2008年02月11日
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 夢を見た。夢の中で私は抱きしめられていた。抱きしめているのは女の人だ。私を包む優しい香り。すごくいい匂いで、どこか懐かしくて、とても優しい香り。私は安心して時を忘れ身をゆだねた。どれだけ時が流れただろう。私を抱きしめているのは誰なのか気になった。恐る恐る顔を上げる。ずっと感じていた眼差しを確かめるのは怖かった。でも確かめないままこの時間が終わってしまうのはもっと怖かった。抱きしめている人の顔はよく見えない。「お母様?」。お母様の顔は知っている。写真で何度も見ている。なのにお母様だと感じる人の顔はよく見えない。これはきっと私がまだ赤子だったころの私の記憶。いつまでもこの時間が続けばいいと願い、私は母の胸に顔をうずめた。そして、目覚めると頬が濡れていた。私は安らげる家族を知らない。心許せる家族を知らない。お父様と二人のお兄様が教えてくれたのは「一族」という冷たい感情。そんな時、家出をした十一歳の真目麻耶が出会ったのは・・・。
 「9S」シリーズは、天才的な頭脳の中に危険な超技術を秘めているため閉じ込められている主人公の少女・峰島由宇と世界の情報を支配する真目家の一員である少年・坂上闘真が出会い、恋することになるというストーリーです。しかし、日本政府が国家最高機密として管理しているNCT研究所の地下1200メートルに監禁されている由宇は拘束衣にがんじがらめにされ、監視カメラで四六時中監視されているので自由に出歩くことができません。さらに真目家にも「マッドサイエンティストの峰島勇次郎と関わらないように」という方針があり、闘真も自由に由宇に会うことができないのです。そんな中、由宇と闘真の二人は突然のテロリスト占拠事件や新兵器の暴走といったトラブルに巻き込まれて偶然出会うことになります。由宇と闘真は二人協力して試練に立ち向かううちに互いに惹かれあっていきますが、闘真のもう一つの人格が由宇を殺そうとしたり、峰島勇次郎の数々の遺産をめぐる争いに巻き込まれたり、二人の恋は前途多難なものになっていきます。
 今回のmemoriesは、新米の頃の八代一がちびっこの由宇に出会った話「夏の日の空になりたい」、重度のブラコンである麻耶が初めて兄・闘真と出会い劇的な冒険をすることになった「Romantic holiday」、闘真たちの命を狙う暗殺者クレールの両親を描いた「亜麻色の髪の娘」、などそれぞれの「出会い」を綴った短編集になります。小さい頃の由宇、闘真、麻耶たちの可愛らしい様子やそれに似合わぬパワフルなアクション・シーンが大変面白かったです。それにしても麻耶の美しい思い出を「誇大妄想のたぐいだな」「君の兄に対する勘違い、誤解には嘆かわしいものがある」と容赦なく断じる由宇の姿がとても笑えました。また、若かりし日の由宇の父親・峰島勇次郎、闘真と麻耶の父親・真目不坐という非常識な父親コンビが出てくるストーリーはあまりにも驚きの展開でビックリです。
 ジャンルはSFアクション・ラブストーリー。アクションやラブストーリーが好きな人にお薦めです。<終>


9Sシリーズ


短編集もあります












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最終更新日  2008年02月11日 17時04分16秒
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