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私 : 保守の論客・佐伯教授 の今月の「 異論のススメ」欄のテーマ はずばり、 保守の「文化」とそれに対立する「文明」の没落論 だね。
100年前に書かれたオスヴァルト・シュペングラーによる「西洋の没落」 を最初にふれているね。
この本は 19世紀 には、 高々と歴史の進歩を掲げ、世界をわがものにしようとしていたヨーロッパ は、その 内部抗争と破壊によっていまや「没落」の運命にあると指摘している という。
A 氏 :ヨ ーロッパという独特の文化が作り出した「近代文明」 は、 その発展の極致で、抽象的で普遍的なものへと変化し、世界的なものへ膨張 するが、 それはまた、ヨーロッパの没落を意味している 、というわけだ。
私 : ヨーロッパは、合理的な科学や産業技術、自由や平等の政治制度、競争的な市場経済 、金融のメカニズムなどの「近代社会」を生み出 し、 アメリカへ移植されて、普遍化され、世界へと拡張 された。
今日、アメリカ主導によって世界化している が、 それをグローバリズム や情報技術革命 などとよんで、地球を覆いつくす「現代文明」だ と考えられる。
A 氏 : シュペングラー考え によると、 まさしくこの「現代文明」の世界化こそが、「文明」の没落を準備する という。
なぜなら、 抽象的で普遍的な世界化された「文明」は、われわれの生活や精神に密着した「文化」と対立するから だ、という。
ここで 「文化」 が出てくるね。
私 :「 文化 」とは、 われわれの日常的な生な、親しい知人との交流や慣れ親しんだ風景やそれと結びついた日常的なものと切り離せない し、そこには、 緩やかな形の宗教的精神やある場所に対する愛郷心や土地に根差したものの信頼 もあり、 それらの「文化」とともに、われわれは人格形成も行う。
慣れ親しんだ風景や人間関係は安定した世界 をもたらし、 そのなかから時間をかけてその場所を刻印された「文化」も育ってゆく 。
これが 「保守思想」の原点 だろうね。
A 氏 :しかし、「 文明」の発展で情報ネットワークも、グローバル市場の競争原理 も、 合理的な科学や技術も、世界につながった金融 も、われわれにとっては、 「外部」から押し寄せてきて、われわれの「生の」と切り離せない「文化」を破壊するもの と思われるだろう と 佐伯教授 はいう。
「文明」の普遍化が、「文化」の衰退を招き、それはまた、「文化」がもたらす創造的な 精神の衰退にもなる だろうという。
A 氏 : シュペングラー は、 世界都市、数字(統計、計量されたもの)、貨幣(金融)、技術こそが「現代文明」を象徴している というが 、それは「文明」であるが「文化」ではない 。
確かに今日、「 現代文明」を象徴するこの四者は密接に結びついている 。
私 : 数字で示された経済成長を追求するために、政府は技術革新を支援し、経営は徹底した効率主義のもとにある が、これは、 「現代人」の典型的な思考形式になっているといってよいだろう と 教授 はいう。
シュペングラー は、 「文明」とは、伝統や人格が意味を失い、すべてを貨幣に換算しなければ意味をもたない「文化段階」 をいい、そして、 デモクラシーとは、貨幣と政治権力との結合の完成である という。
シュペングラー は、 アメリカを念頭におきつつ、成熟したデモクラシーにおいて、「成り上がり者」の政治 は、 大都市の投機的事業のもっとも汚らしい部分と結びつく という。
教授 は 今のアメリカをみて、何とも予言的というほかないであろう という。
しかし、 トランプ大統領のアメリカファースト は 「保護主義」「移民反対」など、「現代文明」を破壊する要素 もあるのはないかね。