2010年01月18日
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 いつも能天気な弟がそのときばかりは真顔で言った。自分は太陽の下でも平気だし、十字架も恐くないし、ニンニクもへっちゃらな上、お風呂が大好きだ。兄者とは何もかも正反対だ、と不思議そうに。不安そうに。兄弟なのに何でと尋ねるので、兄弟だからですよと彼は答えた。兄弟だからこそ互いの欠点をかばい合えるように、互いに助け合って生きていけるように、二人の闇の母(ナイト・マム)が知恵を絞ってくれたのだと。「頼りにしてますよ」彼はそう言って弟の頭を撫でた。弟は彼の答えに満足そうに笑ってくれた。おそらくはもう長くない、残りわずかな時間。最後まで嘘を吐き通そうと、そのときに決めた。怒るのだろうな。そう思うと、少し、可笑しかった。そして・・・。
 「BLACK BLOOD BROTHERS」シリーズは、人間と吸血鬼がひそかに共存する町・特区に移住するためにやって来た主人公の吸血鬼兄弟ジローとコタロウがカンパニーに所属する調停員(コンプロマイザー)葛城ミミコらとともに特区を狙う吸血鬼グループ「九龍の血統」(クーロン・チャイルド)と戦うことになっていくというストーリーです。十年前、香港で「九龍の血統」たちが戦争を起こし、世界中の人間と吸血鬼を「九龍の血統」にしようとする事件「九龍ショック」が起きました。この事件により、「吸血鬼は実在する」「吸血鬼は危険」という認識が世界中に広がってしまいます。そんな中、吸血鬼たちのトラブルを人間の立場から秘密裡に解決する組織「カンパニー」は、人間と吸血鬼の共存を目指すため、横浜に人間と吸血鬼が共存する「特区」を作り、自分たちの夢を実現しようと頑張っていました。しかし、「九龍の血統」たちは九龍王を復活させて再び世界に宣戦布告するため特区に侵入することになり、「特区」を舞台に「カンパニー」VS「九龍の血統」の壮絶な戦いが始まることになるのです。
 完結編です。このシリーズでは、基本的に吸血鬼に血を吸われた人間が吸血鬼化するのではなく、吸血鬼の血を飲んだ人間が吸血鬼化します。例外は、世界の意志に選ばれた人間が天意により始祖(ソース・ブラッド)という特別な吸血鬼になることです。始祖は世界の要望と始祖になる人間の想いが合致した時に生まれるもので、始祖は自らの血を分け与えた血族たちとともに「血の導き」に従い生きていくことになります。例えば、ジローが所属するアリス・イヴを始祖とする「賢者イヴ」の血統は「平和・共存」という血の導きに従っています。吸血鬼たちは「自分個人の気持ち」と「血の導き」を大切にして生きているのです。一方、「九龍の血統」は「乱を起こし、変革する」という血の導きを持っており、噛んだ人間や吸血鬼を「九龍の血統」に転化するという特性を備えています。「九龍の血統」たちは自らの血の導きに従って行動しているわけですが、他の血統の「血の導き」を否定したり人間を無理矢理吸血鬼化する特性があるので人間・吸血鬼双方から忌み嫌われているのです。「血の導き」に従って人間よりも誇り高く純粋に生きる吸血鬼たちとそんな吸血鬼たちに関わる人間たちの紡ぐストーリーは、純粋な思いがぶつかり合ったり交差したり感動的で大変面白かったです。
 ジャンルは吸血鬼アクション・ファンタジー。アクションやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>



BLACK BLOOD BROTHERSシリーズ


短編集シリーズやDVDもあります















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最終更新日  2010年01月18日 15時45分02秒
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