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Ryu-chan6708

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2006.06.21
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テーマ: お勧めの本(7264)
カテゴリ: 社会問題
A氏: ゼロトレランス が登場しているね。

:「シートン動物記」で知的アンテナがはられていたので、新聞を見てひっかかったね。アメリカの学校教育というと、教室は立ち歩き、私語などひどいという先入観があったが、それは間違っていたようだ。 ゼロトレランスというシステムで建て直しをしてきたんだね。

A氏 ゼロトレランス(zero tolerance) というのは 品質管理 からきた言葉だというけれど、製造業にいた君はよく知っているのではないの?

:日本の製造業の優秀さを参考にしたらしいが、どうもピンとこないね。トレランスとは、製造業では日本語で 「公差」 というのだが、 量産工場では公差にゼロはないからね。
  それより 、「テン・トレランス」というのがあり、何か違反しても十回までガマンして、これを超えたら、懲罰を与えるという意味がある。ワン・トレランスは、1回ガマンだ。 だから、 ゼロトレランスは、違反したら、ガマンしないで最初からなんらかの懲罰だ。 そのほうが分かりやすい。

A氏 :文部省はゼロトレランス導入を検討しているらしいね。

:17日の朝日新聞の朝刊で書いていた加藤氏には 「学校再生の決めて」 というゼロトレランスを紹介した本がある。2000年の発行だから、もう6年前だ。 ゼロトレランスの古典だね。 すでに、アメリカは、70年代のリベラルな教育理念の結果、学校教育現場の完全な崩壊を経験して、その建て直しを90年代からゼロトレランスで始めた。
  この本では日本はその逆を進んでいると批判していたが、 6年たって、ようやく最近の文部省の考えは、それを認めるような結果になっているね。先見の明があった本だね。

A氏 :要するに、校則を詳細に決め、小さなことでも違反したら、すぐ罰則を科するという方法だね。そのほうが拡大しない。 ニューヨークの犯罪を減らすのに、徹底した地下鉄の落書きの禁止、無賃乗車の禁止という簡単なことを徹底したやり方で成功したのと似ているね(2006.04.28と2006.05.13の日記参照)。

:加藤氏の本にもあるが 、「自由(freedom)」「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」の3つは異なるとしている。 すべての者の 「自由(freedom)」を守るためには、お互いに制限が設定され、その枠内の選択が「自由(freedom)」という意味だ。 他人の権利や感情を無視して行動する「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」とは異なる。 日本ではそれが、戦後混乱しているわけだ。

A氏 :戦争に負けて、一挙に過去の学校教育は悪いとした反動かね。

:皮肉なことに1983年にレーガン大統領は、学校崩壊でどうしようもなくなり、 日本に教育を学べと視察団を派遣しているんだ。そのアメリカに今度、日本が学ぶということになりそうだ。

A氏:また、 逆輸入の舶来崇拝かね(2006.06.10の日記参照) 。日本人は自信がなくなったのかね。

私:「シートン動物記」を読んで思うのだが、日本では親が子どもに対して「自由(freedom)」「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」との違いを教えているのかね。
「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」がいいことだと思っているのでは。

A氏 :野生動物の場合、「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」をしたら、待っているのは天敵からの攻撃であり、餌の欠乏だ。 それは直ちに死を意味する。

:そうだよ。 あくまで自然のバランスのとれた規制の枠内の選択の自由だ。野生動物はそのようにしてルールを親が徹底的にしつけ、それを守りながら自由を楽しむ方法を教えている。 「シートン動物記」はそれを描いている。
  だから、良い教訓になる。

A氏 :問題は、日本では「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」が良いことだと洗脳されている親やマスコミが多いかもしれないから、文部省の規律優先にどのように反応するかだね。

私: アメリカのやり方で注意すべきは、授業をする人と生徒指導をする人との分業だ。管理者と授業の専門家の分離だ。 授業をしない管理者がゼロトレランスでは増加している。

A氏 :日本では、すべて担任に任せられている。そのため、カウンセリング研修を全教師が受けないといけないが、
  第2次大戦同様にアメリカはシステムで来るからね。


:製造業だと、管理側と第一線とは分業になっているのにね。
   その点、マネジメントの国であるアメリカは、分業になっていて、 担任が手におえない生徒は専門の管理側に任す。これによって、他の多くの生徒の授業を受ける権利を尊重している。
  この点、日本人はシステムは得意でないかもね。製造業では当り前だが、教育界はマネジメントが弱いからね。今後、どう展開するかは、日本の今後の教育の分岐点になるね。
  これは、 戦後、戦前の日本文化はすべて悪として、愛国心や靖国問題など、先送りした問題ともからんでいる。「国家の品格」(2006.06.03の日記参照) として表面化した問題の一つだね。
  われわれ、一人一人の自覚を問われているのかもしれない。

A氏:まさに、日本にとって百年に一度の曲がり角だ(2006.06.04の日記の立花隆氏の言葉)。小泉首相のいう 米百俵 になるか。

アメリカの事例から学ぶ学校再生の決めて





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Last updated  2006.06.21 06:54:13
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