!お次の番だよ はいはいはい」なろを捕まえるとバケツに体を半分付けた 「なろ~」なろは抵抗したが、ベチョンコと体を紙に押し付けられた「にちょあがり!ではではお次の番だよ」カラスは一瞬のけ反ったが、美月に素早く捕まりバケツに足を付けられてしまった「ふぉん・ふぉん・ふぉん きゃっきゃ」 美月は、思う存分にカラスの足を紙に押した紙にはカラスの足跡でいっぱいになった「次は―あたし!」 美月はウンショとバケツを持つと頭の上まで持っていった まさか!そしてバッシャーっと頭から絵の具をかぶった「ひやー」「なろー」「カアカア(本声で鳴いた)」 皆がいっせいに驚いた どろっどろになった体で紙の前に行くとごろごろと転がった「ゴロンゴロン ゴロン キャッ」美月は楽しそうに紙の上を転がった「できたーあ」 美月は出来上がりの作品を満足げに見入っていた みーんな絵具でドロドロだった そこに一匹の犬がやってきた城に茶色と黒のぶちの犬だった「お腹すいたなあ、ん?いい匂い」いい匂いに釣られた旅の犬が、その家の垣根の間から顔を出した「ん?」「?」「?」「?」 一人と三匹のペットたちの目が垣根に留まった美月は「ニヤ」っと笑った犬は一瞬ゾクッと寒いものが体を走ったけれど、いい匂いに釣られて敷地に入って行った どどどどどど……美月が犬に近づいた犬は一瞬警戒して身を構えた そして「ガルルル……バルルウ……バウ!」 小さくうなった「きゃははは」 美月は大いに喜んで「バル!バルちゃんね、私美月よ、よろしくね」そう言い絵具で色とりどりの自分の握りこぶしをグッと差し出した「ウッ」いきなり差し出された可愛い濁りこぶしを見てクンクン匂いを嗅いでみた「いい匂いだ」 犬は安心した様子で美月の手をペロッと舐めた「バル おいで みんなを紹介するよ」 勝手にバルと名付けられた犬であったが、嫌な気はしなかったので、美月の後ろをついていった パーティ会場にはヤギと猫とカラスがいて、なんだか色とりどりの体でおしゃべりしていた カラスのフォンフォンが「君何て名前?」と聞いてきた「僕の名前?ああ、バル……らしい」 「らしい?はは~ン、今、名づけられたんだね、美月は名づけの天才だからね、で、どうしてここに来たの?」 聞かれたバルは「……」 言えなかった「あ、いい匂いが……」とっさにそう答えた「だろう!? いい匂いがするよなあ」 猫もヤギもカラスもみんなここの匂いが気に入っていた つづく
2017.02.04
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鬼は~そと、ったってうちはオニ親子で暮らしておるもんで、豆まきは遠慮する恵方巻は食べるぞよ、オニ手作り特製オニ巻きを……皆知っとるけ?オニの頭の上には2本の角があるっしょ?アレ、実は内巻きだってことを……内側に向いて生えとる角って……ブふふ……可愛ゆし……!!意味ないじゃん!きっと閻魔はこう言うだろう「角?危ないやん(外に向いとったら)」
2017.02.02
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その昔、ネコである吾輩が「吾輩は猫である」を書かせた野良猫である吾輩がたどり着いたのはあの教師の家だった安月給では生活は厳しそうだったので、ちょいと応援してやることにした吾輩は彼の机の上の筆を見つけると、トンと机に上がり、両手で筆を持ったちょいちょいと墨を付けて……紙に「わがはい」とひらがなで書いた彼はぎょっと驚いていた知らない猫がいきなり部屋に入ってきて机に上ったかと思うと両手で筆をもって「わがはい」などと筆をしたためたのだから……しばしその字をまじまじと眺めていた彼そしてゆっくりわがはいを見て…また字を見て…何度その動作を繰り返しただろうか「早う吾輩を書け!」ってんだ彼ははっと我に返るなり筆を持ち机に向かったそして白い紙に「わがはいは猫である」と書いたにゃにゃにゃ~~ん……つづく
