2010年08月20日
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幕末魔法士

幕末魔法士

価格:578円(税込、送料別)


 「他でもない。かねてより申しつけていた軍費を受け取りにきた。ほれ、証文だ。受け取れ」河田が懐から一枚の紙切れを取り出し、吉次の手に握らせた。「何もかも攘夷を成功させ、天朝さまに報いんがためだ。尽忠報国も金がなければ始まらん。さあ、早う軍費を持ってきてくれ」(押し借りの口上は、どこに行っても代わり映えせんな)もくもくと白玉を頬張りながら、伊織は呆れた。すると、「何だ。河田じゃねえか。最近、城下で見かけないと思ったら、こんな所で盗人の真似かよ。攘夷志士の名が聞いて呆れるぜ」冬馬と呼ばれる赤い瞳の若侍が河田たちを刺激する。「ロディウムの飛将軍、汝の印を行使して天を駆けよ。飛翔!」見かねた伊織は魔法を放つことになって・・・。
 「幕末魔法士」は、科学技術の代わりに魔法技術が西洋から入っていた不思議な幕末を舞台に、魔法士としてお家再興を目指す主人公の伊織がシーボルトの孫・失本冬馬とともに陰謀に立ち向かっていくストーリーです。非業の死を遂げた父のため、魔法で性別を偽り男として生きる伊織。男女差別の激しい時代なので、女性では魔法を勉強することも重要な役職に就くこともできないのです。そうした中、幼い頃からエルフ語やドワーフ語、ホビット語、黒エルフ語を学んできた伊織は西洋から入ってきた魔導書を読み解くことができ、そのことが評価されて魔導書の翻訳家として藩から重要な役割を与えられます。一方、失本冬馬は祖父シーボルトによってかけられた魔封じの呪紋を解く方法を探しており、魔法に詳しい伊織に接近することになっていきます。
 著者によると「幕末魔法士」は、「明治」維新と魔法士(「メイジ」)という駄洒落から思いついたものらしいです。「魔法革命」が行われて西洋社会が発展したとか、魔法の研究が世の中を変えるとか、読み始めは私たちが学んだ実際の歴史とは全く異なる雰囲気だったので違和感がありました。しかし、西洋から入ってきた技術や考え方に翻弄されたり、倒幕と佐幕の対立が激化したり、陰謀が渦巻いていたり、外国人が恐れられ迫害されていたり、全体的な内容は激動の時代「幕末」らしいものでとても面白かったです。特に、剣術アクションだけでなく乱れ飛ぶ魔法、マジックアイテム、召喚魔法、など普通の時代小説では登場しないバトル・アクション・シーンが激動の時代の雰囲気にふさわしくて良かったと思います。
 ジャンルは、幕末陰謀マジカル・アクション・ファンタジー。アクションやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>





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最終更新日  2010年08月23日 08時47分39秒
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