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私 : 今週は、2冊 とりあげた。
まず、 『革命』はマクロン氏が大統領選に出馬するために書いた本 。
評者 は、 立命館アジア太平洋大学学長・出口治明 氏。
「第1部」は「思想」 で、勤勉であることを教えてくれた祖母、高校生のとき恋に落ちた教師ブリジットとの出会い。
次に、 なぜ「前進!」を立ち上げ大統領選に出馬したのかが説明
され、そしてフ
ランスという国家は人々を解放する一つのプロジェクトであり、それを目指す共和制だと定義づける。
A 氏 : 「第2部」は「戦略」 で、 フランスがなすべきことが明瞭に語られ、人的資本への投資が第一。
「環境問題こそ、フランスがトップに立たねばならない」とマクロン氏は言い切る。
「自分の仕事で生計をたてられること」が基本で「持たざる人々により多くのことをし、最も弱い者を守る」 。
政府が地方に約束できる時代が過ぎ去った中での大都市の発展と「地方創生」をどう考えるか と、 優先順位が明確で整合性がとれており、日本にもそのまま適用できそうだと評者は言う。
私 : 第3部は「未来」 で、 マクロン氏は冒頭に歴史を持ってきて、歴史に学ばない限り「何者にもなれない」 とし、 EUに対する姿勢は「ユーロ圏をいまだに完成させていないのは間違いだった」と揺るぎがない。
では、 いかにして民主的な革命を成し遂げるのか。
それは、 既成の政治家ではない普通の人々のアンガージュマン(政治参加)によってであり、「新しい人を国会に投入」して右でも左でもなく前へ進むことによってである という。
マクロン 氏は、ごく当たり前のことを言っているに過ぎないのだが、 世襲議員が大多数を占める日本の現状から見れば何と新鮮に響くことだろう と 評者 はいう。
現に、 大統領選挙後に行われた国民議会 選挙では、マクロン氏の与党「共和国前進」が大勝 したが、 女性が当選者のほぼ半数を占めるなど「新しい人」が大量に国会に入った。
A 氏 :我々は、 このような個性的な政治家を生み出した欧州の懐の深さにもっと学ぶべきではないか と 評者 はいう。
政治家は、理念や思想ではなく結果で評価されるので、この先マクロン大統領がどんな結果を残すのか楽しみだ と 評者 はいう。
私
: 2冊目の
『グローバル化する靖国問題 東南アジアからの問い』
の 評者は評論家・保阪正康
氏。
この書は、1985年の中曽根首相の靖国神社参拝を「靖国問題のはじまり」 とみて、 その後の首相参拝をアセアン(東南アジア諸国連合)10カ国はどう見てきたか、各国の英字紙を参考に分析を試みた書 。
小泉首相の時代 には 東南アジアの国々にとって日本は最大の「経済援助供与国」だったので、表立った抗議はしていない。
A 氏 :しかし、 中国の経済大国 化と共に変化が起き、尖閣問題での日中対立によって、第三者の目から、地域の危機ととらえる当事者の視点へ変わる。
中国と韓国の反発に同調するか、距離を置くか。
2013年の安倍首相の参拝には中韓だけでなく、米英、EU、アセアン各国からの批判があった。
タイ紙は、近隣諸国の気持ちを害さないで戦死者を敬う方法を見つけよと説く 。
私 : 日本では中韓の批判しか語られない が、 東南アジアの国々の静かな怒りを理解する必要があるように思うと評者は指摘 する。
まだ、 日本は真に太平洋戦争を終わらせていない のかね。