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2007年11月03日
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それは、照りつける太陽がアスファルトに反射し、

残暑の厳しい九月、まだ、蝉の泣き声の残る、ある一日のことだった・・・。






俺はその日、いつものように、お客様に笑顔を振りまき、

感謝の気持ちで、サロンワークをこなしていた。








その日は土曜日。









朝から予約が詰まっていて、昼食もろくにとれず、

俺の手先、俺のハサミは、フル稼働していた。









そしてお昼も過ぎ、ひと段落着きそうになったころ、

常連の、一人の女の子をカットしている時だった。








その常連の女の子(常連の子ということで、ここではJ子と表記しよう)、

J子ちゃんの一言から、

全ては始まった・・・。








そしてそれが、ここまで発展するとは、

この時、知る由もなかった・・・。









J子ちゃん 「ははっ。・・・でも、リュウホさんって、

       “イクタトウマ”に、似てますよね・・・。」









えっ!?・・・。








俺は一瞬凍りついた。








そして、耳を疑った。

















違う。違うのだ。

















俺が凍りついた、耳を疑った理由は、

その、“イクタトウマ”に、似ている似ていないの話ではない。








今まで必死に、勉強してきたつもりだったのだが、

俺はその、“イクタトウマ”なる者を、

実は、恥ずかしながら知らなかった。

聞いたことのない名前だったのだ。









今まで、色々な人に似ていると言われてきた。

しかし、その、どれもが、知っている人物だった。








生まれて初めて、知らない人物に似ていると言われた・・・。








しかし、俺は売れっ子美容師・・・。

何でも知っている。

知らないふりはできない・・・。








リュウホ 「うんうんうんうんうん!

      そ~やねん! よく言われるね・・・ いや、たまに言われるねん☆

      そんなに似てるかな~?」     








J子   「めっちゃ似てますよ~☆

      お母さんも言ってましたよ~☆」








ちなみにJ子は親子で美容院に来ていて、

お母さんも俺が担当させてもらっている。








何!?








お母さん・・・?








お母さんも知っている・・・。









いや、言い換えるならば、

お母さんの年代でも知っている・・・。








リュウホ  「あ~そう!?お母さんも言ってくれてんねんや~☆

       そんなに似てるかな~?まぁ、よく言われるねんけどね☆・・・。」








無難な会話で、J子ちゃんとの会話を切り抜けた俺は、

J子ちゃんが帰った後、溜め息を吐きながら、

心にしこりが残ったような感じで、思った。









「“イクタトウマ”って誰やねん・・・?」









「・・・まぁええわ。

でも、自分に似ていると言われると、見てみたいもんやな。」








心の中でそうつぶやきながら、

次のお客さんを担当しに行った。








次のお客さんは、主婦のお客さんだ。

俺の主婦のお客さんは、なぜかよくしゃべる人が多い。

このお客さんも(主婦のお客さんなのでS美とする)

よくしゃべる方だ。








S美  「マツバくん、アナタ最近よくテレビで見る子にソックリやね。

     名前なんやったかな~?え~っと、え~っと・・・。

     おばちゃんド忘れしてもうたわ~。


     あっ!!そうや!!


     “イクタトウマ”や!!!!!!」







えっ!?・・・。







衝撃が走った。








その瞬間、音を奏で、リズミカルに動いていた俺のハサミは、

迷うことなく、突然止まった・・・。








そして、またしても耳を疑った・・・。








サプライズとは、こういうことなのか・・・。(多分違う)

















Surprise,

サプライズ・・・(驚くこと。または驚くようなこと。事前に予告をせず、相手を驚かす目的で計画をいきなり発動すること。)

















違う・・・。

しかし、俺が驚いたことに変わりはない。








そして、これを期に、

絶望という名の、優しい悲劇が、

俺を包もうとしていた・・・。
















つづく。





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最終更新日  2007年11月04日 01時48分11秒
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