2017.01.27
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邪馬台国は四国にあった?卑弥呼が他国からきた姫だったとは……ある国から船で逃げ延びた卑弥呼は(現在)高知の浜に上がり、そこから北へ北へ向かい(現在)徳島の山奥に入っていったそこである青年に出会い言葉や習慣を覚えた卑弥呼は山村でその地の住民と暮らした最初は木を組んで葉を乗せただけのみすぼらしい住処だったが、やがて木を伐り出し小屋を建て、すこしずつ生活らしくなっていった青年は卑弥呼の胸に下がるペンダントが気になり見せるよう言ったが、卑弥呼は強く抵抗した青年はちらと見たときそれはある国の『王家の紋章』が刻まれていることが解ったそれはある国の国鳥であった卑弥呼は落ち延びた場所で国づくりを始めた田畑を開いたり猟をしたりそれを村人に教えた集落が豊かになってくると人もたくさん集まりだした卑弥呼は政治を行うために霊力を見せたその方が人を導くのに早かったから……卑弥呼は両手を広げ人々に告示をした「みなのもの……」卑弥呼の霊力を皆があがめたしかしそれは卑弥呼の力ではなく、そばにいた青年の力であった卑弥呼は青年の言葉を伝えれば皆がついてきたその山奥の地で卑弥呼は国を作ったそれが邪馬台国そばで支えていた青年、それはいったい何者……?
2017.01.19
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先日のテレビで普通の人がすごいものを発見したとかいう番組で「銅鐸」をやっていた2015年4月に淡路島の作業場のジャリの中から7個の銅鐸が発見されていたらしい銅鐸とはなに?中学校の地理か歴史で釣鐘型をした青銅いろの銅鐸を習ったのを思い出した今のところ何に使われていたかは不明であるそなの……では聞くしかあるまいミカラン)桜!銅鐸知ってる?桜)ああ、知っとるよミ)あれなに?何のために使われていたかわからんらしい、楽器か?桜)あほ、楽器ちゃうわミ)外で使うもの?家の中で使う物?桜)家の中ミ)どやって使う?桜)あれは金持ちの証みたいなもんやなミ)舌(ぜつ)って言うて棒があってその銅鐸の中でぶら下がっていたようで、風鈴みたいに鳴らしたんちゃうかって言うんよ、上を持って揺らすのよ桜)上?違う、ぶら下がっとる棒を使うんやミ)ん?棒……、おお!!舌(ぜつ)やもんなあ!下に出てるんか!(棒が短いので)てっきり中で見えない状態かと思いきや、ヒモを長くして、棒が外から見える状態なんやな?桜)そうや、それを叩くんやミ)な~るほど、それを使って金持ちが……ほほー桜)なにやら召使みたいなもんが一生懸命磨いとったぞ、は~とか息吹きかけて、息はあかんやろミ)腰の高さで三脚みたいなもんにぶら下げとった?それとも天井に?桜)天井ミ)天井か……テレビでは再現とかいって木を使って三脚作ってぶら下げとったわ、ほんで銅鐸の上をもってぶらぶら振ってた、がこーんって音してた桜)大きいほど金持ちって見せてたんやろな、そんな大きいの必要ないけどな、ほんで落ちてきて頭に当たって死んだやつおる、あほやなミ)(昔)現物見た?桜)見たっちゅうか、呼ばれて行ったらあったぞ、ほんで酒出てきて飲んだミ)朝廷とかが使った?桜)ああ、あったな、大臣とか……ミ)そか……何に使われていたかわかったので、小説に書こうっと!ありがとさんさて何に使われていたか問題です「〇〇〇〇」それにしたらでかいなあ、やっぱ金持ちのステイタス!
