書かずにはおれない件がある。あまりにも現実からはなれてるのか?アバターなのか?私が理解不能なだけなのか?
とにかく理解できない青年を対応しているレッドさん。
まあ、聞いてよ。
レッドさんの仕事はね海外保険、クレジットカード、国際キャッシュカードも担当してるの 、まあ、何でも屋の「助っ人おばさんデスク」よ。
海外保険では盗難、置き引き、障害、疾病などに絡む被保険者のお世話をしたり、請求書記入のヘルプやチェックをしてる訳。もちろん事件調査もね。
プラタナスの葉が散りかけていた5月のある日、
一台の電話が鳴った。
ここから、レッドさんの悲劇の始まり。。。。。。
「あの~、僕フードコートでご飯食べてたら、カメラ盗まれたんですが。」
と、ここまで普通に盗難にあった青年、26歳の英語学校生。
レッドさんはまじめに、対応。
まず、君がしなければ行けない事、
その1) 盗難届を出し、事故証明書を得る事 これに関しては電話で対応しているから日本語通訳を介して事故証明番号が取れる。
その2) カメラを購入したという証拠、確認が取れるものを提出していただく事。レシート、保証書、外箱など。
その3)保険証書のコピー、パスポートのコピーの提出。
その4)保険請求書を記入する事。
この4つの事を終われば 保険金はおりてくる。
最初は1週間に一回だった電話が次の週は2回とだんだん回数が増えていった。
26歳の青年はちょっとした事で電話してくる、
これは異常か?いたずらか?
それも真面目に。
それも質問が初期症状。
まるで小学生の低学年並み。
一週間に4回も問い合わせの電話 を受けている時
ほとんど 切れそうになっていた。
5月の中旬、プラタナスの枯れ葉が舞い散る、綺麗な秋。
いつものように電話が鳴った、、、やつだ。
あの~僕英語が出来ないんですが、、、、、「日本語通訳者」はなんと言うのですか?
ええ? なに?まだ警察に届けを出していないのか?
ウウウウウッッッッッッガガガガガガア~~!
「ジャパニーズ トランスレイター プリーズ!です」
あのね、あなた!!私がまず最初に電話で言ったこと覚えてる?まず第一番に事故証明を取ってくださいと行ったはず、出なければ保険請求処理はスタートしないんですよ。 あ~た、カメラのレシートを探したり、パスポートのコピー取っても肝心の事故証明を取らねば盗難が成り立たないのです!!!成り立たないのです!!っと、声を大にして言いたいレッド。
が、ここをこらえて ひたすら我慢。
眉間のしわが多くなるわな。
レッドが真っ赤になってるのも知らず、26歳の青年はか細い声で
「本当に済みません、僕、聞いてばかりで。でも、日本の実家に電話したらママがカメラのレシートが見つかったって、ママが日本の保険会社に電話したって」
は? ママって、 ママ? 今なんて言った?
ピクピクピク。。。。。。。ピック。。。。。
おんどりゃ~切れるぞ~~`!!
5月も終わり、プラタナスが枯れ木になった。
道行く人はコートとマフラーに身を包み そそくさと歩く冬のシドニー。
電話が鳴った、、、、、やつだ。
あの、、、、そちらのデスクに伺って書類を提出したいのですが。
では、郵送でお願いします。(こないで!)
はい、郵送と申しますとどうすればいいのですか?
ええ、封筒を買ってきて。
どこで?
スーパーで。
その封筒に請求書を入れて、送ってください。
どうやって?
住所を書いて。
住所を書いたらどうするのですか?
切手を貼って。
え?切手を貼るのですか?
切手を貼らないと郵便局は受け付けません。
切手はどこに売ってるのですか?
郵便局。
貼ったらどうするんですか?
赤いポストに入れる。
入れるんですね。
そ、入れる。
で、赤いポストはどこにあるんですか?
。。。。。。。。。
。。。。。。。。。おんどりゃ~!!
レッドは家に帰ってビールを3杯も立て続けに飲みました。
これって本当の話なんだからね。
実話です。