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Aug 13, 2005
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 この小説は非常に静かな進行のようなものだ。

理解できなくても、それは、静かな川のよう、

だから、きっと、私が小学生高学年のがきの

頃にこの本にめぐりあっていたのだとしても、

今まで、ずっと、ひっかかっていたのだろう。

しばしば、人はひっかかるものに、戻っていく。

だから、私もこの函館の滞在のおり、過去の

時間に戻りながら、そうして、その時間のなかで

手にした本をもう一度、手にすることになった

のだ。

 余命を迎えた老婆は遠くにいる孫に手紙を書く。

胸のつかえをつかえたものにしないため。彼女の

言葉、思うことが外に出されず、残された

孫娘の胸に重たくのしかからないように。しこり

がのこらないように、愛情とそうして、やがて

手紙は老婆の魂の告白にまでいたる。

 静かな魂の告白、静かでありながら、激しい。

表面は平凡であるように見えながら実は波乱万

丈な人生。

 引用。P187

逝ったものが胸にのしかかるのは、いなくなっ

たためというより、おたがいに言わなかった

ことがあるためなのだよ。


 P19

流さなかった涙は心のなかにたまり、やがて心を

おおい石灰が洗濯機の歯車にかぶさって機能を

とめてしまうように、心の動きを麻痺させてしま

う。


 現実というのは、人生というのは、私が思うに

あいまいにしか表現できない。決して、タマーロ

がはっきり、と、表現しているわけではない。あり

のままに、感じるように、老婆の形をかりながら、

本質を語っているのだ。

 そうして、この小説が魅力的なもう一つの理由。

これが、女三人に渡る母、娘、そうして、孫に

渡る物語である。言わなかったことがあるために

主人公は娘を失ってしまう、そうして、言わなか

ったことのために、娘は主人公の心にひっかかる

のだ、そうして、孫までも、アメリカに旅立って

しまう。自分の母親のように、強制した形は

娘にとりたくなくて、が、その反面、自由に

させておこうと思う一方で、娘が危険な思想に

はまったときには、娘との断絶を恐れて、強い

愛情の力でとめることができない。そのとき、

主人公は愛は強さなのだと、知る。それを

知っていたら、もっと、早くに知っていたら

と・・・。だから、もう、余命わずかとわかっ

たとき、孫のために筆をとる。おそらく、この

ために。

 P48

不幸というものはいつでもきまって女から女へ

うけつがれてゆくものだ。まるである種の先天性の

異常のように、母娘から娘へわたっていく。わたり

ながら弱まるどころか、ますます根づよくしつこく

深くなる、男の事情はまったくちがう。男には

職業や政治や戦争があるから、エネルギーを外へ

発散できる。女のほうはそうはいかない。女は

何代も何世代も、寝室とキッチンと洗面所をめぐり

歩いてきただけだ。かわらぬ怨念とかわらぬ不満を

抱いたまま、何百万、何千万と同じしぐさを

くりかえしている。

 この文章を読んで、しかし、私は希望を感じる。

今まで、女性に不幸が受け継がれて来たにしろ、

女がキッチンと洗面所と寝室をめぐり歩くだけでは

だんだん、なくなってきたのだ。だから、連鎖は

どこかで、とかれるのかもしれない。主人公の

娘も孫娘も受け継がれるものにもがいている。

が、どこかで・・・もしかしたら、何が大事か

と、、沈黙をやぶることで。

 やがて、老婆は潜在的にひそむ親子三代の、も

しくはそれ以前からのつながりを絶とうと、この

手紙を書いたことが明らかになってくる。

 誰かを自由にしよう、自由になっていい、と、

言葉にしたとして、実はわかりきっている

その言葉が発せられる相手によって、本人に

どう作用するかがきまってくる。それを言っ

て欲しい相手というものがいる。同じ言葉、

たとえ、それが、真実だとしても、それが

心から出ていなければ意味がないのだ。そ

れを主人公はある牧師から教えられる。ま

ったく信仰心にあつく、説教くさいわけで

もない、かえって、ぶっきらぼうな彼が言

うのだ、完全ないつも答えをもっている人は

信用してはいけない、と・・・。

 心を用いて、私にとっても、たとえ、私が

心配されても、それが、心から出ていなければ

全く、嫌だ、と、思うことが何回かあった。

心配という言葉でありながら、実はただ、怒ら