2017.01.18
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そしてアラブはどんどん栄えて行った別れの日、「旅人よ、どうか礼がしたい、望みはあるか?」 王子は何の求めにも応じる覚悟で問うた、が「いらぬ」そう言い、男は王宮を出て行った「また会えるか?」 王子のその問いに男は にっこりとほほ笑んだ時は流れ王子は王となっていた ある日王様はドバイ競馬場で競馬を楽しんでいた ふとある男が双眼鏡に入った「ん?どこかで…」その男はにっこりとほほ笑み、王様を見ていた「おお! あの時の青年、我が国の救世主」 王様はその男を呼びに行かせた王様と男はしばし懐かしみ語り合った「ところでこの最終レース、何が入るかわかるかね?」 男に問うた男はにっこりほほ笑んで答えてやった そして「おお!入った!入ったぞ! ニッポン人すばらしい!」 優勝馬を見事当てたので王様は大いに喜んだ「いっしょに宮殿に帰って祝おう 良い酒があるぞ」 酒宴を楽しんだ王様は男に行った「ニッポンに神がいたのだな、お前の国に行くぞ」 「え?来るのですか?」 「おう!来年の桜が咲くころに行くぞ」 二人はにっこり微笑み合った桜の季節の四国空港に到着した王様は感動した「おお!サクラ~!すばらしい!」 男は王様を迎えた「来たぞー」 王様は両手を開いて再会を喜んだ王様は男に金細工の剣や器、宝飾品、そしてコインなど山ほどの宝を男に用意した「お前にやる」 「王様ありがとうございます、あの眉山(まゆやま)に王様の宝を展示します」そう言い、王様を山に案内した山の頂上は吉野の川が長く伸び、四国平野が見渡せた町と自然の調和の行き届いた穏やかな町である展示場となる場所は頂上の展望台の所、そして下って駐車場があり、また昇って静かな公園がある まさにフタコブラクダの形の山であるが、遠方から見ると眉の形をした美しい山である「ここに私の宝を飾るのか?すばらしいぞ」 王様はたいそう喜んだ やがて出来上がる展示場を夢見て二人は目と目を交わした その半年前のこと アラブ王訃報の知らせが男の元に届いた そのニュースは地元の国はおろか世界に伏せられていたが、王族たちは色めきだった彼は棒国へ逃がしていた一人息子の王子をそこに留め、対応を考慮した男に王の側近から知らせが届いた「王様からの遺言状があります、そこにあなた様への遺言があります、こちらへ来ていただけますか」 彼はまんじりともせずその夜を過ごした彼はアラブへすぐには出向かなかった、遠い空の向こうの王宮に向けて透視をしていた その冷暗所には歴代王の棺が並べられていた その一番手前に彼が酒を酌み交わした王の金の棺が置かれていた……確かに遺体は存在していた……だが……「ん?あれは王様か?」 中東の人相はよく似ていて見分けがつかない横たわる褐色の肌は王と言えば王か……はたまた……「まさか……」
2016.12.23
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旅人は他の方法も教えた遠い地から管で水を運ぶやり方そして、水脈を教えてやった そこを掘らせると地下水があふれ出てきた「おおー!やはりそなたは救世主だ」 王子はたいそうよろこんだ「これで民への水も供給できる」やがて町の水道設備を施し、民たちに真水を与えることができた旅人はそこで終わらず、まだまだ不思議を見せつけた アラブの土地は掘れば石油の原油が出てきたが、副産物としてたくさん石が出てきた石とは水晶である その値うちを教え、王子に「出てきた石の2割五分だけ回収し、あとは民たちに分け与えれば人を雇わなくてもよい、民も喜ぶ」 「おお、それは良い考えだ」 王子はその男の言う通りにした街づくり、経済投資、人脈、いろいろな面で旅人は王子にアドバイスをした
2016.12.19
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