Atletico Tokyo~アトレチコ東京~
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今週のドイツ戦の前にUG(Underground) さんという方が観客のあり方について問題提起していた。実際その掲示板でもBlog上でもかなりの議論になっている。詳しくは上のリンクで読んでいただきたい。簡単に要旨を言うと、1・今の日本代表の試合におけるゴール裏の応援はひどいことになっている2・問題は代表戦のチケットを平等に売りすぎているからではないのか3・K-1はその対極で経験者最優先でチケットを売っている3はいろいろな事情があると思うが(サッカーの場合経験者と観戦者は異なるという構造がある)とにかく現状このままではまずい、というのは賛成だ。ちなみに私のこれまでの日本代表サポへの愚痴はこちら。さて、もう5日経ってしまっているし、なぜ今頃という感じなのだが、今回については時間のあるときにじっくりと書きたかった。というのも、これは先日聞いたプレミアリーグにおける現在の問題とリンクして考える必要があると思うからだ。ここでは、まず上の1,2がどれくらい問題なのか、という面から考える。プレミアリーグの現状の問題は、実は日本代表と似ている面がある。それは客層が多様になってしまったことで、ある別の客層が排除されてしまったことだ。プレミアリーグはかつてのフーリガンの問題から安全なスタジアムを目指し、新規顧客として子供や女性を引き込むことに成功した。また、衛星放送の発達、その放映権料で潤ったクラブにより活躍する海外選手の増加したことなどにより、海外のファンが爆発的に増えた。いろいろな人がファンになるのは素晴らしいことである。ところが、こうしたことがスタジアムにおける雰囲気に大きな変化をもたらしてしまった。スタジアムが静かになってしまったのだ。プレミアリーグは人気が出るにつれてチケット価格が上昇した。現在普通の席で大体25ポンドくらい(約5000円)する。年間チケットなどを考慮するとこれは以前のリーグの数倍だ。これにより明らかに客層が限定されてしまった。元々の若い男性世代は経済的理由からチケットを買うことができなくなってしまった。変わって買うようになったのは中流階級の人々だ。そして彼らの文化がスタジアムの新しい文化になった。しかし、それがまさに「スタジアムが静かに」なる原因となってしまった。マンUの監督サー・アレックス・ファーガソンは静かなスタジアムに大変ご立腹のようである。アーセナルのホーム、Highburyも最近は「Library(=図書館)」と言われる始末だ。日本代表の現状をこれに対比させて見るとどうであろうか。客層という面では(注:ここでの客層は、上のプレミアとは違う捕らえ方をしている)、日本がW杯で経験を重ねれば重ねるほどに広がっている。特に最近は2002年の自国開催で、国民の大半は代表戦を生で見たいと感じているのではないだろうか。しかし、これはつまり「サッカーを本当に好きなファン」という層が何の対策もないままに弾かれてしまった一因になってしまったのではないか。結果、スタジアムの雰囲気の悪化につながったと言える(私が今の代表戦の雰囲気を指して「悪化」と言っていることについてはこちらで)。日本人にブーイングは合わないとか言う人もいる。でも、今そういった戦う姿勢の浦和の応援を日本中が絶賛している(求めている?)。感動の雰囲気に近づける努力は必要だと思う。再び話をイングランドに戻すと、イングランドの人のレポートでは、雰囲気が悪くなってしまった原因の、前述した新しいファンの多くはそのクラブを選んだ「お客さん」であり、「サポーター」ではないという。彼らは御気楽過ぎる。彼らのスポーツに対する情熱というのはもし存在するのであれば、TVによって取り次がれるもので、順応性のある、変化が利く情熱なのである。こういったファンというのはスポーツ自体が滞り始めると消えてしまう。これは一言で言えば「流行」に過ぎないのだ。(しかし過去にいたファンを戻そうとすると今いるファンが排除されてしまうのが問題、とも書いている)つまり何がいいたいのかというと、メジャー性の高まった今の代表の持っている、問題と一部の人々が捕らえていることは、理由は違えどメジャー性の高まった、サッカーの本場イングランドでも真剣に問題視されていることで、しかもその現状分析を読めば、このことは日本においても同じく声高に問題だ、と言えるのではないかと思うのだ。そしてその解決策は、最終的にはスタジアムのファンを区別化することでしかできないと思う。先のイングランドの話は「優良」と「優良でない」顧客をある程度分けている気がする。もちろん現地では、だからどうしていくのかはまだ見えない(チケットの価格の問題が原因だから)のだが、でも日本代表のサポーターについての顧客は分けられると思う。雰囲気を考えればやはりゴール裏のファンはある程度のサッカー観戦経験者を中心にするべきだと思う。最もいいのがJリーグやLリーグ観戦者を優先する制度(誰かが言ってたが、日本代表は基本的に、日本の選手の代表なのだから日本代表サポーターの位置取りもJリーグの代表、という観点があっていいと思う)。しかし、現状日本代表サポーターというのはサッカーファンの入り口の一つであること、片方を排除するという閉じた空間をスタジアム単位で作らないために、バックスタンドなどは誰でもチケットを買うことができるようにすることでバランスを取る。一方ゴール裏は応援の日本代表だから、あそこで応援したいのならJリーグやLリーグなどで下積みを積んでね、選手だってJリーグで活躍しなければ代表になれないのだから、という論理。これはまぁ例の一つ。批判はありそうだけど、でもこのくらいの区別化を行わないと、現状のように様々な人が混ざってしまい、いい応援にならなくなるのだから。スポーツマーケッティングの最も重要な仕事は「チケットを売ること」だと思う。そして、日本の一部のフットボール界は「いかにしてチケットを買ってもらうか」の次の段階、「いかにしてチケットを売るか」にもう来ている。それは日本代表がそうだし、ナビスコ杯の決勝も、CSもそうだ。日本代表のスタジアム観戦という限定商品を売るに当たり、多くの希望者の中でいかなる顧客を集めるか、これは大変に難しい問題だ。しかし、顧客の意識をもっと細かく知り、それに合わせた(細分化、1to1マーケ)試みをすることは、私は「21世紀のスポーツマーケティング」で重要な分野だと考えている。
2004.12.19
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