2008年04月14日
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 「死の神霊」。その不思議な球体を前にメビウス・フロンダイトは仮面の奥で眼を細めていた。鍾乳洞の奥深くぼんやりとした灯りの中に浮かぶ「神霊」は、つるりと光沢のある表面を鎖で縛られこの広い空間に浮いている。人の技術では操ることさえ覚束ないその存在は「神霊」の呼び名の通り、まさに神にも等しい存在なのかもしれない。もっとももしこれが本当にこの世界の神だとすれば神は人に対して恐ろしく無関心だということになる。結局のところどんな力を秘めていようと、これは所詮ただの道具なのだ。メビウスにとっては新しい世界への道筋をつける道具であり、シズヤたちにとっては生存に必要な薬の製造機であり、ラトロアの支配者たちにとっては神殿勢力に対する武器になっている。そして、現在の機能の逆転し新たな世界へ行くことは、この世界そのものの破滅を意味する。この「神霊」の存在が人々を振り回し混乱させていて・・・。
 「空ノ鐘の響く惑星(ほし)で」シリーズは、アルセイフ王国の第四王子で主人公のフェリオが異世界からの来訪者たちのひき起こした出来事によってアルセイフを中心とした陰謀や戦乱に巻き込まれていくことになるというストーリーです。第四王子であるフェリオは王位継承と関わることなく神殿で暮らし、剣の修行を続けていました。ところが異世界からやって来た少女リセリナ、その後リセリナを追ってきた来訪者たちによって平穏だったアルセイフの平和が破られることになるのです。相次ぐ暗殺、隣国の侵略。フェリオはアルセイフの混乱を治めるため暗殺者や侵略者、売国奴たちを相手に戦うことになっていきます。異世界の技術で圧倒的な力を見せるリセリナ、神姫の妹としての政治力でフェリオを助けるウルク、など仲間たちの助力によりアルセイフを守るフェリオでしたが、遠国ラトロアで異変が起こりフェリオたちは事態を打開するためラトロアへ向かうことになります。
 シリーズ完結編です。フェリオ、リセリナ、ウルク、たち3人の恋の行方。自らが生き延びるのと引き替えに世界を滅ぼすことさえ厭わないメビウス。「世界の平和を願う」アルセイフ側、「政治的な駆け引きを重要視する」ラトロア側、「元の世界に帰るか、こちらの世界でずっと暮らすのか揺れる」来訪者たちがそれぞれが抱える複雑な想い。様々な「想い」や「願い」が交錯する中、惑星の命運をかけた壮絶な最終決戦が始まることになっていきます。「世界の終わり」をめぐる戦いという極限の状況の中でフェリオたちは、それぞれ「自分とって大切なものは何か?」という答えを見つけることになります。恋人同士の愛、家族愛、友情、政治的駆け引き、生存本能、互いにとっての「大切な」想いをぶつけた激しい戦いが大変面白かったです。また、このシリーズは結構登場人物の数が多いのですが完結編ということもあってそれぞれの見せ場があり良かったです。特に異様な姿、芝居がかった台詞で不思議な魅力のあるかぼちゃ頭の戦士パンプキンの紳士的で仲間思いの活躍はとても感動的でした。
 ジャンルは、異世界戦記ファンタジー。戦記ものやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>



空ノ鐘の響く惑星(ほし)でシリーズ


外伝もあります















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最終更新日  2008年04月14日 20時23分52秒
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