Doc’s storyはぼくが今までこのゼミで読んだものの中で、一番好きな小説である。それはDoc’s story が恋愛小説として、そして黒人小説としてDocがメインの話ではない。もちろん黒人問題を提起するような深刻な話でもない。Doc’s storyは、純粋な、100%のラブストーリーに他ならないとぼくは考える。タイトルと半分以上の文字を使って表現されたDoc’s storyは、実は全て末尾のIf a blind man could play basketball, surely we・・・の一言のための、壮大な前フリに過ぎない。これは、「ムダ」といって差し支えないように思う。しかし、素晴らしい、ぼくの大好きなタイプの「ムダ」である。かくも過剰な思い込みを産む人の恋愛に対する姿勢がいとおしく思え、そして共感するのである。