2008年08月08日
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 「お前、儂が内乱に介入しないのが不満だそうだな。他の選皇侯たちが戦っておるのに自分たちはのうのうと高見の見物をしてると愚痴をこぼしておったそうじゃないか」父の姿勢をずっと不満に思っていたテオドールは反射的に否定しようとしたものの、父の目はテオドールを見透かしていた。隠しても無駄だと悟ったテオドールは、「ゼルツタール公とゼッキンゲン公の両者は来年には間違いなく衝突しますよ。父上はそれでも静観しようというのですか?」と父を問いつめる。内乱が起こっても何の手も打たず、三十年もの長い間ずっと見過ごしてきたヴァルネミュンデ公ディートリッヒ・ホーエンローエ。テオドールはそんな父の姿勢を「弱腰だ」と愚痴っていた。正直な気持ちを言えば失望していた。ヴァルネミュンデ公は、そんな息子を前に突然驚くべき計画を話し始める。ヴァルネミュンデ公の思い描く「三十年間内乱で流された血に見合うだけのふさわしい結末」とは・・・。
 「ゆらゆらと揺れる海の彼方」シリーズは、世界統一を目指すアールガウ帝国皇帝シグルドとシグルドの野望を阻止すべく集まったジュラ率いる反アールガウ勢力が世界・国家・歴史の運命を決する壮大な戦いを繰り広げることになるというストーリーです。普段は頼りなく見えるけれどいざという時には圧倒的なカリスマと見事な作戦を見せるシグルド。型破りでとてつもない身体能力と優れた頭脳を併せ持つジュラ。二人の天才たちは「世界を統一するのか?統一を阻止するのか?」という世界の命運をかけて激突し、知略と死力を尽くした壮絶な攻防を始めることになります。主人公の記憶喪失の少女ノウラは両者の戦いに巻き込まれることになり、その戦いの中で自分でも分からない不思議な力を発揮することになっていきます。7巻以降はシグルドが主役なのでノウラの出番はさっぱりありませんが、今回ほんの少しだけノウラらしき少女が登場します。また、今回は初登場のテオドールとエミールが主役なみに活躍しています。
 ヴァルネミュンデ公がしかけたプレードリッツ講和会議。ところが「講和」とは名ばかりでゼルツタール公、ゼッキンゲン公、ヴァルネミュンデ公の三者はそれぞれが優位に立とうと会議と水面下の両方で激しく争うことになります。ヴァルネミュンデ公の息子テオドールとその親友エミールは会議の主導権を握るヴァルネミュンデ公を補佐するため同席しますが、駆け引きに長けたヴァルデミュンデの巧みな話術・策略についていけなくて戸惑うことになってしまいます。そんな中、陰謀を進めるゼルツタール公側の中心人物ヴァレーリア・トゥールンヴァルト、そしてアーミッシュ教国の思惑により会議は意外な方向へ向かい、シグルドやギュンターにも大きな影響を及ぼすことになっていきます。7巻から始まる七皇戦争編はシグルドが皇帝になる前の話です。シグルド自身は元々皇帝になりたかったわけではありませんが、時代の流れと親友ギュンターに関わることで皇帝にならざるを得なくなります。この巻では、そうした時代・歴史の分岐点となる重大な出来事が次々と起こり大変面白かったです。また、不器用なテオドールとエミールの関係が微笑ましくて良かったと思います。
 ジャンルは戦記ファンタジー。陰謀ストーリーやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>


ゆらゆらと揺れる海の彼方シリーズ












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最終更新日  2008年08月11日 12時13分39秒
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