2010年09月29日
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 十五世紀の半ば。かつて、天才と呼ばれた男がいた。小柄で痩せた体。妙に大きい頭部。そして、何でも見通してしまうような灰色の目。男は家を持たなかった。「この地球が、おれの家だ」そう言って、男は世界中を放浪した。持ち物は、愛用の歯ブラシだけ。歩くのに疲れたら休み、眠くなったらどこででも寝た。食べ物は、出会った人から恵んでもらう。その礼に、男は各地で聞いた珍しい話をしたり、自分で作った歌を贈った。「目的地はあるのか?」男は様々な国の人から、同じ質問を何度もされた。その度に男は「わからない」と答えた。あるとき、男はフランス東南部の小さな村に着いた。ナンカゴ村、別名は陽炎村。その名前が示すとおり、高い山の麓にひっそりある村だった。領主はムスティック。ムスティックは、その残忍な性格と異常な嗜好で恐れられていて・・・。
 「少年探偵 虹北恭助の冒険」シリーズは、学校に通わず自宅の古本屋・虹北堂でいつも本ばかり読んでいる主人公の少年・虹北恭助が幼馴染みの少女・野村響子に頼まれて様々な事件を解決することになるストーリーです。恭助のことが好きな響子。しかし、恭助は「学校へ行かなくても虹北堂には、あらゆる知識があるよ」と言って不登校を続ける問題児なのです。響子はそんな恭助を何とか学校に引っ張り出そうと頑張りますが、ずっと失敗しています。普通の人間よりも頭の良い恭助は周囲の人々と話を合わせるだけの社交性は持っているものの、そのためには無理をして普通を演じなければならず、学校で同年代の友達と話すのが苦手です。それでも響子は恭助が学校に来るように頑張ることになるのですが、中学生になった恭助は何故か「旅人」になって外国に行ってしまいます。
 恭助を連れ戻すため、フランスの田舎にあるナンカゴ村(通称・陽炎村)へ行くことになった響子。しかし、響子にはフランスへ行くためのお金もなく、フランス語も全く分かりません。苦労して何とか陽炎村へたどり着いた響子。しかし、村の人々は百五十年くらい前に死んだという領主ムスティックを異常なほど恐れており、響子は恭助を連れ戻すどころではなくなってしまいます。フランス人なのに名前が真衛門や美絵留だったり、村人たちは亡霊を恐れるあまり夜は外出出来なかったり、変人の恭助と結婚すると言い張る少女が現れたり、ものすごく変なことばかり起こる不思議な展開でした。当然、変人の代表である虹北商店街の人々も大活躍。そんな中、不思議な事件と不思議な人々に振り回される響子がとても面白かったです。それにしても常識のあるフランス人は存在しないのでは?と思ってしまうストーリーでした。
 ジャンルはフランス変人ミステリー。ミステリーや不思議なストーリーが好きな人にお薦めです。<終>

少年名探偵虹北恭助の冒険

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価格:945円(税込、送料別)


少年探偵 虹北恭助の冒険シリーズ





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最終更新日  2010年10月11日 08時24分33秒
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