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淺野 氏は、 新社長に就任した山崎正夫 氏が、 想定問答を読むだけの旧経営陣とは違い自分の言葉で語る人間 とみて 「責任追及はこの際、横に置く。(再発防止を)一緒にやらないか」 と声をかけ、 このひとことが、加害企業と被害者が同じテーブルにつき事故原因について話し合う前例のない試み につながっていく。
A氏 :やがて JR西日本の対応にも変化が表れ、事故原因は現場の力量不足とする旧来の考え方 から、 さまざまな要因がからんだ組織事故だという認識に変わっていった。
ヒューマンエラーが起こることは避けられないが、それを組織やシステム、ハードによってカバーする仕組み が出来上がっていく。
評者の 宮田珠己 氏は、 「それは 大きな成果といえるが、遺族がそこまで踏み込まなければならないのかとの思いは残る。それを責務とするのは、遺族にとってあまりに荷が重いと感じた」 という。
私 : 丁寧な取材で問題点を浮き彫りにする本書の筆致は圧巻 だが、 なかでも白眉は、JR西日本 の「天皇」と呼ばれ、事故当時は相談役だった井手正敬氏へのインタビュー。
あくまで運転士個人の責任と言い張る井手氏。
はたから見ればその考え方にこそ事故の根っこがあると言いたくなる部分だが、本人がこの発言を本書に載せても構わないと言い切るところに、溝の深さがあらわになる。
井手相談役には、自動車産業で常識になっている「ポカヨケ」装置の意味は理解できなかったろうね。
評者の 宮田珠己 氏は、 「 自らの振る舞いを根源的に検証することの難しさ。今も日本社会を覆う理不尽な雲の正体を垣間見た気がした」 という。
A 氏 : 事実、その後、JR西日本の「安全軽視」の体質は変わらない ようだ。
一昨日の14日午後2時5分ごろ 、 のぞみ176号の運転士は博多―小倉間を走行中の「ドン」という衝突音を聞いたが、東京の指令所に報告しなかった。
マニュアルでは走行中に動物と衝突するなどして異音がした場合、安全上、指令所に報告するよう定めているが、守られなかった 。
私 : のぞみでは昨年12月、車掌らが異常を感じながら走らせ続けた台車亀裂問題が起きたばかりで、また、繰り返された。
鉄道の運転士の経験がある金沢工業大学の永瀬和彦客員教授 (鉄道システム工学)は 「運転時に異変を感じれば、指令に判断を仰ぐか、ただちに運行を止めて安全確認をすることが当然だ。昨年(12月)以降、JR西日本 では躊躇なく停止することは改めて厳しく指導されているはずだ。なぜできなかったのか」 という。
先頭車両があれほど損傷している状態で時速300キロ近い速度で運転すれば、損傷部分が落下し、重大な事故が起こっていた可能性もある。
A 氏 : 昨年12月の台車亀裂問題の有識者会議 で座長を務めた関西大学の安部誠治教授(交通政策論)は、 「JR西日本が安全意識を転換させたのは間違いないと思うが、隅々の社員まで浸透していなかったのではないか。安全性向上のため、今回の事故の丁寧な検証が必要だ」 という。
私
: JR西日本
では、
2005年4月25日の福知山線事故で死者107人、負傷者562人を出した大惨事の教訓
は、
13年経ってもまだ生かされていない
ね。
1930 年代、 アメリカのハインリッヒ氏 が 労災事故の発生確率を調査 し、 「 1:29:300 の法則」を見出した。
これは、1件の重大事故の背景 には、 29件の軽い事故と、300件の傷害にいたらない事故(ヒヤリ・ハット)がある というもので 「ハインリッヒの法則」という有名な経験則 があるが、これは、「 ヒヤリ・ハット」段階での防止体制がしっかりしていれば、重大事故は防止できるという教訓。
昨年 の 台車亀裂問題、今回の 先頭車両の損傷問題で 「 ヒヤリ・ハット」を軽視しているJR西日本は、ハインリッヒの法則 を学んでおらず、 重大事故が予想 される。