れているように感じるとき。私の心に届く心配

をした人は心配という言葉を言わなかった。彼

女は私を思う部分に明らかに痛みを覚えたのだ。

だから、私は彼女をつつみこみ、たとえ、見た目

だけでも、とりつくろった。自分ではどうにも

できない部分もある。

 何度もタマーロがいうような言葉は私に向かっ

て多数の口から発せられた。人生を知っているよう

な人は何人かいる。けれど、彼らはそれほどに

話さないだろう。世界をたびすれば、私のするこ

とはどんどん、増えていく。厄介なことだ。私が

厄介なものをかかえている。そうして、人々は

いった。読みべき本を、行くべき場所を、みんな

思うように、みんな異なったものを口にした。私

は迷った。けれど、それでいいのだ。彼らはそれ

らが私の助けになると本当に思っていたのだから。

決して、私をわかるとも言わなかったし、無理に

納得させようとしなかった。私は昔のいじめっこ

たちが口々にこう、言ったことに腹をたてている。

いじめられるのは、前世のせいだと・・・・。私、

そんな前世、知らないのに、前世で悪いことしたと

しても、そんな記憶ないのに、と・・・。そういった

ことは、あらゆるところで、見られる。

 P41
母の気持ちはたえず揺れ動いていたが、その原因は

いつだって外側のことでしかなかった。母がこれこそ

「完全だ」と思い込んでいたイメージが、私に悪い

子だと思わせ、ひとりぼっちなのは悪い子なんだから

仕方がないのだと、納得させた。はじめのうちは母の

ようになろうとしてみた。でも、そんなことは性分に

合わなかったから、屈折するのが落ちだった。頑張

ろうとすればするほどますます具合が悪くなった。

自分を放棄することから冷笑が生まれ、それがたちまち

怒りにかわった。母の愛がわたしの外側だけに、つまり

どうあるべきかだけにかかわっていて、わたしそのものと

は関係ないことがわかったとき、私は自分の部屋のすみで

、それから、心のかたすみで、彼女を憎み始めた。

 この文章を読んだとき、また、あっと思う。

私がうまく、言葉にあらわせないこと、と・・・

でも、私の内部に抱えていること。もし、ただ、

魂の告白に終わるならば、重苦しいのだ。が、

開放や、ほんの少しの希望が見えるならば、

救われた気持ちになる。絶望をくちにしながら

が、希望を糸をひくように導くのだ。ほんの

少し光を。

 一気に最後まで言ってしまいたい気持ちがある。

が、この最後の言葉は、ずっと、老婆に耳を

傾けなければ、そうして、自分の心の声を

聞いてきたもの、にしか、到達できないのではな

いか。本質は決して難しいものではないのだ

、と、老婆は言う。それらは、ありふれた言葉な

のだと。が、ありふれた言葉がそこにただ、ある

だけでは・・・スピリチュアルブックと同じこと

になってしまう。この老婆が言いたいのは、ただ、

賢者の言葉に耳を傾けるだけでは十分では

ないのだ、しばしば、見失いがちな自分に

たいして、どうすればいいのか、それを知って

いるのは、たとえ、誰かが予言できたにしても

知っているのは自分自身だけだと言うことだ。

だから、自分自身の唯一の教師は自分自身だと

老婆は言う。

 そんなことを書いていたら、結論を言いたく

なくなった。この本は時期がこなければ、わか

らない、理解することができない、どんなに

頭でわかろうとしたって無駄だ、と、言って

おこう。どのくらい、真剣に生きているか、

自問自答しているか??貴方はひっかかって

いる言葉を持っていますか?自分の核が

見つけたいですか?





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Last updated  Aug 13, 2005 10:22:29 PM
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cozycoach @ スペイン語 全然、頭に入んないよ、どうしよう Twitt…
康521 @ Re:出発(05/24) お久しぶりデス! アラッ、帰郷ですか?…
くーる31 @ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
cozycoach @ おめでとうございます 今年もよろしく。お互いに切り抜けましょ…
ricecocoa @ Re:仕事依存症(12/22) cozycoachさん どうやら、一人で時間を…

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